台湾越境EC成功の秘訣5選|初心者でもできる海外展開の第一歩とは?

2025.04.30物流・フルフィルメント
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台湾越境EC成功の秘訣5選

台湾市場への進出に興味はあるけれど、「何から始めたらいいのか分からない」「どんな商品が売れるの?」「物流や関税ってどうなってるの?」そんな悩みを抱えていませんか?

越境ECは魅力的な販路である一方で、国ごとの文化や法律、物流事情など独特のハードルも多く、慎重な準備が欠かせません。特に台湾は親日的でEC市場も活発なことから、多くの日本企業や個人セラーが参入を狙っています。

本記事では、2025年時点での最新情報をもとに、台湾向け越境ECの基本的な始め方から、売れやすい商品ジャンル、物流・決済方法、法規制までをわかりやすく解説。これから台湾市場にチャレンジしたい方にとって、初めの一歩がスムーズに踏み出せる内容となっています。

今回の記事内で使用されているスライドに関しては以下の越境EC完全ガイドから使用しております。各地域の人気商品から市場規模、越境ECを始める上での問題点など、これから越境ECを始める方には必見の内容となっています。
越境EC完全攻略ガイド 

【2025年最新】台湾のEC市場規模とトレンド

越境ECで最初に進出した国について

世界の越境EC市場は拡大しています。約10年で6倍に成長し、その規模は150兆円を超えています。今後も、EC化率は高まっていくことからも、市場規模の拡大を続けるでしょう。

その中でも弊社が独自に実施した越境EC事業の担当者や経営者700名に実施したアンケート調査では、「越境ECで最初に進出した国」という質問に対して、アメリカや中国についで台湾がランクインしておりました。

上位のアメリカはトランプ関税により先行きが不透明なこともあり今後越境ECを開始するにあたって台湾は主要な候補地の1つと言えます。

台湾のEC市場は、2023年に約5,035億台湾ドル(約2.3兆円)に達し、前年から2.1%の成長を記録しました。​これは、COVID-19後の実店舗回帰の影響を受けつつも、オンラインショッピングの習慣が定着していることを示しています。​また、インターネット普及率が90%を超える台湾では、ECの利用が日常化しており、今後も安定した成長が期待されています。
引用元:台灣電商業競爭白熱化

弊社では、越境EC事業者に対しての独自のアンケートを行っており、上部で挙げたスライドに加えEC事業の運用手法に対して、「マーケティングではどのような手法が効果的だったか」や事業全体の売上に対しての越境ECの売上比率など今後の越境EC運用において必ず必要になる情報をまとめたスライドを無料で配布しております。気になる方はぜひこちらからダウンロードしてください。
越境EC事業の運用手法に関する実態調査 

人気のECプラットフォーム比較

Shopee(蝦皮購物)

Shopee(蝦皮購物)ホームページ

画像引用元:Shopee

Shopeeは台湾国内で61%の利用率を誇り、若年層を中心に広く支持されているECプラットフォームです 。出店にあたって初期費用・月額費用は無料で、販売手数料は売上総額の5%、決済手数料が2%と低率に設定されているため、小規模事業者でもコストを抑えて参入しやすい点が大きな魅力です

日本郵便、ECMS、DHL Express、FedEx、佐川国際宅配便、ヤマト国際宅急便など複数の国際配送業者を組み合わせることで、追跡機能や代金引換にも対応したきめ細かな物流サポートを利用できる点も強みです。さらに「Shopee Live」と呼ばれるライブコマース機能を通じて、セラーやインフルエンサーがリアルタイムに商品を紹介し、視聴者とのインタラクションを通じて購買を促進できる仕組みが整っています。
引用元:【出店ガイド】Shopeeの出品方法を紹介

momo購物網

momo ホームページ

画像引用元:momo購物網

momo購物網は台湾国内で59%の利用率を誇り、特に30〜50代の女性を中心に支持されている老舗モールです。ファッション、美容、家電、食品など幅広いカテゴリを扱い、中でも美容家電に特化したページではPhilipsやBRAUN、NUEVAなどのブランドが人気を博しています。2024年に導入されたサブスクリプション会員サービス「moPlus」は年会費2,399台湾ドルにもかかわらず、開始後1万人以上の加入者を獲得し、安定的な収益源およびリピーター施策として機能しています。

