物流アウトソーシングのメリットと注意点を様々な視点からご紹介
2023.11.15物流・フルフィルメント
「自社ECで物流アウトソーシングを利用したい」
「利用する前に物流アウトソーシングについての理解を深めておきたい」
このような考えを抱いている経営者や担当者は多いはずです。物流アウトソーシングは、「物流業務全般」を外部委託することを指します。利用により、コスト削減や業務効率化などを期待できるため、既に多くの事業者が活用を始めています。
ここでは、物流アウトソーシングの概要を解説するとともに委託できる業務の内容、期待できるメリットと気を付けたいデメリットなどを紹介しています。物流アウトソーシングについて理解を深めたい方は参考にしてください。
目次
物流アウトソーシングとは
物流アウトソーシングとは、事業者が「物流業務全般」を外部委託することです。商品の入荷・商品在庫管理・保管・梱包・流通加工・配送管理までを物流のプロに任せることが出来ます。
商品在庫管理、梱包、流通加工についての詳細は以下よりご確認ください。
>>在庫管理の重要性と適切に管理する方法とは?
>>EC運営で顧客満足度を高める梱包発送の方法とは?
>>流通加工とは?流通加工の重要性と外注するメリットについて
物流代行会社では倉庫管理システム(WMSなど)の利用や、熟練したスタッフ・オペレーションによって物流業務の品質向上を実現することが可能です。
国土交通省の調査でも物流アウトソーシングを行う傾向が強まっていると言われています。
参考:(pdf)日本における3PLビジネスの育成に関する調査|国土交通省
倉庫管理システムについての詳細は「WMS(倉庫管理システム)の機能とメリット・デメリットについて」をあわせてご確認ください。
物流アウトソーシングで依頼できる業務
入庫・検品・保管・在庫管理
倉庫へ届いた商品に不備がないか確認する検品作業を行い、所定の場所に保管します。商品の数量だけでなく、状態や商品情報などがデータと実物で一致しているかどうかを管理する在庫管理業務が発生します。
受注処理
商品が購入された情報をもとに、倉庫へ出荷指示を出す必要があります。前段に記述した倉庫管理システム(WMSなど)の利用で、受注から出荷まで自動で指示を出すことも可能です。システム同士の相性で自動連係が難しい場合にも、CSVデータの取り込み作業を請け負ってもらえる代行会社もあります。
梱包作業・流通加工
出荷内容に合わせて、商品をピッキング、出荷内容に合わせた梱包作業を行います。ピッキング時にはバーコードによる照合作業を取り入れている代行会社も多いです。
出荷
複数の配送業者と契約している代行会社の場合、商材に応じて最適な配送ルートを利用できます。配送料は原価に大きく影響する項目です。品質を保ち、コストを下げるために宅配便だけでなくポスト投函便にも対応できる代行会社がオススメです。
配送管理
出荷完了後に購入者の手元に届くまでに、長期不在による未着や配達途中の破損などのトラブルが発生することがあります。出荷後の管理も委託出来ると、業務の手間も軽減できます。また出荷作業を行った拠点でトラブルに迅速に対応できるとトラブルの終息も早く進むことでしょう。
返品処理
出荷後になんらかの理由で、商品が返品されてくることがあります。再利用できる商品であれば、在庫管理している商品に追加し管理することになります。
物流アウトソーシングを利用するメリット
物流アウトソーシングには、さまざまなメリットがあります。多くのケースで期待できる主なメリットは次の通りです。
- コスト削減と明確化
- 業務を効率化
- サービスの質向上とリスク回避
- 自由度の高さ
例えばサービスを利用することで倉庫やトラック、人材の確保などが不要になるためコストをカットできます。物流アウトソーシングは、コスト面に強みがある取り組みです。期待できるメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。
>>物流アウトソーシングで気をつけたいメリット・デメリットとは?
