アパレル物流の仕組みとアウトソーシングする際のポイントとは?

2021.11.29物流・フルフィルメント
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アパレル物流の仕組みとアウトソーシングする際のポイントとは?
アパレル物流とは、衣類やバックなど多岐にわたるアパレル商品の、物流や保管管理など指しています。アパレル品という生活必需品を支える、アパレル物流の特徴や注意点をご紹介します。

アパレル物流とは

アパレル物流とは
アパレル物流とは、衣類や帽子、ストール、バッグなどアパレル商品の生産や運搬、保管や在庫管理などの製品の流れを表す言葉です。

大量生産大量消費から、多品種少量消費といわれる顧客のニーズとトレンドを意識したモノづくりと管理、そして素材やカラーなどが多様で製品ごとに保管方法が異なるアパレル物流は、他の製品とは違った特徴があります。

アパレル物流の特徴

アパレル物流の特徴
アパレル物流には、食品や雑貨類の物流にはない特徴があります。アパレルを取り扱う際には欠かすことができないアパレル物流…。いったいどんな特徴があるのでしょうか。

運び方にコツが必要

アパレルを運ぶ場合、ただ運べばいいというものではありません。コートやドレスなどの場合は型崩れしないようにハンガーにかけて運ぶ必要があります。当然、荷物を逆さまにしたり横向きにしたりすることはできません。型崩れが生じた場合、その商品価値が下がることによりアパレルショップの損害となります。

いつ流通させるかという問題

アパレルはトレンドや季節に左右される商品です。つまり、生産のタイミングと流通のタイミングをしっかりと見極める必要があるのです。

サイズ展開やカラーなど、ひとつの商品の中にもバリエーションがあるので、在庫管理や出荷作業の際にも細心の注意が必要です。

材質が様々

材質が様々
アパレル製品は、コットン、ポリエステル、レザー、毛皮など材質が実に様々です。そして、材質ごとに適した保管環境が異なるため、物流に携わるすべての作業従事者には、アパレルに関する知識が求められます。

保管環境が材質に合っていなければ、商品の品質が劣化し、アパレルショップの損害となるだけではなく、物流会社・アパレルショップ双方の信頼を失うことにもなってしまいます。

専門知識が必要

アパレル物流には、製品ごとに異なる配送時の注意点や、製品の材質ごとの保管環境に関する知識、トレンドや季節を見極めて流通させるセンス、サイズやカラーなどを間違えずに仕分けし、保管管理するノウハウが必要な分野です。

これらのすべての要素をしっかりと満たしていなければ、ビジネス上の損害や信用を失うことにもなるため、すべてが必要条件ということになります。

設備もアパレルに特化したものが必要

アパレル物流には、専門知識とノウハウが必要ですが、設備もアパレル物流に特化したものが必要です。

カラーやサイズごとに分けて管理する設備、ハンガーにかけたまま保管する設備のほか、小物類やアクセサリーなどデリケートな商品を取り扱う設備も必要です。また、縫製不良やボタン取れなどの不良品を補修するための加工工場も必要です。

アパレル物流に特化した物流会社では、このような設備を整えていることが多く、アパレル物流をアウトソーシングする企業も少なくありません。

アパレル物流の問題点

アパレル物流の問題点
専門知識が必要なアパレル物流ではどんな問題点があり、そして、その問題点を解決するどんな方法があるのでしょうか。

出荷作業にかかる時間

ひとつの商品に様々なカラーやサイズがあるアパレル商品は、出荷の際の確認などに時間が必要です。そのため、出荷作業をスムーズに行えず、入荷が遅れてしまうというケースがあります。

アパレル業界のトレンドは、様々な要因で常に変化しており、迅速に対応し顧客が求めるものを店頭に並べることは極めて重要です。出荷作業に手間取ってしまうとその時間のロスが損害となることもあります。

