【EC運営】一元管理システムとは?機能とメリット・デメリットについて

2024.01.16店舗運営
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EC運営では在庫管理や物流管理など、多くの業務が発生します。
業務ごとに異なるシステムを利用している場合、「管理に手間がかかる」「まとめて管理できないだろうか」とお困りの方も多いのではないでしょうか。

このように複雑化した管理業務を一か所にまとめることを、「一元管理」といいます。
一元管理システムはEC運営をはじめ、様々な業種や業界で役立つ管理方法です。

本記事ではEC運営に役立つ一元管理システムの概要と、主な機能・活用法・メリット・デメリットについて解説します。

その他、OMS(注文管理システム)やWMS(倉庫管理システム)との違いについても触れていますので、
「管理業務を効率化したい」とお考えのEC運営者の方は、ぜひ参考にしてください。

一元管理システムとは

一元管理システムは文字通り、「一元化」された「管理システム」です。
一元化とは、異なる分野の情報や複数の組織を一か所にまとめることを指します。

つまり一元管理システムとは、ばらばらに散らばっている管理業務を一か所にまとめるための仕組みです。
異なるカテゴリーの管理業務を統合し、作業にかかる時間が短縮できることから、公共機関などあらゆる業界で取り入れられています。

EC運営における一元管理システムの役割は、在庫調整・販売・配送などの各業務に利用している、別々のシステムやサービスを統合することです。

例えば、通常はECサイトからの受注に対し、倉庫への出荷指示や配送状況の追跡などをすべて別々のシステムで行います。
一方で、一元管理システムでは自動で情報を各機関へ連動し、一つのシステムの管理画面ですべての業務の状況を確認・更新・共有することが可能です。

このように一元管理システムによって管理の手間を省くことで、コスト削減や業務効率化につながります。

一元管理システムの主な機能と活用方法

EC運営における一元管理システムの主な機能と、その活用方法をご紹介します。

受注管理

1つ目は受注管理機能です。
受注管理とは、商品購入から出荷までの一連の業務の管理のことを指します。

具体的には、ECショッピングモールや自社のECサイト上で商品が購入された際に、
注文内容と在庫の確認を行い、倉庫への出荷指示と購入者への受注確認メールを送るといったことです。

本来であれば、使用しているシステムの管理画面を業務ごとにいくつも確認する必要がありますが、
一元管理システムでは一連の流れをワンストップで行えるため、受注もれや重複などの人的なミスの軽減に役立ちます。

発注・仕入

一元管理システムの2つ目の機能は、発注と仕入です。
通常は在庫状況に応じて発注を行い、
仕入が完了次第在庫表への反映が必要ですが、
一元管理システムを導入すると、発注・仕入の業務を自動で連動できるようになります。

例えば在庫数に応じて自動で発注数を調整する他、
仕入を行うと自動でECサイトの在庫数に反映するといったことが可能です。

商品登録

複数のECショッピングモールやECサイトに出品している場合、
商品登録はそれぞれのプラットフォーム上で都度行わなければいけません。

一元管理システムの商品登録機能を使えば、複数のECサイトにそれぞれ商品登録を行う手間をなくし、
一括で出品や更新ができるようになります。商品点数の多いストアや、商品情報の更新を頻繁に行う必要のあるEC運営者の方におすすめの機能です。

出荷管理

発送業務をする作業員

一元管理システムを導入すると、出荷管理の効率化も図れるようになります。
出荷は納期遅れや出荷ミスなどが起こらないよう、適切な管理が求められる業務の一つです。
受注の増加に伴い出荷作業が増え、処理が複雑化してお困りのEC事業者の方も少なくないでしょう。

従来の出荷管理では、商品の種類・個数・納期などの出荷指示を元に、
納品書・受領書・領収書などの必要書類を発行し、出荷の記録とその後の配送状況の追跡までを行う必要がありました。

一方で一元管理システムの出荷管理機能は、出荷指示と連動させて、
書類作成や配送の追跡を自動化します。急ぎで対応しなければいけない注文や、商品の入荷を待って対応する注文など、様々な状況に対応できます。

在庫管理

在庫管理も一元管理システムの重要な機能の一つです。
在庫管理は、商品や梱包材などの消耗品の在庫調整と棚卸以外に、
入出庫の確認や在庫数量をECサイトに反映する作業など多岐に渡ります。

