リピートアップに繋がる同梱物とは?種類と役割を徹底解説

2022.06.20集客・販促
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同梱物
消費者行動のEC化率 [※] が高まる時勢で、同梱物を用いた施策が注目されています。商品お届け時の同梱物は、初回購入以降のリピート獲得や顧客満足度の向上など、多くの効果が期待できます。

しかし、ただ単に同梱物を入れれば売上が増えるわけではないため、具体的にどのような同梱物にすべきかお悩みのEC担当者の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、同梱物が果たす役割、活用するメリット、同梱物の種類や特徴、同梱物を導入する際の注意事項について解説します。

※出典:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました|METI/経済産業省

同梱物とは

同梱物とは、ECサイトなどの通販で商品を購入した際に、商品と一緒に段ボールの中に入れられている、サンクスレターやサンプル品などの印刷物や品物を指します。
メールやDMなどのアプローチとは異なるオフライン施策の一つとして、主にD2C(消費者直接取引)で取り入れられているマーケティング手法です。

同梱物による一般的な役割

同梱物を活用することで多くの効果が期待できますが、その中でも一般的な役割を、大きく3つに分けてご紹介します。

ブランド・会社へのファン化

届いた商品に納品書だけ同梱されているよりも、丁寧な挨拶状などが入っている方が、印象が良いものです。

細やかな心遣いや商品へのこだわりなどが感じられると顧客満足度が向上し、商品単品への興味だけでなく、ブランド・会社へのファン化に繋がります。

効果的な同梱物は顧客との信頼性を構築し、長期的にブランド価値を高めることに役立ちます。

購入促進

同梱物は、下記のようなリピート購入やクロスセルなどの購入促進の役割も果たします。

リピート購入の促進

初回購入時の満足度が高いと、多くの人はリピート購入を検討するでしょう。2回目以降の割引キャンペーンや、定期購入などを提案するチラシ・パンフレットを同梱することで、スムーズなリピート購入に繋がりやすくなります。

クロスセルの促進

クロスセルとは、商品の購入の際に別の商品を提案して一緒に購入してもらう営業方法です。顧客が知らなかった情報やお得なセット価格など、好みやニーズに沿った提案をすることで、ショッピングのついでに関連商品の購入を促すことができます。

クロスセルは、主に客単価や売上アップの目的で行われますが、顧客にとってのショッピング体験の向上も期待できます。

お客様の声の獲得

商品のお届けに併せて、アンケートや試供品のレビューを依頼することで、お客様の声を獲得できます。顧客の声は「VOC(Voice Of Customer)」とも呼ばれ、収集・分析を通してサービス改善や、課題・顧客ニーズの把握に繋がります。

同梱物で訴求することのメリット

同梱物で訴求することには、EC運営において多くのメリットがあります。一つずつ見ていきましょう。

開封率は100%

商品が入った段ボールを開封すれば、必然的に同梱物も目に触れることになります。そのため、開封率はほぼ100%と考えていいでしょう。

開封率の視点で他の施策と比較すると、メルマガは20%以下、DMは10~30%の開封率にとどまっています。取扱商品や業界によっても異なるものの、同梱物での訴求は、他の施策と比べて圧倒的に開封率が高いことが分かります。

出典:Email Marketing Benchmarks and Statistics for 2022 | Campaign Monitor

低コスト

商品と別にパンフレットやチラシを送付する方法と比べると、同梱することで送料・梱包材・作業のための人員にかかるコストを抑えられるというメリットがあります。

また、一度商品を購入している見込み客に対しての訴求なので、成果に繋がりやすく、無駄な営業コストも削減できます。

商品購入に伴うポジティブな感情の後押し

一般的に消費者心理では、「商品の購入検討→購入→受取」の一連の行動の中で、購入時点がもっとも満足度が高いと言われています。
商品の受取時にサンクスレター・特典・サンプル品などを同梱することで、購入したことへの満足度が増し、「買って良かった」といったポジティブな感情を後押しできます。
商品購入の体験が充実したものになると、ブランドへの好感度アップや追加の購買意欲の醸成にも繋がるでしょう。

同梱物の種類とそれぞれの役割

同梱物にはさまざまな種類があります。ここでは主な同梱物の種類と、それぞれの役割についてご紹介します。

挨拶状・サンクスレター

商品を購入してくれたことへの感謝の気持ちを伝えるのが、挨拶状・サンクスレターです。納品書のみでは事務的な印象を与えがちですが、丁寧な挨拶状を同梱することで、1対1のコミュニケーションとしてあたたかみを感じてもらいやすくなります。
また、挨拶状・サンクスレターには感謝の気持ちを伝えるだけでなく、購入した商品を放置されないように、今すぐ使用してみることを促す役割もあります。

ブランドコンセプトブック

ブランドコンセプトブックは、ものづくりの理念やブランドストーリーを伝えるための冊子やカタログです。
他ではなくこの商品・ブランドを選ぶべき理由や、共感を呼ぶエピソードなどを掲載することで、印象に残りやすくなります。文章だけでなく、画像やイラストなどを取り入れて視覚的に伝わりやすいように工夫することがポイントです。

使用方法、イメージの紹介

商品購入時に、使用方法やどのような効果・性能の商品であるかは確認してはいるものの、手元に商品が届くころには内容を忘れている可能性もあります。
使用方法やイメージを紹介するパンフレットを同梱することで、購入時の良いイメージを再度伝え、思い出してもらう役割があります。また、正しく使ってもらうことで効果・性能を感じやすくなるため、わかりやすく伝える工夫が必要です。

