ASEAN越境EC市場の可能性と成功戦略:成長市場での参入ポイント徹底解説

2024.11.26ECサイト
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ASEAN地域は、急速な経済成長とデジタル化の進展により、越境EC市場の重要拠点として注目を集めています。多様な文化と発展途上のインフラを持つこの地域に進出することで、新たなビジネスチャンスが広がりますが、同時に物流インフラの整備や各国の規制対応など、多くの課題も待ち受けています。本記事では、ASEAN越境EC市場の特性を解説し、成功するために押さえるべきポイントと戦略を詳しくご紹介します。越境EC進出を検討中の企業や個人事業主にとって必見の内容です。

ASEAN越境ECが成長している理由とは

デジタル経済とECの急成長

ASEAN地域(東南アジア諸国連合)は、10か国から成る大規模な地域で、急速な経済発展とデジタル化が進んでいます。スマートフォンの普及、インターネットの浸透、SNSの利用増加が、特に越境EC(電子商取引)市場の拡大に寄与しています。ASEAN諸国は、それぞれ異なる発展段階にあるものの、総人口は約6億7,000万人に達し、インターネット普及率も平均60%を超えています。このインフラ整備の進展がECビジネスの成長を支えており、急成長する市場として世界中から注目されています。

ASEAN市場の特徴と人口規模(表)

国名 人口(万人) インターネット普及率 EC成長率 主要プラットフォーム例
インドネシア 2億7,000 73% 40% Shopee, Tokopedia
シンガポール 570 90% 30% Lazada, Amazon
マレーシア 3,200 85% 33% Lazada, Shopee
タイ 7,000 82% 29% Shopee, Lazada
ベトナム 9,800 66% 34% Tiki, Sendo

(参照:ASEANstats
東南アジア向け越境ECは売れる?経済成長と拡大中のEC市場を解説 – Shopee Japan ショッピージャパン
Digital 2021 October Global Statshot Report — DataReportal

 

ASEAN市場は各国で特徴が異なるため、進出企業には市場ごとに異なる戦略が求められます。例えば、インドネシアやフィリピンはモバイル端末が主流であり、モバイルフレンドリーなECサイトが求められる一方、シンガポールはインフラが整備されており、クレジットカードや先進的な決済システムが普及しています。

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越境ECのマーケティング施策には現地に適したSNSマーケティング が手堅いと考えられます。

日本からの越境ECにおいて興味関心を持ったきっかけ

ASEAN市場の魅力

ASEAN市場は、経済成長率の高さに加え、EC市場の成長率も年20~30%と急成長しています。以下のような特徴から、ASEAN市場は多くの企業にとって参入価値のある市場です。

  • 消費者の若年層の多さ:ASEAN全体で若年層の割合が高く、消費意欲も旺盛です。
  • 政府の支援策:各国政府が越境ECを奨励し、物流の規制緩和や税制優遇措置を提供しています。
  • 親日的な文化:特にタイやインドネシアなどでは日本製品への信頼が強く、日本企業の参入に対する需要も高いです。

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ASEAN諸国別の越境ECの現状と市場特性

国別の特徴

ASEAN地域の10か国は文化、経済、消費者行動において大きな違いがあるため、国ごとに適した戦略が必要です。以下に各国の特徴を詳述します。

  • インドネシア:ASEAN最大の市場であり、人口も2億6,000万人以上と非常に多いのが特徴です。モバイル端末の保有率が高く、EC利用の多くはモバイル経由で行われます。SNSの影響力が強く、特にソーシャルコマースの利用が増加しています。
  • シンガポール:高所得層が多く、またインフラ整備が整っていることから、LazadaやAmazonといったプラットフォームが人気です。消費者は多くの外国製品をオンラインで購入する傾向があり、越境ECの参入には適した環境です。
  • ベトナム:2016年以降、年率30%以上で成長を続ける急成長市場です。現地のTikiやSendoといったプラットフォームが人気を集め、EC利用が若年層を中心に拡大しています。SNSの利用が多く、Facebookからの直接購入も一般的です。
  • タイ:越境EC市場としては成熟しており、ShopeeやLazadaがシェアを占めています。消費者サポートの充実が重要視されており、特にタイ語対応が企業に求められる点が特徴です。
  • マレーシア:クロスボーダーEC市場として発展しており、日本や中国製品への関心が高いです。消費者は英語対応に慣れており、多様な決済手段を好む傾向があります。シンガポールやマレーシアは物流ハブとしても重要で、ASEAN全域への配送効率化が期待されています。

