ECサイトでの送料決定ガイド:安く抑える秘訣とは?
2024.07.19物流・フルフィルメント
「自社ECの送料の設定に困っている」「送料をどうにか安く抑えたい」とお考えではありませんか。最適な設定を見つけられず、困っている方は多いでしょう。送料の設定は、ユーザーの利便性や自社の利益を考慮して行うことが重要です。また、配送業者との大口契約を結ぶことで、配送コストを削減できます。
ここでは、EC業界で働く筆者が自身の経験をもとに、自社ECで送料を決定する際に意識すべきポイント、送料設定の6つのパターン、送料を安く抑える方法について解説しています。自社ECの送料でお悩みの方は参考にしてください。
また、送料を安く抑えたい方には、ECの発送業務をまとめて委託できる発送代行「ウルロジ」もおすすめです。主要配送業者との大口契約により、配送にかかるコストを大幅に抑えられる可能性があります。サービス詳細は、以下のページからダウンロードできる資料でご確認ください。
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目次
ECで送料を決定する基準
送料は、自社ECにおける売上や利益に影響を与える要因のひとつです。筆者の経験に基づくと、多くのEC事業者様がこの設定に悩んでいます。送料を高く設定すると、商品をカートに入れても購入に至らない「カゴ落ち」が発生するリスクが高まります。
弊社が実施した「EC利用に関する口コミ・レビュー実態調査」によると、月に1回以上EC・通販で買い物をする500名を対象にした調査結果で、回答者のうち54.2%が、商品価格以外の料金(送料など)を重視していることがわかりました。
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画像引用元:Baymard Institut
https://baymard.com/lists/cart-abandonment-rate
また、Baymard Instituteが実施した調査で、高すぎる追加費用(送料・税金・手数料)が、カゴ落ちの主要な原因(48%)であることが示されています。
ただし、単純に送料を安く設定すればよいというわけではありません。設定を誤ると、EC事業者様が利益を確保できなくなってしまいます。ECの送料設定には、以下のポイントを押さえることが大切です。
【送料設定のポイント】
- ユーザーが購入しやすい料金設定であるか
- 自社が利益を確保できる料金になっているか
- 相場を踏まえた料金になっているか
相場を踏まえつつ、ユーザー、EC事業者様がメリットを感じられる送料にしましょう。
ECの送料を設定するパターン
ECの送料設定には、以下のパターンがあります。
【送料設定のパターン】
- 全国一律にする
- 配送地域で設定する
- 配送手段で設定する
- 全品送料無料にする
- 購入金額に応じて送料無料にする
- 定期通販の利用者を送料無料にする
それぞれの特徴を解説します。
全国一律にする
購入金額や配送先にかかわらず、同じ金額の送料を設定する方法です。具体的には、1配送あたり送料550円などの設定が考えられます。
送料を全国一律にするメリットは、ユーザーが購入金額を把握しやすくなることです。総額を簡単に計算できるため「買う」「買わない」を判断しやすくなります。想定外の送料が追加されることによるカゴ落ちを防げる点も魅力です。また、EC事業者様の観点からは、個別の送料計算が不要になる(業務効率化)メリットもあります。
ただし、設定を誤ると赤字になってしまいます。原則として、送料は配送先が遠方になるほど、荷物が重くなるほど割高になります。配送コストの平均値や競合するECの送料設定を確認してから、自社ECの送料を設定することが大切です。
配送地域で設定する
お届け先ごとに送料を設定する方法です。たとえば、関東を拠点とする場合、関東エリアは700円、中部エリアは750円、関西エリアは800円などの設定が考えられます。
この方法の主なメリットは、実際にかかる配送コストを送料に反映できることです。遠方へ配送するときを中心に、EC事業者様へかかる配送コストの負担を軽減できます。ユーザーの立場では、送料の不公平感がなくなるメリットがあります。配送先が遠いほど得をする、近いほど損をすると感じるユーザーが少なくなるでしょう。
