小売業界の物流でRFIDを活用するメリットとは?
2021.11.29物流・フルフィルメントAmazonやヤフーショッピングなどのインターネットショッピングで「関連商品」や「こちらもオススメ」という形で商品が紹介されるという経験がありませんか?
これは、検索ワードや閲覧履歴などから関連性の高い商品が表示されるというもので、この関連商品から理想の商品が見つかるという利点があります。このようなシステムは、顧客にとっては、商品を検索する手間を省くことができ、売り手にとってはピンポイントで需要ある顧客にプロモーションできるという双方にとってとても便利なシステムです。
このようなシステムを実店舗でも実現するためのシステムに必要なのがRFIDです。いわゆるICタグのことですが、このタグを商品に取り付けることで、顧客ニーズを反映した商品管理と明確な在庫管理が可能となります。
今回は、RFIDについてご紹介します。
目次
RFIDとは?
RFIDとは、Radio Frequency Identificationの略です。電磁波を利用したタグのことで、非接触でデータを読み書きすることが可能です。
RFIDには、商品のID情報が書き込まれています。RFIDの中には、タグ(RFタグ)内に商品のデータが書き込まれており、それを読み込んで商品管理を行うことができます。FRIDの最大の特徴は非接触という点です。つまり、無線や電波を使用してデータを読み書きすることが可能なのです。
利用可能な距離は、周波数帯によって異なりますが、数cm~数m程度のものがほとんどです。
直接接触する必要がなく、無線でデータのやりとりが可能ですので、タグを商品に取り付けることで、保管場所や位置、在庫数などを一括で把握し運用することが可能になります。
このシステムを利用することで、実店舗でも、インターネットショッピングのような在庫管理が実現します。
日本では、2003年ごろから総務省、経済産業省、農林水産省、国土交通省、文部科学省などによって実証実験が行われ、RFIDの用途やメリットの検証が行われました。
バーコードとRFIDの違い
従来の方法では、RFIDではなくバーコードで管理をするのが一般的です。では、バーコードとRFIDの違いはあるのでしょうか。
バーコードは、みなさんご存知の縞模様のタグやシールです。バーコードは、ひとつひとつセンサーで読み取る必要がありますし、情報の書き換えもできません。バーコード管理の場合は、情報を変更をするためには、バーコードそのものを張り替えるしか手段がありません。また、記憶できる情報量もとても少ないので、生産情報などを記憶することができないのです。
それ対してRFIDは、情報の書き換えを非接触で行うことが可能です。加えて、バーコードのようにひとつひとつ読み取る必要はなく、情報を書き換えも容易です。また、記憶できる情報量が多いので、いつどこで生産された物か…いつ入荷してどの程度売れたものか…などの細やかな情報を記憶して簡単に読み出すことができるのです。
情報の書き換えや読み出しは無線を利用して行うので、一度商品につけてしまえばバーコードのように張り替える必要も読み取る必要もありません。
つまり、従来はバーコードが活躍していた在庫管理などをRFIDで行うことは様々なメリットがあるのです。
物流におけるRFID活用のメリット
乗車券など、私たちの日常生活でも利用されているRFIDですが、物流という面ではどんなメリットがあるのでしょうか。
まず、物流面でのメリットとして挙げられるのが”在庫管理”です。
在庫管理の効率化
RFIDを利用することで、商品がどのくらいの量どこに在庫があるのかを一括管理することができます。どこに何があるのかを把握できるので”ある一定量を下回った商品をリストアップする”ことも可能です。つまり、売れ切れにしたくない定番商品の在庫の管理なども楽に行えるのです。
当然、棚卸作業や商品の補充などの作業効率も向上します。アメリカの大手スーパー、ウォルマートによるとRFIDが付いている商品は、付いていない商品の3倍のスピードで在庫を補充することが可能になりました。商品管理のスピードアップと正確さという点でも、バーコードや管理番号で管理する従来の方法よりRFIDが優れています。
顧客のニーズをダイレクトに反映させる
複数の実店舗や倉庫を展開している場合であれば、地域や店舗ごとに異なる人気商品の把握も容易に行うことができます。つまり、店舗ごとに異なる人気商品をしっかりと把握することで効率的な販売を展開することができるのです。
商品の動きを把握することもできるので、商品の陳列や生産など一括して顧客のニーズに合わせた運用が可能になります。購入履歴などとの包括的な管理で、システム化された効率的なSCMの仕組みを構築することもできます。
万引き防止
在庫管理などでとても便利なRFIDですが、万引き防止にもひと役かってくれます。
万引きは、実店舗を展開していれば少なからず起こる問題です。単に”気分が悪い”というだけではなく、万引きが原因で経営が悪化することも考えられますし、万引きが起こったときの対応を間違えると関係のない顧客に迷惑をかけてしまうこともあります。
当然のことながら”起こらないに越したことがない”のが万引きなのです。
RFIDと会計システムを連動させれば、あるはずの在庫がない場合は明確にデータとして把握することができます。また、商品に取り付けたRFIDに無理に外すとインクが飛び散る仕組みや、タグが付いたままの状態で店外に出ると警報音が鳴るシステムなども運用可能です。
レジの作業がスムーズに
従来のバーコードであれば、ひとつひとつ読み取る必要がありましたが、RFIDを導入すると一括での読み取りが可能となります。
レジでの作業時間の短縮は、従業員の作業効率をアップできるだけでなく、お客様の待ち時間を減らすことにもつながります。レジでのスムーズな作業は店舗の印象が良くなります。
小売業におけるRFID活用
RFIDは、海外はもちろん、日本の企業でも導入され始めています。
アメリカの大手スーパーウォルマート、ドイツの小売最大手メトロ・グループ、テーマパークを展開しているディズニーのRFIDを導入しており、日本では、TSUTAYAやシップス、ビームス、エゴイストなどで導入されています。
サイズやカラー展開が豊富にアパレルブランドや、雑誌や本、漫画、CD、DVDなどを取り扱う店舗、そして、数多くの商品を管理するスーパーなどでは、一括して在庫管理ができる上に情報の書き換えも可能なRFIDのメリットを最大件に享受することができます。
当初はパレットごとにつけられていたRFIDですが、RFIDの単価が下がったことでひとつの商品にひとつのRFIDをつけて運用することが可能になりました。
つまり、在庫管理だけでなく棚卸の作業の効率化はもちろん、どの商品が棚からかごに入れられたか…や、特定の店舗のどのあたりに該当商品が陳列されているかも管理することができます。
おわりに
バブル期のような大量生産大量消費から、少量生産少量消費に消費のニーズが変わった今、”何がどこで売れているのか”を正確に把握して生産や仕入れ、管理に反映させることは極めて重要です。その反面、数多くの商品を取り扱う小売業の場合、在庫管理は容易ではありません。
いかに売れるものを生産し、効率よく販売していくか…そして、常にニーズがある定番商品の在庫切れを防止するかは、経営に必要なSCMをしていく上でも重要です。
非接触方式で一括管理できるうえに、情報の書き換えも可能なRFIDは、小売のおける在庫管理や棚卸などの作業の効率化に役立ちます。また、小売店舗では盗難防止やレジのスムーズな作業で顧客満足度にも貢献してくれるシステムです。
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