TMS(輸配送管理システム)の機能とメリット・デメリット

2021.11.29物流・フルフィルメント
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大手物流倉庫では毎日大量のトラックが入出庫を繰り返し日々配送業を行っています。

近年物流業ではトラックドライバーの深刻な人手不足や残業過多などが問題視されており、輸送トラックをいかに無駄無く効率よく配車するか、または運行させるかが各企業での重要課題として挙げられています

それらの問題点を解決してくれるのがTMS(輸配送管理システム)なのです。

現在多くの物流倉庫が取り入れているTMSというシステムにはどのような機能があり、物流企業にとってどのようなメリットがあるのかをご紹介します。

TMS(輸配送管理システム)とは

TMS(輸配送管理システム)とはTransport Management Systemの略で、物流企業で所有している輸配送に使われるトラックの配車から移動データなどの管理をしたり、運賃や燃料代など輸送に使われる経費の管理などもオンライン上で行えるシステムになります。

今までアナログで管理されていたこれらのデータがTMSを使用することで社内全体が見える化され、トラックドライバーや配車担当の管理者、経理や運営を担当する責任者など物流業務全般で効率化することができ、人件費や経費の削減、生産性や業務品質を向上させることができるのです。

またそれらのデータを自動計算し、最も効率の良い配車やルートの算出を自動計算することも可能で、物流倉庫で働く従業員の作業負担を減らして大幅に経費を削減することも可能なのです。

輸配送管理システムでできること

一般的にTMS(輸配送管理システム)は物流業者の配車や運行状況から各トラックの走行距離や人件費、燃料などの経費まで計算でき配送業務の全体を管理することが可能となっており、以下がTMSでできる主な業務になります。

ドライバーの管理業務

自社で管理している配送車がどのルートでどの程度の荷物を積載し、どこを走行しているかがリアルタイムで把握できるため作業効率の悪いドライバーや業務過多になっている従業員などを作業量や生産性を数値して比較することで業務管理を行えます。

作業効率が悪いドライバーへは生産性の低さを数値で示すことができ査定時に明確に従業員に示すことができるため怠けることができなくなります。

また作業量、配送ルートを入力することで各トラックを効率よく配車し最適なルートも示してくれるためドライバーの業務の偏りがなくなります。

貨物の追跡

物流倉庫から出荷された荷物がどのドライバーのトラックに載せられ現在どこを走行中なのかをリアルタイムで把握できるため取引先からの荷物状況の問い合わせをスムーズの行うことができます。

現在個人が宅配業者に荷物追跡サイトでより詳細な運送状況を確認できるようになったのもTMSを利用していると言えます。

さらに物流企業と取引先間、いわゆるBtoBでも荷物を積んでいるトラックがGPS管理されているため、リアルタイムでの情報、また混雑状況まで加味された到着予定時間なども共有することができるのです。

予算や経理管理

TMSではトラックの運搬、運行管理だけではなく、日々の業務で各トラックがどのくらい走ったか、どのくらいの燃料を使用したかなど経費も管理することができます。

各トラックの燃料費や運搬した業務量などを計算して生産性を数値化し、各トラックの作業効率が均一化されるように自動計算して配車や積載量を決めることができます。

また、経費とともに取引先や顧客への運賃、支払い請求なども計算できるので、物流企業の経理的な業務も任せられます。

データ共有

経費や売上などのデータだけでなく、各トライバーの業務内容、トラックがどの程度走行したかやスピードを遵守していたかなど運転状況も全てデータ化して社員間で共有することができます。

GPSやドライブレコーダーからの情報をTMSのネットワークで管理することにより、走行データも共有し安全運転を管理することができます。

導入するメリット

いわゆる「物流コスト」と呼ばれるものの主に50%以上が配送時の人件費や運行時の燃料費などを算出した配送コストになると言われています。

TMSを導入することで物流コストの大半を占める人件費や配送コストを数値化し、自動計算、または各部署でデータ共有し管理することでコストを削減することができます。

TMSを使用せずマンパワーのみに頼りアナログで管理すると過剰積載、または運搬料が少なく貨物内にスペースが余ってしまう、など業務効率の悪いトラックが出てしまい負担が偏ってしまう可能性があります。

また、従業員の目分量でトラック配車を行うと人によって配車効率がまちまちな場合があり、非効率だと無駄な運転が増え、燃料費などの経費もかさんでしまいます。

TMSを使用することで現在どのくらいの出荷があるのかが把握できると同時に、出発待ちの配車だけでなく間もなく戻ってくるトラックの運行状況や到着予定時間などが即座にわかり、自動計算で的確な配車方法を提案してくれるため常に無駄のない運行が可能になります。

今まで従業員の裁量で行ってきた業務を数値化し一括管理することで日々の業務が均一化され、業務の生産性が向上し配送コストを軽減することができるのです。

輸配送管理システムを選ぶポイント

TMSは配車や運行状況などの車両管理から経理関係など輸配送に関わるほとんどの業務を管理することができるため、TMSを導入させる際には自社をどのように改善していきたいかを考えておくことが不可欠です。

例えば現在トラックの台数が多過ぎて配車を管理するスタッフが業務過多になっているようであれば、配車管理システムを強化した、どのスタッフでもTMSが自動計算して配車管理ができるシステムを導入する。

またはそのトラック自体をもっと削減したい、さらにドライバーたちの残業を軽減したいのであれば各トラックの業務量を数値化して無駄な車両がないかがひと目でわかるシステムを導入する。

さらに営業部門に入った荷物の運搬状況の問い合わせなどに営業部のスタッフが即答できるように運送状況をデータ共有できるようにしたい。

など現在の自社の問題点、改善点を洗い出し、TMSを依頼する物流システム企業などと話し合い、カスタマイズすることがポイントです。

おわりに

TMS輸配送管理システムを導入するには大規模の予算や設備投資が必要になりますが、従業員の業務負担の軽減や効率化、物流コストを抑えて経費を削減するために物流企業にとっては必須のシステムであると言えます。

TMSを依頼することのできる物流システム企業もそれぞれの企業が抱える問題に柔軟に対応できるようにほとんどのシステム業者でTMSをカスタマイズすることができます。

物流企業にとってはメリットが多いTMS。

費用対効果を考え、何年で元が取れるかを計算し、予算にあったTMSを物流システム企業と作り上げることが重要であると言えます。

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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。