EC物流とは?業務内容や課題・改善点を詳しく解説

2023.11.27物流・フルフィルメント
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EC物流とは?業務内容や課題・改善点を詳しく解説
「EC物流の具体的な内容を教えてほしい」
「EC物流における課題と改善方法を理解したい」

このような悩みを抱えている担当者は少なくありません。EC物流はEC事業に関連する物流業務です。具体的には入荷・保管・出荷・配送などで構成されており、配送先が多いことからヒューマンエラーが起こりやすいなどの課題があります。

ここではEC物流の概要を解説するとともに、直面しやすい課題やその改善方法などを紹介しています。EC物流を効率化したい方は参考にしてください。

EC物流とは?

EC物流とは?
EC物流とは、商品を仕入れてから購入者に届けるまでの一連のプロセスのことです。ECとは「Electronic Commerce」の頭文字を取ったものであり、日本語では「電子商取引」を意味します。インターネットでの商取引に伴う商品の流れを指す言葉です。

物流工程については、ECサイト運営者が自社倉庫、もしくは外部委託をしている物流倉庫にて「商品の入庫、検品、棚入れ・保管作業、受注後のピッキング、流通加工、梱包・出庫作業、返品対応」といった流れで行われるのが一般的です。

EC物流はBtoC間の商取引が多く、商品の量は比較的少ないが配送先が多岐にわたるのが特徴です。また通販サイトと呼ばれる楽天市場やAmazon等のECサイトを利用して商品を購入した際に、消費者の手元に商品が届くまでの一連の流れがEC物流です。

EC物流の概要

EC物流は新型コロナウイルス禍で市場拡大の一途を辿っています。自宅にいながらECサイトで商品を購入でき、最近では置き配の普及もあって荷物が届くのを待つストレスも減りました。

EC物流の特徴はBtoCの物流業務であることです。個人客に向けて届けるため、業務用と異なり、ギフト用であればラッピングが必要であったり、チラシやクーポンの同梱が多いのが特徴です。

さらに、一つの品目の購入量は少ない一方で品目自体は多種多様であり、これを多くの顧客に届ける必要があります。これはいわば、少量多品目多配送を特徴とする物流スタイルであり、物流センターには間違いのない効率的なオペレーションが求められます。

EC物流の特徴

EC物流の特徴
ここからは、EC物流の特徴をさらに詳しく解説します。押さえておきたいポイントは以下の5点です。

1回あたりの配送数が少ない

EC物流は、1回あたりの出荷点数が少ないといえます。一般消費者に向けて商品を配送するケースが多いためです。したがって、1商品あたりの在庫は、それほど積まなくてよい傾向があります。この特徴を生かして品数を増やすと、幅広いニーズに応えやすくなります。ただし、品数が増えると商品管理に手間がかかるうえ、売れ残りリスクも出てきます。これらの点には特に注意が必要です。

配送先が多い

一般消費者を主な対象とするため、配送先は多くなる傾向があります。EC物流は、配送の手間とコストがかかりやすいといえるかもしれません。売り上げ規模が大きくなる場合は、対応できる体制を整えておく必要があります。EC物流でアウトソーシングサービスが広く活用されている主な理由といえるでしょう。

同梱やラッピングなどが重要

一般消費者向けの配送が多いため、同梱やラッピングといったサービスへの需要が増えます。これらに対応できない場合、自社ECの評価が低くなったり自社ECの利用を敬遠されたりする恐れがあります。個別対応は、EC物流における重要な取り組みです。

返品が起こりやすい

EC物流では返品が多く発生する傾向があります。ECで購入する場合、商品を実際に確認できないためです。お届け後「期待していたものと違った」などの理由で返品されるケースは少なくありません。このような要望にスムーズに対応することもEC物流では求められます。

スピード配送が重要

スピーディーな配送を求められることもEC物流の特徴です。配送に時間がかかると、自社ECの利用を避けられることがあります。配送スピードは、消費者が重視する比較ポイントのひとつといえるでしょう。したがって、自社でEC物流に対応する場合、効率的な受注処理や在庫管理の確立、配送パートナーとの連携強化などを図らなければなりません。

EC物流の基本的な業務の流れ

EC物流の基本的な業務の流れ
ミスのないEC物流を実現するためには厳密な工程管理が不可欠です。どのような手順で行われるのかご紹介します。

1.入荷

EC物流の入荷作業で重要なのは、多品目をもれなくチェックすることです。ここでミスがあると以降の業務フローが全て崩れるので正確に行う必要があります。

-入荷検品

商品の販売者である企業や店舗から届いた商品を、伝票と照らし合わせ検品します。数量、規格などが正しいか確認します。

-入荷報告

購買担当者に検品した内容を報告します。何か問題があれば購買担当者から販売者に確認が入ります。

2.保管

保管は出荷時のミスや時間のロスを防ぐための重要な工程です。ここで保管のルールが守られていなかったり、適切な管理がされていないと、トラブルの元になります。

-在庫管理

入荷した商品はルールに則って棚入れを行います。商品が入っている場所が出荷時に一目でわかるように配置しなければなりません。また、商品の性質によって高温多湿や冷暗な場所を避けなければいけないこともあります。

-棚卸

定めたタイミングで在庫の数や品目があっているかどうか一斉にチェックします。

3.出荷/配送

EC物流の出荷配送時はBtoC向けのため対応することが多いです。通常であれば販売者が行う内容を代行するフローがあります。

-ピッキング

受注が入ったら倉庫で保管している商品を取り出します。ピッキングにあたっては効率良い動線と正確な保管状況が不可欠です。EC物流での注文は少量多品目のケースが多いため、多数の商品を正確にピックアップするのにいかに時間を短縮できるかが人件費や管理コストを下げることにつながります。

