共同配送とは?メリットとデメリットについて
2021.11.29物流・フルフィルメントネット通販や大手ショッピングモールやチェーン店など大規模な物流環境を必要とする企業が増加している近年、物流業界も進化を遂げておりコストダウン、効率化、または環境問題の改善などに取り組んでいます。
それら共通の目標を掲げる日本国内の物流企業は「競争から共創へ」というスローガンを掲げ競合他社間でも協力し合い、コスト削減に尽力する時代になったのです。
そこで最近注目されているのが「共同配送」という異なる企業間の取り扱う商材を同じトラックや船、コンテナなどまとめて配送する方法です。
今回はその「共同配送」について、どのようなメリットがあり、またデメリットはあるのかを解説します。
目次
共同配送とは?
共同配送とは物流企業同士が協力し合い、他企業間の商品を同じトラックやコンテナなどに積んで配送する方法です。
企業間での協力、話し合いなどは必要になりますが、非常に合理的でコストダウンを見越せる配送方法になります。
例えれば空港に行くのにタクシーを使って一人で移動すると高価ですが、同じ目的地の乗合タクシーを使い大勢で移動すれば運転手の人件費やガソリン代、高速代などが安くなりかかる費用は大幅に安くなります。
また車1台で移動するため排気ガスも少なく環境にも優しくなります。
この乗合タクシーのように物流貨物も同じ方向の目的地である場合、なるべく少ない台数のトラックやコンテナに積載し無駄なく配送したほうがコスト面、環境面で大きなメリットがあるのです。
共同配送のメリット
コスト削減
時々荷物を少ししか載せていない物流トラックを見かけますが、そのトラック2台を1台にまとめ、1台のトラックが運ぶ平均の商品数を増やすことにより、確実に配送コストはダウンします。
そのため他業種の商品でも1つのトラックに集め、配送することができれば同じ目的地である場合人件費や燃料費がかなり節約され、利益が上がったり配送料を下げることができるため、共同配送を委託した企業も物流業者も、受け取り側の顧客も全員にとってプラスになるのです。
CO2の削減
複数の企業の荷物をまとめて配送するためトラックの出動回数が少なくなり排気ガスが減り環境改善、CO2の削減ができるメリットがあります。
今後多くの企業で共同配送が行われるようになれば物流トラックから排出されるCO2の量は格段に少なくなるでしょう。
ドライバー不足の解消
近年ネット通販業などの躍進で物流量が増加し日本国内のトラックドライバーが不足しています。
将来はその問題を解決するために自動運転なども取り入れられるかと予想されますが、まずは共同配送を行うことによりトラックの数を減らす、または走る回数を減らし、ドライバー不足を軽減させることが可能です。
取引先の受け取り業務の軽減化
共同配送を行えば複数の企業からの荷物がまとまって届くため、受け取り側としては相手の企業ごとに荷物を下ろす必要がなくなるため納品作業量を軽減することができるのです。
例えば一般家庭でヤマト運輸や佐川急便など運送会社ごとに来る方法よりも、同時に到着予定の荷物をどこかの業者がまとめて1度で宅配してくれたら受け取りが楽になる、という考え方です。
共同配送のデメリット
混載されるため荷物の把握が難しい
他社の商品を同じトラックに混載させる為通常配送に比べ荷物がどのような状態になっているのかを把握するトラッキング、いわゆるトレーサビリティーが難しくなります。
一社の荷物を追跡するのであればその企業の物流管理システムを使用してトラッキングすれば済むのですが、複数企業の荷物を運ぶとなると物流管理システムの共有、または新たな管理システムの構築が必要になりコストがかかる場合があります。
配送料金の統一が難しい
配送料金も企業によって算出方法が様々なので企業間で統一する方法を決めなければなりません。
また共同配送する場合でも企業ごとで配送料金が異なるようであればそれぞれの請求方法を構築する必要があったり、機密情報が相手に伝わってしまう可能性もあります。
イレギュラーな配送に弱い
共同配送されるトラックが今出発しようと言う時に追加発注が来た場合は融通を利かせ出発を遅らせる、というイレギュラーな対応が難しくなります。
複数企業の商品を運んでいるため一つの企業の都合でスケジュールを変更することは難しいでしょう。
また、配送先も複数になることが多いので時間指定も難しくなります。
共同配送をオススメする商材
共同配送で物流コストを安く抑えることができると言われていますが商材によってはあまり共同配送に向かないものも存在します。
共同配送にマッチしている商材としては形が一定であったり多く積載できるもの、毎日のように消費されるものなどが挙げられます。
日用雑貨
ホームセンターや大型スーパーなどに商品として、またはオフィスの備品として日用雑貨は高頻度で運搬されるため共同配送に適しています。
掃除道具や洗剤や石鹸など様々な企業の日用品を一気に配達できれば発送側も受け取り側もどちらも労力やコストを軽減することができます。
医薬品
医療機器や医薬品なども共同配送に適しています。
1点1点の商品が軽量で小さいものが多く、形も統一されているため積載しやすく無駄なくトラックに積むことができます。
薬局やショッピングセンターはもちろん今後は病院や老人ホームなどの医療機関にも共同配送が使われるようになると予想されています。
食料品
食料品は毎日必ず消費されるため共同配達により効率化されると大幅にコストを改善することができます。
異なる製造元同士が毎日同じスーパーやショッピングセンターなどに配送しているのであれば、同梱しやすいサイズの小さい商品などは共同配送することによりトラックの数を減らすことができるようになるのです。
また配送コストが下がればその分商品価格にも還元できるため、安く販売したり仕入れたりすることが可能になります。
自動車部品
自動車部品も毎日組立工場に運ぶ為、共同配送することによりコストの改善が見込まれます。
自動車部品など機械工業品は様々な工場でパーツが作られ組立工場に集められているため、下請け企業間で小さなパーツなどを共同配送することができれば運賃を抑えられコストを下げられます。
また受け取り側の組立工場でも入庫作業の回数が減るため労力、人件費を削減することができるのです。
ただ共同配送は形の一定なものが適しており、形がいびつで大きいものは積載効率が悪く向いていないため、小さなパーツ類であれば良いのですが、自動車のバンパーなど大型で積載しにくいものは適していません。
共同配送の注意点
共同配送は乗合タクシーに似ているため運賃も安く抑えられ環境にも優しいので物流企業は取り入れるべきなのですが、ただ闇雲に共同配送を行っても利益に繋がらない場合があります。
複数の企業と提携して荷物を運搬するという業務は想像以上に連携が難しく、例えば一つの企業の商品供給量が突然少なくなった場合、または追加注文によりトラックのスケジュールやルートが変更になる場合などイレギュラーな対応が起こると一社で配送するよりもコストが高くなってしまう場合があります。
乗合タクシーに似ているため、乗るはずだった乗客が来ていない、一人の乗客が途中で下車したい、またはルートを変更してほしいなどの要望には応えられないのと同じで、配送条件を変更する度に余計な人件費や燃料代がかかってしまうのです。
共同配送を成功させコストを削減させるるためにはイレギュラーな配送が無いように企業間でのルールや取扱商品をしっかりと共有し、シュミレーションしておくことが大切なのです。
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