WMS(倉庫管理システム)の機能とメリット・デメリットについて

2021.11.29物流・フルフィルメント
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物流、通販倉庫など大量の商品を入出荷、保管している倉庫では様々な作業が存在します。

基本的には入荷、棚入れ、保管、ピッキング、出荷と行った商品の出し入れ業務になりますが、その管理をすべて行うことができるシステムのことを倉庫管理システム=WMS(Warehouse Management System)と呼びます。

かつては入荷してきた商品の納品書を保管し、棚入れやピッキングで商品が移動した履歴を記録する、と言ったように業務別に帳簿をつけそれを照らし合わせるという作業を行ってきました。

しかしWMSを取り入れることですべての倉庫業務を一元化でき、業務遂行と在庫データの照らし合わせをまとめて管理することができます。

チェックの工程が多い人力での帳簿作成だとどうしても人為的なミスが発生し、それを追求するためにさらなる人件費や経費が必要になってきます。

毎日の業務効率を向上させ経費を削減させてくれるWMSが現在の倉庫業には無くてはならない存在になっています。

WMS(倉庫管理システム)とは

物流倉庫業を続けていく上で重要視されることはコストと生産性です。

WMSはまさにこの2つを劇的に向上させてくれるシステムで、倉庫の規模を大きくしたい、顧客からの信頼を熱くしたい、と考えている倉庫業はWMS導入を検討することをおすすめします。

入荷から保管、出荷まで倉庫の在庫増減をバーコードスキャンなどシンプルな操作のみで一括管理でき、全てデータで管理されるためヒューマンエラーも起こりにくいのです。

そのためミスを修正したりアルバイトスタッフに業務を教え込む時間などが劇的に改善されるので人件費を削減でき、より迅速に正確に商品を顧客に提供することができるのです。

WMSは在庫管理機能の他に棚卸機能、また在庫が少なくなると取引先への発注なども自動で行ってくれる機能など取扱商品に応じて様々なタイプが存在します。

入荷した商品のバーコードをスキャンさせ在庫数に反映させ、それを決められた棚に保管することで商品データに棚番号やロケーションが紐づけされ、商品を取り出し出荷されればその棚の在庫数が減るという倉庫業の一連の基本作業。

シンプルに商品を読み込む単純作業でミスが少なく、またどのスタッフがいつどのような作業を行ったかまで見える化でき人件費管理にも役立つWMSが多くの通販倉庫や物流業から選ばれています。

倉庫管理システムでできること

倉庫の規模や商品形態によって様々なタイプのWMSが存在するのですが、基本は倉庫の在庫管理を一括で行ってくれるシステムです。

倉庫の務で重要となる入出荷業務と在庫管理業務、全てをWMSで管理することが可能です。

入出荷管理業務におけるWMSの役割

まず初めに倉庫に他所から商品が入荷して、商品バーコード等をスキャンし在庫を反映させます。

その際に入荷伝票と実際にスキャンされた商品の差異を確認し、違っていれば差異が分かるようになっており、正しければ在庫として反映され商品が入荷されたことになります。

反対に出荷させるときは、商品が指定のロケーションに何個保管してあるのでピッキングをしてくださいという指示が出るものもあります。

その後ピッキングリストを読み、該当商品のバーコードをスキャンすることで出荷商品が正しいかどうかをチェックしてくれます。

出荷が完了するとピッキングしたロケーションからの在庫が減っているという流れになります。

これらのチェックを全て人で行うとすると、間違いが出る可能性が高く、本当に間違えがないかの確認を行う必要があります。

納品伝票の数を見て思い込みで数量が合っていると決めつけてしまったり、似て非なる商品を同じだと思いこんでしまう人為的ミスはWMSを利用することで格段に少なくなります。

在庫管理業務におけるWMSの役割

商品の入出荷と同様に在庫商品を管理、保存することも倉庫業のメイン業務ですが、こちらもWMSを使用し効率化を図ることができます。

倉庫内のロケーション移動、棚から棚へと商品を移す際にも棚についているバーコードと商品のバーコードを読み取り、移動先でも棚番号を読み込み商品を棚入れすることでリアルタイムで在庫が更新されます。

これがアナログだと、ちょうど移動中に該当商品の出荷があった場合、スタッフ同士で連携を取っていないと商品がどこに行ったのか分からなくなる可能性があります。広い倉庫でスタッフ同士が常にコミュニケーションを取ることはほぼ不可能なので、倉庫の規模が大きくなればなるほどWMSは重要になってきます。

またこの商品はあらかじめ温度管理が必要かどうかなどをデータに入力しておけば、その商品に対応したロケーション場所にストックするよう指示が出るなど、在庫管理業務でもWMSを利用しているのとしていないのとでは生産性や人件費の面でも大きな差が出るのです。

導入するメリットとデメリット

WMSを導入すれば作業時間短縮、効率化を図ることができます。

作業をすればリアルタイムで在庫に反映されるためミスが軽減され、また作業がシンプルになるので新人教育に割く時間も節約でき人件費の面でも大きなメリットがあります。

物流倉庫ではアルバイト、パートタイムなどの非正規社員の割合が多いため、管理する社員への負担軽減にもなり、人件費、作業効率共にアップさせることができます。

デメリットは初期費用と維持費がかかるということで、スタッフ分のバーコードスキャナやPC、タブレットなどの端末、また規模によっては自社サーバの設置なども必要になり高額になる場合があります。

大手通販倉庫のamazonでは独自で開発したWMSを使用しており、入出荷や棚卸だけでなく、働く大勢のスタッフ一人一人が倉庫内のどこを何時に通ったのか、各業務のスタッフごとの生産性まで割り出されれるようになっており、スタッフ管理と質の向上に繋げています。

倉庫管理システムの種類

WMSには大きく分けると社内でデータを管理するオンプレミス型と呼ばれるシステムと、相手先や顧客にも在庫情報などを共有できるクラウド型の二種類に分けられます。

オンプレミス型は相手先などに在庫データが開示されないためセキュリティ面でメリットがありますが、データを社内サーバに保管する必要があるため、サーバ費用などがクラウド型よりも高額になり、サーバ管理をする人材も確保する必要があります。

クラウド型は自社サーバを必要とせず利用でき社外にもデータ開示ができるため、在庫が少なくなった商品を自動発注するような社外とのデータ連携機能を追加することも可能です。

しかしクラウド型のWMSはほとんどがサーバや利用料が月額支払いのため、長期で見るとオンプレミス型よりもコストの面で割高になるというデメリットがあります。

おわりに

ここ数年でWMSは様々なタイプが発売されており、安価になっています。

ネット通販業界が伸び、それに合わせて中小の物流倉庫、通販倉庫も増え続けているということ、またタブレットやノートパソコンなど端末も安価で揃えやすくなっているということ。

これらの理由から安い料金で手軽に始められるWMSも多くなっています。

現在アナログで入出荷管理をしている物流倉庫はもちろんのこと、既にWMSを利用している企業でもよりコストを削減でき生産性を上げられるWMSを探してみることをおすすめします。

タグ : 用語 EC物流初心者向け 在庫管理 発送・梱包 業務効率化 EC物流用語
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角田和樹
上場企業の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。通販エキスパート検定1級・2級を保有。 現在は物流代行サービス「ウルロジ」のマーケティング全体設計を担う。自社でEC事業やクラウドファンディングも実施しており、ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流だけでなくEC事業者の両面から情報発信を行う。