WMSを導入しているEC物流代行業者へ委託するメリットとデメリット
2023.12.11物流・フルフィルメント
WMS(倉庫管理システム)は、倉庫の在庫状況や入出庫を管理するためのシステムです。導入することで、業務効率化や物流品質の向上につながります。
しかし、会社の基幹システムを変更するためには課題も多く、「WMSを導入したいけど自社では難しい」と、お困りの経営者の方も多いのではないでしょうか。
社内で導入するのが困難な場合は、WMSを導入しているEC物流代行業者を利用するという選択肢もあります。本記事では、そういった業者へ委託するメリットとデメリットをご紹介します。
「なぜWMSが必要なのか?」
「WMS対応の業者に委託すると、どのような課題が解決できるのか?」
といった疑問にもお答えしていますので、EC物流代行業者を利用するかお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
WMSとは
WMSとは、Warehouse Management System(倉庫管理システム)の略称のことです。
倉庫への商品や貨物の入出庫や在庫状況を管理し、庫内の物流を最適化するためのシステムを指します。
主な機能は、入出庫時の検品処理や在庫・返品管理、生産から出荷までのロット管理、複数の倉庫や荷主の在庫管理などです。これまで、スタッフが手入力で帳票や納品書を作成していた作業を、バーコードやQRコードのラベルを読み取るだけで完了できます。
導入する業態によって規模は様々ですが、WMSは特に製造業・卸売業・EC業界で多く採用されているシステムです。
WMSを導入する際の課題
WMSは、倉庫管理の生産性の向上につながる素晴らしいシステムですが、いざ導入するとなると、いくつか課題が発生します。ここでは、次の2つの課題に注目して解説していきます。
1.設備投資費用
2.人材育成
設備投資費用
1つ目の課題は、WMSのシステム導入に掛かる設備投資費用です。
一般的な費用は、簡易的なもので150~200万円程、カスタマイズなどを加えると数百万円~1,000万円掛かることもあります。取り扱う商品や貨物などが多い場合、その設備投資も莫大になってくるでしょう。
また、設備投資は初期費用だけなく、その後の運用や新しいシステムが開発された際のアップデートなどの際にも発生する可能性があります。そのため、長期的に見た設備投資費用が、WMS導入の最も大きな課題と言えます。
人材育成
2つ目の課題は、WMSを扱える人材(スタッフ)を社内で育成する必要がある点です。
WMSは庫内物流をデジタルで管理するため、使いこなすにはシステムの基礎知識や効率的に使う方法を学ばなければいけません。中には、WMS導入の際に説明会やセミナーを開く企業もあります。代表者だけが講習を受けることも可能ですが、その後スタッフへ周知することは必須でしょう。
WMSを効率的に利用するためには、取り扱い方法や活用方法を記したマニュアルを作成し、スタッフが使いこなせるように教育や指導を行う必要があります。また、新入社員が入る度に使い方を教えなければならないため、時間とコストが掛かるかもしれません。
EC業界の急成長により、商品の取扱量の増加と人手不足に悩む企業が多い中、少ない人員で無理に導入すると人為的なミスにつながる恐れもあります。WMS導入における人材育成は、避けては通れない課題です。
なお、WMSの機能やEC物流代行の詳しい内容については、下記の記事を参考にしていただければと思います。
WMSを導入しているEC物流代行業者へ委託するメリット
ここまでの内容で、WMSは倉庫管理の生産性の向上につながるシステムである一方で、導入には課題もあることがご理解いただけたのではないでしょうか。
それらの課題を解決するためには、社内でWMSを導入するのではなく、EC物流代行業者へ委託するという選択肢もあるでしょう。本章では、WMS対応の業者へ物流管理を委託した場合の、具体的なメリットを4つご紹介します。
低コストで導入できる
WMSに対応しているEC物流代行業者に委託することで、導入コストなしでWMSを利用できるというメリットがあります。
先述の通り、WMS導入にはシステム導入のための設備投資や、人材育成に掛かる費用など、多くのコストがかかることが課題でした。
WMS導入で生産性をあげるのが目的だったはずが、逆に設備投資や人材育成費で支出が過剰になってしまう可能性もあります。かけた費用分の効果が見込めるかわからないのは、経営者の方にとっては不安要素になるでしょう。
WMS対応の業者に委託することで、WMSのシステムを低コストで導入できるだけでなく、在庫を置く倉庫の家賃や、そこで働く人の人件費の削減にもつながります。
