物流倉庫移転は不安だらけ?スケジュールやタイミングを徹底解説

2023.05.22物流・フルフィルメント
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物流倉庫移転は不安だらけ?スケジュールやタイミングを徹底解説
物流倉庫を移転したくても、何から手をつけたら良いのかわからないと悩んでいる方はいませんか?

物流倉庫移転を準備不足のまま始めてしまうと、思わぬトラブルが発生し、顧客に迷惑をかけてしまう原因にもなりかねません。

そこで本記事では、物流倉庫移転のスケジュールやタイミングについて紹介します。

物流倉庫移転のスケジュール

物流倉庫移転は約3ヵ月前から準備を始める必要があります。新たな委託先との契約やシステム設計、在庫移動など多くの作業を要するためです。

とくに1ヵ月前からは忙しくなります。倉庫管理システム(WMS)の初期設定に約2週間、商品入荷処理に約2週間かかるためです。言い換えると、商品入庫から約1~2週間で基本稼働が可能です。

このように物流倉庫移転を円滑に完了するためには、スケジュール管理が重要になります。そこで、ここからは移転の流れについて詳しく解説します。

倉庫移転の流れ

倉庫移転の流れは以下のとおりです。

  • 契約
  • 運用ルール設計
  • システム設計・設定
  • 在庫移動
  • 新しい物流倉庫での稼働開始

各ステップですべきことや注意点について解説します。

契約

物流倉庫移転の1つ目のステップは契約についてです。契約のステップでは、新たな物流倉庫との契約だけではなく、既存の物流倉庫の解約手続きをします。

新しい物流倉庫

新しい物流倉庫と業務委託契約を締結します。スケジュールの目安として、移転3ヵ月前には契約を済ませましょう。

既存の物流倉庫

既存の物流倉庫は解約手続きをしますが、契約期限日に注意してください。なぜなら契約内容によっては、違約金が発生することもあるためです。「いつまでに手続きをすれば、更新前に解約できるのか」を事前に確認しておきましょう。

また解約手続きでは、在庫商品の移管準備の連絡や出庫に関する費用の確認もしてください。

運用ルール設計

運用ルールの設計では、既存倉庫での運用方法を新規倉庫へ共有します。そのうえで、「既存の運用ルールをそのまま適用すれば良いのか」や「改善できることはないか」など、新規倉庫の担当者と打ち合わせをします。

具体的には以下の作業についてです。

  • 入庫
  • 梱包
  • 付帯作業
  • 同梱
  • 返品

ここでは、これらの作業の運用ルールを細かく設定することがポイントとなります。

システム設計・設定

物流倉庫とスムーズに連携するために、倉庫管理システムを利用することは珍しくありません。そのため、物流倉庫移転ではシステムに関する設計・設定で、ECサイト側・倉庫側のそれぞれで準備が必要です。

ECサイト(カート/モール/受注管理システム)

ECサイト側では、連携するのに必要なデータを準備できるかをチェックします。例えば、商品情報や出荷指示データなどです。倉庫管理システムに合わせて、必要なデータを送信できるように、システムの改修が必要になるケースもあります。

倉庫管理システム(WMS)

倉庫側の準備は、ECサイトの要望に応えるために倉庫管理システムを設定することです。例えば、「チラシを同梱したい」や「ギフトラッピングに対応したい」などです。場合によっては、倉庫管理システムの改修が必要なこともあります。

在庫移動

在庫移動は既存倉庫から新規倉庫へ在庫を移動することですが、指定日にすべての在庫を移動する方法では費用が高くなってしまいます。そこで、まずは以下の2点を設定して既存倉庫の在庫量を減らしましょう。

  • 既存倉庫の入庫をいつまでにするのか
  • 新規倉庫への入庫開始日をいつにするのか

このように、在庫移動前に入庫を既存倉庫から新規倉庫へ切り替えることで、最小限の在庫移動で済みます。

また既存倉庫から新規倉庫へ移動する際、梱包の仕方によっては想定以上の時間がかかる場合もあります。このようなトラブルを避けるためにも、既存倉庫・新規倉庫・自社で「在庫量」「梱包方法」について確認しておきましょう。

新しい物流倉庫での稼働開始

システム設計や在庫移動を完了すると、すぐにでも新しい物流倉庫で稼働ができると思うかもしれません。しかし、いきなり稼働してしまうとデータ連携の不備がでたり、伝票がうまく印刷されなかったりなどトラブルがでる可能性もあります。