出荷作業に手間取らないように、バーコード管理など最新の設備が整っている物流会社をセレクトする必要があります。

在庫管理が難しい

製品の特徴や素材ごとの管理は当然ですが、製品ごとにカラーやサイズがあるため、多種にわたる商品の在庫管理を徹底的に行う必要があります。

保管現場のスタッフにノウハウがなければ、保管管理や作業フローが整っていないなど、様々なトラブルが発生します。

製品の管理は、インターネットショップの在庫情報として共有されているケースもあり、、在庫管理に失敗すると、在庫がないものを販売してしまう…というトラブルにもつながりかねません。

豊富な製品をしっかりと管理して在庫を把握し、迅速に出荷できるノウハウと設備がある物流会社を選ぶことで、在庫管理の問題点は解決できます。

廃盤商品の在庫

アパレル物流の基本は、在庫を抱えずに流行している間に売り切ってしまうことです。それでも売れ残ってしまう商品、定番品と呼ばれる型がモデルチェンジした場合に廃盤品が在庫として残ることは避けられません。

この廃盤品の在庫を正確に把握できなければ、売れない在庫として旧型商品がいつまでも倉庫内に保管されているという非常に不経済な状態を招くこととなります。

廃盤品の在庫過多とならないように、売り方や新製品の発売のタイミングをコンサルティングすることは、アパレル物流の重要な役割です。

アパレル物流に特化した物流会社では、コンサルティングをおこなっているケースもあります。

アパレル物流の発送代行を選ぶ際に重視すべきポイント

アパレル物流の発送代行を選ぶ際に重視すべきポイント
アパレル物流の発送代行サービスを利用すると、在庫管理システムにて商品の現状を把握・共有しやすくなったり、商品を良い状態で保管しやすくなったり、検品やタグ付けなどを依頼できたりするなど、さまざまなメリットがあります。

しかし発送代行サービスを選ぶ際には、さまざまに重視するべきポイントがあります。5つのカテゴリからポイントをご紹介しますので、代行サービスを利用する際の参考にしてください。

安心・安全な保管管理体制

まずは保管管理体制がしっかりしていることを確認しましょう。次の3つのポイントからチェックしてください。

使用期限・ロット管理

アパレル業界はトレンドの移り変わりが早く、季節性を意識したMDを展開する必要があります。そのため多品種小ロット生産の傾向が強いので、細やかで柔軟な在庫管理に対応してくれる業者選びが重要です。

適切な温度管理

倉庫内で適切な温度管理がなされていることも重要なポイントです。アパレル品は環境によっては、カビが発生したり品質が低下したりすることがあるもの。温度はもちろん、湿度の管理も徹底されているか確認してください。

在庫管理

在庫管理がされていることは基本でありながら欠かせないことです。管理が不十分であれば、過剰在庫を抱えたり、品切れになったりする恐れがあります。在庫管理については、「WMS(倉庫管理システム)」を導入している業者を選べば解決されます。

細やかな事前作業の対応

保管管理体制とともに重要なポイントとなるのが、事前作業への対応です。発送代行とは言え、発送の前段階の作業に応じている業者も少なくありません。

チラシの同梱

チラシの同梱
サンプル品とともに、チラシの同梱に対応していることは、販売促進のためにも重要なポイントです。チラシを同梱してくれる業者を利用すれば、顧客のリピート率が高まるかもしれません。

資材の使用

発送の際に必要になるダンボールや、梱包資材は顧客のもとに、傷や汚れのない状態で商品を配送するために欠かせないものです。資材への対応は業者により異なるため、次のポイントを確認してから業者選びを行いましょう。

オリジナル資材の使用できるか

商品を包む梱包資材は製造元からOPPに包まれて納品されてきますが、ダンボールはオリジナル資材を使用できる業者があります。
注文した商品がオリジナルのダンボールで顧客の手元に届くことで、自社のブランディングに役立ちますし、CS向上にもつながるので差別化ポイントになり得ます。

