物流クレーム完全ガイド|原因・対応フロー・防止策まで徹底解説
2025.08.01物流・フルフィルメント「商品が届かない」「中身が違う」「破損していた」
日々の業務の中で、こうした物流クレームに悩まされていないでしょうか?
一件のミスが顧客満足度の低下やブランドの信頼喪失につながり、場合によっては取引停止や悪評の拡散といった深刻な事態に発展することもあります。
とくに、中小企業やEC事業者のように限られた人員とリソースで業務を回している現場では、クレーム対応の負担は決して軽くありません。
こうしたトラブルを減らし、顧客の信頼を守るには、
・どのような物流クレームが起きやすいのか
・それがなぜ発生するのか
・どのように対応すればよいのか
・そしてどうすれば未然に防げるのか
を体系的に理解し、社内で共有できる体制を整えることが欠かせません。
本記事では、実際によくある物流クレームの事例から、企業への影響、効果的な対応フロー、そして再発防止の具体策までをわかりやすく解説します。
さらに、外注や発送代行サービスを活用した効率化の方法についても紹介します。
ウルロジでは、発送業務の代行はもちろん、カスタマー対応まで一括で対応することで、煩雑なやり取りや社内負担の軽減に貢献し、クレーム発生率の低減と顧客満足の向上を同時に実現します。
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目次
物流クレームとは?
物流クレームとは、商品の配送や出荷に関連して発生する顧客からの苦情や要求のことです。配送の遅延、商品の破損、誤出荷、配送スタッフの対応など、物流プロセスのあらゆる段階で発生する可能性があります。
近年、ECサイトの普及や消費者の期待値の高まりにより、物流クレームは増加傾向にあります。「即日配送」「翌日配送」が当たり前になった現代では、少しでも期待を下回ると顧客の不満につながりやすくなっています。
物流クレームの特徴は、単純な商品の問題だけでなく、配送体験全体に関わる点です。
弊社ウルロジで全国の20代から60代の男女500名を対象に実施した調査では、ポジティブおよびネガティブな口コミの理由として、最も多いのは「商品そのもの」に関する内容である一方で、それに次いで「物流関連の満足度」が挙げられています 。特に、迅速な配送や丁寧な梱包はポジティブな口コミに繋がりやすく 、商品の破損や不足はネガティブな口コミの主な原因となっています。
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では、実際にどのような物流クレームが発生しているのでしょうか。
次章で具体的な事例を見ていきましょう。
よくある物流のクレーム事例
物流クレームには様々な種類がありますが、現場で特に頻繁に発生する代表的な事例を4つのパターンに分けて解説します。これらの事例を理解することで、自社で発生しやすいリスクを把握し、効果的な対策を立てることができます。
配送の遅延
配送の遅延は、最も多い物流クレームの一つです。指定された配送日に商品が届かない、または予定よりも大幅に遅れて到着するケースが該当します。
遅延の主な原因には、交通渋滞や天候不良などの外的要因、配送業者の人手不足、出荷作業の遅れ、在庫管理の不備などがあります。特に繁忙期や天災時には、遅延が発生しやすくなります。
顧客にとって配送の遅延は、「プレゼントに間に合わない」「イベントで使えない」といった実害をもたらします。また、配送状況の連絡が不十分だと、不安や不満が増大し、深刻なクレームに発展しやすくなります。
商品の誤出荷
誤出荷は、注文した商品とは異なる商品が届くクレームです。商品の種類が違う、サイズや色が違う、数量が間違っているなど、様々なパターンがあります。
誤出荷の原因は、主に人的ミスによるものが多く、ピッキング作業時の確認不足、商品コードの読み間違い、梱包時のチェック漏れなどが挙げられます。また、在庫管理システムの不備や、複数の倉庫を使用している場合の連携ミスも原因となります。
誤出荷は顧客にとって大きな不便をもたらし、正しい商品の再発送や返品対応が必要となるため、企業にとってもコストと時間の負担が大きくなります。