VOC(お客様の声)の紹介

はじめて購入した商品を使用する時には、口コミや評判を参考にしたいものですよね。既存客の感想やレビューなど、VOC(お客様の声)を紹介することで安心感を与える効果があります。
同じような悩みを抱えている人の口コミの方が共感・イメージしやすくなるため、商品の購買層に沿ったVOCをピックアップして紹介すると良いでしょう。

サンプル商品、特典品

商品の開封時は、新商品や関連商品を訴求できるチャンスでもあります。サンプル商品、特典品を同梱することで、他の商品への購買意欲の醸成に繋がります。

クーポン券

クーポン券には、特別感や限定感を与える効果があります。初回購入時や継続時に、「○○円割引クーポン」「誕生日お祝い割引チケット」などの継続特典クーポンを同梱し、リピート購入に繋げましょう。

単品通販の場合:定期購入プランをお勧めするコンテンツ

一つの商品に絞って販売を行う単品通販の場合、リピートに繋げるために、定期購入プランをお勧めするコンテンツを同梱する必要があります。

定期購入のメリットや、ロイヤル顧客となることで得られるベネフィットを伝えるチラシなどを同梱し、LTV(顧客生涯価値)の上昇を目指しましょう。

クロスセルのためのチラシ、商品パンフレット

今回購入した商品とは別の商品のチラシ、パンフレットを同梱することで、クロスセルの効果が期待できます。

関連性の低い商品の紹介をすることや、内容がわかりにくい場合には、抵抗感を与える可能性もあります。顧客ニーズに沿った、わかりやすいチラシやパンフレットにすることを心がけましょう。

キャンペーン情報

キャンペーン情報を伝えるための同梱のチラシには、すぐに行動に移してもらうためにアクションを促す役割があります。キャンペーン情報を掲載する際には、次のポイントを押さえると良いでしょう。

  • 限定性を伝える:「先着○○名」「○○個限定」など
  • 希少性を伝える:「特別価格○○%OFF」「定期購入で初回○○円」など
  • 緊急性を伝える:「〇月〇日まで有効」など

アンケート(商品、レビューとしての掲載可否)

ユーザーがどのように感じているかを知りたい場合には、アンケートが役立つでしょう。例えば、返信用ハガキ、WebサイトのアンケートページへアクセスするためのQRコード、URLがかかれたチラシなどを同梱する方法があります。

「レビューを書くと○○%割引」「ポイント付与」など、アンケートへの参加率を高めるための工夫も必要です。アンケートを集める際には、レビューとして掲載して大丈夫か、掲載可否も確認するようにしましょう。

同梱物を使用する際の注意事項

同梱物を使用する際には、次の注意事項に気をつけてください。

同梱物は過剰に入れすぎない

同梱物が顧客満足度向上に役立つからといって、多すぎると不快感にも繋がりかねません。結果的に顧客離れしてしまうことを避けるためにも、同梱物は最小限に押さえ、過剰に入れすぎないように注意しましょう。

制作コストの増加

制作にこだわりをもつことも大切ですが、コストのかけすぎには注意しましょう。期待できる利益以上に制作コストが増えると、売上に悪影響も与える可能性もあるため、ECサイトの規模やビジネスの成長に即した施策であることが重要です。

作業コストの増加

同梱するための作業工数が多いと、作業にあたる人員のコストが増えます。ブランドイメージを伝えるためにも丁寧な作業は必須ですが、過剰な作業コストがかからないよう作業効率にも配慮しましょう。

作業ミスの増加

複雑な作業を要する場合や、スタッフ一人当たりの作業量が多い場合、人的ミスに繋がる可能性があります。事業規模や、同梱物の施策で期待できる効果に適した人員の配置にすることも大切です。

物流アウトソーシング業者での対応有無の確認

EC運営に物流アウトソーシング業者を利用している、もしくはこれから導入しようと検討中の場合は、業者が同梱物に対応しているかどうかも確認しましょう。

発送代行は、発送に関わる一連の業務を代行してくれるサービスです。物流のプロが対応してくれるため、変化に合わせた質の高いEC物流を実現できます。

モール独自の規約の確認

大手ECモールでは、独自の規約に反する同梱物は入れられないなどの決まりがあります。理由は、同梱物に誘導されてモールから離脱することを防ぐためです。
また、同梱物への外部サイトのURLの掲載が禁止されているケースもあるため、ECモール利用の際には、禁止事項を確認するようにしましょう。
なお、ECモールの楽天市場では、楽天店舗のURLを併記することが必須条件ではあるものの、同梱物での自社サイト紹介への規制が緩和されつつあります。

おわりに

ここまで、同梱物の役割や活用するメリット、同梱物の種類や特徴、同梱物を導入する際の注意事項について解説してきました。
EC運営における同梱物の施策では、顧客のファン化やリピート購入の促進、お客様の声の獲得など、低コストでありながら高い効果が期待できます。
同梱物にはさまざまな種類とそれぞれの役割があるため、目的に沿った同梱物を導入し、リピートアップに繋げましょう。
弊社運営サービスのウルロジでは、EC通販の発送・物流代行を行っています。梱包作業はもちろんのこと、チラシの同梱にも対応しておりますので、物流業務の削減をお考えの方はぜひ一度ご相談ください。

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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。