PChome 24h購物

PChome 24h購物 ホームページ

画像引用元:PChome 24h購物

PChome 24h購物は利用率43%を誇り、全土24時間以内配送を保証することで高い顧客満足度を実現しているのが最大の特徴です。同サイトは500万種以上の商品を取り扱い、そのうち200万種超の在庫を自社のスマート物流センター(A7倉庫)で管理することで、配送の迅速化と在庫切れの防止を両立しています。出店に際しては台湾現地法人の設立や現地倉庫の手配が必要とされるものの、受発注管理から在庫管理、カスタマーサポートまでをPChome側が一括で代行してくれるため、運営負担を大幅に軽減できる点が魅力です。
引用元: PChome Online網路家庭/ 電子商務集團

台湾消費者の購買価値トレンド

台湾のEC市場において、衣料品、3C電子製品美容健康・保健食品の5カテゴリーが売上の大半を占めています。これらは日本製品の高品質イメージや健康志向、利便性を求める消費者ニーズにマッチしており、オンライン購入比率が年々上昇傾向にあります。

台湾のEC売上の中で最も高いシェアを占めるのが「衣料品・ファッション」で、。特に若年層を中心に、トレンド性と手軽さを兼ね備えたアイテムがオンラインで次々と完売し、ライブコマースでもアパレルカテゴリは視聴者の半数程度は購買体験を通じて購入すると言われています 。一方、「3C電子製品」(Computer/Communication/Consumer electronics)は、日本製スマート家電や周辺機器への信頼感に加え、PChome 24hなど即日配送サービスとの組み合わせが購買を後押ししています。

「美容・パーソナルケア」カテゴリーでは、機能性コスメや高級スキンケアが特に好調です。2022年以降、抗老化や敏感肌対応といった機能性スキンケア製品の売上が急成長を続け、パンデミック後の衛生意識向上とも相まって、「健康・保健食品」などもオンラインでの購入頻度が飛躍的に増加しています。

台湾越境ECの今後のトレンド

台湾のEC市場においては、従来のモール型販売に加え、ライブコマースSNSを介したソーシャルコマースが急速に成長しており、2024年以降もこの傾向はさらに加速すると予測されています。台湾のソーシャルコマース市場は2024~2029年に年平均成長率(CAGR)22.7%で拡大し、2029年には約64.7億米ドル規模に達すると見込まれています。また、モバイルを中心としたデジタル接触時間の増加や、LINE・Facebook・Instagram・TikTokといったSNSプラットフォームの高い利用率が、この潮流を強く後押ししています。
引用元:BusinessWire

世界的にはTikTok Shopが2024年に「最も急成長したオンライン小売業者」と評され、英国での利用者数は前年から131%増、売上高は180%増を記録しました。
引用元:TikTok Shop: The future of shopping

これらのプラットフォームでは、商品のタグ付けや「今すぐ購入」ボタンをコンテンツ内に直接組み込めるため、ユーザーは興味を持った瞬間にスムーズにECサイトへ遷移できます。今後は、LINEミニプログラムやTikTok Shopの台湾展開、インフルエンサー/KOLとの連携強化などが、越境ECにおけるSNSコマースのさらなる可能性を広げるでしょう。

台湾向けの越境ECのメリットとは

ここでは台湾越境ECを行うことによって得られるメリットについて詳しくご紹介します。

親日的文化と日本製品への高い信頼感

日本製品の高い人気を背景に安定した売上が見込める点です。

台湾には親日的な消費者が多く、日本製品への信頼と好感度も非常に高いことが特徴です。実際、中国を除くと台湾人観光客がもっとも旅行しているのは日本となっています。

世界各国の台湾人訪問者数

一度日本製品を手に入れたリピーターは、自国に戻ってからも越境ECを通じて繰り返し購入する傾向が強いため、こうした“日本製ファン”を継続的な顧客としてつかむことができれば、長期的かつ安定的な収益確保につながります。
引用元:訪日外国人ハンドブック

地理的距離が近いことで距離が近く越境EC進出が容易

物理的に日本から最も近い国のひとつであるため、越境EC進出の第一歩に最適である点です。台湾は日本の南に位置し、中国やアメリカと比べても輸送距離が短いため、配送料や輸送日数を大幅に抑えられます。