-梱包

EC物流の梱包は様々なカスタム業務があります。販売者の求めに応じて同梱しないといけないものがあるため、漏れなく行うことが必要です。

-納品書・送付状発行、同梱

納品書を発行します。また、メッセージカードやギフトラッピングなどが必要な場合もあるため、指定された内容を間違いなく行います。他にもショップのギフト券やチラシなど必要なものをセットして同梱します。

EC物流の起こりうる3つの課題

EC物流の起こりうる3つの課題
EC物流ではBtoBの物流や既存の宅配便サービスとは違う課題があります。業務規模が肥大化し、管理が大変になりがちです。具体的にどのような課題があるのでしょう。

【課題1】工数が多くヒューマンエラーが起こりやすい

従来の物流に比べ、販売者から入荷した多品目の製品を保管すること、それに伴う検品や棚卸し、梱包の際の手間など、非常に工数が多いのがEC物流の特徴です。人が介入する工数が増えれば増えるほどヒューマンエラーの原因となります。

【課題2】受注から出荷までの時間的コストがかかる

EC物流で特に工数が増えるのが受注から出荷までです。工数が増えれば自然と時間もかかり出荷も遅れます。スタッフが一案件の商品の発送に関わる時間が長くなれば、コストも増大します。

【課題3】出荷個数が増えた際に負担が大きくなる

EC物流の特徴は多品目少量であるため、BtoBの物流に比べてそもそものコストが高いです。さらに、時期等によって出荷個数が増えた際は、スタッフの人件費や労力が増大します。

EC物流の課題を解決する3つのポイント

EC物流の課題を解決する3つのポイント

EC物流の課題はコスト削減や工程の最適化をいかに成し遂げるかです。以下の3つのポイントから課題解決を行いましょう。

【ポイント1】現状のフェーズから業務内容を見直し、また近い将来のフェーズで必要な業務を検討しておく

まずは現在頻発しているトラブルやコストがかかっている工程があれば、どのような問題があるのか洗い出しましょう。何かボトルネックが必ずあるはずです。EC物流は基本的に定めた業務フローに乗っかり自動で進みますので、トラブルが起こるということはそれ以前の工程に問題があるか、業務フロー自体が適切でない可能性があります。

さらに将来的に発生しうるニーズや課題があればそれを踏まえて、業務を検討することも必要です。テクノロジーや社会の進化に対応できるように、入れ替えやアレンジができない業務体制は改善していく必要があります。

【ポイント2】倉庫管理システム(WMS)の導入により業務を簡略化し正確性を上げる

WMS(Warehouse Management System)は、クラウド上で入荷から出荷までの物流業務を簡略化し正確さを向上させるシステムです。イメージとしてはこれまで人力で行っていた各業務をハンディの読み取り機器を使用し、正確かつスピーディーに行います。

また読み取ったデータは全てクラウドに転送され、管理担当者はリアルタイムの商品状況を確認可能です。帳票類や発送ラベルなども全てPC上から出力できます。

【ポイント3】物流業務のアウトソーシングサービスを利用する

これらの専門的なEC物流を構築するのはコストも時間もかかります。そのため、物流業務のアウトソーシングを利用し、自社から手離れしてしまうのも一つの手段です。本来集中すべき企業活動に注力できます。

物流アウトソーシング(物流代行)するメリット

物流アウトソーシング(物流代行)するメリット
物流業務をアウトソーシングするのは単なる業務効率化にとどまらないメリットがあります。企業の価値を高め競争力を生み出すことにつながるのです。

リソースを確保することが可能

EC物流の運営には、人、設備、ノウハウが必要です。これを全て自社で賄い平常運行できるまで持ってくるのは多大なコストと時間がかかります。アウトソーシングをすることで全てが揃った状態になるため、EC物流の運用をスムーズに開始することが可能です。

顧客満足度向上につながる

アウトソーシングをすることで企業が本来集中すべき顧客満足度向上のための活動に注力できます。また、EC物流に付加価値をつけるという意味でいえば、梱包のクオリティや発送のスピードなど、自社で行ったのでは難しい専門性もアウトソーシングなら実現可能です。

販促キャンペーンなどの需要増(波動)にも対応できる

各モールで開催される年に数回行う大型の販促キャンペーンや、メディア・SNSで一時的に商品の注目度がアップした場合、急激に需要が増加すること(波動)があります。自社物流ではこのような場合、社内のリソースを確保したり、短期アルバイトを募集するなどその場しのぎで対応するしかありません。

一時的でも対応ができればまだいいのですが、結果的に物流品質に問題が生じてトラブルやクレームが発生してしまう場合も多々あります。

コストダウンができる

アウトソーシングすることでコストダウンが可能です。人件費、設備費など自社で投資する必要はありませんし、多くの企業のEC物流を担当している物流センターにアウトソーシングをすることで、単価も抑えられます。

日々の業務を行う専門知識を持ったスタッフが需要増にも適切に対応し、平常時と同じサービスの質を維持しながら消費者の注文に応えられるので安心です。

おわりに

アウトソーシング
EC物流を専門性の高い物流センターにアウトソーシングすることで、本来あまりコストをかけたくないバックヤード業務から開放されます。

本来は自社で行いたいという考えがあるかもしれませんが、物流代行サービス事業社は、たくさんの代行案件に対応をするため、最新の物流設備を導入したり、常に高品質な物流を実現できる状態を持続しています。また、物流代行業者はEC業界のトレンドや最新の販促情報にも精通しており、御社に適した最適な解決策を提案してくれるため、自社の収益を上げるための活動に集中できる環境も整えることができます。

タグ : ECモール EC物流初心者向け ECお役立ち情報 EC運用 業務効率化
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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。