そのためテスト注文を行い、ECサイトとのデータ連携に不備がないかの確認が必要です。テスト注文で問題がないことを十分に確認できれば、新規倉庫の稼働開始となります。

その他:代引き・後払いに関する各種調整

上記のステップ以外にECサイトの支払い方法によって、関係する各社との調整が必要なケースもあります。具体的には代引きと後払いの場合です。これら2つの各種調整について紹介します。

代引き

代引きは、ヤマト運輸や佐川急便などの配送会社が配送時に代金を回収する方法のことです。商品到着時に代金を支払えるため、顧客が安心して取引できる支払い方法です。代引きの場合、物流倉庫を移転すると出荷元が変わるため、担当の配送会社と各種調整が必要になります。支払い方法に代引きが含まれる場合は、委託している配送会社と事前に調整を済ませておきましょう。

後払い

後払いは商品が先に到着してから、後ほどコンビニなどで代金を支払えるため、人気の支払い方法です。その後払いでは、決済代行会社が与信を審査しています。そのため物流倉庫を移転する際は、各システムと決済代行会社との連携ができているか、請求書の印字がうまくできているかをテストする必要があります。

このような支払い方法に関する調整を怠ると、出荷時のトラブルに発展することもあるので注意しましょう。

既存倉庫と新規(移転先)倉庫の並行稼働のすすめ

倉庫移転で気がかりな点といえば、「倉庫移転の期間中、ECサイトの運営がストップしてしまう」ことではないでしょうか。

ECサイトの運営を止める方法は、倉庫移転に集中できるといったメリットがあります。しかし、期間中の売上がなくなりますので、大きな機会損失となります。

そこで、おすすめの方法は既存倉庫と新規倉庫の並行稼働です。

具体的には、既存倉庫で最低限必要な商品の在庫を抱えて出荷を行いながら、新規倉庫への移管・入荷処理をします。さらに新規倉庫で出荷を開始してから、既存倉庫の在庫を移動して移転を完了させます。

並行稼働は費用がかかる一方で、ECサイトを止める必要がないため、ユーザーへの影響を最小限に抑えられるのがメリットです。

ただし、既存倉庫の解約手続きにも関わることなので、既存倉庫での最終出荷日や新規倉庫の出荷開始日などを事前に決める必要があります。

物流倉庫移転のタイミング

物流倉庫移転を決意するタイミングは、以下のように既存倉庫での課題が顕在化したときに検討しましょう。

  • 「倉庫が手狭になり、新たな商品を保管するスペースがない」
  • 「物流倉庫の費用が高騰し、利益を圧迫している」
  • 「競合サイトと比較して、配送に時間がかかる問題を解決したい」
  • 「対象エリアや拠点の変更を機に物流倉庫を見直したい」

しかし、これらに該当する場合はいつしても良いかというと、そうではありません。なぜなら、繁忙期に移転するのはリソース不足に陥る原因になりますし、そもそも既存倉庫との契約も関わってくるためです。

そこで、物流倉庫移転のタイミングは以下の2点についても注意を払いましょう。

閑散期に実施する

物流倉庫移転のタイミングは、閑散期に実施しましょう。

物流倉庫移転は最低でも3ヵ月かかるうえに、運用ルール設計やシステム設計、在庫移動など多くの作業が必要になります。担当者の負担も大きく、普段の業務が忙しいとどちらも手が回らなくなるためです。普段の業務が滞ってしまっては元も子もありません。

そのような事態を避けるためには、比較的リソースに余裕のある閑散期に移転するのがおすすめです。

既存倉庫との契約期間

倉庫移転するタイミングは、既存倉庫との契約期間が満了する時期をおすすめします。なぜなら、契約期間中に解約すると違約金が発生する可能性があるためです。

そのため、移転の必要性を感じた場合は、まず既存倉庫との契約期間をチェックしてみましょう。

また契約内容によっては、自動更新になっている場合もあります。自動更新は便利な契約方法ですが、契約更新時期を忘れていると、長期間の契約期間が残っている場合もあるため注意が必要です。

新規倉庫移転には相当な時間がかかります。既存倉庫に不満を感じたタイミングで、新規倉庫探しや事前確認など、できることから早めに動き始めるのをおすすめします。

まとめ

物流倉庫移転は「既存倉庫が使いにくい」「保管スペースが手狭になった」など、問題が健在化した時点で検討しましょう。なぜなら問題点を改善するために、物流倉庫移転は有効な解決策のためです。

ただし、移転を完了するためにはスケジュール管理や、既存倉庫との契約期間など注意すべき点があります。不慣れな方にとっては、ハードルが高いと感じるかもしれません。

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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。