ただし、配送地域ごとに送料を設定すると、遠方のユーザーは送料の負担が大きくなります。カゴ落ちの原因となるため注意が必要です。また、購入前にユーザーが送料を計算することが難しくなるでしょう。送料を一目で把握できる早見表を、商品ページに掲載するなどの対策が求められます。
配送手段で設定する
配送手段ごとに送料を設定する方法です。たとえば、ポスト投函便は220円、宅配便は660円といった設定が可能です。
この方法のメリットは、ユーザーに配送方法の選択肢を提示できることです。送料を抑えたい場合はポスト投函便、できるだけ早く届けてほしい場合は宅配便を選べます。小さな商品をポスト投函便で送ることが可能で、送料の無駄が生じにくい点も魅力です。
ただし、ユーザーにとっては送料の計算が複雑になる、EC事業者様にとっては送料の設定が難しくなる、配送方法ごとに梱包を変更するため梱包の手間が増えるといったデメリットがあります。ユーザーに向けて商品ページに詳細を記載したり、設定前にサービスの詳細を十分に理解したりすることが必要です。
配送手段ごとの特徴は以下のページで詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
全品送料無料にする
購入金額や配送先にかかわらず、送料を無料にする方法です。購入したものが安価な商品1点であっても送料は発生しません。
この方法の主なメリットは、ユーザーが送料を気にせず商品を購入できるようになることです。欲しい商品を気軽に購入できるため、離脱率を引き下げられるでしょう。競合ECとの差別化につながる点もポイントです。同じ商品を購入するのであれば、送料無料のECを利用したいと考えるユーザーは少なくありません。このことは筆者の経験でも明らかです。
ただし、全品送料無料にすると、配送コストのすべてがEC事業者様にかかります。赤字を避けるためには、商品価格に送料分を上乗せするなどの対策が重要です。送料の設定を誤ると、全品送料無料の提供や自社ECの継続が困難になる恐れがあります。
購入金額に応じて送料無料にする
一定金額以上(送料無料ライン)の注文に限り、送料を無料にする方法です。たとえば、注文金額5,000円以上で送料無料などの設定が考えられます。
この方法の主なメリットは、ユーザーの購買意欲を刺激できることです。商品代金が4,000円で、送料無料ラインが5,000円、送料が660円であれば、1,000円の商品を追加して送料を無料にしたいと考えるユーザーが多いでしょう。顧客単価とECの売上が向上する可能性があります。
ただし、送料無料ラインが低すぎると赤字になる恐れがあり、高すぎるとユーザーの購買意欲を刺激できない場合も考えられます。配送コストや客単価を踏まえて、妥当な送料無料ラインを設定することが大切です。
定期通販の利用者に送料無料の特典を提供する
定期購入を選択したユーザーに限り、送料を無料にする方法です。具体的な設定として、以下の2つがあげられます。
【送料無料の設定】
- 初回購入分のみ送料無料
- 初回購入分に加え継続購入分も送料無料
この方法の主なメリットは、定期購入を促せることです。さらに、継続率を引き上げる効果も期待できます。競合する他のECサイトとの差別化につながる点も見逃せません。
ただし、送料無料にすると、配送コストは全額EC事業者様が負担することになります。設定を誤ると、利益を確保することが難しくなります。継続購入分も送料無料にする場合は、利益との兼ね合いに特に注意が必要です。
ECの送料を安く抑えるコツ
続いて、ECの送料を安く抑える3つのコツを紹介します。
配送業者と大口契約を結ぶ
配送業者が設定する送料は契約により異なります。同じ大きさ、お届け先の荷物であっても、契約により送料は異なることがあるのです。送料を決定する主な要因として出荷個数があげられます。具体的には、出荷個数が多いほど、送料は割安になる傾向があるといえるでしょう。
したがって、配送業者と大口契約を締結すると、送料を安く抑えられる可能性があります。事業規模が小さいEC事業者様でも、交渉によっては送料を引き下げることが可能です。ただし、大口契約を結ぶには通常、一定の出荷個数が必要です。実績が乏しい場合は、この後で紹介する発送代行の利用を検討するとよいでしょう。
梱包の見直しを行う
梱包の見直しを行うことでも、送料を削減できる可能性があります。見直しのポイントは以下の2つです。
【見直しのポイント】
- 梱包資材が商品サイズに合っているか
- 無駄な梱包作業が発生していないか
