同梱物とは?ECでのメリットや実態調査からわかった効果の高い同梱物も紹介
2024.10.22集客・販促
消費者行動のEC化率 [※] が高まる時勢において、同梱物を活用した施策が注目されています。商品お届け時の同梱物は、初回購入後のリピート獲得や顧客満足度の向上など、多くの効果が期待できます。
※出典:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました|METI/経済産業省
しかし、単に同梱物を入れるだけでは売上が増えるわけではないため、具体的にどのような同梱物にすべきかお悩みのEC担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は同梱物に焦点をあて、重要な理由、役割、活用メリット、種類などについて解説します。同梱物を用いた施策を検討している方は参考にしてください。
自社ECの発送業務、特に同梱物の準備や発送にお悩みの事業者様は、発送代行サービスを活用することで、同梱物の管理やカスタマイズもスムーズに行えるため、おすすめです。
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目次
同梱物とは
同梱物とは、ECサイトなどの通販で商品を購入した際に、商品と一緒に段ボールに同梱されているサンクスレターやサンプル品などの印刷物や品物を指します。
メールやDMなどのオンラインアプローチとは異なるオフライン施策の一つとして、主にD2C(消費者直接取引)で取り入れられているマーケティング手法です。
同梱物が重要な理由
同梱物は、EC事業者様が消費者に直接アプローチできる施策です。目的にあわせた同梱物を設定することで、顧客満足度を高めたり、リピーターを獲得したりできます。必ず開封されるため、消費者に伝えたい情報を届けられる点もポイントです。
ただし、消費者の気持ちを無視して同梱物を設定すると、印象に残らなかったり、悪い印象を与えたりする恐れがあります。
ちなみに、弊社が実施した「同梱物に対する消費者実態調査(対象:ECで月に1回以上買い物をする20~60歳の男女500名)」で、同梱物を受け取ったことがある方のうち62.6%が「同梱物でポジティブなイメージに変わったことがある」と回答しています。「ネガティブなイメージに変わったことがある」と回答した方の割合は6.8%、「イメージが変わったことはない」と回答した方の割合は30.5%です。
弊社の調査から、企業や商品のイメージアップに同梱物が有効な手段であることが明らかになりました。積極的に実施するべき施策といえるでしょう。
弊社で行った「同梱物に対する消費者実態調査」は、以下のページからダウンロードできます。調査結果の詳細は、こちらでご確認ください。
同梱物の一般的な役割
同梱物を活用することで多くの効果が期待できますが、その中でも一般的な役割を、大きく3つに分けてご紹介します。
ブランド・会社へのファン化
届いた商品に納品書だけが同梱されているのではなく、丁寧な挨拶状などが入っている方がより良い印象を与えます。
細やかな心遣いや商品へのこだわりが感じられると顧客満足度が向上し、商品単品への興味だけでなく、ブランド・会社へのファン化に繋がります。効果的な同梱物は顧客との信頼性を構築し、長期的にブランド価値を高めることに役立ちます。
購入促進
同梱物は、下記のようなリピート購入やクロスセルなどの購入促進の役割も果たします。
リピート購入の促進
初回購入時の満足度が高いと、多くの人はリピート購入を検討するでしょう。2回目以降の割引キャンペーンや、定期購入などを提案するチラシ・パンフレットを同梱することで、スムーズなリピート購入に繋がりやすくなります。
クロスセルの促進
クロスセルとは、商品の購入の際に別の商品を提案して一緒に購入してもらう営業方法です。顧客が知らなかった情報やお得なセット価格など、好みやニーズに沿った提案をすることで、ショッピングのついでに関連商品の購入を促すことができます。
クロスセルは、主に客単価や売上アップの目的で行われますが、顧客にとってのショッピング体験の向上も期待できます。
お客様の声の獲得