在庫状況を正確に管理できる
WMSを導入しているEC物流代行業者に委託する2つ目のメリットは、在庫状況を正確に管理できる点です。
EC物流代行業者は、「倉庫へ入庫・検品」→「保管」→「発送」という一連の流れを、EC事業者などに代わって行います。それらをデジタルで管理することで常時棚卸を行っているような状態になるため、正確な在庫状況の把握が可能です。
このような倉庫管理と、販売先のECショッピングモールや自社のECサイトの連携により、商品の正確な残数をリアルタイムで確認できます。これにより、追加発注などのタイミングを逃さずに判断できるようになるでしょう。
賞味期限がある商品は、出荷可能な在庫であるかどうかも管理する必要があるかもしれません。EC物流代行業者によっては、製造日などで分けた「ロット管理」や、色違いの商品を同一部門として管理する「SKU管理(単品で管理する方法)」の委託も可能です。
作業ミスを削減できる
3つ目のメリットは、WMS対応のEC物流代行業者に委託することで、作業ミスを削減できる点です。
手入力や目視で確認を行っている場合、単調作業や慣れにより注意力が低下し、入力ミスなどのトラブルが起こる可能性もあります。
WMSのシステムでは、バーコードやQRコードを用いて入出庫や検品チェックを行うため、誤出荷など人為的な作業ミスを回避できるのが大きな利点です。
特に、繁忙期や業務に不慣れなスタッフが多い時期は、人為的なミスは避けられない課題です。WMSを導入しているプロのEC物流代行業者に委託し、事前に出荷や検品指示を登録することで、作業ミスの軽減につながります。
面倒な日々の出荷業務から解放される
ECサイトの運営と平行して行われる「出荷業務」は、多くの企業にとって負担となっていることでしょう。EC物流代行業者に出荷を委託することで、日々の出荷業務から解放されます。
また、業者によってはオンラインでの出荷指示も可能です。出荷業務の代行はもちろん、それらの指示をオンラインで完結できるのは大きなメリットと言えます。
さらに、利用しているECショッピングモールやECサイトのカートとWMSを連携させることにより、自動的に発送指示を出すことも可能です。
このように、業務の自動化によって日々の実務の負担が軽減できれば、マーケティングや新たな開発など、これまで以上に事業へ注力できることでしょう。
WMSを導入しているEC物流代行業者へ委託するデメリット
WMSを導入している業者に業務を委託することは、メリットが多い一方でデメリットもゼロではありません。ここでは、気になるデメリットについて解説します。
システム利用料が掛かる
WMS対応のEC物流代行業者へ委託するデメリットは、これまでに掛からなかった利用料が発生することです。WMSの自動出荷システムの利用料と、在庫保管のための保管料として、EC物流代行業者へ基本料を支払う必要があります。
しかし、自社で一からWMSシステムを導入し、環境を整えて人材育成を行うことに比べると、委託した方がコストを抑えられるとも考えられるのではないでしょうか。
例えば、システム利用料を月額制で始められる代行業者を利用する方法です。自社でWMS導入を行って大がかりな初期投資をするよりも、必要な時に月額料金を支払って利用した方が少ない支出で済みます。
また、日々の出荷依頼をオンラインで完結できて手間が省けるなど、利用料よりもメリットの方が大きいでしょう。
おわりに
ここまで、WMSを導入する際の課題や、WMS対応のEC物流代行業者へ業務を委託するメリットとデメリットについて解説してきました。
WMSのシステムを利用することで、倉庫管理の作業効率や物流品質の向上が期待できますが、自社で導入するには設備投資費用や人材育成などの課題もあります。
WMS対応のEC物流代行業者を利用することで、導入費用を抑えつつ、WMSのメリット(在庫状況の管理・作業ミスの削減・出荷業務の自動化など)を享受できるはずです。
弊社ウルロジでは、WMSによる在庫管理や発送業務を一括して承っております。ご利用いただくことで、オンラインによる出荷指示や在庫管理が可能です。
商品の発送業務や在庫管理などの実務を軽減させたいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。
最新記事 by 角田和樹 (全て見る)
- QCDSの意味とは?QCDとの違いや優先順位、改善方法を紹介 - 2024年11月26日
- 東南アジアで人気の越境ECプラットフォーム9つを比較!どのサイトがおすすめ? - 2024年11月21日
- 東南アジアの越境ECの市場規模は?始め方や進出時の注意点を紹介 - 2024年11月21日