商品サイズに合わせた最適な配送方法の選択

物流代行サービスでは配送がメインの業務と言えます。その配送において、商品サイズに合わせて、適切な配送方法が選択されれば自社・顧客ともに送料を抑えられるようになるはずです。

ポスト投函便の選択可否

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アクセサリーやスカーフなどの小さな商品なら、ポスト投函便の選択が可能であると成約率が高まるはずです。ポスト投函便は不在でも配送が行え、送料も安いことから顧客にとって魅力的な配送方法と言えます。

配送業者の選択可否

物流代行サービスを選ぶ際には、利用できる配送業者もおさえておきたいところ。配送業者ごとの特徴を把握したうえで、自社商品に適した配送方法を選択できるか確認してください。

流通加工への柔軟な対応

重要ポイントとして最後にご紹介するのは、流通加工への対応の柔軟さです。

高品質の維持

アパレル品は長期にわたり保管し続けていると、品質が劣化してしまうことがあります。倉庫にて品質が高い状態を維持できるか、発送前の検品を入念にしてもらえるかなど、品質維持に力を入れている業者を選びましょう。

季節変動への対応

アパレル品の物流におけるもうひとつの問題が、季節変動への対応の難しさです。夏と冬では商品の流通量が大きく変わります。そのためアパレル品の季節変動を熟知している業者であれば、在庫管理を適切に行ってもらえ、季節ごとのサポートも柔軟であるはずです。

アパレル物流のおすすめ代行業者10選

アパレル物流のおすすめ代行業者10選
それではアパレル物流ではどのような代行業者を選ぶべきでしょうか?おすすめの代行業者を10個ピックアップしましたので、業者選びを行う際の参考にしてください。

ディーエムソリューションズ株式会社

ディーエムソリューションズ株式会社では倉庫管理システム(WMS)を導入しており、スマホなどから現在の在庫状況を確認できます。またチラシやサンプル品の同梱も可能。受注処理から梱包、伝票発行、配送手配、在庫管理まですべてをトータルサポートします。

公式サイト:ディーエムソリューションズ株式会社

株式会社アッカ・インターナショナル

商品の撮影から採寸、物流加工、在庫管理まで、アパレル品を預けるだけで自社EC販売ができるのが株式会社アッカ・インターナショナルの特徴。アパレル商品の撮影に適したスタジオを併設しているため、自社ECにおいて商品をより魅力的に見せられるでしょう。

公式サイト:株式会社アッカ・インターナショナル

有限会社エクセレント急便

洋服と装飾品の輸送・保管・物流を支援するのが有限会社エクセレント急便。ハンガー車を用意しているため、商品をきれいなまま輸送できます。また商品の保管・入出荷・検品・検針・輸送にまで対応。東京を中心とした1都3県のみの対応ですが、関東圏の方にはおすすめの業者です。

公式サイト:有限会社エクセレント急便

株式会社オーティーエス

「物流からアパレル企業を元気にする」ことをモットーとしている企業。最後の1枚まで販売しきることを目指し、残っている在庫に適した販路を提案し出品手続きを代行するサービスがあります。品質管理業務にも力を入れており、アパレル品の修理にも対応可能です。

公式サイト:株式会社オーティーエス

株式会社トミーズコーポレーション

株式会社トミーズコーポレーションは物流に関することを、業種問わず請け負う企業です。自社ECでの販売に適した在庫管理システムを保有しており、加工や商品撮影も可能。在庫は一元管理されており、倉庫が翌日着のエリアが多い立地であるため顧客を待たせません。

公式サイト:株式会社トミーズコーポレーション

ジーエフ株式会社

関東・関西・中部と、主要地域のそれぞれに拠点を持つジーエフ株式会社。海外拠点もあり、越境ECにも対応します。検品・品質検査も徹底しており、年間4億枚以上のアパレル品の品質管理を行った実績があるそうです。また新古品・中古品の買取も行っています。

