物流業務で役立つ資格の種類それぞれの特徴について

2021.11.29物流・フルフィルメント
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日本製はクオリティーが高いといっても、海外での生産や輸出や輸入で発展していく産業が多いので日本のグローバル化に物流は欠かせません。そこで役立つのは、輸出入にかかわる物流の通関や管理などの業務です。物流にかかわる業務には、どんな資格があるのか、その資格がどのように役立つかを紹介します。

島国日本のグローバル化には欠かせない「物流」とは

現在の日本でライフワークに必要なアイテム、食料品や生鮮食品、ブランド品など、身の回りで目にするものの多くは海外で作られたものです。ご自分の持ちものやご自宅にあるものをチェックしてみると、おそらく「Made in Japan」ではないもの、つまり海外で作られたものがたくさんあるでしょう。

製造されたものや生産されたものが、生産者や製造元からその商品を必要とする人が受け取るまでの過程を「物流」と言います。これは国内であれ、海外から日本に到着するものであれ、同じ流れが必要です。

物流に含まれる「五大機能」

国内・海外のいずれの場合も、商品が完成すると輸送や配送などで消費者に到着するまでに、さまざまな工程があります。完成した商品の検品やタグ着けなどの「流通加工」と呼ばれる作業からはじまり、商品の個装や梱包などの「包装作業」などが必要です。その後、「荷役」と呼ばれる輸送機器の車両や船舶、航空機などへの積み込みや、集積地になっている倉庫やヤードでの荷物の保管や仕分け作業などがあります。

こうした作業に加えて、物流をスムーズに流すためには、物流の情報処理も必須です。こうした物流の流れに関する業務は「物流五大機能」と呼ばれています。

  1. 流通加工
  2. 包装・梱包
  3. 荷役
  4. 保管
  5. 輸送

大手物流企業に勤めていたり、専門業者で物流にかかわる担当をしたりしていると、日常業務の流れで仕事を覚えることは可能です。しかし、この5つの物流機能をスムーズにこなすには、資格取得もポイントになります。

社会的な信用度の高くキャリアアップにつながる「国家資格」、「公的資格」に加え、幅広く学べて取得できる「民間資格」などにも物流にかかわるもがたくさんあります。グローバル化に足並みをそろえたい日本の産業には、これからさらに必要になるとも言われ、注目されているのが物流業務の資格なのです。

注目!物流業務で役立つ資格の種類

物流を英語では、「Logistics(ロジスティックス)」。英語のロジスティクスの場合は、原材料や製品の調達から、輸送や配送管理まで幅広く含みますが、日本の場合は完成された商品の出荷から消費者への到達までを指していうことが多いようです。こうした物流(ロジスティックス)業務には、物流を管理し、現場の流れを作り、そして、海外への輸出入などを進める国際物流など、さまざまな資格をチェックしてみましょう。

運行管理者(貨物)

国家資格のひとつで、物流業務の中で「輸送」に関係した仕事を行う担当者が必要となる資格です。運送会社の輸送を安全に行う上で必要な情報を指導したり、監督したりする資格になります。

危険物取扱者

身近なものではガソリンスタンド、他にもタンクローリー、石油貯蔵タンク、化学工場などの施設への危険物の取扱がある場合、ドライバーに必要な資格です。自動車免許に加えて必要となる資格になります。

フォークリフト運転技能者

国家資格のひとつで、全国の都道府県労働基準局安全課などが運営し、発行する資格です。国家資格として難易度は高くありませんが、倉庫やヤードでの荷役作業では必須となります。

自動車免許(大型、中型、大型特殊、けん引など)

一般車両の自家用車などの運転に必要な普通自動車免許に加え、大型特殊、大型、中型、けん引などの国家資格も重要な資格のひとつです。荷役作業後の輸送のポイントにもなり、20フィートコンテナ(以下「ft」)、40ftコンテナなどの車両運転が可能になります。

通関士

財務省が管理する資格で難易度が高い分、ビジネススキルアップには優位な資格のひとつが「通関士」です。全国にある輸出入業者の代行が可能で、海外から到着する荷物の通関手続きを行います。関税や税関への書類など、国際物流にかかわるさまざまな業務を代理、代行することが可能です。

海技士(海上技術に関する航海、機関)