商品の破損・故障
配送中の商品破損や故障も深刻なクレームの一つです。
配送時の衝撃や振動、不適切な梱包、取り扱いの不備によって商品が損傷するケースが該当します。
破損の原因には、梱包材の不適切な選択、緩衝材の不足、配送業者の取り扱い方法、配送ルートの問題などがあります。特に精密機器や壊れやすい商品では、適切な梱包と配送方法の選択が重要です。
商品の破損は顧客の期待を大きく裏切る結果となり、返品・交換対応だけでなく、信頼関係の修復が必要になります。
配送スタッフの対応
配送スタッフの対応に関するクレームも増加傾向にあります。不在時の対応、再配達の手続き、配送時の態度や言動などが問題となるケースです。
具体的には、不在票の記載不備、再配達の連絡不足、配送時間の大幅な変更、配送スタッフの態度の悪さ、商品の取り扱いの粗さなどが挙げられます。配送スタッフの対応は企業の顔としての役割も担うため、ここでの印象が企業全体の評価に直結します。
海外配送特有のクレーム事例
上記は物流において国内・国外問わず発生する可能性のあるクレーム事例をご紹介しました。
国外への配送、いわゆる越境ECの場合上記に加えて、「税関手続き」「文化・言語などの価値観の違い」の2点についても注意しなければなりません。
税関手続きにより起こる可能性のあるクレーム事例
国ごとに条件が違うことにより税関では様々な問題が起こり得ます。
・商品価格とは別に、輸入国で高額な関税が購入者に請求される想定外の配送価格の増加
・書類不備、禁制品の誤認、申告内容の不正確さなどにより、商品が税関で足止めされたり、没収されたりすることによる配送の大幅な遅延
このほかにも以前までは配送できていたが、国の政策の変化などにより商品が配送できなくなるなどの可能性を含んでいます。
弊社で日本からの越境ECが多い海外8カ国の20〜40代の男女を対象に行った調査で、「海外商品をECで購入する際に、配送面で感じたことのあることを教えてください。(複数回答)」と質問したところ、「届くまでの時間が長い」が66.2%、と6割以上の人が越境ECにおける配送面に不満を感じていることがわかりました。
国内でも同様に配送時間のクレームは存在していますが、配送にかかる時間に大きな差が存在しています。
実際、国外で、ネットショップを実施すると2週間前後配送にかかることも少なくありません。
配送面や決済、ECサイト・モールなどは土台となるため、こうした土台を整えていきながらマーケティングに力を入れていくことが重要になっていきます。
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文化・言語の価値観の違いにより起こる可能性のあるクレーム事例
英語圏の場合はある程度、見識のある方も多く問題にならない場合は多いですが、東南アジアなどの越境ECの発展の可能性を秘めている地域では、まだ文化や言語に対しての私たちの理解が及んでいない場合も少なくありません。顧客からの問い合わせ内容を正確に理解できなかったり、企業の返答が顧客に正しく伝わらなかったりすることで、問題解決が遅延し、不満が増幅します。
また、謝罪の仕方や問題解決へのアプローチが、国や文化によって期待されるものと異なる場合があります。これにより、意図せず顧客をさらに不快にさせてしまうこともあります。このように越境ECは国内と比較しても、物流クレームに発展するような部分が増えて工数の増加による物流コストの増加は避けられないものになってきます。
解決策の一つとして、発送代行サービスの検討は越境ECを実施する場合は候補に入ってくるかと思います。
ウルロジは、越境ECにおける物流の課題を解決し、工数とコストの削減だけでなく、物流クレームの抑制にも貢献します 。国内での在庫管理から海外の消費者への配送までをワンストップで提供し 、全世界220カ国に対応する強固な現地配送網、DHLやEMSなどの大手輸送サービスを安価で利用できる低価格、そして柔軟な対応力が強みとなっています。
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物流クレームがもたらす企業への影響について
