食品・医薬品の品質を保ったまま配送ができるコールドチェーンとは?

2021.11.29物流・フルフィルメント
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物流のシステムや方式は利用者のニーズに合わせて日々進化しています。物流のひとつの形として確立されているのが、コールドチェーン(cold chain)です。コールドチェーンとは、生鮮食料品は医療品の鮮度を保ったままで移動させる方法を指しています。

コールドチェーンは国が推進している物流システムで、東南アジアへ向けたコールドチェーンなど様々な取り組みがなされています。

コールドチェーンが活用されているのは、医療品業界や生鮮食料品が主ですが、それぞれの業種でメリットとデメリットがあります。

国も推進しているコールドチェーンをご紹介します。

コールドチェーンとは?

日本語に訳すと「低温流通体系」となります。コールドチェーンと通常の物流の一番の違いは、温度管理の有無です。

コールドチェーンでは、生産、輸送、消費という物流のすべての過程において例外なく温度を低温に保ちます。こうした徹底した温度管理をすることで、鮮度を保ったまま広い地域に医療品や生鮮食料品を届けることが可能になります。

コールドチェーンは、物流業界に大きな変化をもたらしました。特に、生鮮食料品…野菜などを鮮度が高いまま広域にわたって流通させることが可能になりました。温度管理をすることで日本国内だけでなく海外へも生鮮食料品を運べるようなったのです。

加えて、鮮度を保ったままで運ぶことで、腐敗などの食品ロスが軽減されます。流通段階でのロスが減ることはコストカットにもつながりますので、効率性向上や利益率の向上という効果もあります。

国としても促進を進めている物流

物流に様々な改革をもたらしたコールドチェーンですが、現在、国は、ASEAN諸国にむけたコールドチェーン物流システムの構築と展開を推進しています。これは、日ASEAN交通連携に基づいたもので「日ASEANコールドチェーン物流プロジェクト」というプロジェクトで、日本の質の高い低温物流の仕組みをアジア標準として広めていこうという取り組みです。それにより、コールドチェーン物流に関するガイドラインの作成も進んでおり、物流業者向けと政府向けの両面から、それぞれが留意すべき事柄を盛り込み、その普及を目指しています。

ガイドラインには、アセアン各国が目指すべきコールドチェーン物流とは、一定以上の品質が担保されなければならないことを明確にし、日本の物流事業者が進出しやすい環境を整える狙いがあります。2018年秋の日ASEAN大臣会合の承認を目標に議論が進められています。

2017年2月23日にマレーシアのクアラルンプールで開催された物流専門家会合では日本とASEANの交通連携の枠組の下、ASEANにおけるグリーン物流の推進及び質の高いコールドチェーン物流の促進に向けた様々な取り組みがなされています。また、この会合では株式会社ニチレイロジグループやヤマトホールディングス株式会社になどの事業者がコールドチェーン物流を紹介し、日本とASEAN諸国でコールドチェーン物流プロジェクトの立ち上げについて議論することが正式に決定しました。

ASEAN諸国では食の安全性に対する意識や廃棄ロスなどの問題に対応するため、コールドチェーン物流のニーズが高まっています。その反面、物流に関する技術や設備が整っておらず、質の高い物流サービスが提供されていないという現実もあります。経済成長に伴って求められるASEAN諸国の生活水準の向上と消費水準向上というニーズに答えるためにも、コールドチェーン物流に関する日本とASEAN諸国の取り組みは非常に有意義のものといえます。

こうした取り組みは、人材育成や物流機器の普及推進なども合わせて進められており、コールドチェーン物流を事業者が展開するためのパイロット事業としても期待されています。

コールドチェーンチェーンが活用される業種

コールドチェーン物流が活用される業種は主に2つあります。生鮮食料品と医薬品です。どちらも品質を保つために温度管理が必要という共通点があります。

コンビニエンスストアやスーパー、ドラックストアなど私たちが日常的に利用している店舗にとって欠かせないコールドチェーン…それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。

生鮮食料品

野菜や肉、魚介類などの生鮮食料品を流通させる場合に、温度管理が可能なコールドチェーン物流が非常に役立ちます。

生鮮食料品の場合、コールドチェーン物流を利用することで「鮮度保持」「より広い地域に流通可能」「廃棄ロスの削減」というメリットがあります。消費者は鮮度が保たれた状態のよりおいしい食品を手にすることができますし、業者はロスを削減し広域にモノを流通さることで、効率的に利益を出すことができます。

その反面、コールドチェーン物流では徹底した温度管理とそれに必要な設備、そして、現場作業員の意識の高さが求められるという難しさがあります。

温度管理を継続した状態で、生産から販売までを管理するためには、冷蔵庫、車両などの大規模な設備が必要になります、また、物流過程でも温度管理が必要であるため、現場作業員の高い意識と知識が必要となります。

さらに、商品ごとに適した温度が異なるため取り扱う商品の種類が多い場合には、手間がかかるという難しさがあります。

医療品業界

コールドチェーンは、医療品業界でも活用されています。

ワクチンや輸血用の血液などの医療品は、2~8度の低温を保つことが条件とされており、これを満たさない環境では品質を保つことができません。つまり、従来の物流方法では全国に輸送することはとても難しいという現状がありました。この現状を変えたのが、コールドチェーンです。

厳格な低温管理が求められる医薬品では、適切な温度管理をした状態で、各医療機関や調剤薬局に医薬品を届けることができるようになったのです。

その反面、医療品ならではの難しさがあり、コールドチェーンが機能せず適切な温度管理ができなければ医療に多大なる影響を与えることになります。人の命を預かる医療現場で使われる医薬品の温度管理は生鮮食料品以上にデリケートです。例えば、2度から8度で管理されるべき輸血用の血液は、1度でも適切な温度から外れると廃棄処分されるのが基本になっています。これは、単なるロスではなく、貴重な血液を無駄にすることにもなりますし、さらに、大量の血液を処分することとなれば、輸血を必要とする手術などにも影響を与えることになってしまいます。また、血液から作られる血液製剤の原材料が不足する事態となれば、血液製剤の不足を招くことにもなりかねません。

医療品を取り扱うコールドチェーンは、医療の現場を支える重要な要素なのです。

生鮮食料品においても、医療品においても様々な恩恵を与えてくれるコールドチェーンには、社会的にも重要な役割があります。その一方で、デリケートな温度管理が必要な医療品などの場合は、厳格な温度管理と品質を保持の保証が必要なります。品質の保証をするために、輸送中にも安全温度域がしっかりと保たれていたということを証明するためのデータロガーや温度感知シールの搭載などが進んでいます。

おわりに

生鮮食料品や医療品の流通に役立てられ、私たちの生活に欠かせないサービスを支えているコールドチェーンには様々なメリットがあります。

そのメリットは、事業者だけでなく一般消費者にも大きな恩恵を与えてくれています。

温度を管理して流通する生鮮食料品は、鮮度が保たれた質の良い状態で消費者のもとに届けられます。また、温度管理されることで食品の廃棄ロスも少なくなります。

そして、適切な温度管理が可能なコールドチェーンを利用することで、ワクチンや血液製剤、輸血の血液の輸送など医療サービスを支えるものでもあります。

タグ : 用語
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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。