ラックを使い分けて物流倉庫での業務を効率化する方法
2021.11.29物流・フルフィルメント通販商品保管庫では、無駄なスペースを極力減らすことで、商品保管に使われるラックの選定によりスペースコストや人件費を削減することができます。そこで、今回はラックを使い分けて物流倉庫での業務を効率化する方法についてご紹介いたします。
目次
スペースコストを常に意識する
通販商品保管庫でも物流倉庫でも様々なサイズや重量の商品を保管する場合、最も重要になるのがスペースコストです。
スペースコストと聞くとシンプルに倉庫内の広さ、家賃に関する費用を思い浮かべるかと思いますが、それだけではありません。
小さな商品でも細かくて似たような種類が大量にあり探しにくい場合、通販担当スタッフがピッキングする時に手間となり人件費がかかってしまったり、紛失してしまい商品代をロスしてしまう、というのもスペースコストに含まれます。
無駄なスペースを極力減らすということも重要ですが、商品を探しやすい、ピッキングしやすい環境を作るということも重要になるため、商品保管に使われるラックの選定はスペースコスト、すなわち経費の削減においてとても重要な事なのです。
ラックを使うメリット
ほぼ全ての物流、通販倉庫で様々なサイズのラックが使われていますが、ラックを使う際の一番のメリットは高さの空間利用ができるという点です。
中小サイズの商品を箱に入れて積み上げているだけのストックでは箱の下の方の商品を取り出す時に上の箱をどかす必要があり非効率です。
前述したようにスペースコストとは倉庫の家賃だけでなく商品のピッキング、維持管理にも大きく関わってくるので、商品が取り出しにくいと経費はどんどんかさんで行きます。
また大きな商品、大量の商品をひとまとめにしたものにはパレットラックと呼ばれる棚を使用することができます。
パレットラックのメリットはフォークリフトやハンドフォークなどを使用して移動させることができる板状のパレットそのものを載せることができるため一般の小型や中型のラックには入らない商品を保管するのに適しています。
これら商品のサイズや重量に加え、よく動く商品なのかどうか、人員やフォークリフトなどの導線などを考慮しながら倉庫で使用するラックを選択することで、スペースコストをぐっと抑えることが可能になります。
ラックの種類
商品をストックするラックは基本2段以上から6段程の棚があり、小型の軽量ラックから、大きさや棚一段の耐荷重によって中軽量ラック、中量ラック、重量ラックの4つに分類されます。
軽量ラック
棚1段につき120kgほどの耐荷重で、小さく細かい商品をストックしたり、移動用キャスターの装着が可能で幅広い用途で使用することが可能です。
中軽量ラック
棚1段につき150~200kgほどの耐荷重で、企業や医療機関などの資料などの保管にも使われており、通販倉庫などでも主流のサイズになるラックです。
中量ラック
中軽量ラックのおよそ二倍にあたる棚1段につき400kg前後とかなりの耐荷重があるラックになるので、重量のある金属製品、工場のパーツなどの保管によく利用されます。
重量ラック
棚一段につき500kg以上あるものを重量ラックと呼び、大型の商品をストックするだけではなく重量のある精密機器などを使いやすい高さに設置して使用するための棚としても使用されています。
ラックに装着できるキャスターは基本中軽量ラックの重量あたりまでが安全なので、これからラックを設置したいと考えている方は、倉庫の面積や取扱商品と共に、キャスターを取り付けるラックが必要なのかどうかも考慮すると良いでしょう。
ラックを利用する際のポイント
ラックを置くスペースの確保・スペースの計算
今後倉庫内にラックを設置するとして、自社の商品の種類、ストック数、導線を考慮せず無計画にただ可能な限り多くのラックを発注してしまうと確実に後悔することになるでしょう。
例えば、自社で取り扱っている商品を5段の中軽量ラックにストックするとして、1段200点で1台のラックに約1,000点置く事ができ、全体では300,000点の在庫を抱えている場合。
300,000÷1,000=300で300台の中軽量ラックが必要になると判断できます。
その中軽量ラックの置き場面積が横幅0.9m×奥行き0.3mと仮定すると0.27㎡になり、300台のラック分の面積は0.27㎡×300台で81㎡が必要になります。
もちろんこれはラックのみの面積なので、人や台車が通る導線が確実に必要になり、棚の両側、もしくは片側に任意の隙間を計算に加えます。
さらに導線は、商品のストックからピッキング動作、また脚立や台車、ハンドフォークやフォークリフトを使用する場合はUターンできるかどうかもシミュレーションする必要があります。
物流倉庫の通路幅において決まった幅は存在しません。
人力で商品を運ぶ場合、最低でも横幅100センチ程度の通路が必要になりますが、持ち運ぶ商品のサイズ、手押し台車などを使うか否か、脚立が必要になるかなど各業種によって導線の幅は変化します。
ラックの数を算出したら必ず作業のシュミレーションをして通路の幅を割り出し、適切で無駄の無い倉庫面積を算出するようにしましょう。
ラックの無駄なスペースを利用するコツ
物流倉庫をすでに運営していてもっと保管スペースが欲しい、もっと有効活用できるはずだと感じたら、スペースの見直しをすることをお勧めします。
倉庫内では単純にまだラックが置ける床部分が余っているかを見つける平面状の対策、または棚上から天井にかけてのスペースが余っているかを考える高さの対策と大きく分けて二つの対策が存在します。
その中でも多くのスペースを確保できるのが高さの対策です。
安全性が損なわれること無く棚板を上に増やすことができるのであれば棚を高くすることでスペースを増やせますが、メザニンと呼ばれる中二階を棚上に設置することで保管面積を格段に広くさせることが可能です。
現在はユニットメザニンラックと呼ばれる様々なサイズや高さにカスタマイズできる中二階の簡易システムが主流となっており、大規模な工事を必要とせず短期間で設置できるものが古い倉庫などのスペース改善で使われています。
現在倉庫を運営している場合、今後のストック点数の増減、または商品の変化に対応するために、使えるスペースは有効利用できるような備えをしておきましょう。
おわりに
amazonなどの大手通販倉庫では、スペースコストを重要視しており、ラックを置くスペースはもちろんのこと、様々な形態の商品をストックするラック1台1台の棚の隙間まで無駄を省くように努めています。
かつては同じ種類の商品は同じラック、または近隣のラックにまとめて保管するというのが一般的でしたが、amazonは同じ商品でもばらばらのラックにストックされています。
amazonの倉庫では、商品をピッキングする際機械が場所を示し、ピッキングした商品を機械が確認し正しいかどうかを判断するため、各商品のストック場所をスタッフが把握する必要がありません。
そのため似た商品を同じラックに集めて収納する必要がなく、商品を棚入れする際も商品一つ一つのサイズデータに基き今空きがあり最も隙間無くその商品がはまる棚にストックするよう指示が出る仕組みになっています。
この方法はスペースコストの削減はもちろんのこと、似ているが異なる商品を誤ってピッキングしてしまうというミスが軽減できるというメリットもあります。
商品をストックするラックは昔から倉庫には無くてはならない存在ですが、年々成長している物流業界に於いてスペースコストの重要性は高まり、より無駄のない使い方が広がりつつあるのです。
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