主要プラットフォームの紹介

ASEAN地域の主要ECプラットフォームには、Lazada、Shopee、Tokopedia、そして最近急成長中のTikTokショップがあります。それぞれが国ごとに異なるニーズに対応しており、事業者の目的やターゲット市場に応じて選択することが重要です。

  • Lazada:シンガポール発祥のプラットフォームで、アリババ傘下に入ってからさらに成長。ASEAN全域で利用されており、物流網と決済手段が充実しています。
    これまでは香港の倉庫に商品を送り、その後に購入者へ届く配送ルートだったのですが、日本に物流倉庫が完成したため、商品を日本のLazada倉庫に発送すればそこから購入者へ配送されるようになりました。物流面ではShopeeよりもLazadaのほうがより便利になったと言えます。
  • Shopee:東南アジア全域に浸透し、特にスマートフォンでのEC利用に強みを持つプラットフォーム。豊富な商品ラインナップとプロモーションが特徴です。
  • Tokopedia:インドネシア市場をリードするECサイトであり、特に地元の中小企業に向けたマーケットプレイスとして活用されています。
  • TikTokショップ:動画プラットフォームとECを融合させた「ソーシャルコマース」として人気です。動画を通じて商品紹介やライブ配信販売が可能で、特に若年層の利用が多く、ASEAN地域での影響力が拡大しています。

日本商品の人気は高く、どのショッピングサイトでも日本語を記載している商品があります。
ただ、日本語は記載していますが、その日本語が不自然なことが多いため海外企業がブランディングのために使用している可能性も考えられます。

越境EC物流の課題と対策

物流インフラの差異と対応策

ASEAN地域では国ごとに物流インフラの整備状況が大きく異なり、これが越境EC事業者にとっての課題や成功要因にもなっています。シンガポールは地域の物流ハブとして優れたインフラを持ち、周辺国への配送拠点として利用されています。一方で、インドネシアやフィリピンなどの島嶼部が多い国々では配送コストや配送速度が問題となりやすく、効率的な物流戦略が求められます。以下は各国の物流特性と、その特徴に合わせた対応策です。

物流の整備状況 最適な拠点 配送の工夫
シンガポール インフラ整備が良好 地域物流ハブ ASEAN各国への中継拠点として利用
インドネシア 配送網が整備途上 シンガポールやマレーシア 配送業者と提携し、モバイルフレンドリーな対応が必要
フィリピン 島嶼部が多く輸送困難 シンガポールやマレーシア 空輸と海運の併用で配送コストとスピードを改善
タイ インフラは整備されつつある シンガポール、マレーシア ローカル業者との提携でラストマイル配送を強化
マレーシア 物流拠点としても優位性あり 自国内の拠点、シンガポール ASEAN諸国向けの配送拠点として活用、国内輸送も効率的

 

各国の物流特性と対応策

シンガポール

シンガポールは、ASEANの中でも最もインフラが整備されており、地域の物流ハブとしての役割を果たしています。高度に発達した港湾施設や空港を持ち、国内の物流業者もサービス水準が高いです。シンガポールを拠点にすることで、他のASEAN諸国への短期配送が可能となり、配送の遅延を最小限に抑えることができます。また、政府の支援により税制や輸送ルールが安定しているため、越境EC事業者にとっては信頼性の高い拠点といえます。

