
EC利用に関する口コミ・レビュー実態調査
EC・通販で月に1回以上購入する20~60代の男女500名を対象に、インターネット調査による「EC利用に関する口コミ・レビュー実態調査」を実施しました。
調査概要
- 調査対象 :20-60代の男女 500名
- 調査条件 :EC・通販で月に1回以上買い物をする人
- 調査対象エリア:全国
- 調査期間 :2024年2月5日~6日
- 調査方法 :インターネット調査
回答者のEC利用状況
利用するECサイト・アプリとしては、Amazonが74.8%、楽天市場が71.8% と多くがこれらを併用しており、Yahoo!ショッピングが37.2%、ZOZOTOWNが17.0%、またブランド製品のHP・アプリも約15%が利用しており、自社ECの需要も今後高まる予想です。
幅広い商品ジャンルでEC利用が進んでおり、主要モールだけでなく自社ECも一定数利用されている現状があります。これは、自社ECサイトも有力な販売チャネルとして、顧客体験の向上に取り組むことで、特定の顧客層やリピーター獲得につながる可能性を示唆しています。自社のターゲット顧客がどのECサイトを普段利用しているかを理解し、自社サイトの導線やプロモーション戦略に活かすことが重要です。
ECサイトでの買い物で重視する項目
ECでの買い物で最も重視される項目は「価格」で、83.6%の人がこれを挙げています。商品価格以外の料金(送料など)も54.2%が重視しており、送料やクーポンといった価格関連の要素が重要視される傾向にあります。そして、「口コミ・レビュー」も50.8%の人が重視しており、2人に1人が購入の際に重要視していることが明らかになりました。
「価格」が最も重視されるのは当然ですが、半数以上が「口コミ・レビュー」を重視している点 は見逃せません。これは、価格競争だけに終始するのではなく、顧客の信頼を得られるようなレビューの蓄積が、購買決定に大きく影響することを意味します。商品ページに積極的にレビューを表示させたり、レビュー投稿を促す仕組みを取り入れたりするなど、口コミ対策を経営戦略の一つとして考える必要があります。
ECにおける口コミ・レビューの書き込み状況と内容傾向
ECで口コミ・レビューを書き込む人の中で、その内容は73.1%がポジティブ、9.8%がネガティブ、17.1%がどちらでもない としています。書き込む人のうち、7割以上がポジティブな口コミを、約1割がネガティブな口コミをしています。この1割のネガティブな口コミが他のユーザーの購入を控えるきっかけとなる可能性も指摘されています。
大多数のユーザーは良い体験をしても積極的に口コミを書かないか、書いてもポジティブな内容に留まる傾向があります。しかし、少数のネガティブな口コミでも、これから購入を検討するユーザーにとっては強い影響力を持つ可能性があります。ネガティブな口コミが発生しないように対策を講じること、そして万が一発生した場合に誠実かつ迅速に対応することが、売上機会の損失を防ぐ上で極めて重要です。
ポジティブな口コミ・レビューをした理由
ポジティブな口コミ・レビューをした理由としては、「商品が満足のいくものだったから」が62.8%で最も多く、商品そのものへの満足が第一に来ています。しかし、「配送が迅速だったから」(32.0%)、「ショップの対応が丁寧だったから」(30.8%)、「梱包が丁寧だったから」(26.1%)など、商品に関与度の低い物流関連の満足度もポジティブな口コミに寄与しやすいことが示されています。
商品力はもちろん最も重要ですが、「迅速な配送」「丁寧な梱包」「丁寧なショップ対応」といった商品以外の体験も、顧客満足度を高め、ポジティブな口コミに繋がる重要な要素であることが明らかになりました。特に配送や梱包は、一度仕組みを改善すれば継続的に効果を発揮しやすい部分です。これらの要素を強化することは、単なるコストではなく、リピート率向上や新規顧客獲得を促すための「投資」と捉えるべきです。
ネガティブな口コミ・レビューをした理由
一方、ネガティブな口コミ・レビューをした理由としては、「イメージしていたものと違っていたから」が47.1%と最も多く挙げられており、これは顧客の主観による商品イメージの相違であり、改善が難しい場合があります。しかし、「商品が破損・不足していたから」(35.3%)、「ショップの対応が悪かったから」(17.6%)、「届くのが遅かったから」(11.8%)、「違うものが届いたから」(5.9%)といった理由も多く挙げられており、商品破損・不足といった配送プロセスにおける問題やショップの対応など、オペレーションの改善によって解決可能な問題がネガティブな口コミの大きな要因となっていることがわかります。自社ECの場合、一度のネガティブな体験が顧客の離反に繋がる可能性も示唆されています。
「イメージ違い」は商品ページでの情報提供の工夫で多少は改善できますが、限界があります。しかし、「商品破損・不足」「配送遅延」「誤配送」といった物流やオペレーション起因の不満は、EC事業者の努力次第で大幅に削減できます。これらの問題は顧客体験を著しく損ない、ネガティブな口コミや直接的な離反に繋がる可能性が高いです。特に自社ECにおいては、モールのようなプラットフォームの信頼性がないため、一度の悪い体験がそのECサイト自体からの離反に直結しかねません。ネガティブな口コミを防ぐには、まずこれらの「防げる不満」の発生を徹底的に抑えることが最優先課題となります。
今回の調査結果をまとめると、ECで買い物をする人が最も重視するのは「価格」ですが、「口コミ・レビュー」も購入決定において非常に重要な要素であり、特にネガティブな口コミをする人は価格と同等に口コミを重視しています。ポジティブ・ネガティブな口コミともに、商品自体への満足・不満が最も多い理由である一方で、物流に関連する要素(配送の速さ、梱包、商品破損・不足など)も口コミの重要な要因となっています。特にネガティブな口コミにおいては、商品以外の原因、特に物流業務に関する問題が多数を占めており、自社ECの場合、一度のネガティブな体験が顧客の離反に繋がる可能性も示唆されています。したがって、ネガティブな口コミを防ぎ、ポジティブな口コミを継続的に増やすためには、物流業務の改善が非常に有効であることが示唆されています。
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