越境(クロスボーダー)ECとは?始め方や注意点を解説

2023.05.23店舗運営
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越境EC(クロスボーダー)とは

越境(クロスボーダー)ECとは

越境ECとは、国をまたいで商品を販売するオンラインネットショップ(電子商取引)のことです。
他国に住むユーザーがECサイトで日本の商品を購入したり、海外ECサイトで日本人が商品を購入したりすることを指しています。
越境ECの市場規模が大きい中国では、日本の高品質な商品が好まれており、2021年だけで中国から2兆1,382 億円の国内製品が購入されていることが分かりました。
また、訪日外国人に行ったアンケート調査によると、気に入った日本の商品を越境ECでリピート購入したいと答えた人が約8割という結果になっています。
コロナウイルス感染症が収束し、インバウンド需要が伸びると同時に、越境ECの市場規模もますます大きくなると期待できるでしょう。
実際に、越境ECの市場規模は年々拡大しており、2026年には世界全体で約4兆8,200億USドルまで伸びると予想されています。

越境ECのサイトの主な種類

越境ECのサイトの種類は、主にモール型と自社カート型の2種類です。
それぞれの概要とメリット・デメリットについて解説します。

モール型

ECモール型とは、複数の販売者が一つのプラットフォームで店舗を出店し、それぞれ商品を販売するECサイトのことです。
単独の自社ECサイトではなく、国内・海外に展開しているECモールの中に、自分のお店を出す形になります。

メリット

モール型のメリットは、初心者でも参入しやすく、自社ECサイトの制作コストを削減できることです。
ゼロからサイトを構築する技術・ノウハウがなくても、既に存在するECモールで出品するので、手間がかかりません。
また、モール型なら集客コストも抑えられるというメリットもあります。
大規模なECモールに集まる多くのユーザーが顧客候補となるため、スムーズに自分の商品を購入してもらいやすいです。

デメリット

モール型のデメリットとして、手軽に出店できる分、競合他社が多いということが挙げられます。
自社ECサイトと異なり、個々のブランディングが難しいため、価格競争になりやすいです。
また、モール型のプラットフォームを利用するためには、出品手数料・成約料などのコストがかかることにも注意しなければなりません。

自社カート型

自社カート型とは、モール型とは異なり、オリジナルドメインの取得からサイト設計・構築を行って、一から運営するECサイトのことです。
ソフトウェアを購入して、機能をカスタマイズしていく「パッケージ」でのサイト制作や、インフラ構築から自社で行う「フルスクラッチ」でのシステム開発などの方法があります。

メリット

自社カート型のメリットは、ECサイトのデザインを自分のイメージ通りに構築し、ブランディングできる点です。顧客や商品の特徴に合わせて、必要な機能をシステムに追加・削除できるため、操作性も向上します。
また、利用手数料がかからないため、商品が売れた分だけ利益が出やすいです。

デメリット

自社カート型のデメリットとして、ECサイト制作や集客など初期費用がかかることが挙げられます。
また、基幹システム開発に関する技術や知識を必要とし、越境ECに対応した決済システムを構築しなければなりません。
具体的には、多言語対応や海外でのサーバー構築などが必要になり、販売する国の価値観に合わせたデザイン設計にも柔軟に対応することが求められます。

越境ECの始め方

越境ECをECモールで始めるためには、どのような手順を踏めば良いのでしょうか。
主な方法である下記の3つについて紹介します。
・海外対応の国内ECモールに出店する
・海外のECモールに出店する
・海外に対応しているECサイトを構築する
それぞれ詳しく解説します。

海外に対応している国内のECモールへ出店

越境ECは、海外に展開している国内ECモールに出店して始めることができます。
国内で越境ECに対応できる主なモールは下記の通りです。

など

自動翻訳や、決済・配送方法などまとめて対応してくれるので、気軽に導入しやすいです。
シンガポールでニーズが高いQoo10は、無料ECカート「Cafe24」とシステム連携し、越境ECモールを構築しています。
大手モールの越境ECを利用すると、在庫管理や顧客分析もできるため、円滑なEC運営が期待できることも魅力です。

海外のECモールへ出店

国内だけでなく海外のECモールに出店して、越境ECを始めることもできます。
それぞれの海外ECモールで手続きするのに手間はかかりますが、海外ユーザーが日本の商品を購入するハードルは下がるため、大幅な売上増が期待できます。
また、国内のECモールと同様に、利用手数料がかかることや競合が多い点には注意しなければなりません。