インドネシア

インドネシアはASEAN最大の人口を誇り、EC市場としても急成長していますが、約17,000の島々から成る地理的条件から物流には課題が多くあります。モバイル端末からのEC利用が一般的であり、島嶼部への配送は時間とコストがかかりやすいです。そのため、インドネシア市場向けにはシンガポールやマレーシアを中継拠点として利用し、大都市への拠点集中と地域配送の併用が効果的です。また、物流業者と提携してモバイルフレンドリーな追跡システムを導入することで、配送状況を確認しやすくし、消費者の不安を軽減することが重要です。

フィリピン

フィリピンもインドネシア同様、島嶼部が多く物流インフラに制約があります。国内配送には海運と空運が必要不可欠であり、特にラストマイル配送のコストが高くなりがちです。そのため、フィリピン市場向けにはシンガポールやマレーシアの拠点を活用し、フィリピンの主要都市に近い地域に拠点を設けることで、配送を効率化できます。また、消費者に対しては配送コストを明示することで、コストを理由に購入を避ける行動を防ぎ、信頼感を高めることが可能です。

タイ

タイは物流インフラが比較的整備されつつあり、ASEAN地域全体へのアクセスが良いという強みを持っています。特に陸上輸送が発達しているため、陸続きの近隣諸国(ラオス、カンボジア、ベトナムなど)への配送も可能です。また、首都バンコクを拠点とした物流ハブの利用で、国内全体への配送が円滑に行えるようになっています。ラストマイル配送では現地の物流業者と連携し、タイ語での対応が可能な体制を整えることで、顧客満足度の向上が期待できます。

マレーシア

マレーシアはASEAN地域において物流ハブとしての地位を持ち、シンガポールとも近接しているため、地域全体への配送拠点として利用されています。クアラルンプールやペナンには多くの物流センターがあり、国内と越境の両方の配送が効率的に行えます。ASEAN諸国への配送に際しては、マレーシアを拠点とすることで配送コストを抑えやすく、日本や韓国などからの商品輸送にも利便性があります。国内の消費者に対しても、幅広い決済手段の導入により、快適なEC体験を提供できます。

税制と規制の複雑性によるECの難しさ

ASEAN地域では国ごとに税制や規制が異なり、これが越境EC事業者にとって大きなハードルです。たとえば、シンガポールでは関税が比較的少ないものの、タイやベトナムでは認証が必要な商品カテゴリが多く、通関手続きが複雑化します。食品や化粧品などのカテゴリにおいては、各国の基準や認証を満たす必要があり、専門の通関業者や法務アドバイザーのサポートが求められます。

ASEAN越境EC市場での成功の鍵

現地化戦略の徹底

ASEAN地域は多様な文化や言語を持つため、国ごとに異なる消費者行動や価値観に合わせた「現地化」が極めて重要です。現地化戦略を成功させるには以下の要素が必要です:

  • 多言語対応:インドネシア語、タイ語、ベトナム語など、各国の母国語に対応することが信頼性向上につながります。現地消費者は、母国語での商品説明やカスタマーサポートを求めるため、各国語に対応する専任スタッフや、チャットボットなどを活用した効率的な多言語対応が望まれます。
  • ローカル決済手段の導入:ASEAN諸国では、現地独自の決済手段が広く利用されています。例えば、フィリピンやインドネシアでは電子ウォレットが一般的であり、タイでは銀行振込やQRコード決済も普及しています。越境EC企業にとっては、複数の決済オプションを取り入れることで消費者の購買ハードルを下げ、購入率の向上が期待されます。
  • 文化的嗜好に合わせたマーケティング:ASEAN各国では、ローカルの文化やトレンドに合わせたマーケティングが効果的です。インドネシアやタイなどでは、SNSを活用したソーシャルコマースの浸透が進んでおり、インフルエンサーを起用したプロモーションが特に有効です。TikTok、Instagram、Facebookなど、プラットフォームごとに消費者層が異なるため、各国のユーザー行動に基づいた戦略的マーケティングが求められます。

2. 物流の最適化とロジスティクスパートナーの選定

ASEAN地域の物流インフラは国によって異なり、効率的な配送にはインフラ状況に応じた最適化が必須です。物流戦略の成功には、次のポイントが鍵となります:

