【通関の仕組みがわかる】国際宅配便とは?国際郵便との違いを解説!

2024.02.28物流・フルフィルメント
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「海外配送したいんだけど、なにを選べばいい?」

「国際宅急便と国際郵便って何が違うの?」

海外宛に郵便や荷物を送ったり、海外から受け取ったりする必要がある際にこんな疑問を抱いたことはないでしょうか?
今回は海外配送時には欠かせない「国際宅配便」と「国際郵便」の違いについてご紹介します。どちらも国境を超えて荷物などを送るという点では同じですが、通関の仕組みや送ることができる荷物など、制度に違いがあります。この2つの違いを正しく理解しておくことで、いざ海外とのやり取りが必要となったときにも焦らずに対応できます。
グローバル化もますます進展していくことが予想されます。この記事を参考に、業務に役立てていただければと思います。
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国際宅配便と国際郵便の違いとは

書類や小さな荷物を海外とやり取りするために使われるのが、国際宅配便や国際郵便(EMS)です。どちらも海外に荷物を送ることができるという点では同じですが、配送会社としての位置づけや仕組みに違いがあります。
国を超えた配送ネットワークには、大きく分けて

  • 公的配送
  • 民間配送

の2種類に分かれます。

「公的配送会社」によって取り扱われるのが国際郵便(EMS)、「民間配送会社」によって取り扱われるのが国際宅配便になります。国と国とを結ぶネットワーク自体が違うので、この2つには制度等さまざまな違いが出てきます。次の項目から、詳しく違いを解説していきます。
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公的配送会社と民間配送会社の違いとは

まず、公的配送会社と民間配送会社の違いについて詳しくご紹介しましょう。この2つを隔てる大きな違いに「通関の仕組み」がありますが、この点についてはこの後の項目で解説します。

公的配送会社とは

公的配送会社とは、万国郵便連合(UPU)という国際機関の取り決めに従って運営されています。日本では日本郵便がこれに該当します。万国郵便連合は、192の国と地域が加盟していて「郵便業務の効果的運営によって諸国間の通信連絡を増進し,文化,社会及び経済の分野における国際協力に寄与するため,加盟国間における郵便物を安全かつ迅速に交換し,配達すること,保証すること,郵便業務の組織化及び完成を確保し,郵便分野における国際協力の増進を助長すること,加盟国が要請する郵便に関する技術援助にできる限り参加すること」を目的としています。
(参考:外務省HP

この目的を果たすために、どの国や地域からでも固定料金に近い形で郵便物や荷物を送ることができるというのが大きな特徴です。ただ、国際郵便では、基本的にEMSでしか信書(手紙やはがき、請求書、証明書など)を送ることができません。
また、公的配送会社には、利益を出すことだけでなく、公益性も高く求められます。災害等の有事が起こった際にも、利益を無視して可能な限りの配送を続けることが期待されます。

民間配送会社とは

公益性の高い公的配送会社とは違って、営利のために配送業務を営む業者のことを、「民間配送会社」と呼びます。国内のサービスでいうと、ヤマト株式会社や佐川急便株式会社がこれに該当します。

各社独自の料金体系や付加価値を打ち出しており、サービスが多様化しているという特徴があります。一般的に、民間配送会社の方が短時間で配送できる傾向にあります。また、業者によって得意な地域も異なります。国際郵便とは違って、基本的に信書を送ることができます。後述する国際宅配便業者の一つであるDHLでは、一部の危険物を送ることもできます。
ただ、公的配送会社に比べると、「公益性」が落ちるので(営利企業のため)、何か起こった際には配送が停止されたり、状況に応じて料金が変動したりする可能性もあります。
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国際宅配便と国際郵便の代表的な企業

国際宅急便と国際郵便には、どのような企業があるのか、具体例をいくつかご紹介します。

国際郵便の例

国際郵便を取り扱っているのは、万国郵便連合に加盟している配送会社です。日本で言えば「日本郵便」がこれに該当します。その他にも、アメリカならUSPS(米国郵便公社)、中国なら中国郵政が該当します。
国際郵便というと「EMS(国際スピード便)」というサービスが思い浮かぶ方もいるかと思いますが、これも日本郵便の提供するサービスの1つです。ちなみに、EMSは世界120以上の国や地域に30kgまでの書類や荷物を最速で送ることができる国際郵便の手段です。

国際宅配便の例

国内で利用できる主要な国際宅配便のサービスとしては、次のものが有名です。

DHL

海外宛であっても、最短翌日に届くというスピード配送が特徴です。その分、料金は高い傾向にあります。

FedEx

時間厳守とスピードが特徴の会社です。その分料金は高めです。

ワミエクスプレス

オンラインでカンタンに出荷でき、配送も最短翌日。さらに料金が同品質サービスの中では最も安いです。

UPS

時間指定や日時指定配達サービスも可能なのが特徴です。届くまでにかかる日数は最短1-3営業日です。

ヤマト

書類専用のパックが準備されていて、見積もりが簡単。トラッキングも可能。25kgの重量制限があります。

佐川急便

実重量0.5kg刻みの体系で細かく設定されています。重量50kg以内と、大きなものも送ることができます。

通関の違いについて

国際宅配便と国際郵便では、通関の仕組みが大きく異なります。通関とは、国を超えた荷物のやり取りの際に行われる検査のことです。

国際宅配便の通関手続き

国際宅配便の業者は、税関から通関業の許可を受けています。そのため、各配送会社の通関士が申告を行います。書類以外の荷物の場合は、送る際にインボイスが求められるのが一般的です。(インボイス=仕入書とも言われ、「このような商品を他国に送ります」という内容で輸出する側が作成する書類のこと)

国際郵便の通関手続き

国際郵便は、個人の利用が多いこともあって、一般の貨物と違って逐一税関に荷物の申告を行う必要がありません。「国際郵便物交換局」と呼ばれる国際郵便のための郵便局に到着した後、その中にある税関出張所で税関職員が検査を行います。

この時、ボーダーラインとなるのが「内容人の合計価格が20万円」というラインです。20万円以上のものを含む郵便物を海外に向けて送ったり、海外から受け取ったりする場合には、税関に輸出入の申告を行い、許可を得る必要があります。この手続は、郵便局や通関業者に委託するか、自分で行わなくてはなりません。20万円より少ない金額の荷物であれば、自動的に簡易税率が適用されるのが一般的です。

国際宅配便と国際郵便はどちらが節税になる?

関税というルールがある以上、厳密にはどちらが有利という判断を下すことはできません。ただ、各社の通関士が細かく商品の内容を見て税率を計算する国際宅配便と、税関職員が荷物を見て関税を決定する国際郵便では、後者のほうが商品と課税内容にずれが発生しやすい=課税モレにつながりやすい可能性があります。
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おわりに

国際郵便と国際宅配便は、どちらも海外とのやり取りに欠かせないサービスですが、届くスピードや料金、なにより税金の手続きで大きな違いがあります。正しい知識を持つことで、発送するものに合わせて適切な配送方法を選択することができます。

これからはますますグローバル化が進み、海外との書類のやり取りが増えたり、小規模からの輸出入も盛んになったりと、国際郵便や国際宅配便のサービスを活用する機会が増えることが予想されます。いざ必要となったときに損のないサービスを選ぶことができるよう、この記事の内容をお役立ていただければと思います。

タグ : ECお役立ち情報 発送・梱包 越境EC 発送代行 海外配送
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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。