理論在庫と実在庫の違いと差異が起きてしまう原因について

2024.04.02物流・フルフィルメント
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「在庫」とは自社の倉庫にストックされた商品のことですが、通販業や倉庫業ではよく「実在庫が理論在庫よりも多くなった、少なくなった」というトラブルを耳にすることがあります。

理論在庫と実在庫の相違は、普段の業務でも棚卸時の在庫チェック時でも起こり得る問題です。今回は棚卸差異がなぜ起きてしまうのか、生じることで起こりうるリスク、差異をなくすためにできる対策について解説します。

理論在庫とは

理論在庫とは帳簿上での在庫を指し、昔は「帳簿在庫」とも言われていました。その商品を目視で数えた在庫数ではなく、今までいくつ商品が入荷され、どこに保管され、いくつ出荷されたのかという記録を元に数字上で在庫数を表した、いわばデータ在庫です。

例えば、同じ商品を1万点入荷し1,000点出荷されていたとすれば、出荷後の理論在庫は残りの9,000点となります。

企業の規模や業種によっては、入出荷だけではなく倉庫内での商品移動、在庫内で発覚した不良品を在庫から取り除くなどの処理によっても理論在庫は増減します。

実在庫とは

実在庫とは商品を目視で数えた実際に存在する数になり、この数値が理論在庫と完全に一致すれば問題なく倉庫業が行われているということになります。

ほとんどの倉庫やネット通販業では商品を実際にカウントして理論在庫と照らし合わせる「棚卸業務」を決まった期間で行っており、在庫のずれはないか、商品損失やデータ変更漏れは無いかをチェックしています。

棚卸差異とは

棚卸差異とは、理論在庫と実在庫の数が異なる状態を指します。在庫差異とも呼ばれますが、棚卸業務を行った後にずれが判明することが多いため、「棚卸差異」と呼ばれることも多いです。

棚卸差異率は「(実在庫数-理論在庫数)÷帳簿上の在庫数」で求められます。一般的な棚卸差異率の許容範囲は5%とされています。

理論在庫と実在庫に棚卸差異が生じる原因

棚卸を行うと、ほとんどの場合で理論在庫と実在庫のずれが発生します。

現在、ほとんどの商品はバーコード管理されており、昔に比べ商品管理がしやすくなりました。しかし、結局は人が管理作業を行っているため、ヒューマンエラーやケアレスミスなどを完全にはなくせません。

理論在庫と実在庫に差異が生まれる原因は、業種によってさまざまです。ここでは、主な5つの原因を詳しく解説します。

入出荷・在庫移動時のカウントのミス

入出荷時や在庫移動時、商品の数を数え間違えて入力してしまうことで差異が生じます。例えば、実際は商品が31点入荷されているにもかかわらず、「30点の入荷」と記載された伝票だけを確認してそのまま入荷データに反映させてしまうことが考えられます。

単純な間違いではありますが、何度もこのミスを繰り返してしまうと、いつの入荷で差異が生じたのか原因を追求することが難しくなるでしょう。原因追及ができない場合、取引先との信用問題に発展する可能性があります。

データ登録時の入力ミス

実在庫のカウントを間違えるだけではなく、データに登録する際の入力ミスも差異が生じやすい原因の一つです。

パソコンのテンキー入力などで異なる数字を入力したり、桁数が違っていたりする場合があります。後に伝票と数字の違いがないかを目視でチェックする際にも見逃され、理論在庫と実在庫がずれるミスも起こりやすくなります。

また、近年はネット通販関連の出荷が急増しており、購入者のキャンセル処理などが頻繁に行われるようになっています。そのため、ピッキングされ出荷される直前の商品をまたストックに戻すなどの作業が増え、データ上の在庫を戻し忘れるミスによるずれも増加しています。

ほとんどの通販倉庫では出荷スピードを上げるため、バーコードスキャナや非接触で商品情報を読み取るRFIDが普及し、注文が入ると即出荷準備に取りかかれるようになりました。

そのため、出荷倉庫では多くのキャンセル品やストック戻し品が発生し、商品を戻したのにデータ処理を見落とし、在庫の差異が発生してしまうミスも増加しています。

データ変更時の作業漏れ

また、データ変更時の作業漏れによって差異が生じるケースも多いです。物理的に商品を入出荷したにも関わらず、データ変更を忘れることで入荷分・出荷分のずれが発生してしまいます。

大きく在庫数がずれ、入出荷伝票の合計数量と同じ数の差異となるケースが多いため、両者を照らし合わせれば比較的見つけやすいミスではあります。しかし、お客様や相手先に実在庫があるのに「ない」と伝えてしまう、在庫がない商品を「ある」と伝えてしまうことで、クレームに発展する可能性があります。

また、倉庫内で棚から棚へと商品を移動する際のデータ入力や、不良品を見つけて商品を廃棄したときのマイナス登録なども忘れやすいため、理論在庫との差異の原因となり得ます。

棚卸時のカウント・スキャンミス

倉庫内の実在庫をカウントし、理論在庫と照らし合わせる棚卸業務でもミスが発生します。

棚卸業務で発生しやすいミスが、「棚の端にあった商品を見逃す」「同じ商品を2度スキャンする」などです。棚卸業務で差異が発生すると、どの商品が差異の原因なのかの確認作業に時間を取られます。また、そもそも差異がある商品に気づけないこともあるでしょう。