海外のECモール5選

ここでは、海外で特に需要の高いECモールを5つ紹介します。
販売したい商品に合わせて、最適なECモールを選びましょう。

中国:天猫国際(T-MALL GLOBAL) / 天猫商城(Tmall.com)

天猫商城(Tmall.com)は、2013年にサービス開始となった最大手アリババグループのECモールです。
正規品を取り扱っていることに強みを持ち、富裕層をターゲットとしています。
天猫国際(T-MALL GLOBAL)は、アリババグループ内のBtoC向け越境ECモールであり、美容グッズやヘルスケア用品の売上が高いです。

参考:天猫国際天猫商城

中国:京東商城(JD.com)

京東商城(JD.com)は、中国市場でアリババの次にシェアを占めている、ジンドンの中国ECモールです。
越境ECモールとして、海囤全球(JD Worldwide)を運営しており、電化製品の販売に強みがあります。
ジンドンは、中国人のほとんどが利用しているSNS「WeChat」とシステム連携しているため、データを反映させた宣伝や、WeChatPayによる支払いで商品が売れやすいです。

参考:京東商城

アメリカ、ヨーロッパ:eBay

世界最大のオークションサイトであるeBayは、中古商品も販売できる越境ECモールです。
品質の高い日本の商品のニーズが高く、世界190か国に向けて販売できるため、商品ジャンルを問わず売上増が期待できます。
特に、昔ながらの玩具やカメラ、車の部品などが人気です。
自社ECサイトとのAPI連携もできるため、集客のコストも削減できます。

参考:eBay

アメリカ:アマゾン

アメリカで圧倒的なシェアを占めるアマゾンは、抜群の集客力で顧客獲得を狙うことができます。
商品を販売したい場合は、Amazonグローバルセリングで手続きを行う必要があり、審査通過後は、FBAによる物流アウトソーシングも利用可能です。
FBAサービスによる商品の丁寧な梱包や迅速な配送は、高い口コミにつながり、ショップの信頼度にも良い影響があるでしょう。
化粧品や日用品、家電など高性能な日本製品は需要が高い傾向にあります。

参考:Amazon

インド:アマゾンインディア

インドで越境ECを始めたい場合は、アマゾンインディアがおすすめです。
アマゾンインディアは2013年に開設され、現在はインド国内に2,000カ所以上の物流拠点を持っています。
インドに1200万店以上展開する小売業者「キラナ」も徐々にオンラインへシフトしており、コロナ禍以降のインドのEC市場は急速に拡大中です。
食品や衣類、日用品などさまざま商品が人気です。
アマゾンインディアを利用することで、商品管理や決済・配送など、EC業務の作業効率がアップします。

参考:アマゾンインディア

海外に対応しているECサイトを構築

越境ECを行うために、海外に対応したECサイトを一から構築し、自社で商品を販売する方法があります。
海外に合わせた決済システムやサイト設計・商品ページやコンテンツ作成、LP制作など課題が多くありますが、自社のブランディングを強化することが可能です。
また、自社サイトなら、ECモールで販売禁止の商品ジャンルを扱えるというメリットがあります。

海外に対応しているECカート3選

越境ECに対応した自社サイトをスムーズに構築するために、海外対応のECカートを利用するのがおすすめです。
ECカートとは、在庫や顧客情報の管理、決済などECサイト運営に必要な機能が利用できるサービスのこと。
顧客に合わせたクーポン配布やメルマガ配信など集客・販売促進のサポートも担っています。
ここでは、海外対応のおすすめECカートを3つ紹介します。

Shopify

カナダで開設されたShopifyは、世界175か国以上で利用されている世界最大手のECカートです。
50か国の多言語対応と、130か国以上の通貨を自動でレート変換できることが特徴で、決済方法は100種類以上も用意されています。
また、自社サイト以外にAmazonなどの大手モールとの連携や、SNSを活用した集客もできるため、幅広い年齢層の顧客獲得が図れることがメリットといえるでしょう。
デザイン性にも強みを持ち、操作性に優れているため、初心者でもサイトをカスタマイズしやすいです。

参考:Shopify

LaunchCart

スターフィールド株式会社が運営するLaunchCartは、台湾・東南アジアに特化した越境ECカートとして豊富な実績を持っています。
現地通貨での決済やSMS/MMSを活用したステップメールなどに対応しており、外部システムとの連携も可能です。
また、中国の三大決済(銀聯カード、Alipay、WechatPay)が標準装備されていることも大きな特徴です。

