3PL(サードパーティ・ロジスティクス)のメリットとデメリットとは?

2021.11.29物流・フルフィルメント
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日本大百科全書によるとサードパーティー・ロジスティクスとは日本大百科全書に下記のように記載とされています。

荷主に対して効率よく運営するための物流改革を提案し、包括して物流業務を受託し遂行すること。

引用元 : 日本大百科全書

つまり、サードパーティー・ロジスティクスとは荷主と物流会社による企業戦略であり、物流業務のひとつの形態でもあります。

今回は、いまさら聞けない…けど詳しく知っておきたいサードパーティー・ロジスティクスについて解説していきます。

サードパーティーってなに?

サードパーティー(英: third party)とは、第三者団体(企業、機関 )を指しています。この「サード」は第三者という意味で、当事者ではない独立した事業体ということになります。

ロジスティクスという言葉はなんとなく知っているけど…サードパーティーとは一体何を指しているのでしょうか。

サードパーティー・ロジスティクスは、荷主でも運輸会社でもない!

サードパーティー…つまり第三者ですが、これ荷主でも運輸会社でもない会社のことです。

こんなことを言われるとますます、サードパーティーってなんだ!と思ってしまいますが、イメージとしてはアドバイザーやコンサルタントがそのまま業務を請け負っているもの…という理解をすることができます。

サードパーティー・ロジスティクスの”サードパーティー”にあたる会社は、荷主の物流業務を包括的に請け負いそして展開していきます。このサードパーティーには、自社で保管倉庫や物流機能を持っている「アセット型」の企業と、自社に物流や保管の機能はなく、すべてモノの流れを把握して外注する「ノンアセット型」の企業に分類されています。

アセット型の場合は、コンサルティングからロジスティクスまでを自社で管理運営しますが、ノンアセット型の場合、サードパーティーの企業はコーディネーター的な要素が強くなります。

サードパーティー・ロジスティクスとは具体的にどういうもの?

サードパーティー・ロジスティクスは90年代にアメリカやヨーロッパから入ってきたロジスティクスのシステムです。

依頼主(荷主)と物流会社の間にサードパーティー(第三者)の企業が入って、すべての業務を包括的に行っていくというもので、業務範囲も非常に広くなります。

サードパーティー・ロジスティクスの業務範囲

サードパーティー・ロジスティクスの業務範囲は、一般的に物の保管、配送、荷役、輸出入、などの従来のロジスティクスサービスに加えて、物流コンサルティングなども請け負います。サードパーティー・ロジスティクスでは、 その企業の物流のコンサルティングを包括的に受諾し実行していきます。当然、製品の配送や保管だけでなく、原材料の調達の段階から、生産過程や販売までをすべて一括して全体的に把握して管理することになり、全体的なものの流れを効率化を実現します。

コンサルティングやコーディネーターとの違いは、アドバイスだけでなく実際に生産や物流などをすべて行うという点です。

サードパーティー・ロジスティクスの魅力

サードパーティーと言われる第三者の企業が包括的に事業を請け負うサードパーティー・ロジスティクスにはどんな魅力があるのでしょうか。

コスト削減

サードパーティー・ロジスティクスを利用することで、人員に限りがある中小企業の場合、貴重な人員を企業のコアに集中させることで、業務の効率化を図ると同時にコスト削減につながります。

適切な判断

物流だけでなくその運営までサードパーティーに任せることで、経営における様々な判断をその道のプロフェショナルにゆだねて適切な判断を下すことができます。

サードパーティーは第三者であるからこそ、その企業のサービスや顧客のニーズを客観的に把握することができます。客観的な視点で運営していくことで、息の長いサービスや顧客のニーズやトレンドに合わせた最適な判断が可能となります。

業務を簡素化し業務に集中できる

サードパーティーに包括的に委託することは、業務の簡素化につながります。従来の方法であれば、物流会社や材料の調達先、販売先など様々な取引先とそれぞれに対応したスタッフが必要でした。ですが、サードパーティーに委託することで、取引先を簡素化し業務そのものもシンプルで分かりやすいものにすることができます。

連絡や契約などの事務手続きも簡素化され、包括して行うことで連絡ミスや誤解なども乗じにくくなります。

このような業務の簡素化は、荷主企業が物流や生産に気をとられることなく、製品開発などに集中することができます。

トラブルにも迅速に対応できる

製品の不良などのミスがあってイレギュラーな対応が必要になった場合に、包括的にひとつの企業が業務を請け負うことで、連絡窓口が明確になりスムーズな連絡の対応が可能になります。特に、アセット型のサードパーティー場合はトラブルの対応も非常に迅速です。

もちろん、トラブル対応の能力には差異がありますので委託先の能力を見極める必要がありますが、しっかりとしたサードパーティーに委託することでトラブル対応の能力も自社で対応するより良いサービスとなります。

サードパーティー・ロジスティクスのデメリット

様々な魅力があるサードパーティー・ロジスティクスですが、次のようなデメリットもあります。

情報伝達

これはサードパーティー・ロジスティクスの第三者企業がノンアセット型の場合に起こりやすい懸念です。業務連絡に時間がかかる…うまく現場に真意が伝わりにくいといった問題が起こりやすくなります。

ノンアセット型の場合、サードパーティーの先に物流会社などの会社が存在することとなり、委託企業からの業務連絡が正確に届きにくくなります。当然、迅速さにも問題が出てくるので、迅速な対応が難しくなってしまいます。

商品の特徴や保管の際の注意などが現場に行き届かないというリスクを避けるためにも、契約時に情報伝達のルートなどを確認しておく必要があります。

コスト面

サードパーティー・ロジスティクスのシステムを採用する場合、物流をアウトソーシングする費用に加えてサードパーティーへの支払いが必要になりますので、コストが掛かることになります。

自社内でサードパーティーの役割を担った場合の人件費やコストとしっかり比較して利益につながるかを検討する必要があります。

サードパーティー・ロジスティクスの依頼主にとって、ノウハウと人材が豊富な大企業のサービスを利用することは、自社では実現できないサービスの提供やアイデアなどを得られるという魅力があります。

おわりに

サードパーティー・ロジスティクスとは、荷主企業と物流会社の間に入る第三者企業が材料の調達から生産、配送、販売まで包括的に請け負うというシステムです。

これによって荷主企業は、ロジスティクスにかかるコストを削減し企業内の人員を開発などに集中させることができます。

サードパーティーのサービスは大手企業の参入も多くこれからますますメジャーになっていくことが予想されます。

タグ : 用語
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角田和樹
上場企業の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。通販エキスパート検定1級・2級を保有。 現在は物流代行サービス「ウルロジ」のマーケティング全体設計を担う。自社でEC事業やクラウドファンディングも実施しており、ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流だけでなくEC事業者の両面から情報発信を行う。