【初心者向け】韓国向け越境EC完全マニュアル|物流・言語・モール選びまで徹底解説!
2025.04.30物流・フルフィルメント「韓国市場で商品を売ってみたいけれど、どのECモールを選べばいいのかわからない」「物流や言語の壁が心配」「そもそも日本から本当に売れるの?」そんな悩みを抱えていませんか?
韓国はEC利用率が非常に高く、ファッションやコスメ、生活雑貨など日本製品との親和性も高いため、今や日本企業にとって魅力的な越境EC先となっています。しかし、プラットフォームの選定、販売戦略、文化的な違い、そして発送やカスタマー対応など、事前に理解すべきポイントが多いのも事実です。
本記事では、2025年時点の最新情報をもとに、韓国向け越境ECの始め方から、主要ECモール(Coupang・Gmarket・11番街など)の比較、それぞれの特徴や出店の流れ、さらには成功するためのコツまでをわかりやすく解説します。これから韓国市場に挑戦したいと考えている方にとって、具体的なアクションへつなげられる一歩になるはずです。
今回の記事内で使用されているスライドに関しては以下の越境EC完全ガイドから使用しております。各地域の人気商品から市場規模、越境ECを始める上での問題点など、これから越境ECを始める方には必見の内容となっています。
越境EC完全攻略ガイド
目次
【2025年最新】韓国のEC市場規模とトレンド
世界の越境EC市場は拡大しています。約10年で6倍に成長し、その規模は150兆円を超えています。今後も、EC化率は高まっていくことからも、市場規模の拡大は止まらないでしょう。
その中でも弊社が独自に実施した越境EC事業の担当者や経営者700名に実施したアンケート調査では、「越境ECで最初に進出した国」という質問に対して、アメリカや中国についで韓国がランクインしておりました。
上位のアメリカはトランプ関税により先行きが不透明なこともあり今後越境ECを開始するにあたって韓国は主要な候補地の1つと言えます。
2022年時点 | 韓国 | 日本 |
人口 | 5,169万人 | 1億2,494万人 |
BtoC-EC市場規模(シェア) | 1,360億USドル(2.5%) | 1,686億USドル(3.1%) |
EC化率 | 30.1%(世界3位) | 12.9%(世界9位) |
インターネット利用率 | 98.00% | 84.90% |
キャッシュレス決済比率 | 93.60% | 32.50% |
2025年の韓国EC市場規模は約1,800億ドルに達すると予測されており11、そのEC化率(小売売上高に占めるECの割合)は30.1%で世界3位の高水準です(中国45.3%、イギリス35.9%に次ぐ)13。これはアメリカ(15.0%)や日本(12.9%)を大きく上回る数字であり、韓国がいかにデジタルショッピングが浸透した社会であるかを示しています。
引用元:令和5年度 電子商取引に関する市場調査報告書(経済産業省)
弊社では、越境EC事業者に対してのアンケートを行っており、上部で挙げたスライドに加えEC事業の運用手法に対して、「マーケティングではどのような手法が効果的だったか」や事業全体の売上に対しての越境ECの売上比率など今後の越境EC運用において必ず必要になる情報をまとめたスライドを無料で配布しております。気になる方はぜひこちらからダウンロードしてください。
越境EC事業の運用手法に関する実態調査
人気のECプラットフォーム比較
韓国のEC市場はいくつかの巨大プラットフォームによって牽引されており、各社は独自の強みで競争を繰り広げています。2024年時点での主要ECプラットフォームの比較は以下の通りです。
- Coupang(クーパン)
画像引用:Coupang
Coupang(クーパン)は、2010年に設立された韓国発のECモールです。2024年3月時点での月間アクティブユーザー数は約3,086万人にのぼり、韓国のショッピングアプリにおいて利用率1位を誇ります。2021年3月にはニューヨーク証券取引所に上場し、全世代からの支持を受けながら成長を続けています。
取り扱う商品は、日用品や食料品から家具・家電まで幅広く、まさに「韓国版Amazon」とも呼ばれる存在です。大手物流を参考にした独自の配送システム「ロケットデリバリー」により、注文の翌日に商品が届くスピード配送を実現。また、1クリックで決済が完了する「ロケットペイ」など、モバイル決済の利便性も高めています。
さらに、2024年3月からは「Rocket Overseas(ロケット越境EC)」という新サービスを日本で開始。日本各地の商品を韓国まで3~5日ほどで届けられるようになり、日本製品の流通がこれまで以上にスムーズになることが期待されています。