物流アウトソーシングを利用するデメリット
物流アウトソーシングには、注意したいデメリットもあります。想定される主なデメリットは以下の通りです。
- 情報漏洩のリスク
- 責任の所在があいまいになりがち
物流アウトソーシングでは、自社が蓄積したノウハウを依頼先へ提供しなければならないことがあります。したがって、情報漏洩のリスクには注意が必要です。物流アウトソーシングのデメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>>物流アウトソーシングで気をつけたいメリット・デメリットとは?
物流アウトソーシングを利用することで解決できるEC物流の課題
物流アウトソーシングを利用することで、EC事業者が抱えている主な3つのお悩みを解決できます。本章では解決方法を解説していきますので、現在抱いているお悩みがどのように解消できるのかイメージしてみてください。
EC事業者が抱えている主な3つの悩み
|
コスト削減
物流コストはEC運営の原価として大きく占めており、「物流コストを削減したい」といった声は弊社へもよくお問い合わせをいただきます。
解決策①:物流代行会社の最適な配送ルートの利用
自社で物流業務を行った際と比較しコスト削減が可能になるのが「配送料金」です。物流代行会社では、大手の配送業者と大口の契約をしていることが通例で、EC事業者が配送業者と契約している金額よりも安くなる傾向があります。
また多様な配送方法に対応しているケースは多く、厚さが薄いものは宅配便からポスト投函便を利用するなど配送方法の変更でコスト削減も可能です。
解決策②:人件費の削減
物流代行会社は作業効率性が高い為、現在の人件費と比較してもコストを抑えられる可能性があります。
また自社で物流業務を行っていると閑散期でも人件費は変わらず掛かります。一年を通して閑散期が無い商品であれば、固定費として計上されていても問題ございません。しかし季節や社会情勢によって大きく販売個数が変動する商品の場合に、閑散期の人件費は営業利益に対して重くのしかかります。物流アウトソーシングを利用した場合、販売個数に応じた変動費とすることが出来る為、閑散期へのリスクの軽減が可能になるでしょう。
物流に関わる人件費は各業務毎に試算し、業務改善の指標にしているEC事業者も多いでしょう。一度自社のコストを試算してみるとアウトソーシングした場合のメリットがより明確に可視化されるため、自社物流とアウトソーシングした場合のコストを比較したい場合にはおすすめです。
物流代行会社が提示する費用は作業ごとの単価となり、変動費として扱うことが出来ます。この機会に閑散期も含めた人件費を計算して比較をしてみましょう。
こちらの記事で詳しく説明しているので参考にしてください。
>>EC物流に関わるコストの種類とコスト削減を検討する際に注視するべきポイント
出荷品質を改善、維持したい
ミスや商品破損・発送遅延によって、届け先からクレームが発生し、更にクレームが発生することで対応するコストも掛かってしまいます。そういった場合には、やはり「物流のプロ」である物流アウトソーシング業者へ相談することをオススメします。
届け先からクレームが発生する要因(例)
|
解決策①:最良な梱包資材で配送時の破損リスクを下げる
物流代行会社は、多種多様な商品に対応するために、梱包材や緩衝材もバラエティに富んだ在庫を保有しています。商品の形状に合わせて最良の梱包材や緩衝材を選択するため、それによって商品自体の破損リスクを下げることが出来ます。
解決策②:バーコードを活用した検品でピッキングミスを0に
多くの物流代行会社は、あらかじめ設定している商品と作業指示に相違が無いかバーコードを活用し検品します。その作業によって商品を取り違えるリスクを軽減し、クレームを未然に防止します。
解決策③販売個数の波動にも対応できる現場体制で発送スピードを維持
繁忙期でも遅延せずに一定のスピード感をもつことが可能です。物流代行会社により締め切り時間は変動しますが、EC市場の拡大に伴いEC物流の出荷スピードの基準が早まっております。
