越境ECにおける物流の課題と配送の手段、倉庫の配置別物流モデルを解説

2024.06.20物流・フルフィルメント
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越境ECを行う際に、大きく立ちはだかるハードルのひとつが物流です。言語の壁も絡むうえに、書類作成や国別の対応といった国内ECの物流とは異なる作業が発生します。

作業の多さを前に漠然とした不安を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。一方で、そのハードルを越えれば、越境ECを続けたいと考えるEC事業者が多いことも事実です。

この記事では、越境ECにおける物流の重要性や課題、配送の手段や物流モデルをわかりやすく解説します。

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越境ECにおける物流の流れ

越境ECとは、国境を超えた電子商取引を意味する言葉です。わかりやすくいえば、海外に対するネット通販事業とも言い換えられます。越境ECについて詳しく知りたい方は下記記事を参照ください。

>>越境ECとは?失敗しない始め方5STEPと成功事例を解説【基礎知識】

越境ECの物流フローでは、国内出荷の流れに次の6つの業務が加わります。

  1. 輸送可否確認
  2. 法令確認
  3. 各海外配送会社のフォーマットに出荷データを反映
  4. 輸出書類の作成
  5. 輸送国の最新状況を確認
  6. 貨物について税関への問い合わせ対応

確認しなければならない項目が多く、書類の作成も必要です。輸出国ごとの規制や最新状況に注意を払わなければなりません。これらと並行して、国内出荷でも必要な入庫、保管、在庫管理、ピッキング、出荷のフローを実施します。

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越境ECの物流における7つの課題

企業が越境ECの導入を検討した際に感じる課題について質問した調査があります。日本公庫の調査によると、「物流手段」と答えた人が全体(n=51)の52.9%を占め、数ある課題の中でも不安を抱える人が1番多いという結果が明らかになりました。

※1:日本公庫「越境ECに関するアンケート調査」より作成

では越境ECの物流フローのうち、何が具体的な課題になるのでしょうか。ここでは7つの課題について解説します。

通関書類の作成が必要である

まず、課題になり得るのが、通関書類の作成です。手段や輸出国により詳細は異なりますが、例えば以下4つの書類が必要になります。

  1. 納品書
  2. 送り状
  3. インボイス(仕入書)
  4. 税関告知書

場合によっては、パッキングリスト(包装明細書)や船積依頼書、通関業務の委任状、原産地証明書なども必要です。現地の言葉で作成しなければならないため、慣れるまでは一定のハードルを感じるでしょう。

日本と海外の物流品質に差がある

日本と海外の物流品質に差があることも課題です。海外では日本と比較して、荷扱いが乱雑なケースが多くあります。破損、汚損、水濡れのリスクが高いため、厳重な梱包を心がけましょう。

また、紛失のリスクもあります。こうしたリスクを最低限に抑えられるように、配送保険の利用も検討しましょう。

発送できないものがある

発送できないものについて、事前に必要な調査も課題のひとつです。

例えば次のような製品が該当します。

  • スプレー缶や香水、日焼け止めなど全世界共通で送れないもの
  • 使い捨てカイロや刀剣など航空危険物にあたるもの
  • 麻薬や危険性のある物質、生きた動物、貴重品など万国郵便条約にもとづいて送れない禁制品
  • ワシントン条約にもとづいて送れない動植物
  • 輸出先の法律や宗教上の理由から送れないもの

基本的に輸出できないものと、国によって持ち込みが禁止されているものの両方を確認しなければなりません。

認証や申請、登録が必要な場合がある

製品の種類によって必要になる認証や登録も調査する必要があります。発送できないものと同様、国によっても規制が異なるため、気をつけなければなりません。

具体的には以下のような認証や登録が挙げられます。

  • 米国のFDA認証の取得
  • 中国のNMPA登録
  • 韓国のMFDS認証 等

内容はまちまちですが、主に食品、飲料、化粧品、医薬品、医療機器などの安全性を担保するための手続きです。

物流コストが高い

国内の物流と比較して、輸配送にコストが数倍かかってしまうことも課題です。

国際郵便のEMS(国際スピード便)の配送料金は、1kgまでの荷物が中国・韓国・台湾まで2,200円、そのほかアジア諸国3,150円、米国は5,300円かかります。