- 11番街(11STREET)
画像引用:11番街
11番街は2008年にサービスを開始した、韓国で高い認知度を誇るECモールです。2024年3月時点では、月間のアクティブユーザー数が約740万人に達しており、多くの消費者に利用されています。
取り扱う商品のジャンルも幅広く、ファッション・コスメ・生活雑貨などさまざま。中でも「9900ウォンショップ」では、日本円で約1,000円前後の商品が揃っており、手軽にショッピングを楽しむことができます。さらに、Amazonや日本の楽天と提携することで、海外ユーザーにも商品を届けやすい体制が整えられています。
加えて、翌日配送や商品の包装・在庫管理といった機能も順次導入される予定で、これにより出店事業者にとっても、より利便性の高いプラットフォームとして活用が期待されています。
- Gmarket(Gマーケット)
画像引用:Gmarket
Gmarket(Gマーケット)は、2000年に設立された韓国の大手ECモールのひとつです。2024年3月時点での月間アクティブユーザー数は約548万人と、安定した人気を誇っています。
取り扱う商品ジャンルは幅広く、ファッションやコスメ、K-POP関連グッズなどが豊富に揃っています。Gmarket JAPANは楽天市場との連携により、日本製品や人気ブランドの商品も多数取り扱っており、海外ユーザーからの需要にも応えています。
さらに、UNIVERSE CLUB会員がGmarketに登録することで、百貨店・免税店・オークションでの割引など、さまざまな特典を受けられるのも魅力のひとつです。
また、出店には厳格なアカウント審査が設けられており、その分ユーザーは安心して利用できるショッピングプラットフォームとなっています。
- NAVERスマートストア
画像引用:Naver
Naver Smart Storeは、韓国最大の検索エンジン「Naver」が運営するオンラインショッピングプラットフォームです。個人や中小企業でも手軽にネットショップを立ち上げられる仕組みが整っており、使いやすさと多機能性が魅力です。
特に、これからEC事業を始める人にとっては、初期費用を抑えながらもNaverの高い集客力を活用できるため、韓国国内での販路拡大に適した環境といえるでしょう。
これらのプラットフォームに加え、専門性の高いジャンル特化型ECサイトも多数存在し、特定の分野で固定ファンを獲得しています。特にファッションECサイトは専門カテゴリごとに細分化されており、テーマが明確なことが特徴です。
韓国の消費者が求める商品カテゴリー
- 化粧品・美容商品
- アパレル・ファッションアイテム
- 食品・飲料
- エンタメグッズ
韓国は日本と比べて自国に製造メーカーがない・主要メーカーが存在しない製品カテゴリーが多くあります。それらは輸入製品に依存しています。韓国において日本のブランドや製品はというと大変人気が高く、消費者からの信頼も高いです。
また、韓国消費者は「健康」と「教育」に関連した商品に強い関心を示す傾向があります。日本の納豆が健康食品としてブームになったり、ひのき製品が「集中力向上」を謳って人気を集めたりしているのはその典型例です。商品をアピールする際には、こうした韓国消費者の価値観に訴求するPRが効果的です。
引用元:韓国で日本の「納豆」がブームになった理由
越境ECの今後のトレンド
韓国越境EC市場の成長を支える最大の原動力は、ライブコマースとSNS統合型ECの急拡大です。SNS経由のEC取引は全売上の30%以上を占める見込みです。この潮流の背景には、韓国消費者特有の「即時性」と「共感性」を重視する購買行動の変化があります。
ライブコマースは、NAVERやCoupang、Grip Companyなどの主要プラットフォームを中心に爆発的な広がりを見せています。リアルタイム配信による「限定感の演出」が特徴で、視聴者はライブ中にしか購入できない特別価格や数量限定商品に引き込まれます。消費者心理を分析すると、「お得感」「参加型体験」「配信者への信頼」の3要素が同時に満たされる点が支持される理由です。配信中に視聴者のコメントに即応する双方向コミュニケーションが、購買意欲を加速させる鍵となっています。
SNS統合型ECの進化も目覚ましく、Instagram・YouTube・TikTokが主要戦場となっています。Instagramでは高品質なビジュアルとショッピングタグ機能を組み合わせた「スクロール中の衝動買い」を誘発し、YouTubeでは10分以上の詳細な商品レビュー動画が購入判断の材料として重用されています。
韓国向けの越境ECを実施するメリットとは?