午前中~13時までの注文は当日出荷し、近県では翌日到着も可能です。販売個数の波動があっても安定的な出荷が可能です。
物流の業務負荷を無くし、プロモーション業務に集中したい
物流業務だけでなく、店舗運営、プロモーションと一人の担当者が複数業務を兼任されているケースはよくあります。物流業務は出荷量に比例して負荷も大きくなっていき、担当者の業務を圧迫していきます。
業務負荷を改善し、店舗運営やプロモーションなど売上に直結する業務に集中したい場合には、やはり物流アウトソーシングの利用を検討するべきです。
解決策①:物流関連システムを導入で日々の出荷作業時間を削減
Excelやメールなど手動で管理するツールを使用している場合は、昨今の物流代行会社へ依頼するとツールの進化に驚かれるかもしれません。
OMS(受注管理システム)やWMS(倉庫管理システム)を使用しオンライン上で在庫状況、発送状況の確認が可能で、更にECサイトとのシステム連携により出荷作業の自動化が叶い、大幅な作業時間の短縮に繋がります。
解決策②:時間がかかる主な業務を丸ごと委託できる
物流業務で時間がかかる主な業務はこのあたりだと思います。こういった業務を丸投げできる体制が整っている物流代行会社が大半です。
物流業務で時間が掛かかる主な業務
|
なお、このように荷主企業の抱えている課題に対し、最も効率的な物流戦略の企画立案~実行まで行うことを『サードパーティー・ロジスティクス(3pl)』と言います。
※画像引用元:3PL事業の総合支援|国土交通省
3PLに関する詳しい説明は以下の記事をご覧ください。
>>EC物流における3PLの役割とは?導入の際に押さえるべきポイント
>>3PL(サードパーティ・ロジスティクス)のメリットとデメリットとは?
事業者の方にとってのコア業務はこういった業務が挙げられます。
事業者の方にとってのコア業務例
- 請求業務
- 在庫把握
- 商品開発
- マーケティングの戦略立案や企画
- SNSの更新
- メルマガ送付
具体的な施策の実行など売上に関わる部分で、どの業務も日々分析や進捗管理が伴います。コア業務に注力する時間が増えることで売上UPに繋がっていくことでしょう。
物流アウトソーシングを利用する際に失敗しないポイント
物流アウトソーシングにはとてもメリットがあるように感じます。しかしながら全ての物流代行会社が貴社にとってメリットのあるサービスを提供出来るとは限りません。
「この会社に物流アウトソーシングをして理想の物流業務が実現できるか」を考え、物流代行会社の選定をすることが必要です。契約後に「本来委託したかった業務が頼めない」といった失敗が起こらないように、ここでは物流代行会社へ相談する前に頭に入れておくべき注意点をご紹介します。
コスト:不透明な見積、請求項目
物流代行会社の見積もりは多種多様で、項目を見ても何の費用に当たるかがわからないことがあります。また見積もり時では概算見積もりで、いざ導入してみたら想定以上のコストになり、事業戦略自体を見直さざるを得ないこともあります。
物流代行会社から見積もりが提出されたら、以下の情報を細かく聞く必要があるでしょう。
- 導入後に大きく変動しそうな項目
- 見積もりに未記載だが、発生する可能性がある項目と費用
対応範囲:イレギュラーな業務
自社で顧客一人ひとりに合わせた柔軟な対応をしていた場合、物流アウトソーシングでは対応が厳しい場合があります。また対応可能であっても工数がかかるため、それに伴ってコストも大幅に上昇するでしょう。要求水準が高ければ高いほど、物流代行会社で対応が難しくなる為、最初にどんなイレギュラーな対応があるか事前に話し合うことでトラブルを回避することが出来ます。
工数:確認や業務の手間
「コア業務に集中する」することを目的に物流アウトソーシングを依頼したけれど、実は確認や対応しなければならない操作が多いケースがあります。
