QC7つ道具とは?各手法の概要と用途について

2021.11.29物流・フルフィルメント
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事業において品質を管理することは、既存顧客の満足度を上げることはもちろん、新規顧客獲得のためにも非常に重要です。

物流業界においても、品質を保つために指標を定めてデータを定量的に分析・改善に努める動きが一般的になってきました。

品質改善の現場でよく用いられるものとして「QC7つ道具」と呼ばれるものがあります。今回はそんな「QC7つ道具」について詳しくご紹介していきます。

▼QC7つの道具とは?

「QC7つの道具」とは、品質管理(QC:Qualty Control)を行うために用いられる7つの手法のことを言います。

QC7つ道具は以下の7つです。

  • 特性要因図
  • チェックシート
  • 散布図
  • パレート図
  • グラフ(管理図を含む)
  • ヒストグラム
  • 層別

元々は上記の7つだったのですが、最近では、グラフ内に含まれていた管理図を切り出し、以下の8種類が用いられることが多いです。

  • 特性要因図
  • チェックシート
  • 散布図
  • パレート図
  • グラフ
  • 管理図
  • ヒストグラム
  • 層別

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

特性要因図の概要と用途

「特性要因図」とは、『問題になっている結果(特性)に対する要員(原因)を漏れなくあぶりだすことが出来る図・手法』です。

原因と結果の関係を整理することが出来るため、問題の原因を整理する際に用いられます。特性要因図は、その図の形から、「魚の骨(フィッシュボーンチャート)」と呼ばれることがあります。

まず、原因を分析したい問題(特性)を右端に記入し、そこに背骨を書きます。そこに4Mと呼ばれる「人」「機械」「材料」「方法」の大骨を書きます。「環境」を付け加えてもよいでしょう。

そして、4Mに付随する要因を中骨・小骨というように書いていきます。

このようにして、問題を細分化して考えることが出来ます。

チェックシートの概要と用途

「チェックシート」とは、目的とするデータを取るためのツールです。

チェックシートには大きく分けて2種類あります。1つ目が記録用チェックシートで、日常の作業や業務が正常に回っているかを記録するシートです。2つ目が調査用チェックシートで、問題の原因や状況をつかむために、状況や結果を記入して精度などを把握します。

チェックシートはまず、データを取る目的を明確にする必要があります。

次に、5W1Hを明確にします。
5W1Hとは、誰が(Who)、何を(What)、いつ(When)、どこで(Where)、どんな目的で(why)、どんな方法で(How)を指します。

そして様式に基づき、決めた5W1Hの通りにデータを記入していきます。

散布図の概要と用途

「散布図」とは、対になったデータをX軸とY軸でプロットし、そのデータに相関関係があるかを見るためのツールです。

通常、X軸が要因のデータ、Y軸が結果のデータです。相関関係を表す散布図は、主に3つの種類に分けることが出来ます。

1つ目が正の相関です。X(要因)が大きくなれば、Y(結果)も大きくなる関係のことです。

2つ目が負の相関です。これは、X(要因)が大きくなるほど、Y(結果)が小さくなる反比例的な関係のことです。

3つ目が無相関です。X(要因)が大きくなってもちいさくなっても、Y(結果)は特定の傾向を示さない関係です。

原因と結果の2つのデータにどのような関係性(関連性)があるのかを調べることが出来ます。

パレート図の概要と用途

「パレート図」とは、全体の中で大きな影響を与えるものは何かを明確化し、重要な問題は何かを判断するためのツールです。

パレート図は、パレートの法則から名ずけられたもので、8:2の法則とも呼ばれます。パレートの法則とは、上位20%のものが、80%の成果・結果を生むというものです。

横軸に品目や種類を書き、縦軸にその量などを記入することで、種類別の量や数をはかることが出来ます。

こうすることで、重要視すべき項目を明らかにし、問題解決における重点事項を調べることが出来ます。

グラフの概要と用途

「グラフ」とは、2つ以上のデータにおける関係を、視覚的に判断するためのツールです。

いくつもの種類があり、棒グラフは、数量の大小を比べます。

折れ線グラフは、横軸に時間をとったものが多く、時間の流れにおける数量などの変化をみます。

円グラフは全体における各項目が占める割合を示します。

レーダーチャート・帯グラフは、ある時期や場所における同項目のデータを並べ、比較する際に多く用いられます。

管理図の概要と用途

「管理図」は、工程が安定な状態かどうかを判断するためのツールです。

グラフに中央線、及び上限値・下限値を定め、データを分析することで、その工程が出す数値のバラツキが自然なものか、異常なものかを判断します。

上限・下限値内のデータの場合は自然発生的なバラツキの範囲ですが、上限・下限値を超えた場合に異常なデータだと認識することができます。

ヒストグラムの概要と用途

「ヒストグラム」とは、データのバラツキの状況を把握するものです。

データをいくつかの区画に分けて棒グラフにし、その形によって状況を把握します。

形には、正規分布型、離れ小島型、ふた山型などがあり、その形毎に特徴があるため状況を判断することができます。

層別の概要と用途

「層別」とは、データを5METと呼ばれる項目に分類することで、そのデータの特徴や傾向、バラツキの原因を把握することができる方法です。

5METとは、「人(Man)」「機械(Machine)」「方法(Method)」「材料(Material)」「測定方法(Measurement)」「環境(Enviroment)」「時間(Time)」を指します。

例えば、とある作業の作業時間のデータを取ったとします。そして、そのデータを男女(=人)で分けたとします。

すると、この作業は男性の方が終わる時間のバラつきが少ない、この作業は女性の方がバラつきが少ないなどを把握することが出来ます。

このように、漠然したデータを項目別に分けることで、そのデータの特徴などを見極めることが出来るのです。

おわりに

今回は、品質改善のためのツール「QC7つ道具」についてご紹介しました。

分析するデータにより、それぞれ適する分析方法が異なりますので、まずは前提条件をしっかりと決めて、最適な分析方法を活用しましょう。

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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。