目的に合わせて選びたい物流倉庫の種類とは?
2023.11.28物流・フルフィルメントネットショップ運営者をはじめ、モノを扱う事業者の共通の悩みは、どうやって事業に最適な物流倉庫を選ぶか。ということですよね。
立地やコストは勿論、サービスや保管する商品によっても、無数の選択肢がある物流倉庫。ここでは、基本的な物流倉庫の種類をご紹介したいと思います。
目次
営業倉庫と自家用倉庫について
一般に「倉庫」には大きく分けて「営業倉庫」と「自家用倉庫」の二種類の倉庫があります。
「営業倉庫」は、倉庫の所有者・使用者が他人の貨物を保管するための倉庫です。一方「自家用倉庫」は、倉庫の所有者・使用者が自らの貨物を保管するための倉庫です。
「営業倉庫」には、倉庫業におけるルール・基準を設けた「倉庫業法」という法律があります。営業倉庫は、倉庫業法に基づき国土交通大臣の登録を受けた倉庫だけが営業することを許されており、他人の貨物を預かり利益を出すことが出来ます。
「自家用倉庫」は、メーカーや卸売り事業者が自らの貨物を保管する倉庫のため、倉庫業法には該当せず、他人の貨物を預かって利益を出すことも出来ません。
つまり、事業者が倉庫を借りてモノを預けたいときには「営業倉庫」業者に依頼することになります。
次に、営業倉庫の種類を見ていきましょう。
普通倉庫・冷蔵倉庫・水面倉庫について
「営業倉庫」は大きく以下の5つに分けられます。
- 普通倉庫
- 冷蔵倉庫
- 水面倉庫
- トランクルーム
- 特別倉庫
「トランクルーム」は一般消費者の物品を預かる倉庫で、法人というよりは個人の家のモノなどを預かるための倉庫です。
「特別倉庫」は、災害の救助その他公共の福祉を維持するために国土交通大臣が定める倉庫です。
つまり、一般事業者が主に借りる倉庫は「普通倉庫」「冷蔵倉庫」「水面倉庫」になります。
「普通倉庫」は、農業、鉱業(金属、原油・天然ガス等)、製造業(食品、繊維、化学工業、紙・パルプ、機械等)といった幅広い産業の様々な貨物に加え、消費者の財産(家財、美術品、骨董品等)も保管します。法律上の分類により一類倉庫、二類倉庫、三類倉庫、野積倉庫、貯蔵槽倉庫、危険品倉庫と6つに分類されます。
「冷蔵倉庫」は、摂氏10度以下の低温で生鮮食品や冷凍品を保管する倉庫です。防火・防水・防熱・防湿及び及び冷凍設備などについて施行規則に詳細に規定されています。保管可能温度差によって次の通り7つに分類されています。
C級 | C3級(+10度以下~-2度未満) C2級(-2度以下~-10度未満) C1級(-10度以下~-20度未満) |
---|---|
F級 | F1級(-20度以下~-30度未満) F2級(-30度以下~-40度未満) F3級(-40度以下~-50度未満) F4級(-50度以下) |
「水面倉庫」は、港湾などにみられるように、原木などを水面保管する施設で、通常水面貯木庫と呼ばれています。水面であって、周辺が築堤その他工作物をもって防護されており、照明装置などが必要です。
普通倉庫の種類について
普通倉庫は、1類倉庫、2類倉庫、3類倉庫、野積倉庫、貯蔵槽倉庫、危険品倉庫に分かれています。
それぞれの分類は以下の通りです。
1類倉庫
一般雑貨など普通貨物(1~6類(危険品を除く)物品)を保管する倉庫で、普通倉庫の大部分がこれに属します。
防火、防水、防湿、照明など多くの規制が定められており、その要件を備えていることが義務づけられています。
2類倉庫
穀物、肥料、セメント、陶磁器など(2~6類(危険品を除く) 物品)を保管する倉庫です。
1類倉庫から防火(耐火)性能を除いた全ての要件を具備する必要があります。
3類倉庫
ガラス類,地金、鋼材などの荒荷(3~5類物品)を保管する倉庫です。
1~2類倉庫の具備する要件よりはるかに緩和されています。
野積倉庫
風雨の影響をほとんど受けない原材料などの 貨物(4~5類物品)を野積して保管する倉庫です。
周囲が塀、柵、鉄条網など防護されており消火, 照明などの設備が必要です。
貯蔵槽倉庫
タンク,サイロなどにより液体及びばら穀物など1・2類物品のうちばらの物品及び6類物品を保管する倉庫です。
防火、防水、照明などの要件を備える必要があります。
危険品倉庫
消防法、高圧ガス保安法に規定する危険品 (7類物品)を保管する倉庫です。
防火、防水、照明などの要件のほか、危険物の規則に関する政令又は高圧ガス保安法施行規則に定める貯蔵所諸基準に適合することが必要です。
上記の分類定義にも出てきていますが、倉庫業法上、営業倉庫の保管可能物品は以下の8つの分類に分けられています。
第1類物品
米、茶、砂糖、繊維原料、繊維製品、紙・パルプ類、機械・器具、合成樹脂、ゴム製品等の第2類~第8類物品以外の物品
第2類物品
麦、でん粉、ふすま、飼料、塩、野菜類、果実類、水産物の乾品及び塩蔵品、皮革、肥料、鉄製品その他の金物製品、セメント、石こう、白黒、わら工品、石綿及び石綿製品
第3類物品
板ガラス、ガラス管、ガラス器、陶磁器、タイル、ほうろう引容器、木炭、パテ、貝がら、海綿、農業用機械その他素材及び用途がこれらに類する物品であって湿気または気温の変化により変質し難いもの
第4類物品
地金、鉄鉄銑鉄、鉄材、鉛管、鉛板、銅板、ケーブル、セメント製品、鉱物及び土石,自動車及び車両(構造上主要部分が被覆されているものに限る)、大型機械その他の溶大品(被覆した場合に限る)、木材(合板及び化粧材を除く)、ドラムかんに入れた物品、空コンテナ、空びん類、れんが、かわら類、がい子・がい管類、土管類、くづず鉄、くづずガラス・古タイヤ類等野積で保管することが可能な物品
第5類物品
原木等水面において保管することが可能な物品
第6類物品
容器に入れてない粉状または液状の物品
第7類物品
消防法第2条の危険物及び高圧ガス保安法第2条の高圧ガス
第8類物品
農畜水産品の生鮮品及び凍結品等の加工品その他の摂氏10度以下の温度で保管することが適当な物品
上記のように、保管可能物品は細かく分類されています。保管可能物品の分類をしっかり把握したうえで、普通倉庫の種類を選ぶことが重要です。
おわりに
「物流倉庫」にも分類によって非常に多くの種類があります。
物流倉庫の種類をしっかり理解して、最適な物流倉庫を探すことが重要です。
そのうえで、コストや立地などの条件で倉庫を選んでいくと良いでしょう。
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