商品のお届けに併せて、アンケートや試供品のレビューを依頼することで、お客様の声を獲得できます。顧客の声は「VOC(Voice Of Customer)」とも呼ばれ、収集・分析を通してサービス改善や、課題・顧客ニーズの把握に繋がります。
同梱物で訴求することのメリット
同梱物で訴求することには、EC運営において多くのメリットがあります。一つずつ見ていきましょう。
開封率はほぼ100%
商品が入った段ボールを開封すれば、必然的に同梱物も目に触れることになります。そのため、開封率はほぼ100%と考えていいでしょう。
開封率の観点から他の施策と比較すると、メルマガは20%以下、DMは10~30%の開封率にとどまっています。取扱商品や業界によっても異なるものの、同梱物での訴求は、他の施策と比べて圧倒的に開封率が高いことがわかります。
出典:Email Marketing Benchmarks and Statistics for 2022 | Campaign Monitor
低コスト
商品と別にパンフレットやチラシを送付する方法と比べると、同梱することで送料・梱包材・作業のための人員にかかるコストを抑えられるというメリットがあります。
また、一度商品を購入している見込み客に対しての訴求なので、成果に繋がりやすく、無駄な営業コストを削減できます。
商品購入に伴うポジティブな感情を後押し
一般的に消費者心理では、「商品の購入検討→購入→受取」の一連の行動の中で、購入時点がもっとも満足度が高いと言われています。商品の受取時に、サンクスレターや特典、サンプル品などを同梱することで、購入したことへの満足度が増し、「買って良かった」といったポジティブな感情を後押しできます。
商品購入の体験が充実したものになると、ブランドへの好感度アップや追加の購買意欲の醸成にも繋がるでしょう。
同梱物の種類とそれぞれの役割
同梱物にはさまざまな種類があります。ここでは主な同梱物の種類と、それぞれの役割についてご紹介します。
挨拶状・サンクスレター
商品を購入してくれたことへの感謝の気持ちを伝えるのが、挨拶状・サンクスレターです。納品書のみでは事務的な印象を与えがちですが、丁寧な挨拶状を同梱することで、1対1のコミュニケーションとしてあたたかみを感じてもらいやすくなります。
また、挨拶状・サンクスレターには感謝の気持ちを伝えるだけでなく、購入した商品を放置されないように、今すぐ使用してもらうことを促す役割もあります。
ブランドコンセプトブック
ブランドコンセプトブックは、ものづくりの理念やブランドストーリーを伝えるための冊子やカタログです。他ではなくこの商品・ブランドを選ぶべき理由や、共感を呼ぶエピソードなどを掲載することで、印象に残りやすくなります。
文章だけでなく、画像やイラストなどを取り入れて視覚的に伝わりやすいように工夫することがポイントです。
使用方法、イメージの紹介
商品購入時に、使用方法やどのような効果・性能の商品であるかは確認してはいるものの、手元に商品が届く頃には内容を忘れてしまっている可能性もあります。
使用方法やイメージを紹介するパンフレットを同梱することで、購入時の良いイメージを再度伝え、思い出してもらう役割があります。また、正しく使ってもらうことで効果や性能を実感しやすくなるため、わかりやすく伝える工夫が必要です。
VOC(お客様の声)の紹介
はじめて購入した商品を使用する時には、口コミや評判を参考にしたいものですよね。既存客の感想やレビューなど、VOC(お客様の声)を紹介することで安心感を与える効果があります。
同じような悩みを抱えている人の口コミの方が共感しやすく、イメージも湧きやすくなるため、商品の購買層に沿ったVOCをピックアップして紹介すると良いでしょう。
サンプル商品、特典品
商品の開封時は、新商品や関連商品を訴求できるチャンスでもあります。サンプル商品、特典品を同梱することで、他の商品への購買意欲の醸成に繋がります。
クーポン券
クーポン券には、特別感や限定感を与える効果があります。初回購入時や継続購入時に、「○○円割引クーポン」「誕生日お祝い割引チケット」などの継続特典クーポンを同梱し、リピート購入に繋げましょう。
単品通販の場合:定期購入プランをお勧めするコンテンツ
一つの商品に絞って販売を行う単品通販の場合、リピートに繋げるために、定期購入プランをお勧めするコンテンツを同梱する必要があります。