前章で見た物流クレームの事例は、単なる一時的な問題ではありません。適切に対処しないと、企業経営の根幹を揺るがす深刻な問題に発展する可能性があります。ここでは、物流クレームが企業に与える2つの重要な影響について解説します。
顧客満足度の低下とリピート率の悪化
物流クレームは顧客満足度に直接的かつ深刻な影響を与えます。商品自体が優れていても、配送プロセスで問題が発生すると、顧客の企業に対する評価は一気に低下します。これは、物流が顧客との「最後の接点」であり、商品を受け取る瞬間が最も印象に残りやすいためです。
顧客満足度の低下は、必然的にリピート購入率の悪化につながります。一度悪い体験をした顧客は、同じ企業での再購入を避ける傾向があります。
有名なマーケティング用語でもある「1:5の法則」に基づくと、新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストの5倍以上とされており、リピート率の低下は企業にとって大きな損失となります。
さらに深刻なのは、不満を持った顧客がSNSや口コミサイトで悪い体験を共有することです。一つのクレームが、潜在的な顧客数百人、数千人に悪影響を与える可能性があります。
ブランドイメージの毀損
物流クレームは企業のブランドイメージに深刻な打撃を与えます。「配送が遅い会社」「商品が壊れて届く会社」といった負のイメージは、企業の信頼性や専門性に対する疑問を生み出します。
特に、同じような物流クレームが繰り返し発生する場合、企業の管理体制や品質管理能力に対する不信が高まります。これは、商品の品質とは関係なく、企業全体の評価を下げる結果となり、価格競争に巻き込まれやすくなります。
ブランドイメージの毀損は、採用活動や取引先との関係にも悪影響を与えます。一度失われたブランドイメージの回復には、長期間の努力と大きなコストが必要となります。
このような深刻な影響を避けるためには、物流クレームが発生した際の適切な対応が不可欠です。次章では、現場で実践できる具体的な対応フローについて解説します。
現場で実践できる物流クレーム対応フロー
前章で見たような深刻な企業への影響を防ぐためには、物流クレームが発生した際の迅速かつ適切な対応が不可欠です。ここでは、実際の現場で活用できる対応フローと、避けるべきNG対応について具体的に解説します。
トラブル発生時の対応例
物流クレームが発生した際は、以下の4段階のフローで対応することで、顧客満足度の回復と問題の根本解決を図ることができます。
- 初期対応(24時間以内)
クレームの連絡を受けた際は、まず顧客の話を最後まで聞き、状況を正確に把握します。感情的になっている顧客に対しても、冷静かつ誠実な対応を心がけます。「ご不便をおかけして申し訳ございません」と素直に謝罪し、調査を行うことを明確に伝えます。この段階では、原因の推測や責任の所在について言及せず、事実確認に集中します。
以下に初期対応のメールの見本も添付しています。
[お客様名]様
平素より[貴社名]をご利用いただき、誠にありがとうございます。 [貴社名]の[担当者名]でございます。
この度は、ご注文いただきました商品に関して、[具体的な状況:例:ご注文と異なる商品をお届けしてしまい/商品に破損が生じており/お届けに遅延が発生しており]、[お客様名]様に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、心より深くお詫び申し上げます。
[原因について(可能な場合のみ記載。言い訳にならないよう簡潔に)] (例:弊社の確認不足により/配送中の不手際により/システムトラブルにより、ご迷惑をおかけする結果となりました。)
つきましては、早急に以下の対応を進めさせていただきます。
[対応策]
- 誤配送の場合
正しい商品を本日中に再発送の手配をいたしました。〇月〇日頃のお届けを予定しております。お手数をおかけいたしますが、誤って届きました商品は、再配達時に配送ドライバーにお渡しいただくか、着払いにてご返送いただけますでしょうか。- 商品破損の場合
新しい商品を本日中に再発送の手配をいたしました。〇月〇日頃のお届けを予定しております。お手数をおかけいたしますが、破損品は大変恐縮ですが、破棄いただくか、着払いにてご返送いただけますでしょうか。- 配送遅延の場合
