国際郵便の主な種類と料金・特徴について

2021.11.29物流・フルフィルメント
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海外に向けて郵便物や荷物の送付が必要になるとき、どういった方法で送ればいいか分かりますか。国際郵便にはさまざまなサービスがあり、それぞれ特徴や料金が違います。それぞれの強みを理解しておくことで、いざ海外向けの郵便が必要になったときに迷わずに送付方法を選ぶことができます。

今回は、国際郵便に焦点を当てて詳しくご紹介します。
※掲載情報は2019年9月時点での情報です。最新情報については、公式サイトをご確認ください。

国際宅配便と国際郵便は同じ?

海外向けに郵便や荷物を送る方法として、「国際宅配便」と「国際郵便」があります。どちらも似たサービスですが、「国際宅配便」は民間の配送業者によって行われるもの、「国際郵便」は公的配送会社によって行われるものという違いがあります。

国際宅配便と国際郵便では、通関の仕組みが大きく異なります。国際宅配便の場合は書類以外の荷物の場合インボイスが求められますが、国際郵便の場合、20万円以下の品物であれば、逐一の報告が不要です。
国際宅配便も国際郵便も海外に荷物を送る手段としての役割は同じですが、届くスピードや料金、税関の手続きに違いがあります。発送するものに合わせてサービスを選択するようにしましょう。

国際郵便の種類

ここから、国際郵便のサービス詳細をご紹介します。国際郵便の主な種類として、以下が挙げられます。

  • 国際スピード郵便(EMS)
  • 航空便
  • エコノミー航空(SAL)便
  • 船便

それぞれについて、特徴や輸送日数、送付できるものの規格などを比較していきます。なお、途中で具体的な事例を想定して日数や料金を提示しています。これらは日本郵便のHPで計算しました。料金等は変動する可能性があるので、詳しくは公式サイトでご確認ください。
参考:日本郵便公式サイト

また、配送するものによって細かくサービスが違います(手紙、小型包装物、国際eパケットなど)。ここでは、「国際小包」を想定して比較しています。

国際スピード郵便(EMS)

EMS国際郵便の中で、最もスピードを重視したい場合に選ぶ方法です。

特徴

国際郵便の中でも最優先に取り扱われ、東京都内から発送する場合であれば、2~5日程度で各国へ配達することができます。その分料金は割高ですが、スピードでは他にまさるものはありません。

平均郵送日数

国際郵便の中で最速です。東京から送る場合、場所にもよりますが、2~5日で配送できます。
例)東京からニューヨーク州まで5kgの小包を送付する場合、到着予定は3日後です。

対応可能国数

121の国と地域に配送できます。国によっては対応エリアが制限されている可能性があるので、事前に確認しましょう。

規格

国によって、送ることができる荷物の大きさや重量に制限があります。例えば、下記の表にまとめただけでもこれだけ細かく違います。

国荷物の大きさ重量

中国 最大1.8m、長さ+横周3m以内 30kg以内
台湾 最大1.5m、長さ+横周3m以内 30kg以内
アメリカ 最大1.5m、長さ+横周2.75m以内 30kg以内
ウクライナ 最大1.5m、長さ+横周3m以内 20kg以内

一般的な料金

料金は1,400円からで、利用個数に応じた割引も受けられます。
例)東京からニューヨーク州まで5kgの小包を送付する場合、料金は8,700円です。

送れるモノ・送れないモノ

書類から荷物まで、幅広いものを送ることができます。後述するクールEMSが対応できる場所であれば、生鮮食品等の送付もできます。
爆発物・危険物、麻薬類、生きた動物、わいせつな物品は送付できません。

荷物追跡

国内での配送と同じように、差し出しラベルの追跡番号で荷物の追跡ができます。配達完了をe-mailでお知らせしてくれるサービスもあります。

損害補償料金

配送時に破損や紛失してしまった場合、最高200万円を限度として実損額が賠償されます。内容品の価格が2万円までであれば保証料金は不要ですが、それを超えると2万円ごとに50円の追加料金を払うことで最高200万円までの賠償が受けられます。