さらに、万一トラブルが発生した場合でも、地理的な近さを生かして迅速に状況を把握・対応できるため、問題解決までのリードタイムを大きく短縮できるのも大きな強みです。これらの理由から、越境ECに挑戦する初心者事業者にとって、物流コストとオペレーション負荷を最小限に抑えられる台湾は、理想的なスタート地点と言えるでしょう。

SNSコマース・インフルエンサー活用の浸透

LINE(利用率90.9%)、Facebook(85.1%)、Instagram(68.1%)など、主要SNSプラットフォームのショッピング機能が定着している台湾では、投稿からそのまま購入ページへ誘導でき強力な販促チャネルとなっています 。加えて、ライブコマースによる商品紹介は購買意欲を喚起し、エンゲージメント率やリピート率の向上にも寄与します。

インフルエンサーマーケティングは想定以上に重要となっています。

越境ECの運用手法について

弊社で実施したEC事業者に対してのアンケート項目の「実際に越境ECを運用する中でやってよかったマーケティング施策」では、初期フェーズで実施したマーケティング施策と比較してもインフルエンサーマーケティングがやってよかったという割合が上回っていました。このことからも活用できる下地が整っているというのは越境ECを実施する上で重要な要素となってきます。

台湾越境EC成功の秘訣5選

越境ECを実施する際の5つの壁について

台湾市場で越境ECを展開する際には、現地ユーザーのニーズや商習慣に合わせた戦略が不可欠です。以下では、進出時に直面する主な課題とその解決策を解説します。

秘訣1: 言語対応

台湾ユーザーとのコミュニケーションにおいて、機械翻訳や簡体字中国語の使用は信頼性を損なうリスクがあります。特に商品説明やサポート対応では、台湾で用いられる繁体字中国語の微妙なニュアンスを正確に反映することが求められます。例えば、「品質」を表す場合、台湾では「品質」という表現が一般的ですが、簡体字圏では「质量」が使われるなど、細かい違いが存在します。コスト面では、プロの翻訳者やローカルスタッフを活用することで、自然な表現を実現しつつ、長期的なブランド信頼を構築できます。

秘訣2:関税と通関遅延のリスク回避

台湾では商品カテゴリごとに関税率が異なり、食品や化粧品は輸入規制の対象となる場合があります。特に2,000台湾元(約9,000円)を超えると関税が課されるため、ユーザーに追加費用が発生しないよう「関税込み価格」を表示する仕組みが望ましいです。また、通関書類の不備による遅延を防ぐため、現地の物流パートナーと連携した事前準備が不可欠です。

秘訣3:返品への対応・スピード

台湾向けの配送では、スピードとコストの兼ね合いが課題となります。国際EMSは通関がスムーズですが費用が高く、現地倉庫を活用すれば配送期間を短縮できます。一方、返品時の送料負担はユーザーの不満につながりやすいため、あらかじめ返品ポリシーを明示したり、一定額以上の購入で「返品無料」を適用するなどの対策が有効です。

台湾の消費者は対応の速さに敏感で、問い合わせへの返答が遅れると、SNSを通じて不満が拡散されるケースも少なくありません。特に返品や交換に関する質問は、明確な手順と迅速な対応が不可欠です。これを解決するためには、現地語に対応したチャットボットの導入や、24時間体制のサポート窓口を設置することが有効です。また、FAQページを充実させ、ユーザーが自力で問題を解決できる環境を整えることで、サポート負荷を軽減できます。

秘訣4:決済手段の充実

台湾ではクレジットカードに加え、LINE Payや街口支付(JKO Pay)といった電子決済が広く普及しています。特に若年層では、コンビニでの支払い(例:7-Elevenのibon)も一般的です。一方、銀行振込は利用頻度が低く、ECサイトでの導入は避けた方が無難です。決済オプションを現地の習慣に合わせることで、購入時の離脱率を低下させることが可能です。

+α マーケティングと価格戦略

台湾ではInstagramやFacebookに加え、匿名掲示板「Dcard」での口コミが購買行動に大きな影響を与えます。インフルエンサーを活用する際は、フォロワー数よりも信頼性の高い小規模な「ミクロインフルエンサー」との協業が効果的です。また、韓国製品との価格競争が激しいため、日本ブランドの品質やアフターサービスを強調し、付加価値で差別化を図ることが重要です。