商品の配送が遅れており、大変申し訳ございません。現在、[現在の状況:例:復旧作業が完了し、出荷作業を再開しております。/配送業者にて、現在〇〇の影響により遅延が発生しております。] つきましては、[新しいお届け予定日:例:〇月〇日に発送し、〇月〇日頃のお届けを予定しております。] 詳細につきましては、追って改めてご連絡させていただきます。今回の件を重く受け止め、今後このようなことが再発しないよう、[再発防止策:例:商品の確認体制を徹底し/梱包・検品作業を強化し/物流システムの見直しを行い]、より一層の品質向上に努めてまいります。
この度は、お客様にご不快な思いとご心配をおかけいたしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
ご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。 今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
- 原因調査と報告(48時間以内)
関係部署と連携し、クレームの原因を詳細に調査します。配送記録、作業ログ、在庫データなどを確認し、問題の根本原因を特定します。調査結果を顧客に報告し、なぜそのような問題が発生したのかを分かりやすく説明します。この際、技術的な詳細よりも、顧客の立場に立った説明を心がけます。
- 具体的な解決策の提示と実行
返品・交換、返金、代替商品の提供など、顧客の要望に応じた具体的な解決策を提示します。手続きの方法や期限を明確に伝え、迅速に実行します。必要に応じて、お詫びの品や次回利用時の割引券などの提供も検討します。重要なのは、顧客の損失を完全に補償し、さらにプラスアルファの価値を提供することです。
- フォローアップと再発防止
問題が解決した後も、顧客の満足度を確認するフォローアップを行います。「その後、商品の調子はいかがですか?」といった気遣いの連絡が、顧客との信頼関係を深めます。同時に、同様のクレームが発生しないよう、システムの改善や作業手順の見直しを実施します。
対応を誤ると逆効果?NG対応例に学ぶ注意点
適切な対応フローを知る一方で、絶対に避けるべきNG対応も理解しておくことが重要です。これらの対応は、問題を悪化させ、顧客との関係を修復不可能にする可能性があります。
責任転嫁や言い訳
「配送業者のミスです」「天候が悪くて」といった責任転嫁や言い訳は、顧客の怒りを増大させます。顧客にとって、企業内部の事情や外部要因は関係ありません。
まずは企業として責任を認め、謝罪することが最優先です。
感情的な対応
顧客が感情的になっても、担当者が同じレベルで感情的になってはいけません。「そんなことを言われても困ります」といった防御的な態度は、火に油を注ぐ結果となります。常に冷静さを保ち、プロフェッショナルな対応を心がけます。
不十分な調査での回答
「たぶん〜だと思います」「おそらく〜でしょう」といった推測での回答は、後で事実と異なることが判明した場合に、さらなる不信を招きます。確実な情報が得られるまでは、「現在調査中です」と正直に伝えることが重要です。
連絡の遅延や不足
「もう少し待ってください」と言ったまま連絡を怠ると、顧客の不安と不満が増大します。たとえ進展がなくても、「現在このような状況です」と定期的に報告することで、顧客の不安を軽減できます。
しかし、最も重要なのは、そもそもクレームが発生しないよう予防策を講じることです。次章では、物流クレームを未然に防ぐ具体的な対策について解説します。
物流クレームを未然に防ぐ具体策
これまでクレームの影響と対応について解説してきましたが、最も重要なのは、そもそもクレームが発生しないよう予防策を講じることです。「治療より予防」という言葉があるように、クレーム対応にかかるコストと時間を考えると、予防策への投資は極めて効果的です。ここでは、現場で実践できる3つの具体的な予防策を紹介します。
発送前検品のルール化
第2章で見た誤出荷や破損商品の発送を防ぐためには、発送前検品の徹底が不可欠です。しかし、単に「検品をしっかりやる」だけでは不十分で、誰が行っても同じ品質レベルを保てるよう、検品作業を標準化することが重要です。