輸出先で商品を保管する場合には、現地での保管費用も考慮しなければなりません。また書類作成など、越境EC特有のオペレーションコストも発生します。

物流コストが増加するほど、利益がひっ迫し、売り上げに影響します。物流コストを十分に加味して海外販売価格を設定する必要があるでしょう。

リードタイムが変動する

越境ECの物流において変動しやすいリードタイムも課題のひとつです。

日本からの距離が遠いほどリードタイムが長くなるだけでなく、輸出先の政治や経済情勢によって遅れが出るケースもあります。最悪の場合、対象国への輸配送がストップする場合も考えられます。

2023年には、安全上の理由で中国が日本から水産物の輸入を制限。コロナ禍においても、多くの国で国際郵便がストップし、混乱が起こりました。

返品対応

越境ECでは、消費者がものを直接見ることなく購入するため、返品が求められるケースが少なくありません。現地の言葉でコミュニケーションを取る必要があり、対応にはハードルが生じます。また手段によっては、返品にも物流コストがかかります。

返品・返金ポリシーを定めて、不当な返品が発生しないよう、事前に手を打ちましょう。リピーター獲得のために、スピーディーな対応を心がける必要があります。

ウルロジでは上記のような越境ECにまつわる物流課題をすべて対応が可能です。面倒な物流業務はウルロジに任せてください。

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越境ECにおいて物流が重要な理由

課題が多い越境ECの物流ですが、事業の継続や売り上げの向上において重要な役割を持ちます。ここでは、越境ECにおいて物流が重要な理由を3つ解説します。

物流の最適化が利益を最大化する

物流の最適化は利益を最大化します。クオリティとコスト、納期に求めるバランスが重要です。

越境ECは、日本国内のECと比べて輸配送にかかるコストが高い傾向にありますが、だからといって一概にコストの安さだけで配送会社を選ぶべきではありません。梱包にかかるコストも同様に考えるとよいでしょう。無理に物流コストを削減すれば、破損や返品が増えてしまいかねません。

一方で効率よく出荷できれば在庫回転率がよくなり、キャッシュフローの改善も望めます。いかに在庫を売り上げに変えていくか、という視点において、ムリ・ムダ・ムラのない物流を構築することが肝要です。

配送日数や送料が購入の意思決定に関わる

ユーザーは購入商品を選択する際、配送日数や送料を参考にして意思決定をします。数ある競合の中から自社の商品を選んでもらうためにも、物流が重要です。

配送日数や送料は物流の構築の仕方や配送会社によって違いが出ます。また梱包箱の見直しや運賃の正確な把握、発送代行の利用によって、送料を圧縮できる可能性もあります。

自社の商品に求められるのは、早さなのか、安さなのか、はたまた両方なのかを見極めながら物流を構築しましょう。

物流品質が顧客満足度に影響する

越境ECに限りませんが、EC事業は商品の紛失、破損、延着が顧客からの信頼を損ねる原因となります。配送会社の選定以外に、EC事業者側ができる工夫としては、梱包箱の強度や緩衝材の形、種類にこだわることです。

口コミやショップの評価に関わるため、重要視すべきといえます。

越境ECにおける2つの物流モデル

越境EC 2つの物流モデル

越境ECの物流構築における大きなポイントのひとつとして、「倉庫の場所」が挙げられます。配送日数と送料の問題があるからです。ここでは直送モデルと保税区モデルに分けて解説します。

直送モデル(国内の倉庫から発送)

直送モデルは、倉庫を日本に配置して発注があった際に国内から発送する物流モデルです。エンドユーザーの発注ごとに国内から配送するため、保税区モデルと比較して配送コストが高くなります。エンドユーザーへのリードタイムも長くなるのが特徴です。

一方で現地での過剰在庫、安全性に関わるリスクを回避できます。

越境ECを始めたばかりの出荷が少ない事業者やロングテール商品におすすめの方法です。

保税区モデル(現地の倉庫から発送)

保税区モデルは、輸出先の保税区倉庫で商品を保管します。発注が入り次第、通関を通し、現地の国内配送でエンドユーザーに届ける物流モデルです。保税区倉庫に在庫がある段階では、関税がかかりません。