盗難や紛失

データ上の理論在庫よりも実在庫が少なく、原因がわからない場合は、紛失品・盗難品としてマイナス計上するしかありません。

この場合、棚卸で発覚した盗難・紛失扱いの商品を赤字として計上するため、会社に損害を与える結果となります。

上記のように、棚卸差異は人的ミスが原因となるケースが少なくありません。業務過多によるミスの多さに悩まれている通販業や倉庫業の担当者様は、物流代行を検討してみてはいかがでしょう。「ウルロジ」は、低コストで安全な発送が可能な物流代行サービスです。拡大フェーズにある企業様に、最適な物流プランをご提案します。

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理論在庫と実在庫に棚卸差異が生じるリスク

理論在庫と実在庫に生じた棚卸差異を解消できないと、企業の財務状況や信用に影響を与える可能性があります。ここでは、棚卸差異が生じるリスクについて詳しく解説します。

余剰在庫増加により売上減少につながる

棚卸差異が生じる一つめのリスクは、実在庫より理論在庫が少ない場合に、余剰在庫が増加して売上減少につながる可能性があることです。

実際より少ない理論在庫の数値を見て発注を行うと、必要のない余剰在庫が発生します。余剰在庫は、値下げして販売する、廃棄するなどの対応が必要になります。本来の値段で売れるはずだった在庫を値下げ・廃棄することで、売上の減少につながります。

また、余剰在庫の保管のために倉庫のスペースを要するため、本来必要のなかった管理・維持コストが発生するでしょう。

機会損失の発生により顧客満足度の低下につながる

棚卸差異が生じる二つめのリスクは、実在庫より理論在庫が多い場合に、機会損失が発生して顧客満足度の低下につながる可能性があることです。

ネット通販業の場合、実在庫より理論在庫が多いと、顧客が商品を購入した後で在庫不足が判明するケースがあります。商品購入後に不足した在庫を用意するとなると、配送が遅れる可能性もあるでしょう。また、在庫の用意ができずに、注文がキャンセルになることも考えられます。

配送遅延やショップ側からのキャンセルは顧客の不信感を招き、顧客満足度の低下につながる要因となりえます。

理論在庫と実在庫の棚卸差異をなくすための対策

理論在庫と実在庫の棚卸差異をなくすために、企業は適切な対策が必要です。ここでは、理論在庫と実在庫の棚卸差異をなくすために企業ができる主な3つの対策を解説します。

在庫管理や棚卸のルールを明確にする

倉庫業はシンプルな作業が多いため、スタッフは慣れてくるとケアレスミスを起こしやすいものです。在庫の数え方や入力方法などを各スタッフのやり方に任せると、間違いやすく非効率的な方法で在庫管理や棚卸業務が実施される可能性があります。

人為的なミスを可能な限り減らすために、各業務にルールを設けて明確化することが大切です。例えば、「可能な限り1点ずつ確認する」「二重チェックを行う」などの対応が挙げられます。

1種類の大量の商品が動く場合は別ですが、商品を入出荷する場合、基本は1点ずつバーコードをスキャンして行うことでミスを軽減できます。また、商品を出荷する際に、ピッキングを行うスタッフと出荷梱包時に商品をチェックするスタッフを別にすることで、二重でのチェックが可能です。

在庫管理システム・倉庫管理システムを導入する

在庫管理システムや倉庫管理システム(WMS)を導入することで、人為的なミスが起こる可能性を減らしつつ、効率的に在庫や倉庫を管理できます。

在庫管理システムでは、システム上で倉庫内の在庫数や場所などを管理可能です。また、倉庫管理システムでは、倉庫内で行う作業全体を効率的に一元管理できます。

これまでExcelなどのツールで手入力していた場合は、上記のシステムを導入することで入力ミスを軽減可能です。また、システムでは在庫情報がリアルタイムで更新されるため、余剰在庫や在庫不足になる可能性を減らせます。

倉庫内のセキュリティを強化する

実在庫が理論在庫より少ない状況が続き、原因がわからない場合は、盗難や紛失の可能性が考えられます。倉庫内のセキュリティを強化することで、盗難・紛失するリスクを減らせます。

セキュリティ強化の具体策としては、倉庫内部や敷地への防犯カメラの設置、生体認証による入退室管理などが考えられます。また、スタッフへの教育も重要です。安全管理に関する教育・研修を行うことで、スタッフによる盗難や情報漏えいのリスクを減らせます。

おわりに

理論在庫とは帳簿上での在庫であり、実在庫は実際に存在する在庫を意味します。理論在庫と実在庫の数に違いがあることを「棚卸差異」といい、棚卸差異が生じることによるリスクは売上減少や顧客満足度の低下などです。

棚卸差異を可能な限りなくすためには、「在庫管理や棚卸ルールの明確化」「在庫管理システム・倉庫管理システムの導入」「倉庫内のセキュリティ強化」などの対策が必要です。

企業は自社の課題に合う対策を行う必要がありますが、人間が作業を行う限り、多くの企業努力を行っても理論在庫と実在庫の差異が発生するリスクをゼロにはできません。

扱う商品に応じたミスを未然に防ぐ対策を立てること、また間違いに早めに気づけるチェック体制を整えておくことが、差異を軽減するために大切です。

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タグ : EC物流初心者向け 在庫管理 業務効率化 EC物流用語
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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。