特に依頼初期は、システム操作方法の理解が出来ず、システムの操作に慣れるまでの期間は業者への質問や確認の作業が多く発生することが予想されます。「どのような業務が必要になるか」をあらかじめ確認をして事前に理解をしながら進めていくことが重要です。
関係性:物流代行会社のスタンス『下請け』と『パートナー』
梱包品質や発送スピードなどの物流品質を高めることは購入者へ良いEC体験を提供し、事業者にとって売上の基盤を作ることにも繋がります。
物流業務は事業者にとって大切な業務ですが、物流業務を単なる商品の移動としか捉えていない、『下請け』気質な物流代行会社も存在しているようで注意が必要です。商品のことだけではなく、購入者の満足度を高めるためにヒアリングや提案をしてくれる、『EC運営のパートナー』意識の高い物流代行会社は信頼出来るでしょう。
物流代行会社を選ぶ際のチェックポイント
ここでは、物流会社を選ぶ際のチェックポイントをご紹介します。
各料金項目
前段でも少し触れましたが、物流業務にかかる項目は多いです。
物流コストの内訳
項目 | 内容 |
導入費用 | 倉庫へ商品を移動する際に掛かる費用 |
配送料 | サイズ×配送地域の金額/沖縄離島の取り扱い |
作業費用 | ピッキング費用、袋詰め費用など付帯作業ごとの費用 |
入庫費用 | 商品サイズによる変動の有無やピースorカートン単位の費用になるか |
システム利用料 | 月額費用と従量課金の確認 |
保管費用 | パレット保管、棚保管、ピース単位/坪でどのくらいの商品数が置けるか |
出庫費用 | システム利用料に含まれる事があるが費用が掛かるか確認 |
少なくとも上記項目が明瞭になっていない限り、現在の価格と比較が出来なくなります。物流業界では初めて見る方には、わからない専門用語が使われていることも多いです。わからないことは納得するまで細かく聞くことが重要です。
コミュニケーション・サポート対応について
円滑に物流代行会社を決めていく為に、コミュニケーションを欠かすことは出来ません。
下記4つのポイントの確認を推奨いたします。
依頼前
依頼前は、営業とやり取りが発生しています。質問したらすぐに返答があるのかは基本的なチェックポイントです。早いものでは数分単位で返答がくるか、少し確認に時間が掛かりそうな質問に対しても、時間が掛かる旨を一時回答として連絡があるかなどチェックをしましょう。
導入初期の体制
導入初期は、営業と現場、システム担当とのやり取りが発生することが想定されます。営業のみの対応であるとシステム面の出来る、出来ないといったことが即答できないことがあります。導入初期には、システム面がわかる方が同席出来るか否かなど質問を投げてみると良いでしょう。
運用時の体制
運用中には、様々なイレギュラーの対応が発生します。その為、即時の返答が必要になることがあります。
- メールだけではなく、チャットツールを導入しているか
- 営業担当以外の窓口と接点を持てるか
上記のような即時の対応を求めることは可能なのか、営業担当以外でも連絡を取り合うことが可能なのか、そういったところを事前に確認しておきましょう。
アフターフォロー
住所不備や長期不在などで購入者へ届かず、未着扱いで倉庫に戻ってしまう場合があります。速やかに購入者へ連絡を取る必要があります。細かい業務ではありますが、「未着発生時の連絡はスムーズに行われるか?」など問い合わせをしてみるのが良いでしょう。
倉庫対応範囲
商品によって倉庫に求める対応範囲が異なります。必ず確認すべき3点をご紹介します。
受注締め切り時間
購入者は注文から届くまでのスピードが早いと良い口コミを書く傾向があります。午前中の注文を当日出荷可能だと顧客満足度向上に直結するため、出荷までのスピードは必ず確認しましょう。
細かな事前作業の可否
ただ商品を梱包して出荷するだけではなく、一部袋詰め作業を行ったり、チラシの同梱を行ったりすることは購入者の満足を上げる為に必要な工程です。細かな対応が可能か、確認してみましょう。
店舗卸し発送業務の知見