このように越境ECには乗り越えるべき要素が日本と比較して違いがあります。

弊社では様々なクライアントの物流代行を担っているため、情報が蓄積しやすくなっています。今後の越境ECに備えて、物流問題やその他について相談してみたい方はこちらからお問い合わせが可能となっております。
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物流問題の解決策:物流代行会社への委託

台湾への越境ECの問題の解決には代行会社への委託が有効です。EC物流代行会社では、在庫管理から発送、返品処理まで一括で請け負うため、事業者は販売やマーケティングに集中することができます。

自社で言語や法令の問題解決に集中しつつ物流問題は越境ECの専門家に任せるのがもっとも効率的となっています。

EC物流の基本と業務範囲

発送代行(物流代行)サービスとは、EC事業者の商品入庫や在庫保管・管理、棚卸し、受注処理、梱包作業、伝票発行、発送手配といった物流業務全般をまるごと委託できるサービスのことです。

EC物流の基本の流れ

発送代行を利用することのメリットとして、配送コストを大幅に削減できます。自社で国際配送を行う場合、高額な送料や関税、手数料がかかりますが、発送代行サービスではまとめて商品を現地倉庫に輸送し、現地からの配送を行うため、コストを抑えることが可能です。特に大量発送時の割引が適用されるため、長期的に見て大きな節約につながります。

次に、配送スピードの向上が挙げられます。自社で国際配送を行うと、配送に時間がかかり、顧客満足度が低下するリスクがあります。一方、発送代行サービスでは、自社で倉庫を保有しているため、注文を受けてから最短で数日以内に配送が可能です。これにより、顧客の待ち時間を大幅に短縮し、リピート率の向上につながります。

さらに、返品処理の効率化も大きなメリットです。台湾の消費者は返品率が高い傾向があります。自社で返品対応を行うと手間とコストがかかりますが、発送代行サービスでは返品処理を代行し、返品理由を分析して改善策を提案してくれます。これにより、返品率を低減し、顧客満足度を高めることができます。

最後に、発送代行サービスを活用することで、顧客満足度が向上し、ブランドの信頼性が高まります。迅速な配送と効率的な返品対応により、顧客の信頼を得ることができ、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得につながります。

台湾越境ECで成功するために必要な要素とは

台湾市場で越境ECを成功させるためには、現地の商習慣や消費者ニーズに合わせた戦略が不可欠です。特に物流代行サービスを活用することで、複雑な国際配送や通関手続きを効率化し、顧客満足度を高めることが可能です。

  1. 現地ニーズに合わせた商品・プロモーションの最適化
    台湾の消費者は、日本製品に対して高い関心と信頼を持っていますが、それだけで購入につながるとは限りません。現地のトレンドや文化的背景、購買習慣を理解し、それに即したローカライズ(翻訳・ビジュアル・訴求内容)を行うことが成功のカギです。Shopeeやmomoなどの台湾主要ECプラットフォーム、そしてLINE・InstagramなどのSNSを効果的に活用し、レビューやUGC(ユーザー生成コンテンツ)を通じて信頼感を醸成する施策が有効です。
  2. 安定した物流体制とスムーズなカスタマーサポートの整備
    配送遅延や商品破損といった物流上のトラブルは、台湾の顧客満足度を大きく左右します。日本から近距離にある台湾だからこそ、スピーディーかつ安定した配送体制の構築が可能です。さらに、現地倉庫の活用や、LINEなどを使ったリアルタイムなカスタマー対応を行うことで、購入後のフォロー体制を強化し、リピーター獲得にもつなげられます。
  3. 関税制度や輸入ルールへの正確な対応
    台湾では、輸入品の金額が2,000台湾ドル以下であれば関税・消費税が免除される「デミニミス制度」があり、小規模取引に有利な環境が整っています。しかし、特定の商品カテゴリーには検疫や輸入制限が設けられている場合もあるため、制度の理解と適切な対応が不可欠です。信頼できる物流代行業者や通関サポートを活用することで、トラブルを回避しながら安定的にビジネスを運営することが可能です。

台湾向け越境ECは、地理的・文化的に日本と親和性が高く、成功のポテンシャルを秘めた市場です。参入のハードルは低いものの、だからこそ競合も多く、差別化された運営体制と現地に最適化されたマーケティングが鍵となります。これらのポイントをしっかり押さえ、台湾市場での継続的な売上確保とブランド構築を目指しましょう。

タグ : EC運用 越境EC 発送代行 台湾
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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からSNSウェビナー等での情報発信を行う。