韓国は日本企業にとって地理的・文化的に近く、越境EC展開のハードルが比較的低い市場です。しかし、現地の特性を理解せずに参入すると想定外の課題に直面する可能性もあります。以下では、まずメリットについてご紹介します。
韓国越境ECの3つのメリット
「Made in Japan」というブランドに対する信頼性が非常に高いです。日本の製品は、品質の高さや独自の技術力が評価されており、特に化粧品、家電、食品、アニメグッズなどのカテゴリーで強い需要があります。それに加えて以下の3点がメリットとなっております。
1. 高いEC化率による巨大な市場規模
韓国のEC化率(小売売上高に占めるEC比率)は30.1%(2024年現在)と、中国(45.3%)、イギリス(35.9%)に次ぐ世界3位の水準です。これはアメリカ(15.0%)や日本(12.9%)の約2倍以上に相当します。それに比例し越境ECの市場規模も大きくなります。
2. 地理による優位性
日本〜韓国間の物理的距離の近さは、越境ECの成否を分ける「物流効率」に直結します。具体的な優位性は以下の通りです。
- 配送期間の短縮
航空便なら最短1日、海上コンテナでも3営業日で到着 - コスト削減効果
ヨーロッパやアメリカに輸送することに比べコスト削減が可能 - 緊急対応の容易さ
現地倉庫を活用すれば当日配送も実現可能
3. 文化的親和性の高さ
品質重視・デザイン性・衛生管理へのこだわりなど、日韓の消費者の価値観が類似しています。パッケージに「日本製」ロゴ明記、品質検査データをハングルで開示をすることでユーザーの信頼を得ることが可能です。
韓国越境ECの具体的な課題・問題点
1. 言語と文化の壁による販売・対応リスク
韓国語(ハングル)での商品ページ作成や問い合わせ対応は不可欠ですが、自動翻訳ではニュアンスや意味が正しく伝わらず、誤解やクレームにつながる可能性があります。
また、韓国ではレビュー文化が非常に根付いており、「対応が遅い」「説明と違った」といった口コミがすぐに拡散され、ブランド信頼度に直結します。
販売・集客の成功には、現地ユーザーの価値観や購買動機を理解し、言語・文化にローカライズされた戦略が不可欠です。
2. 厳格な規制・通関ルールの把握が難しい
韓国向け越境ECでは、商品によって輸入規制・認可・成分表示などが厳しく設定されていることがあり、これらに対応できていないと通関で止められる・差し戻される・罰則を受けるといったリスクがあります。
特に以下のような商材は注意が必要です。
・化粧品:全成分の韓国語表示、韓国食品医薬品安全処(MFDS)への届出が必要
・健康食品:韓国の個別審査と食品基準に対応する必要あり
・電子機器:KCマーク(韓国認証)の取得が必須
・医薬品・ベビー用品:一部商品は販売禁止または制限あり
また、関税やVATの計算ルールも複雑で、輸送業者によって異なる処理がなされることもあります。通関知識のない企業にとって、これらを自己解決するのは困難です。
3. 物流面のトラブル・コストが利益を圧迫
越境ECで避けて通れないのが物流に関する課題です。以下のような問題が頻繁に起こり得ます。
・国際送料が高く、少量出荷では赤字になりやすい
・通関・配送遅延によって配送日数が読めず、クレームにつながる
・韓国国内での配送トラブル(破損・紛失など)に迅速に対応できない
・返品時の「逆輸送コスト」が高額で、処理が煩雑
・複数モールに出店した場合、在庫管理や配送手配が複雑化する
これらは事前に十分な物流体制を整えていないと顧客満足度の低下と利益圧迫の両面でダメージを受けるリスクがあります。
これら3点に加えて韓国のEC市場では、中国製品や現地ブランドとの激しい価格競争が繰り広げられています。 特にファッション・雑貨・家電ジャンルでは「安さ」が重視される傾向があり、日本企業が品質やブランド力で勝負しようとしても、価格差が大きいと購入に至らないケースが多くなります。
そのため、適正な価格設定と付加価値(レビュー・デザイン・限定感など)を組み合わせた差別化が不可欠です。リスクを正しく理解し、戦略的に備えることが、持続的な成長への近道です。