公式サイト:ジーエフ株式会社

株式会社ジャンボ

アパレル品の物流サービスだけでなく、アンケート業務や展示会開催サポート、協会・学会業務サポートなども請け負っているのが株式会社ジャンボです。物流業務においては郵便・メール便・宅配便があり、希望の配送方法に応じてもらえます。

公式サイト:株式会社ジャンボ

中央株式会社

中央株式会社の特徴は、オプションサービスが豊富であることです。基本的にアパレルを中心とした物流代行サービスを提供していますが、商品へのX線検査や値札タグ発行、タグ付け、ラッピング、プレス作業なども行えるサービスの幅広さが魅力と言えます。

公式サイト:中央株式会社

丸二倉庫株式会社

配送だけでなく、コンサルティングによる物流設計も行う企業です。倉庫在庫管理システムを備えており、在庫管理も適切に行えるでしょう。通常のカジュアルな洋服からアクセサリー、インナー、プレタポルテ、靴、バッグなど、アパレル品を幅広く扱います。

公式サイト:丸二倉庫株式会社

株式会社ゆうりん

アパレル品専門の物流代行サービスである株式会社ゆうりん。発送と納品の正確さを重視しており、製品の二次加工代行も行えることから、店舗の二次加工にかかる人件費削減にも貢献します。また経理業務代行・納品書発送業務代行も対応可能です。

公式サイト:株式会社ゆうりん

アパレル物流の発送代行サービスの活用にはコミュニケーションが大切

アパレル物流の発送代行サービスの活用にはコミュニケーションが大切
もっとも重要なのは、物流会社とのコミュニケーションです。トレンドや季節などで売れ行きが大きく左右されるアパレル物流の場合、良い状態の商品をトレンドを先取りして店頭に並べるかという点が重要な要素です。

また季節ごとに商品の流通が変わるアパレル業界においては、季節に応じた在庫管理をしてもらえることも重要です。シーズンオフ時の在庫を適切な環境で保管したり、次シーズンに検品をしたうえで発送したりする柔軟性も欠かせません。

そのためには、ノウハウと知識がある物流会社を選ぶ必要がありますが、それに加えてコミュニケーションを密にとることがポイントです。

在庫情報の共有

在庫情報を共有することで、売れているものと残っているものを把握することで、販売戦略を立てることができます。また、顧客のニーズを生産側にも反映させ、売れるものを作るためにも在庫情報を共有することが非常に重要です。

製品に関する知識

製品に関する知識
製品ごとに異なる保管方法や特徴なども共有すべき情報です。

アパレルは製品ごとに保管環境が異なるので、新製品が出来るたびに情報を共有する必要があります。この製品情報の共有は、不適切な保管による製品の劣化を防ぐために必要不可欠です。

常にコミュニケーションが必要

ショップと保管管理の現場が密にコミュニケーションをとれる環境を作り、そして、ショップと物流会社も欠かさずにコミュニケーションをとって連携することで、アパレル物流の問題点を解決し利益につなげることができます。

おわりに

おわりに
アパレル物流の発送には、専門的な知識が必要とされる部分が多々あります。製品ごとの保管管理の違いやサイズカラーのバリエーションの豊富さなど、他の製品にはない運搬や保管管理の難しさがあるためです。保管管理体制を適切に行うこと、最適な配送方法を選択できること、品質の維持や季節変動への対応など…。材質は製品ごとに異なり、適した保管環境は材質により変わります。

トラブルを未然に防ぐために必要なのは、ノウハウを持った物流会社を選ぶことと物流会社とのショップの密なコミュニケーションです。

また製品を適切に保管し、配送するためには、アパレル物流に特化した代行サービスを選ぶことが重要でしょう。二次加工やタグ付けなどに対応している業者もあるため、それぞれの特徴を把握したうえで自社製品にとって適したサービスを選んでください。

タグ : ECモール EC物流初心者向け アパレル・ファッション 発送・梱包 業務効率化
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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。