プロダクトアウトとマーケットインの違いとは? 時代に合わせた戦略の考え方

2021.11.29物流・フルフィルメント
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企業が商品やサービスを開発、販売するにあたって市場を調査する「マーケティング」は欠かせない業務です。

消費者が望んでいることは何なのか、またはそのために企業ではどのようなことができるのかを考えずして商品やサービスを世に出してもヒットせず消えていくことでしょう。

それらマーケティング業務で欠かせない手法、考え方が「マーケットイン」と「プロダクトアウト」になります。

マーケティングを行う企業で仕事をしている人にとっては馴染みがある言葉だと思われますが、一般的にはまだ知らない人が多いこれらの言葉。

そこで今回は、このマーケットインとプロダクトアウトとはどのような意味でマーケティングにどんな影響があるのか、またそれぞれのメリットやデメリットなどを解説します。

プロダクトアウトとは?

プロダクトアウトとは企業が自社の設備や人材などを考慮して、どのようなものが今作れて、どのような商品が開発できるかという考えのもとで商品を開発することです。

かつてアップル社がスマートフォンという今までのガラケーとは全く異なる概念の携帯電話を発表し大ヒットを記録しましたが、このように全く新しい商品を世に送り出す商品の開発方法です。

「消費者が望む商品」という考えよりも「企業が売りたい商品」という考え方が強い販売戦略になります。

プロダクトアウトのメリット

メリットとしては社内の人材や技術を活かし、今までになかった全く新しい商品を作り出すことができるということです。

全く新しい商品が世に出てヒットすればしばらくは独占状態が続き、企業は大きく発展することができます。

プロダクトアウトの成功例

例えば、かつて誰もが想像し得なかった、手のひらサイズでインターネットを容易に閲覧し、様々なネットサービスを自分で選んで使うことができ、音楽を聞いたり電話で話せるスマートフォンという商品を開発したアップル社。

このようにコンピューター企業であったアップル社の技術や人材により、ガラケーと呼ばれる携帯電話だけだった時代ににパソコンと携帯電話を合わせた全く新しいモバイル通信機器を開発することができたのです。

また時代は古くなりますが、当時は自宅で大型のオーディオ機器を使って楽しむだけだった音楽。

これをどこにでも持ち出せるようにしたいと考えたオーディオメーカーであるソニーが、コンパクトなヘッドフォンで聞くことのできる電池式のカセットテーププレイヤー「ウォークマン」を発明し大ヒットとなりました。

このようにプロダクトアウトは全く新しいコンセプトの商品を生み出すことができ、大ヒット商品、未来の定番商品を生み出してくれるのです。

プロダクトアウトのデメリット

反対にプロダクトアウトのデメリットとしては企業側の独りよがりになってしまう可能性があるということです。

前述したスマートフォンやウォークマンなどは消費者側が受け入れ気に入ってもらえたためヒット商品になった成功例ですが、受け入れてもらえなければ失敗作になり世間からは忘れ去られていたことでしょう。

莫大な設備投資をして商品を開発しても顧客に気に入られず消費されなければ負債が残り、企業は大きなダメージを受けてしまいます。

マーケットインとは?

企業側の考えで商品を開発するプロダクトアウトとは逆に、顧客のニーズを聞き出し、消費者が望んでいる商品を開発することです。

プロダクトアウトと違い「企業が売りたい商品」という考えよりも「消費者が望む商品」という考え方が強い販売戦略になります。

マーケットインのメリット

マーケットインはあらかじめ消費者にアンケートなどをとり、どのような商品が欲しいのか下調べした状態で商品開発を始めるため発売時に全く売れなかったというケースがあまりなく、リスクの少ない商品開発が可能です。

またすでに発売されている定番商品に関するアンケートを取り、その商品の改善につなげて新商品として発売することもマーケットインの手法です。

全く新しい商品を開発するプロダクトアウトよりも開発スピードが早く、コストを抑えて新商品を発売することができます。

マーケットインの成功例

マーケットインで成功した事例の一つによく挙げられるのが「USJ,ユニバーサルスタジオジャパン」の成功例です。

2001年のオープン当初は映画専門のテーマパークとして集客をしていましたが初年度の集客数を超えられないまま横ばいが続いていたUSJ。

そこに日本を代表するマーケターである森岡毅氏が2010年にUSJに入社し、あらゆる年代のアンケートデータを取り映画好きためのテーマパークから、様々な人達が楽しめるテーマパークに作り変えたのです。

映画のアトラクションだけではなく、日本人の子供も共感できるようドラゴンボールからワンピース、キティちゃんなどアニメやゲームのキャラクターを起用するなど、いわゆる「万人受け」するアトラクションで新規顧客の開拓を行いました。

その結果2016年のUSJの来場客数はこれまで超えられなかった初年度の約1100万人を大きく突破する約1400万人と改革に成功したのです。

マーケットインのデメリット

マーケットインは顧客のニーズに従って商品を開発するため大失敗をすることが少ないのですがデメリットもあるのです。

全く新しい商品を開発するプロダクトアウトとは違いマーケットインの手法で開発された商品は元々あった商品を発展、改善させた商品が多いため、大ヒットが生まれにくいのです。

また、マーケットインで顧客の意見が反映された商品が売れると他社は真似をするため類似品が多くなります。

後から真似をした企業は市場調査をする人件費や経費を削減できるため、最初に発売した企業よりも安く販売されてしまう可能性もあります。

現在はプロダクトアウトとマーケットインどちらなのか?

近年はプロダクトアウトよりもマーケットインを重視する傾向にあります。

戦後の高度経済成長期には暮らしを豊かにするというテーマの元様々な商品が開発されています。人口増加に耐えるため新たな居住区として団地が建設され、当時は三種の神器と呼ばれた洗濯機や冷蔵庫、テレビなど今までまったくなかったものが開発される時代でした。これらはプロダクトアウトで開発された商品達は大ヒットを記録し、日本の経済発展を支えてきました。

しかしながらバブルが崩壊し商品が売れない時代を経験すると、今ある商品をどのように改良するか、消費者に使いやすい商品にするかに重点を置くようになり、思考はプロダクトインへと傾いていったのです。昔ほどではありませんが近年でもパソコンやスマートフォンなど全く新しい商品が開発されヒットを記録することはあります。

しかし、スマートフォンもアップル社が発明した後は競合他社も次々にスマートフォン産業に参入し、マーケットインを行い改良された新機種を発売し続けています。商品が売れない時代を乗り切ることができたマーケットインが、現在のマーケティングには合っていると言えます。

おわりに

近年はマーケットインでの商品開発のほうが失敗が少なく重点が置かれていますが、スマートフォンやそれに準ずるアプリなど様々なIT関連の新しい商品やサービスが開発され、プロダクトアウトという開発方法も再び注目されるようになってきました。

マーケットインでもプロダクトアウトでも最も重視しなければいけないことは「消費者」です。

消費者のニーズを追求したマーケットインという考えはもちろんのこと、プロダクトアウトも消費者のために何ができるかを考え開発することが大切なのです。

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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。