物流問題の解決策:物流代行会社への委託
韓国への越境ECの問題の解決には代行会社への委託が有効です。EC物流代行会社では、在庫管理から発送、返品処理まで一括で請け負うため、事業者は販売やマーケティングに集中することができます。
自社で言語や法令の問題解決に集中しつつ物流問題は越境ECの専門家に任せるのがもっとも効率的となっています。
EC物流の基本と業務範囲
発送代行(物流代行)サービスとは、EC事業者の商品入庫や在庫保管・管理、棚卸し、受注処理、梱包作業、伝票発行、発送手配といった物流業務全般をまるごと委託できるサービスのことです。
発送代行を利用することのメリットとして、配送コストを大幅に削減できます。自社で国際配送を行う場合、高額な送料や関税、手数料がかかりますが、発送代行サービスではまとめて商品を現地倉庫に輸送し、現地からの配送を行うため、コストを抑えることが可能です。特に大量発送時の割引が適用されるため、長期的に見て大きな節約につながります。
次に、配送スピードの向上が挙げられます。自社で国際配送を行うと、配送に時間がかかり、顧客満足度が低下するリスクがあります。一方、発送代行サービスでは、自社で倉庫を保有しているため、注文を受けてから最短で数日以内に配送が可能です。これにより、顧客の待ち時間を大幅に短縮し、リピート率の向上につながります。
さらに、返品処理の効率化も大きなメリットです。韓国の消費者は返品率が高い傾向があります。自社で返品対応を行うと手間とコストがかかりますが、発送代行サービスでは返品処理を代行し、返品理由を分析して改善策を提案してくれます。これにより、返品率を低減し、顧客満足度を高めることができます。
最後に、発送代行サービスを活用することで、顧客満足度が向上し、ブランドの信頼性が高まります。迅速な配送と効率的な返品対応により、顧客の信頼を得ることができ、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得につながります。
韓国越境ECで成功するために必要な要素とは?
韓国市場は、日本商品に対する信頼度が高く、EC利用率も世界トップクラスを誇る魅力的な越境EC市場です。しかし、成功を収めるには「商品力」だけで勝負するのではなく、韓国市場特有の商習慣やユーザーニーズをしっかりと理解し、それに対応した戦略を構築することが重要です。
韓国越境ECで成功するためには、以下の3つの要素が特に重要になります。
1. 現地に合わせた商品・プロモーションの最適化
韓国消費者の好みやトレンド、購買行動を理解し、それに合わせたローカライズ(翻訳・文化対応)戦略を展開することが不可欠です。NAVERやCoupangなど現地で主流のチャネルを活用しながら、SNSやレビューを意識した訴求を行うことで、信頼感と購入意欲を高めることができます。
2. 安定した物流体制と顧客対応力の確保
物流遅延や返品トラブルは、顧客満足度に直結する大きな課題です。信頼性の高い物流代行会社の活用や、現地倉庫を使った「ラストワンマイル対応」の仕組みを整えることで、配送品質を安定させ、クレームリスクを最小限に抑えることができます。
3. 複雑な規制・手続きへの正しい対応
韓国には輸入規制や通関手続きに関する独自ルールが多く存在し、それを無視したまま運用すると、販売停止や商品差し戻しといったトラブルに発展する可能性があります。信頼できるパートナーや代行業者と連携し、最新の法規制に対応する体制を持つことが、安定した越境ビジネス運営の土台になります。
韓国越境ECは、戦略次第で大きな成果が期待できるマーケットです。
しかし、参入のハードルが下がった分、いかに運営体制を整え、ユーザーに信頼されるショップを作れるかが成功の分かれ目となります。これらのポイントをしっかり押さえて、韓国EC市場での安定した売上獲得を目指しましょう。


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