  • 配送拠点の配置とコスト効率化:ASEAN地域への配送は、シンガポールやマレーシアを物流ハブとして利用することで効率化が図れます。特にシンガポールは国際物流が整備されているため、他のASEAN諸国への迅速な配送が可能です。また、タイやベトナムなどでも大都市圏を中心とした倉庫を活用することで、ラストマイル配送のコスト削減が期待できます。
  • ロジスティクスパートナーの選定:ASEANの各国事情に精通し、物流網を持つロジスティクスパートナーとの提携が重要です。たとえば、東南アジア全域で利用可能なLazadaやShopee Expressのほか、DHLやFedExなどの国際配送業者も積極的に活用することで、配送網を柔軟に組み合わせられます。さらに、国内配送であれば、国ごとに強みを持つローカル配送業者との連携も視野に入れるべきです。
  • 配送トラッキングとデジタル化:消費者はリアルタイムで配送状況を確認できるサービスを好むため、配送のデジタル化も不可欠です。顧客が商品到着を安心して待てるように、トラッキング機能を提供することで、消費者満足度の向上が期待されます。特に、インドネシアやフィリピンのような配送時間が長くなる国では、配送通知の充実が信頼性向上に寄与します。


このように、越境ECを行う際に、大きく立ちはだかるハードルのひとつが物流です。言語の壁も絡むうえに、書類作成や国別の対応といった国内ECの物流とは異なる作業が発生します。
越境ECにおける物流の重要性や課題、配送の手段や物流モデルをわかりやすく解説した記事はこちらにございます。物流の悩みを抱える方には必見の内容となっております。

>>越境ECにおける物流の重要性と課題、3つの物流モデルを解説

3. 柔軟な法規制対応と税制管理

ASEAN諸国では越境ECに関する法規制が各国で異なるため、規制に対応するための柔軟な戦略が必要です。以下のような法規制や税制に関する対応策が成功の鍵となります:

  • 関税と税制優遇の利用:ASEAN諸国では、関税や消費税などの税制が異なります。たとえば、シンガポールやマレーシアでは一部の越境EC商品に対して税制優遇措置が取られており、これを活用することで輸送コストを削減できます。一方で、タイやインドネシアなどでは、特定の商品カテゴリに対して関税が高く設定されているため、商品選定や価格設定に工夫が求められます。
  • 輸入規制や認証制度の理解と対応:ASEAN各国には食品や化粧品、医薬品などの分野で厳しい輸入規制や認証制度があります。認証が必要な商品については、各国の規制を把握した法務アドバイザーと協力し、現地の基準に準拠した対応を行うことが必要です。特に、インドネシアやベトナムでは複数の規制機関が存在するため、規制対応に関する専門家の支援が不可欠です。
  • デジタルツールによる税制・規制管理の効率化:各国の税制や規制をデジタルツールで一元管理することも効果的です。税率や通関手続きが異なる商品を扱う場合、ERP(Enterprise Resource Planning)システムを導入することで、複雑な税制や輸出入手続きを効率化できます。例えば、デジタルインボイス機能や関税計算機能を備えたシステムを活用することで、規制の変動に即応し、管理コストを削減します。

 

まとめ

ASEAN市場は急速な経済成長とデジタル化によって、越境ECビジネスにおいて非常に大きな可能性を秘めています。インフラの差異や国ごとの法規制の複雑性といった課題はあるものの、適切な物流戦略と現地化対応を行うことで、競争力を高めることができます。

ウルロジでは、越境ECの進出先国特徴と配送日数やコストなどの優先度を考慮して、満足度の高い最適な物流体制を柔軟に構築が可能です。全世界220ヵ国に対して最適な発送方法を実施と国内の発送拠点となる倉庫の都内立地によって、物流コストを安く抑えることが可能です。越境ECの海外発送でお困りならぜひウルロジにご相談ください。

 

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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からSNSウェビナー等での情報発信を行う。