売れるかわからない在庫を海外に保管しなければならないリスクがあります。その一方、海外に向けて発送する際は、一度に商品を大量輸送できるため、物量によってはトータルコストが抑えられるのが特長です。エンドユーザーへの配送日数が短縮できる効果もあります。

出荷数が安定している事業者や売れ筋商品におすすめの方法です。

越境EC物流の代表的な配送手段

越境ECの物流は、代表的な配送手段を2つに大別できます。国際宅急便であるクーリエ便と国際郵便である日本郵便の2つです。

クーリエ便は小さくて重いもの、日本郵便は大きくて軽いものを送るケースに適しています。柔軟に使い分けることが有効です。ここからはそれぞれの特徴と詳しい便を解説します。

クーリエ便(国際宅急便)

クーリエ便は、自社で航空機を保有し、輸送、通関、配送先へのお届けを一貫して提供する民間事業です。スピードが重視されており、最短翌日からおおよそ6日でユーザーに商品を届けられます。

送料は実重量と容積重量の大きい方で計算されます。物流のクオリティーが比較的高い傾向がある代わりに、次に紹介する国際郵便と比べて一定の大きさ以上のものは送料が割高です。

以下、代表的な海外のクーリエ会社3社と国内大手2社のサービスを一覧にまとめましたので、ご参照ください。

DHL

  • 本拠地はドイツ
  • 220以上の国や地域に対応
  • 最短翌日届け
  • オプションで時間指定可能
  • 1梱包あたり重量1,000kgまで(70kg以上は要手数料)

FedEx

  • 本拠地はアメリカ
  • 220以上の国と地域に対応
  • 北米、南米に強い
  • 危険物の出荷が可能
  • プライオリティーサービスは世界各地に1~2営業日で届く
  • エコノミーサービスは主要地域に2~5営業日で届く
  • 1梱包の最大:最長辺274cm、合計330cm、重量68kgまで

UPS

  • 本拠地はアメリカ
  • 200以上の国と地域に対応
  • アジア、欧州、米国の主要地域で土曜配達サービスあり
  • 北米南米向けに強い
  • 最短翌日届け
  • 1梱包最大:最長辺274cm、合計400cm、重量70kgまで

佐川急便(飛脚国際宅配便)

  • 220以上の国と地域に対応
  • 1梱包最大:最長辺150cm、合計260cm、重量50kgまで

ヤマト運輸(国際宅急便)

  • 200以上の国と地域に対応
  • 1梱包最大:合計160cm、重量25kgまで

国際宅急便の詳細は以下の記事も参考にご覧ください。

>>【通関の仕組みがわかる】国際宅配便とは?国際郵便との違いを解説!

日本郵便(国際郵便)

国際郵便は、日本郵便の郵便事業のひとつです。商品の合計価格が20万円を超える場合は、通関手続きが必要になります。

クーリエ便と比較して、納品までのスピード感が劣りますが、一定の大きさ以上のものの送料は安い傾向です。現地の配送手段が利用されるため、物流品質が国によってまばらな特徴があります。

国際eパケットは2023年9月にサービス終了、SAL便は2024年6月現在取り扱い停止中です。以下は、現在利用可能なサービスの一覧表です。

EMS(国際スピード郵便)

  • 120以上の国と地域に対応
  • 国際郵便の中では、リードタイムが最短(アジア圏で2~6日)
  • 国際郵便の中では、料金が高い
  • 2万円まで無料で損害賠償
  • 追跡サービスあり
  • 冷凍・冷蔵可
  • 1梱包最大:最長辺150cm、合計300cm、重量30kgまで

国際小包(航空便)

  • 国際郵便の中では、2番目にリードタイムが短い
  • 国際郵便の中では、料金は2番目に安い
  • 追跡サービスあり
  • 1梱包最大:国により異なるが重量2kgまでの小形包装物と30kgまでの国際小包に分かれる

国際小包(船便)

  • 国際郵便の中では、リードタイムは1番長い
  • 国際郵便の中では、料金が安い
  • 1梱包最大:国により異なるが重量2kgまでの小形包装物と30kgまでの国際小包に分かれる