参考:LaunchCart

woocommerce

woocommerce(ウーコマース)は、WordPressのプラグインの一つで、無料で利用できるECカートシステムです。
固定費がかからないため初期費用を抑えられます。
また、操作性の高いCMSなので、個人で越境ECを始めたい人でも簡単にECサイトを構築することが可能です。
woocommerceは豊富なテンプレートがあり、商品に合わせたページ設計ができることや、
SEO・SNS連携による集客に強いことも魅力です。

参考:woocommerce

越境ECの注意事項

越境ECを始める前に、きちんと把握しなければならない5つのポイントを紹介します。

商材と出店地域の選定と確認

販売したい商材と出店する地域の選定・リサーチは越境ECを成功させるために重要なポイントです。
国内で売れ筋商品だとしても海外では需要が低いこともあるため、市場調査は慎重に行う必要があるでしょう。
一方で、海外の顧客のニーズに合った自社商品が見つかれば、人気商品になる可能性も秘めています。
国の文化・価値観によって商材が適しているかどうか、十分にマーケティングに時間を費やさなければなければなりません。

法規制・関税の調査

越境ECを始める前には、出店する国の法律と関税について調べる必要があります。
輸出規制のある商品の調査や、個人情報の規定など、各国に合わせた対応をとらなければなりません。
価格設定する前には、世界各国共通のHSコードで出店する国の関税率を調べましょう。

出店方法(カート/モール)の選定と確認

越境ECを始める前に、出店する国に合った出店方法を選定することも大切です。
出店する国の特徴に合った越境ECカートを利用した自社サイトを構築するか、越境ECモールに出店するか、適切な方法を選びましょう。
販売する国に実績のあるモールなら、集客・売上アップが期待できます。

決済方法の選定と確認

各国によって主流となっている決済方法は異なります。
出店予定の国の決済方法を調査し、対応できる決済サービスを幅広く導入することが大切です。
例えば、中国ではアリペイなどキャッシュレス決済が好まれ、アメリカでは安全性の高いペイパルもよく使用されています。
クレジットカードやデビットカード決済以外にも現地の代引き・コンビニ支払いなどに豊富な決済手段を用意することが、顧客のスムーズな購入につながるでしょう。

物流フローの構築

越境ECを始める際に、商品の物流フローを構築することも重要です。
事前に出店する海外へ輸送し倉庫に保管するのか、注文後に自社から直送するのか、最適な方法を選びましょう。
返品対応などのフローを確立することも、顧客満足度の向上に繋がる重要なポイントです。
また、商品の梱包や海外発送に必要なインボイス作成業務の流れや、配送会社の選択についても、確立する必要があります。

越境EC物流代行サービスの利用がおすすめ

海外へ商品をスムーズに発送するためには、越境ECに特化した物流代行サービスを利用することも検討しましょう。
越境EC物流代行サービスでは、商品注文から配送までの物流業務を一括しておまかせできます。
越境ECを始める際の書類作成や梱包作業、配送ルートの選択など複雑な業務は、物流のプロに任せることで、ECサイト運営や商品リサーチなどのコア業務に専念できるでしょう。

弊社ウルロジの越境EC物流サービスでは、ペガサスグローバルエクスプレス社と業務提携しており、都内の自社倉庫から柔軟に物流業務を代行可能です。
関税や規制の確認など面倒な業務はすべておまかせください

越境EC物流代行サービスの詳細をウルロジの公式サイトで見る

税金の確認

越境ECでは、海外で商品を販売する際に消費税はかかりません。
年間の課税売上高が1,000万以上の消費税課税事業者の場合、商品の仕入れや発送などの業務で支払った消費税は、必要な手続きを行えば還付されます。
しかし、消費税免税事業者・簡易課税を選択している事業者の場合、消費税還付は受けられません。
また、年間課税売上高が1,000万以下の場合も還付対象外となるため注意しましょう。

おわりに

越境ECは、自社商品の販路を拡大する大きなビジネスチャンスとなり得ますが、慎重な事前準備が必要です。
まずは商材と出店する地域のニーズがマッチしているのかしっかりと情報収集して、販売する媒体を決めましょう。
初めて越境ECに参入する際は、業務を安全に効率化するためにも、物流業務をアウトソーシングすることがおすすめです。
弊社ウルロジの越境EC物流代行サービスをぜひご検討ください。

\ウルロジに越境EC物流業務のアウトソーシングが可能です/
✓越境ECを立ち上げようと思っているが物流のことを考えながら進めたい
✓既に自社で物流を行っているがコスト安く外注できるか知りたい
✓物流会社に外注をしているが現状と比較してみたい

スタートアップから倉庫の変更まで柔軟に対応させていただきます!
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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。