ドローンを活用し物流を効率化するメリットとデメリットとは?

2021.11.29物流・フルフィルメント
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インターネットによる通信販売の普及により、宅配便の取扱個数は年々増加しており、今後も増加が見込まれます。

しかし、物流業界は様々な課題を抱えています。

その大きな課題が労働力不足。ドライバー数の減少と、既存のドライバーの高齢化により、業界全体で人手不足に陥っています。

また、宅配便の取り扱い個数の増加とともに、再配達の増加も問題視されています。
全体の約2割が再配達というデータも出ており、再配達の増加が社会問題になっています。

参考文献:国土交通省「宅配便の再配達削減に向けて」

宅配業界各社が、効率的に荷物配送をする方法を模索しています。
そんな中、注目されるのがドローンを活用した荷物配送です。

ドローン導入のメリットについて

ドローン宅配とは、小型の無人飛行機(ドローン)を用いた荷物配送方法です。

ドローンは現在空撮や測量など様々な分野で活用されています。そのドローンを使って物流を効率化しようという動きが活発化しているのです。

実際に物流業界でのドローン導入はどのようなメリットがあるのでしょうか?

人件費の削減・人手不足の解消

現在は人が届けている荷物をドローンが無人で配達することが出来れば、ドライバー不足の解消につながります。また、それは同時に荷物配送の経費の大部分を占める人件費の削減にも繋がります。

配達の効率化

ドローンは空を飛んで荷物配送が出来るため、道に左右されることなく最短距離で荷物を届けることが出来ます。

また、「ラストワンマイル」と呼ばれる末端の配達拠点からエンドユーザーまでの荷物配送に、一番コストがかかっています。そこをドローンで自動化することにより、効率的に荷物を届けることが可能になります。

大きく上記の2つのメリットがあります。上記のメリットから、海外などではすでにドローンを活用した事例も出てきています。

海外におけるドローン導入事例

国内でのドローン導入の実験も進んでいますが、海外ではすでに通販を活用した試験運用も次々とスタートしています。いくつかをご紹介します。

英国のAmazon社による「Amazon Prime Air」

EC大手のAmazonが、イギリスのケンブリッジにてドローンを用いての宅配サービス「Amazon Prime Air」の試験を成功させました。

この試験では、テスターとなる購入者がAmazon上で購入した商品を倉庫から購入者の元に届けました。最初の配達商品は、Amazon Fire TVとポップコーンの袋だったそうで、商品購入からわずか13分で商品を届けることが出来たそうです。

米国のセブンイレブンによる宅配サービス

コンビニエンスストア大手のセブンイレブンも、米国にてドローン宅配の試験運用をスタートさせています。

試験の対象になったのは、ネバダ州の住宅がまばらに建っている地域。サンドイッチや珈琲などを店舗から住宅に届けることが出来たそうです。

国としても促進を進めている物流

国内の物流業界の人手不足の深刻化から国としても導入促進を進めており、平成30年3月末にはドローンの目視外飛行に関する要件も発表されました。

参考文献:国土交通省「宅無人航空機(ドローン)の目視外飛行に関する要件をとりまとめました~無人航空機を使った荷物配送の実現に向けて~」

2020年以降に都市部を含む地域における荷物配送を目標とし、技術開発や環境・法整備を進めています。

具体的には、2017年には私有地における荷物配送(楽天がゴルフ場などで実施)、2018年には墜落時の事故の影響が少ない山間部や離島での荷物配送、2019年には都市部における荷物配送の実証実験を進める目標です。

日本における導入の課題

メリットの多いドローンによる荷物配送ですが、導入の課題もまだ多くあります。

飛行における安全性

ドローン配送によるメリットを最大限に活かすためには、ドローンの生活圏上空での飛行が必要不可欠です。

しかし、生活圏上空をドローンが飛行することになると、人や物件などへの墜落リスクが伴います。どういったルートを飛行するのか、飛行の高度はどれくらいが最適か。など検討事項は山積みです。

墜落や盗難などによる荷物の損害補償

ドローンの墜落による荷物の損傷や、無人飛行での配達中における盗難なども頻繁に起こる問題として挙げられています。

ドローンを狙って墜落させ、荷物をそのまま盗難することが出来たり、コンピューターウイルスによる墜落や盗難被害も予想されています。

無人での配達がゆえの損害補償なども検討しなければいけません。

飛行操縦における免許

ドローンによる荷物配送が実現化されるにあたっては、より大きいものを遠くまで運ぶことが必要です。

そのためには、より強い電波を用いて操縦しなければならず、電波法上の免許が必要になってきます。

また、今後法整備が進んでいくと、航空法上の免許が必要になるかも知れません。

おわりに

様々なメリットや課題があるドローン宅配ですが、宅配便取扱量の増加と物流業界の労働力不足を考えると、導入が急がれます。国も導入を促進していることから、ドローンが空を飛ぶ光景が日常になることも近いのではないでしょうか。

今後も国や事業者の取り組みに注目していきましょう。

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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。