その他オプション

アジア7カ国とフランスに限られますが、クールEMSの配送ができます。

航空便

航空便国際小包の配送方法の中で、飛行機で輸送する方法です。

特徴

航空機で輸送するので、料金は高めですが、EMSよりやや遅いくらいのスピードでの配送が可能です。

平均郵送日数

EMS以外の方法では、一番早く届きます。3~6日程度で届けることができます。
例)東京からニューヨーク州まで5kgの小包を送付する場合、到着予定は7日後です。

対応可能国数

一番多くの国に対応している配送方法です。料金表に記載されている数を計算すると、186の国と地域に配送できます。
参考:日本郵便料金表

規格

「国際小包」の場合、以下の規格が定められています。

国荷物の大きさ重量

中国、台湾、香港、イギリスなど 最大の長さ1.5m、
長さ+(高さ+幅)×2=3m以内
30kg以内
アメリカ、オーストラリア、
韓国など
最大の長さ1.05m、
長さ+(高さ+幅)×2=2m以内
30kg以内

上記とは違う基準が適用されている場合もあるので、詳しくは個別に確認してください。

一般的な料金

配送物や配送先によって料金が異なります。
例)東京からニューヨーク州まで5kgの小包を送付する場合、料金は10,150円(定形外の場合)です。

送れるモノ・送れないモノ

書類や食べ物、現金など、さまざまなものを送付することができます。ただ、国によって配送できるものには違いがあるので、事前に確認しましょう。(例えば、牛肉がだめな国、卵がだめな国、お酒がだめな国、など地域によって違いが大きいです)
また、EMSと同じく、爆発物・危険物、麻薬類、生きた動物、わいせつな物品は送付できません。

荷物追跡

一部の国において追跡が可能です。試験運用の地域もあります。

損害補償料金

国際小包の場合、重量により違いがありますが11,160円~31,230円の損害賠償が行われます。
また、内容物が2万円以下であれば+400円~の料金で保険付にできます。

その他オプション

損害賠償保険や、受取通知のサービスがあります。

エコノミー航空(SAL)便

エコノミー航空便船便より早く、航空便よりも安く設定されているサービスです。

特徴

航空機の空きスペースを利用して運輸する方法です。航空便よりも配送までに時間がかかりますが、その分安く送ることができます。対応している国と地域が制限されていますが、条件が合えばお得に配送できます。

平均郵送日数

対象の国によって違いますが、6~13日程度かかります。
例)東京からニューヨーク州まで5kgの小包を送付する場合、到着予定は2週間前後です。

対応可能国数

対応可能国に記載されている数を計算すると、91の国と地域に配送できます。
参考:日本郵便対応可能国リスト

規格

国際小包の場合、規格は航空便の内容と同じです。

一般的な料金

航空便よりも安く配送できます。
例)東京からニューヨーク州まで5kgの小包を送付する場合、料金は7,300円です。

送れるモノ・送れないモノ

配送できるものに関する注意点は、航空便の場合と同じです。ただ、航空便よりも配送までに時間がかかるため、劣化するものは避けましょう。

荷物追跡

航空便と同様です。

損害補償料金

航空便と同様です。

その他オプション

航空便と同様です。

船便

船便船で輸送を行う方法です。

特徴

船で輸送するので、時間はかかりますが、料金を抑えることができます。

平均郵送日数

例)東京からニューヨーク州まで5kgの小包を送付する場合、到着予定は2ヶ月前後です。

対応可能国数

郵便日数表に記載されている数を計算すると、35の国と地域に配送できます。
参考:日本郵便日数表

規格

国際小包の場合、規格は航空便の内容と同じです。

一般的な料金

内容や送り先によっても変わりますが、一番安い方法であることが多いです。
例)東京からニューヨーク州まで5kgの小包を送付する場合、料金は4,000円です。

送れるモノ・送れないモノ

航空便と同様です。ただ、配送完了までに時間を要するので、劣化するものは避けましょう。

荷物追跡

航空便と同様です。

損害補償料金

航空便と同様です。

その他オプション

航空便と同様です。

おわりに

グローバル化が進み、国を超えた荷物や書類のやり取りは今後も増えていくと予想されます。海外への荷物配送は非常に大変と思われがちですが、適切な方法を選べば、日本国内への配送と変わらないイメージで利用できます。

ただ、いずれの方法も、国際情勢を踏まえて状況が度々変わります。利用の際には、最新情報を確認するようにしましょう。国際郵便の利用が必要になったときは、この記事の内容を参考に、一番適した方法を選んで活用してください。

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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。