配送業者が設定する送料は、原則として荷物のサイズで変動します。具体的な設定はさまざまですが、3辺の合計が60cm以内なら1,000円、80cm以内なら1,200円、100cm以内なら1,400円といった料金が設定されています。したがって、商品サイズより梱包資材が大きいと、無駄な送料が発生する恐れがあります。商品サイズに合わせた梱包資材を使用することが大切です。
また、梱包作業を簡略化することで、配送コストも削減できます。たとえば、過剰な梱包を行っていると、人件費や梱包資材費が余分にかかることになります。梱包作業に無駄がないか、確認しておく必要があります。
配送業者を比較する
送料の設定は、配送業者によっても異なります。主要な配送業者が設定している、東京・大阪間の送料は次のとおりです。
配送業者 | 60サイズ | 80サイズ | 100サイズ |
---|---|---|---|
宅急便(ヤマト運輸) | 1,060円 | 1,350円 | 1,650円 |
ゆうパック(日本郵便) | 990円 | 1,310円 | 1,620円 |
飛脚宅配便(佐川急便) | 1,040円 | 1,340円 | 1,630円 |
出典:ヤマト運輸「宅急便運賃一覧表」
出典:日本郵便「基本運賃表(東京)」
出典:佐川急便「関東発 宅配(陸・航空)料金表:通常配達」
送料を抑えたい場合は、複数の配送業者から見積もりを取り、比較・検討することが大切です。強みや弱みは配送業者によって異なります。たとえば、宅急便(ヤマト運輸)は、業界内でもトップクラスの配達スピードを誇ります。配送業者の特徴を踏まえ、それぞれの商品のニーズに合わせて業者を使い分けることをおすすめします。
主要な配送業者の特徴は、以下のページで詳しく解説しています。こちらも参考にしてみてはいかがでしょうか。
>>【ヤマト/日本郵便/佐川/西濃/福山】宅配業者5社の料金・特徴を徹底比較
ECの送料を安く抑えるには発送代行の活用もおすすめ
自社ECの送料を安く抑えたい場合は、発送代行の利用もおすすめです。発送代行は、ECの発送に関連するすべての業務を一括で委託できるサービスです。具体的には、商品の入荷・入庫作業、在庫管理、梱包作業、出荷・配送などの業務を任せられます。
発送代行サービスを利用することで、発送業務に割いていた手間と人員を削減でき、人件費や工数を抑えられます。また、EC事業者様は、商品企画やマーケティングなどのコア業務に集中しやすくなります。さらに、発送代行業者が配送業者との大口契約を締結している点も重要です。自社で個別に契約するよりも、送料を抑えられる傾向があります。
筆者の経験では、多くのEC事業者様が発送代行の活用によりコストカットを実現しています。浮いたコストを活用して、事業の成長を加速させているEC事業者様も少なくありません。
以上の事実から、筆者は発送代行をECに欠かせないサービスと捉えています。送料が気になる方や発送業務の負担で悩んでいる方は、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
発送代行のメリット、デメリットなどを詳しく理解したい方は以下の記事を参考にしてください。
>>発送代行サービスとは?通販(EC)事業での委託するメリットや費用相場、業者の選び方を解説
送料はECの成功に関わる重要なポイント
送料は、ECを利用するユーザーが価格以外で重視する重要なポイントです。設定を誤ると、カゴ落ちの原因となったり、利益を確保できなくなったりするリスクがあります。自社の都合だけでなく、ユーザーの都合も考えて設定することが大切です。
送料の設定には、全国一律、地域別などの選択肢があります。設定によりメリットとデメリットはさまざまです。この記事を参考に、自社ECに合っている設定を検討しましょう。個々の送料は、配送業者との大口契約や梱包方法の見直しによって抑えられます。
大口契約の締結が難しい方には、発送代行の利用がおすすめです。発送代行業者が大口契約を締結しているため、送料を大幅に抑えられる可能性があります。また梱包や発送に要する人件費や工数も削減可能です。
たとえば、弊社ウルロジでは、梱包資材費込で全国一律300円からご利用いただけます。月1個からの小規模発送に対応している点もポイントです。送料負担でお悩みの事業者様に、こちらのサービスのご利用はおすすめです。ぜひお気軽にご相談ください。
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