日本郵便について、さらに詳しく解説した記事もご参照ください。

>>国際郵便の主な種類と料金・特徴について

越境ECの業務における物流の立ち位置

ここまで説明してきたように、越境ECの物流は各国の規制や情勢に注意を払いながら進めなくてはならず、極めて煩雑な業務です。

加えて越境EC事業には、以下の業務が含まれます。

コア業務

  • 事業戦略策定
  • MD設計

売り上げに寄与する業務

  • オペレーション設計
  • サイト構築
  • システム開発
  • 販促

少ないリソースで始めるEC事業者も多い中、業務量は膨大です。事業をグロースするには、外注できる業務を見極める必要があります。

日次業務にあたる物流はもっとも外注に適した作業です。越境EC事業経験者110名にアンケートを取った結果、他者へ物流を委託した方が半数以上(52.7%)でした。

越境EC事業経験者110名の物流構築に関する外注の割合

国内の出荷も加味してリソースに無理が生じたタイミング、もしくは出荷件数100件を超えるあたりから活用を検討するとよいでしょう。

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越境ECの物流を外注するメリット

越境ECの物流を外注することで得られるメリットがあります。

1番大きなメリットは、海外展開へのハードルを超えやすくなる点です。物流会社が持つノウハウを活用できるため、手続きや配送手段の選択、梱包など、多くの課題をクリアできます。物流の外注によってコア業務に人員を割けるようになり、売上を伸ばしていけるメリットや、場合によってはコスト削減になるケースもあります。

前述のとおり、越境EC参入までの課題として、「配送」を理由に挙げる事業者は少なくありません。一方で、越境ECを始めた事業者の80%以上が、主に「販路の拡大」を理由に越境ECを続けたいという意向も調査からわかっています。

まず目の前のハードルを超えるために、物流会社に相談してみるのもひとつの手でしょう。

越境ECの物流を外注するデメリット

一方で、越境ECを外注するデメリットもあります。

出荷量によっては外注コストが見合わない可能性があるでしょう。見積もりを依頼し、物流にかかっているトータルコストとの比較が必須です。

また自社にノウハウが蓄積しづらく、物流が任せきりになってしまうリスクもあります。委託先の物流会社とコミュニケーションを取り、パートナーとして取り組む姿勢が肝要です。

越境ECの物流を外注する物流会社を選ぶポイント

越境ECの物流を外注する際には、慎重に物流会社を選びましょう。一度委託すると移転には手間がかかりますが、問題を感じて移転を決める事業者は少なくありません。

そうした失敗がないように、次のポイントを意識して物流会社を比べてみてください。

越境ECの物流を受託した実績を確認

越境ECを外注する物流会社を選ぶ際には、実績を確認しましょう。物流会社の中には、越境ECに対応していない物流代行サービスもあります。

また越境ECの物流代行サービスを謳っていても、実績が乏しい可能性もあるので注意が必要です。配送方法や手続き、海外向け梱包を熟知している物流会社を選びましょう。

物流代行サービスのサポート範囲を確認

越境ECの実績を確認したうえで、サポート範囲の確認も必須です。

物流代行サービスに何を求めるか整理して臨みましょう。

例えば、同じ拠点からの国内出荷対応や流通加工、受注処理から代行できるフルフィルメント対応など、必要な機能はEC事業者によって異なるはずです。事業規模の拡大に備えて、1日に対応できる出荷件数も確認するとよいでしょう。のちのち移転に迫られる可能性が低くなります。

物流品質の確認

最後に欠かせないのが、物流品質の確認です。

物流のプロであるにも関わらず、「誤出荷や紛失、破損が多い」「理論在庫と実在庫が一致しない」といった物流会社も中にはあります。

ただし、問い合わせをするだけでは判断が難しいでしょう。現場視察をして、整然と作業ができる整った環境や、自動化を通じた人為的ミスを削減する工夫があるかチェックしてみてください。EC事業者の口コミを参考にするのもよいですね。

越境ECが可能な発送代行サービスを以下の記事でまとめています。あわせてチェックしてみてはいかがでしょうか。

>>越境EC発送代行サービス5選!委託するメリット・デメリットを徹底解説

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タグ : ECお役立ち情報 越境EC 発送代行 EC物流 海外配送
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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。