検品項目の明確化
商品の種類、サイズ、色、数量、付属品の有無など、チェックすべき項目を明確にリスト化します。商品カテゴリーごとに検品項目を設定し、見落としを防ぎます。例えば、アパレル商品であれば「サイズタグ」「色」「汚れ・ほつれの有無」、電子機器であれば「型番」「付属品」「外観の傷」といった具合に、具体的な項目を設定します。
ダブルチェック体制
一人の作業者による検品だけでなく、別のスタッフによる確認を行うダブルチェック体制を導入します。特に高価な商品や返品が困難な商品については、より厳格な検品を実施します。人間はミスをする生き物であることを前提に、システムでミスをカバーする仕組みを構築します。
検品記録の管理
検品作業の記録を残し、問題が発生した際の追跡を可能にします。作業者、日時、検品項目、結果などを記録し、品質管理の改善に活用します。これにより、特定の作業者や時間帯にミスが集中していないかを分析できます。
発送前確認のチェックリスト
発送前検品をより確実に行うため、具体的なチェックリストを作成し、全スタッフが統一された手順で作業を行えるようにします。チェックリストは定期的に見直し、クレーム事例を基に改善を重ねることが重要です。
基本の確認事項
チェック項目 | 確認内容 |
注文内容と商品の一致確認 | 商品名・型番・サイズ・色などが注文内容と一致しているか |
商品の外観チェック | 商品に破損・汚れ・不具合がないか目視で確認 |
数量の確認 | 注文数量と実際の出荷数量が合っているか確認 |
付属品やマニュアルの同梱確認 | 必要な付属品・説明書などがすべて同梱されているか |
梱包材の適切性確認 | 商品に応じた適切な梱包材が使用されているか確認 |
配送情報に関しての確認事項
チェック項目 | 確認内容 |
配送先住所の正確性 | 郵便番号・住所・氏名が正確に記載されているか |
配送指定日時の確認 | 注文時の配送指定日時が正しく反映されているか |
配送方法の適切性 | 商品特性(常温・冷蔵・冷凍等)に合った配送方法が選択されているか |
伝票の記載内容確認 | 宛名・品名などの伝票記載が正確であるか確認 |
特殊な対応の場合の確認事項
チェック項目 | 確認内容 |
ギフト包装の指定有無 | ギフト指定の有無を確認し、必要に応じて包装を実施 |
メッセージカードの同梱 | 指定されたメッセージカードが同梱されているか確認 |
冷蔵・冷凍商品の温度管理 | 適切な温度帯での保管・出荷が行われているか |
割れ物商品の梱包強化 | 緩衝材などを使って破損防止対策が施されているか |
5S活動
5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)は、物流現場の効率化と品質向上に不可欠な取り組みです。整理整頓された環境では、ミスが発生しにくく、作業効率も向上します。一見当たり前のことですが、継続的に実践することで、クレーム発生率を大幅に下げることができます。
項目 | 説明 | 目的・効果 |
整理(Seiri) | 不要な在庫や資材を処分し、必要なものだけを保管。古い商品や破損品を定期的に整理。 | スペースの確保・業務効率の向上・在庫過多の防止 |
整頓(Seiton) | 商品や資材を決められた場所に配置。ラベル表示を徹底し、「探す時間」を削減。 | 作業効率の向上・ミスの削減・誰でも使いやすい職場環境の実現 |
清掃(Seiso) | 作業場所を清潔に保ち、商品の汚れや破損を防止。定期的な清掃で異常や問題も早期発見可能。 | 安全性の向上・品質維持・職場の快適さの向上 |
清潔(Seiketsu) | 整理・整頓・清掃を標準化し、継続的な点検と改善で状態を維持。 | 品質の安定・5Sの定着・業務標準の確立 |
躾(Shitsuke) | 5S活動を継続する仕組みを構築。スタッフ教育と意識向上で自発的な改善活動を促進。 | 自律的な改善文化の形成・現場力の向上・長期的な改善サイクルの確立 |