ECサイトの販売以外にもサロンや専門店など店舗の販売チャネルを広げるケースがあります。大量の出荷対応や卸し対応にも柔軟に対応出来るかは事前に知っておきたいポイントです。
もう少し細かくチェックポイントを深堀りたい方は下記の記事をご覧ください。
>>物流代行(アウトソーシング)を選ぶ際に確認すべきポイント7選
また、こちらの記事でご紹介しているポイントをホワイトペーパーとしてご用意しておりますのでご興味ある方はダウンロードしてみてください。
物流代行会社へ相談するタイミング
物流アウトソーシングの検討をはじめて、実際に物流代行会社へ相談するタイミングタイミング例をご紹介します。
EC事業立ち上げ期
仕組みを作る時間を短縮
早期に売上を立てるためには商品企画やマーケティング戦略へ注力する必要が出てきます。しかし、基盤業務である物流の仕組みを作る計画も立てなければなりません。そこで、EC事業立ち上げ期から戦略的に物流アウトソーシングを導入されるEC事業者も増えています。
物流の仕組みを作る為に必要なこと(例)
- 配送業者との契約やフロー設定
- 保管場所の用意
- ダンボールや緩衝材準備
- ECサイトから受注データ出力手順の設定
- 梱包作業方法の明確化
- 返品対応ルール作り
- 在庫管理表の準備
このようにタスクは多く、整えるにも時間がかかる為、物流アウトソーシングすることで初期準備時間が大幅に削減できます。
最初から安い費用で発送が可能
物流代行会社は、大手配送業者との大口契約を持っています。その為、自社で配送業者と契約するよりも物流代行会社へ依頼する方が安くなるケースが多いです。配送業者との打合せをすることも無く、安い配送料金で始めることが可能です。
EC事業拡大期
物流業務に関わる時間が増えた
物流業務は受注処理から伝票発行、商品ピッキング、ダンボール組み立て、梱包作業と様々な工程があります。1つの受注から出荷にかかる時間が数十分でも、出荷個数が増えていけば業務の時間が増えていき、残業して対応する必要も出てくるかもしれません。
例) 出荷作業 10分 / 1受注 出荷数 10個 / 1日 出荷作業合計 100分 / 1日 |
一つの目安としては、1日10件前後受注があり、物流業務に100分程度掛かっている場合に依頼すると効果が目に見えやすいです。
梱包ミスや発送遅延によるクレームの発生
梱包ミスや発送遅延があると、購入者からのクレームが発生してしまうことがあります。またクレームの対応が良くないと、ECサイトやECモールに配送に関する悪い口コミが書き込まれてしまいます。口コミに悪い評価があると売上低下にも繋がる為、極力ミスを減らす方法を模索しなければなりません。
また、ミスがあったとしてもクレームを連絡する方は全購入者の中でも一部の購入者しかいません。ミスがあっても、クレームも言わず、今後あなたのECサイトから購入を辞めてしまう購入者の方もいらっしゃいます。
顧客からの声が配送関連の悪い評価である場合には物流アウトソーシングを検討し、依頼をした方が良いでしょう。
保管スペースが少なくなってきた
ECサイトが軌道に乗ってくると、商品のアイテム数が増えたり、売り切れを防ぐために在庫量を増やしたり様々な要因で保管スペースが広がっていきます。保管スペースに余裕がある場合は問題はありません。
しかし、今後拡張をしていくことを考えていくと保管スペースが少なくなり新しい倉庫を探す必要があります。現状の倉庫の費用や人件費、配送費用と物流アウトソーシングを比較してメリットがあるか総合的に検討しましょう。
事業全体の収益見直し
事業を続けていく中で、商品原価の高騰が原因でコスト削減をして利益率を見直したり、競争環境が激化したため販売代金を下げざるを得ないなど厳しい局面を迎えることがあります。
そのような局面ではなくても、日々収益性を見直す機会は重要です。物流に関わるコストは、販売価格や利益率にダイレクトに影響する為、人件費も含めた総合的なコストを洗い出し、物流代行会社へ相談する機会は定期的に設けることが重要です。
