ZOZOやメルカリが導入するゆっくり配送とは?導入の背景と物流の未来
2024.03.27物流・フルフィルメント
大手事業者を中心に「ゆっくり配送」の導入が進んでいます。詳細がわからず、対策を立てられないなどと悩んでいる方は多いでしょう。ゆっくり配送は、物流の効率を高める取り組みです。導入により、配送コストを抑えられる、新たな価値を顧客に提案できるなどのメリットを期待できます。
ここでは、ゆっくり配送の概要とゆっくり配送が注目を集めている理由、導入により予想される変化、EC事業者がとるべき対応などを解説しています。全体像を理解したい方は参考にしてください。
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目次
ゆっくり配送とは
ゆっくり配送は、受注から納品までの日数(リードタイム)を延ばして、複数の注文をひとつにまとめる施策です。参考に、取り組み例を紹介します。
【取り組み例】
- ユーザーがゆっくり配送を選択
- 送料を割り引く
- ユーザーが商品を注文
- EC事業者が商品を出荷
- 運送会社がトラックの空きと荷物をマッチング
- 運送会社がユーザーに商品をお届け
ポイントは、5の行程でトラックの積載率を高めて配送の無駄をなくしていることです。また、業務量の少ない日に配送を行うなどの取り組みが行われることもあります。
ゆっくり配送の導入で、配送コストの上昇緩和、CO2排出量の削減、輸送能力の向上、配送ドライバーの労働環境向上、顧客満足度の向上などが期待できます。
ゆっくり配送の導入を進めている、または検討している企業には、ZOZO、メルカリ、アマゾンなどがあります。大手事業者の導入で配送の定番オプションになると、EC事業者も対応を迫られるでしょう。
出典:日本経済新聞「ZOZO、複数注文まとめて「ゆっくり配送」試験導入」
出典:日本経済新聞「EC、あえて「ゆっくり宅配」 送料安く、物流に優しく メルカリ、速さ競争に一石」
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ゆっくり配送が注目される背景
多くの事業者は、ゆっくり配送の導入をなぜ検討しているのでしょうか。ここからは、ゆっくり配送が注目される理由を解説します。
2024年問題へ向けた物流業界の対応策
ゆっくり配送が注目されている理由のひとつとして2024年問題があげられます。2024年問題とは、2024年4月以降に輸送能力が不足し、物が運べなくなる可能性があるという懸念を指します。
この問題は、働き方改革の一環として2024年4月からトラックドライバーの時間外労働上限が年間960時間に制限されることにより輸送能力の低下が引き起こされると見られています。適切な対応を行わない場合、次の問題などが生じる恐れがあります。
【想定されている影響】
- 輸送できず消費者まで届かない
- 貨物に優先順位がついて断られる
こういった2024年問題の対策として検討されているのが、ゆっくり配送やモーダルシフト(自動車から環境負荷の小さい鉄道などへ輸送方法の転換)です。ゆっくり配送を導入すると配送効率が高まるため、輸送能力も高まる可能性があります。また、ドライバーや作業員にかかる負担も軽減すると考えられています。
出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務」
配送スピードへの価値観の変化
価値観の変化もゆっくり配送が注目を集めている理由です。これまでEC市場では、配送スピードが重視されてきました。しかし、トラックドライバーに過度な負担をかけていることが明らかになり、スピードより品質やサービスを重視する気運が高まりつつあります。たとえば、アメリカで行われた調査で次のような結果がでています。
EC商品注文時に最も重視すること | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|
配送スピード | 29% | 22% |
送料 | 33% | 41% |
配送スピードを重視する方の割合は減少しています。国内で行われた調査ではありませんが、日本でも同様の価値観の変化が起こる可能性はあります。アメリカで起きた変化は、日本でも起こりやすいためです。EC事業者が注目したい調査結果といえるでしょう。
出典:JBpress「「ゆっくり宅配」、米で人気 高速配達の普及減速」