物流という観点で5Sを解説した記事で自社倉庫においてどれほど5Sを実施できているのかということの確認や外注する際のチェック項目などを知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
>>物流5Sの基本と応用|外注倉庫の見極めにも使える判断基準とは
これらの予防策を自社で完璧に実施することは、人員やコストの面で困難な場合があります。そのような場合は、専門企業への外注化を検討することも有効な選択肢です。次章では、物流クレーム対策を外注で効率化する方法について解説します。
物流クレーム対策を外注で効率化する方法
これまで解説してきた予防策や対応フローを自社で完璧に実施することは、人員やコストの面で困難な場合があります。特に中小企業や急成長している企業では、物流品質の向上に必要な専門性やリソースが不足しがちです。そのような場合、物流業務の外注化は、クレーム対策の効率化と品質向上に極めて有効な手段となります。
物流委託による発送品質の安定とクレーム対応体制
物流委託を活用することで、前章で解説した予防策を専門企業のノウハウで実現し、以下のような具体的なメリットを得ることができます。
専門性の活用
物流専門企業は、数千、数万件の出荷実績から蓄積された豊富な経験と専門知識を持っています。様々な商品特性に応じた最適な梱包方法、効果的な検品手順、クレーム対応のベストプラクティスなど、自社で一から構築するには膨大な時間とコストがかかるノウハウを活用できます。
先進システムの活用
最新の在庫管理システムや配送管理システムを導入済みの物流企業を活用することで、前章で解説した検品の標準化やダブルチェック体制を、システム的にサポートできます。リアルタイムの在庫管理や配送追跡により、顧客への正確な情報提供が可能になり、「いつ届くか分からない」という不安を解消できます。
24時間対応体制
多くの物流委託企業は、24時間体制でのクレーム対応が可能です。前章で解説した「24時間以内の初期対応」を確実に実現できるため、顧客満足度の低下を防げます。また、電話、メール、チャットなど複数のチャネルでの対応により、顧客の利便性を向上させます。
コスト効率の向上
自社で同等の品質レベルを実現するために必要な倉庫設備、検品システム、人材育成、クレーム対応体制などへの投資を考慮すると、外注化による総コストは往々にして削減されます。また、繁忙期と閑散期の出荷量の差に柔軟に対応できるため、効率的な運営が可能です。
物流のプロが最適な物流構築を支援する「ウルロジ」で、煩雑な物流業務をまるごと委託し、クレーム削減と業務効率化が可能になります。
>>クレームを事前に防ぐ仕組みづくりやクレーム対応も可能なウルロジの資料を見る
物流クレームは「起きないようにする対策」と「起きたときの迅速な対応」
ここまで、物流クレームの実態から予防策、対応方法、そして外注化による効率化まで、包括的に解説してきました。最後に、物流クレーム対策の本質について整理しましょう。
物流クレームを根本的に解決するためには、予防策の実施が最も効果的です。発送前検品の徹底、5S活動の推進、チェックリストの活用など、日常的な品質管理活動により、クレームの発生を大幅に減らすことができます。「1つのクレームを処理するコストで、10のクレームを予防できる」という考え方で、予防策に投資することが重要です。
物流クレーム対策は一時的な取り組みではなく、継続的な改善活動として実施することが重要です。顧客のニーズや期待値は常に変化しており、昨日まで問題なかった対応が、今日はクレームにつながる可能性があります。定期的な見直しと改善により、変化する顧客ニーズに対応し、競争優位性を維持できます。
これらの対策を自社で完璧に実施することが困難な場合は、専門企業への外注化を検討することも重要な選択肢です。自社のリソースと専門性を客観的に評価し、最適な方法を選択しましょう。
重要なのは、物流クレーム=「避けられない問題」として諦めるのではなく、「ファン化」できるとして前向きに取り組むことです。
適切な対策により、クレームは減少し、顧客満足度を向上させて企業としての価値を高めていくことがこれからの物流分野に必要になってきます。


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