物流アウトソーシングを委託するまでの流れ
物流代行会社へ問い合せをする際に準備する情報
インターネットで見つけた物流代行会社へ問い合わせをする際に、どんな内容で物流アウトソーシングを考えているかを伝えておくと、打合せも非常にスムーズに進みます。伝えておくべきポイントに絞り説明していきます。
またこれからEC事業を立ち上げるため、実績がないという場合は、予定でも伝えておくと密度の濃い打合せをすることが出来るでしょう。
問い合わせの背景
例)新しいブランドを立ち上げるため、物流業務の仕組み毎アウトソーシングをしたい |
どのようなことを考えているかを伝えると物流代行会社側も状況を理解しやすくなる為、短文でも伝えたい部分です。
現在の販売状況
物流代行会社によって得意、不得意の領域があります。下記情報を伝えるだけでも過去に対応した実績があるかどうかの確認がスムーズになります。
- 商品ジャンル
- 月間出荷数
- 商品種類数(SKU)
- メインのECサイトURL
改善したい物流課題
事前に下記のように課題を伝えておくと、物流代行会社も提案の方向性がずれず、有益なコミュニケーションを取ることが出来ます。
- コストを削減したい(配送、作業、保管、システム費用)
- 物流品質を高めたい(破損、商品ピッキングミス、発送スピード)
- 業務負荷を軽減したい(在庫管理などが煩雑、日々のオペレーションの時間が掛かる)
その他伝えておくべき必要な倉庫スペック
- 必要な資格
- 現在の保管スペース・面積
- 倉庫の温度管理条件
- ECサイトで利用している決済情報
- FBA納品(Amazon)の有無
- ラッピングなど付帯作業の手順
細かい部分ではあるものの、伝えないと正式な見積もりが出せません。
詳細見積もりが欲しい際は、打合せまでに確認しておくべき項目です。
問い合せから委託開始までの流れ
物流代行会社へ問い合わせをする
物流代行会社へ問い合わせをします。
現状の課題などの導入を検討した背景を簡単に伝えます。
物流代行会社と打ち合わせをする
物流代行会社と打ち合わせをします。
導入の背景、物流代行会社に期待していることや要望を伝えましょう。
物流代行会社から見積もり・提案をもらう
物流代行会社を利用する場合の金額と、要望に対する提案をもらいます。
物流アウトソーシング先を検討をする
見積もり、提案を元に委託先を検討しましょう。
物流代行会社と契約をする
業務委託契約書を締結します。
物流アウトソーシングの導入・運用を開始する
契約から運用が開始するまでの間に、導入準備を進めることになります。
主な導入準備
- 運用フローの確認
運用開始までの流れ、運用開始後の1日単位・月単位の業務内容を確認しましょう。 - システムの設定
倉庫管理システム(WMS)を導入している場合は、ECサイトの状況や商品に合わせてシステムの設定を行います。 - 商品の入庫/受け入れ作業
商品を倉庫へ入庫し受け入れ作業を行います。 - テスト運用
運用開始前にはテスト運用を行い、一連の流れを確認しておくと安心です。
物流アウトソーシングを活用することのメリットを事例をもとにご紹介
物流アウトソーシングサービス「ウルロジ」を活用した事例を参考に物流アウトソーシングを導入するメリットをご紹介します。
【ウルロジの事例】マヌカハニー(はちみつ)専門店「BeeMe」
ウルロジとBeeMeの体制
BeeMeでは、楽天と自社ショップ、Yahoo!などで販売しており、担当者は物流業務だけでなく、プロモーション、商品開発といった売上に直結するコア業務も担当している状況です(加えて、他のECショップ運営も担当しているため業務の効率化が求められています)。
担当者が物流業務全般を担っていては目標としているサービス拡張までの進みは遅くなってしまいます。担当者は指定のシステム上で出荷作業を行うだけで出荷業務が完了するため、多くの時間を「コア業務」に割くことができるのです。
導入のポイント