ゆっくり配送の実現で未来はどう変化するのか
ゆっくり配送が実現すると、どのような変化が起こるのでしょうか。ここからは、想定される変化を紹介します。
顧客体験が求められるようになる
実現後は、配送スピード以外での差別化を求められるようになるでしょう。配送スピードだけでは、ユーザーのニーズに応えきれないためです。ユーザーの価値観にあわせた差別化要因が必要になります。一例としてあげられるのが送料の割引です。送料の割引は、コストを重視するユーザーだけでなく、お届けを急いでいないユーザーからも支持される可能性があります。
あるいは、サステイナブルも差別化要因になりえます。環境負荷を考えて、ゆっくり配送を選択するユーザーもいるためです。このようなユーザーの満足度は、CO2削減量を提示できると高められるかもしれません。ゆっくり配送実現後は、ユーザーの価値観に合わせたマーケティング戦略が求められると考えられます。
廃棄率の削減ができる
ゆっくり配送の導入で、EC事業者は廃棄率の削減を狙える可能性があります。ここでいう廃棄率は、何かしらの理由で廃棄に至った商品の割合です。具体的な理由として、誤配送や過剰在庫などがあげられます。ゆっくり配送を導入すると、受注から納品までの日数が延びるため、柔軟な出荷スケジュールを組めるようになります。
余裕が生まれることで、誤配送による廃棄を防ぎやすくなるでしょう。また、消費者の購買データを分析して在庫管理を適切に行う余裕も生まれます。発注ミスによる仕入れすぎがなくなれば、過剰在庫による廃棄は減少します。ゆっくり配送は、EC事業者にとってメリットの多い取り組みです。
物流のDX化が進む
ゆっくり配送を実現するため、アナログであった物流のDX化が促進されます。ゆっくり配送には前述したように、積載率を高めて配送の無駄をなくすことが重要になります。配送ルートと積載方法の効率化には、DX化が不可欠と考えられるためです。物流の効率化は配送従業員の負担軽減にもつながります。これにより、2024年問題の解決にも寄与します、
物流のDX化が進むことで、AI導入による自動運転車やドローンといったロボット配送が進むことも予想されます。これらの活用によっても、さらに配送や物流の効率を高められるでしょう。
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これからのEC物流の特徴
ゆっくり配送の導入により、以上の変化などが予想されます。EC事業者は、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
今後のEC物流で大切になると考えられるのが丁寧さです。ゆっくり配送が実現すると配送の質を重視するユーザーが増えると考えられます。梱包が雑など、顧客満足度の低下につながるサービスは受け入れてもらえない可能性があります。このようなサービスを提供していると、配送スピードだけでなくサービス品質も悪いと評価されるでしょう。
今後は、丁寧な配送、配送コストの削減、CO2削減量の削除など、配送スピード以外の付加価値を提示してユーザーに受け入れてもらう必要があります。新たな価値を提供できる体制を整えるとともに、マーケティング戦略として自社の方針を発信していくことが大切です。
ゆっくり配送の実現により、EC事業者の取り組みは大きく変化します。自社だけで対応できない場合は、発送代行を利用するとよいでしょう。発送代行は、発送に関わる一連の業務を代行してくれるサービスです。物流のプロが対応してくれるため、変化に合わせた質の高いEC物流を実現できます。
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ゆっくり配送の対応を検討しましょう
ゆっくり配送は、配送のリードタイムを延ばして、複数の注文をひとつにまとめる取り組みです。配送コストを抑える、CO2排出量を削減する、配送ドライバーの負担を軽減するなどの効果を期待できます。
ゆっくり配送が実現すると、EC事業者は新たな顧客体験の提供や丁寧な配送などを求められるようになります。これらが競合他社との差別化を図るポイントになるのです。自社だけで対応できない方には、プロのサポートを受けられる発送代行サービスがおすすめです。
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