定期購入のメリットや、ロイヤル顧客となることで得られる特典を伝えるチラシなどを同梱し、LTV(顧客生涯価値)の向上を目指しましょう。
クロスセルのためのチラシ、商品パンフレット
今回購入した商品とは別の商品のチラシ、パンフレットを同梱することで、クロスセルの効果が期待できます。
関連性の低い商品の紹介や、内容がわかりにくい場合は、抵抗感を与える可能性もあります。顧客ニーズに沿った、わかりやすいチラシやパンフレットにすることを心がけましょう。
キャンペーン情報
キャンペーン情報を伝えるための同梱のチラシには、すぐに行動に移してもらうためにアクションを促す役割があります。キャンペーン情報を掲載する際には、次のポイントを押さえると良いでしょう。
- 限定性を伝える:「先着○○名」「○○個限定」など
- 希少性を伝える:「特別価格○○%OFF」「定期購入で初回○○円」など
- 緊急性を伝える:「〇月〇日まで有効」など
アンケート(商品、レビューとしての掲載可否)
ユーザーがどのように感じているかを知りたい場合には、アンケートが役立つでしょう。例えば、返信用ハガキ、WebサイトのアンケートページへアクセスするためのQRコードやURLが書かれたチラシなどを同梱する方法があります。
「レビューを書くと○○%割引」「ポイント付与」など、アンケートへの参加率を高めるための工夫も必要です。アンケートを集める際には、レビューとして掲載して良いかどうか、掲載の可否も確認するようにしましょう。
消費者調査から分かる同梱物の印象
同梱物の内容で、消費者に与える印象は異なります。ここでは弊社が実施した「同梱物に対する消費者実態調査」の結果をもとに、消費者がポジティブな気持ちになる同梱物、消費者がネガティブな気持ちになる同梱物を紹介します。
ユーザーがポジティブな気持ちになる同梱
「次も買いたい」気持ちになると回答された同梱物のトップ3は以下の通りです。
【ポジティブな気持ちになる同梱物】
- 割引クーポン(56.8%)
- 挨拶状・お礼の手紙(43.6%)
- 新商品・関連商品のサンプル(36.6%)
消費者にメリットがある同梱物が人気を集めています。割引クーポンは、LTV向上施策として有効といえるでしょう。LTV(顧客生涯価値)は、ある消費者が自社と取引を開始してから終了するまでの間にもたらす利益の総額です。EC事業者様に多少のコスト負担は生じますが、消費者をリピーター化して利益の総額を大きくできる可能性があります。
挨拶状・お礼の手紙は、消費者との信頼関係構築に有効です。内容にこだわれば、高い効果を期待できます。大きな費用をかけずに取り組める点も魅力です。
ユーザーがネガティブな気持ちになる同梱物
消費者の購買意欲を削ぎやすい同梱物もあります。弊社の調査によると、ネガティブな気持ちになった同梱物のトップ3は次の通りです。
【ネガティブな気持ちになる同梱物】
- アンケート(25.2%)
- チラシ・パンフレット(18.8%)
- お客様の声や口コミのピックアップ(17.8%)
EC事業者の都合で同梱しているものが多いと言えます。自社ECの都合を優先すると、悪い印象を与える恐れがあるため注意が必要です。アンケートの回答者にクーポンを送付するなど、消費者がメリットを感じられる施策を組み合わせると、印象を改善できる可能性があります。
同梱物の印象について詳しく知りたい方は、以下のページも参考にしてください。
>>ECで同梱物を活用するポイント!消費者調査でわかった次も買いたくなる同梱物ランキングも紹介
「同梱物に対する消費者実態調査」は、以下のページからダウンロードできます。
同梱物を上手に活用するポイント
同梱物に期待できる効果は、活用方法によって異なります。ポジティブな印象を与えられることもあれば、ネガティブな印象を与えてしまうこともあります。ここでは、上手に活用するためのポイントを紹介します。
状況に応じて同梱物を設定する
消費者の状況に応じて同梱物を設定することが大切です。同じ同梱物が、常に同じ効果を発揮するわけではありません。
例えば、アイテムAの関連商品であるアイテムBの商品サンプルがあったとします。アイテムAを購入した方に、アイテムBの商品サンプルを同梱すると、購買意欲を高められるケースが多いでしょう。一方で、アイテムAと無関係のアイテムCを購入した方に、アイテムBの商品サンプルを送ると、邪魔になると評価される恐れがあります。