- ECサイトの一元管理システムとウルロジのWMSを連携することで出荷業務の負担が軽減。
- 現場とチャットツールによるコミュニケーションで、業務指示がスピーディに。
- 丁寧な梱包作業で好レビューを獲得。リピート購入にも繋がっている。
- 物流代行会社の配送ルートの利用で、コストも削減できる。
参考:出荷業務以外も委託が可能 入荷・在庫管理・梱包作業・伝票発行・商品ピッキングに加えて対応領域を広げている物流代行会社も増えています。 出荷業務以外の主なサービス例
出荷業務だけでなく、現在抱えている業務を棚卸し物流代行会社への委託を検討することをおすすめします。 |
まとめ
この記事では、物流アウトソーシングについてのメリットや注意点などをご紹介いたしました。簡単に以下にまとめさせていただきます。
物流アウトソーシングとは
物流アウトソーシングは、物流業務全般を外部に委託することを指します。
目的とメリット
大きく以下3つのことが物流アウトソーシングの目的となり同時にメリットとなります。
- 配送費や人件費に関わるコスト削減、コストの明確化
- 破損や作業ミスの軽減、発送スピードなどの物流品質の向上
- 事業者が物流業務の負荷を軽減し、マーケティングなどのコア業務に集中できること
注意点
しかしながら物流アウトソーシングにも注意点があります。
- 見積もりで把握できないコストが導入後に発覚
- 自社では可能だったイレギュラーな対応が困難になる
- 思ったほど業務改善が出来ず対応業務が多い
チェックポイント
注意点を意識して物流代行会社を選択する際は以下3つのポイントをチェックしましょう。
- 価格/コスト面
- コミュニケーションやサポートの対応
- 倉庫の対応範囲や機能
検討するべきタイミング
物流アウトソーシングを検討すべきタイミングは、物流に対して以下のような課題を感じた時が検討するタイミングです。
- EC立ち上げ期
- 梱包ミスや発送遅延によるクレームが発生したタイミング
- 保管スペースが不足しつつある
問い合わせ時に準備するべき情報
物流会社への問い合わせに際して、以下の情報を準備しておくと打ち合わせがスムーズに進みます。
- 問い合わせの背景
- 現在の販売状況
- 改善したい物流課題
この記事でご紹介したことを念頭に置いていただき、貴社にとって最良な物流代行会社と出会い、購入者までを意識した物流アウトソーシングを実現させてください。
物流アウトソーシングをご検討されている方へ(ウルロジのご紹介)
当記事を運営している物流アウトソーシングサービス「ウルロジ」ではEC・通販運営業務を物流面からサポートしています。物流のプロが現状の物流業務をヒアリングしコスト削減や業務フローを構築いたしますのでもし「ウルロジ」にご興味がある方は、以下のページをご覧ください。
「ウルロジで対応している業務内容のご紹介」や「物流会社選定のチェックリスト」などの各種ホワイトペーパーをご用意しております。ぜひ、サイトまでお立ち寄りください。
✓既に自社で物流を行っているがコスト安く外注できるか知りたい
✓物流会社に外注をしているが現状と比較してみたいスタートアップから倉庫の変更まで柔軟に対応させていただきます!
初めての方でも、営業担当が導入をサポートいたします。
※「物流アウトソーシング」について解説している記事を紹介します。
是非、今後のEC物流戦略の参考にしてください。
⇒EC物流の仕組みとアウトソーシングする際のポイントとは?
⇒通販物流の仕組みとアウトソーシングする際のポイントとは?
⇒アパレル物流の仕組みとアウトソーシングする際のポイントとは?


最新記事 by 角田和樹 (全て見る)
- オンラインガチャでECサイトを差別化!導入のポイントと物流体制の作り方 - 2024年12月24日
- YouTuberのためのEC販売ガイド|グッズ展開の始め方と成功のコツ - 2024年12月22日
- キャラクターグッズ販売におけるEC導入のヒント|課題や成功のコツ、展開事例 - 2024年12月22日