コンテナを積載する大型船舶を操縦することができる免許になります。しかし、等級にも開きがあるため高い等級には難易度も求められますが、海上技術やそれに伴う安全等を学ぶため、海技の受講や学費が必要です。

ロジスティクス管理2級(または、3級)

法律上の規制はありませんが、公的資格として行政に準ずる機関による試験を受けることが必要です。ロジスティクス管理2級(または、3級)の場合には、物流管理能力があることの証明になり、国内の物流だけでなく、海外からのロジスティックに関する知識を持っていることになる資格と言えます。

ロジスティクスオペレーション2級(または、3級)

一般の書店で購入できるテキストなどを参考にしながら学べる資格のひとつで、ロジスティクスオペレーション2級(または、3級)があります。物流中心の企業における倉庫やヤードの作業に役立つ資格です。荷役作業や梱包だけでなく、デバン(コンテナからトラックへの積み替えや倉庫内での荷解き)や輸送に重要な技術の証明となる資格です。物流業務でのキーマンになります。

物流技術管理士

物流技術管理士とは、倉庫やヤードでの荷物の保管、荷役作業、流通加工などに役立つ資格です。現場作業だけでなく、情報システムなどの管理業務に加え、物流機能マネジメントにも欠かせない管理士としての資格を身につけられます。

ロジスティクス経営士

物流にかかわるさまざまな資格の管理を行う日本ロジスティクスシステム協会の中でも、ロジスティクス運営を 経営側に立つ資格。物流企業のトップに必要とされる能力の証明となります。

国際航空貨物取扱士(IATA/FAATAディプロマ)

企業内だけでなく、グローバルに活躍することが可能な国際航空貨物取扱士は、世界レベルの資格です。「By Air」といわれるエア・カーゴ便などの国際航空輸送業務に必須となる知識を身につけます。インターナショナル・ライセンスなため、英語での受講や試験となります。

貿易実務検定(A級、準A級、B級、C級)

輸出入貨物の取り扱いには、シッピングのリードタイムを含め、出荷後や到着後の関税や通関などに関する知識やマネジメント能力が必要です。等級があり、難易度も異なりますが、貿易に必要なさまざまな知識の証明になります。

国際物流管理士

民間資格になりますが、インターナショナル・ライセンスとして国際物流には欠かせないといっても過言ではないスペシャリストの資格のひとつです。国際物流に必要な専門知識や管理技術を取得できます。海外の国々でも同様の資格があり、国家資格ではないものの貿易には役立つ資格になります。

倉庫管理主任者

物流企業に勤務すると取得することが多く、講習だけで取得できる資格の「倉庫管理主任者」。倉庫での安全作業や火災防止、倉庫内作業員の労務管理などに関する資格です。事業登録が倉庫業の場合、倉庫管理主任者の選任が営業上の義務とされています。

物流経営士

合格率は高いとはいえ、集中して講義を受ける必要のある資格の中に「物流経営士」があります。物流の中でも輸送を中心とする運送業の経営者や管理職の立場では必須となる資格です。

包装管理士

コンテナ輸送やシッピングに必要な個装、梱包にかかわる包装を担当する人材育成の資格です。エア便での小さな包装品から、フォークリフトでコンテナに積み込むような荷 まで、「生活包装」や「輸送包装」の管理を行います。

グリーンロジスティクス管理士

CO2の排出量を算出することで、環境を考える物流業界ならではの資格のひとつです。輸送時に関係する環境を考えた民間資格になります。

ロジスティックス・マテリアル・ハンドリング管理士

略称「L・MH管理士」といわれる「ロジスティックス・マテリアル・ハンドリング管理士」は、講義のみで合格できる資格です。物流に関する製品や商品の集荷から包装やシッピング、通関や輸送までの流れをマネジメントします。

おわりに

日本のグローバル化は少しゆっくりと流れています。島国なため、遅れがちとも言われていましたが、輸入されるもので活性化されている分野が多いため、物流は欠かせません。すべてを国内で賄えない以上は必ず必要になる物流業務。

海外での生産であれば、取引や通関業務には英語でのコマンドにより物流が進められるため、ある程度の英語も必要です。しかし、充実した仕事のこなし方が目指せるので、物流にかかわる資格は注目されています。ご自分に合う資格や目指したい資格をチェックしてみるのはいかがでしょうか。

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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。