同じく、目的に合わせて同梱物を選定することも大切です。顧客満足度を高めたい場合と商品を宣伝したい場合で、適した同梱物は異なります。目的によっても、同梱物を使い分ける必要があります。
品質や費用をチェックする
同梱物の制作、封入にはコストがかかります。一般的に、費用対効果の高い施策と考えられていますが、コストをかけずに行えるわけではありません。かかる費用と期待できる効果を評価してから実施することが大切です。
ただし、コストを抑えすぎることもおすすめできません。同梱物や梱包の品質が悪化すると、顧客満足度の低下につながる恐れがあるためです。予算に余裕がない場合は、手書きの挨拶状やお礼状を同梱するのもよい方法です。コストを抑えつつ、信頼関係を構築できる可能性があります。
検証と改善を行う
定期的な効果の検証と検証結果に基づく改善も欠かせません。これらの取り組みを怠ると、同梱物を漫然と活用し続けることになります。検証方法は、同梱物の目的によって異なります。例えば、割引クーポンであれば「リピート率が高まっているか」が評価のポイントになるでしょう。施策を実施する前に、目的と目標を設定しておくと検証しやすくなります。
結果が目標に達していない場合は、原因を究明して改善に取り組みます。とはいえ、たったひとつの原因を、常に見極められるわけではありません。仮説を立てながら、検証と改善を繰り返していくことが重要です。これらの取り組みにより、施策の精度を高められます。
同梱物を使用する際の注意事項
同梱物を使用する際には、次の注意事項に気をつけてください。
同梱物を過剰に入れない
同梱物が顧客満足度向上に役立つからといって、多すぎると不快感にも繋がりかねません。結果的に顧客離れしてしまうことを避けるためにも、同梱物は最小限に押さえ、過剰に入れすぎないように注意しましょう。
制作コストの増加
制作にこだわりをもつことも大切ですが、コストのかけすぎには注意しましょう。期待できる利益以上に制作コストが増えると、売上に悪影響を与える可能性があるため、ECサイトの規模やビジネスの成長に即した施策であることが重要です。
作業コストの増加
同梱作業の工数が多いと、作業にあたる人員のコストが増えます。ブランドイメージを伝えるためにも丁寧な作業は必須ですが、過剰な作業コストがかからないよう、作業効率に配慮しましょう。
作業ミスの増加
複雑な作業を要する場合や、スタッフ一人当たりの作業量が多い場合、人的ミスが発生する可能性があります。事業規模や同梱物の施策に見合った人員の配置が大切です。
物流アウトソーシング業者での対応有無の確認
EC運営に物流アウトソーシング業者を利用している、もしくはこれから導入しようと検討中の場合は、業者が同梱物に対応しているかどうかも確認しましょう。
発送代行は、発送に関わる一連の業務を代行してくれるサービスです。物流のプロが対応してくれるため、変化に合わせた質の高いEC物流を実現できます。
モールの独自規約の確認
大手ECモールでは、独自の規約に反する同梱物は入れられないなどの決まりがあります。これは、同梱物に誘導されてモールから離脱することを防ぐためです。また、同梱物への外部サイトのURLの掲載が禁止されているケースもあるため、ECモール利用の際には、禁止事項を確認するようにしましょう。
なお、ECモールの楽天市場では、楽天店舗のURLを併記することが必須条件ではあるものの、同梱物での自社サイト紹介への規制が緩和されつつあります。
目的に沿ったカスタマイズを行い同梱物の効果を最大化しよう
ここまで、同梱物の役割やその活用によるメリット、同梱物の種類や特徴、同梱物を導入する際の注意事項について解説してきました。EC運営における同梱物の施策では、顧客のファン化やリピート購入の促進やお客様の声の獲得など、低コストでありながら高い効果が期待できます。同梱物にはさまざまな種類とそれぞれの役割があるため、目的に沿った同梱物を導入し、リピート購入の向上に繋げましょう。
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