一元管理システムの在庫管理機能は、元の在庫数からどの商品がいくつ売れて、
仕入をして残数がいくつであるかといった情報をすべて自動で連動するのが特徴です。

リアルタイムで在庫数量の変化を把握できるため、在庫不足や棚卸の業務効率化に非常に役立ちます。

メール・問い合わせ管理

問い合わせ

近年のEC運営では、メール・チャット・電話・SNSなど様々なコミュニケーションツールを利用した問い合わせへの、
適切な対応が求められています。
大量の問い合わせや、複数のチャネルからの問い合わせに対応する際には、
返信遅れや重複対応などが起きないよう、最新の注意が必要です。

一元管理システムのメール・問い合わせ管理では、
このような顧客やユーザーからの問い合わせの管理を自動化できます。
例えば問い合わせ内容に応じて担当を自動で振り分ける機能や、問い合わせ内容や対応履歴を自動分析する機能などです。

分析データを元にカスタマーサポートの業務改善や、
組織全体のサービスの見直しもできます。迅速に適切な対応をすることでクレームの発生が抑えられる上に、顧客満足度が高まり企業評価の向上につながるでしょう。

分析

業務目的によって営業分析に必要なデータや、分析するタイミングは異なります。
そのため業務ごとに別々の部署でデータを管理していると、適切なタイミングで経営戦略が立てられなくなってしまいます。

一元管理システムの分析機能は、異なる業務間のデータを横断して情報を一元化し、
多様なデータをリアルタイムで把握するために有効的な方法です。

一元管理システムとOMS(注文管理システム)、WMS(倉庫管理システム)との違い

一元管理システムに関連する仕組みとして、OMS(注文管理システム)とWMS(倉庫管理システム)があります。

先述の通り一元管理システムは、様々な業務・組織・経営資源などの管理をまとめて1つのシステムで管理するものであるのに対し、
OMSは注文に関する工程を一元化した管理システムです。

例えばECショッピングモールや自社ECサイトなど、複数のプラットフォームを利用している場合、
注文受付方法がそれぞれ異なるため処理が複雑になってしまいます。

OMSではこのような異なる注文方法での受注を一括で管理し、
注文の受付から受注処理・在庫確認・入金処理・出荷指示・出荷の完了メールの送信などの業務を、自動化することが可能です。

対してWMS(倉庫管理システム)は、倉庫管理に特化した一元管理システムです。
在庫を保管する倉庫での、入出庫・棚入れ・ピッキング・出荷などの業務効率化に役立ちます。

OMSとWMSの詳しい内容については、下記の記事でご紹介していますので、参考にしてください。

【EC運営】OMS(注文管理システム)とは?機能とメリット・デメリットについて

WMS(倉庫管理システム)の機能とメリット・デメリットについて

一元管理システムを導入するメリットとデメリット

続いて、一元管理システムを導入するメリットとデメリットをご紹介します。

メリット

【メリット1】作業ミスの防止

EC運営には、多くの連結した作業が伴います。例えば仕入や出荷を行ったら在庫数に反映し、在庫を確認後に出荷指示を行い、出荷が完了したら配送状況の追跡と完了メールの送信をするなどです。

一連の流れを手作業や目視で行う場合、データの重複や数え間違いなどの人為的ミスは避けられません。異なる業務の管理を一元化して、一つの項目が完了したら自動で次の項目の指示を出し、データを自動で更新することで人為的な作業ミスの防止につながります。

【メリット2】作業時間を短縮できる

作業ごとに別々の管理ツールを利用していると、その都度各ツールにアクセスしなければいけません。1つの受注に対し、在庫確認や出荷準備など様々な業務が発生するEC運営では、管理ツールがバラバラだと時間がかかってしまいます。

一元管理システムで一か所に情報を集めることで、異なる業務間での情報共有や反映が可能です。これにより、情報収集やデータ共有にかかっていた作業時間を短縮できます。

【メリット3】人件費の削減

これまで業務ごとに管理者や作業を行うスタッフを配置していたものを、管理を統合することで人員を減らせるようになります。

一元管理システムによって作業の無駄をなくし、スタッフ一人一人の負担を増やすことなく人件費の削減が可能です。

デメリット

【デメリット1】導入コストが掛かる

一元管理システムにデメリットがあるとすれば、導入コストが掛かることでしょう。利用するサービスによって料金体系は異なりますが、一般的には初期費用・月額使用料・メンテナンス費用などが発生します。

ただし、これまで複数の管理システムの使用料を支払っていた場合は、一元管理システムに一本化することで、コストを抑えられるかもしれません。また管理に掛かっていた人件費や作業時間を削減できることもふまえると、結果的にメリットの方が大きいと考えられます。

ビジネスの規模や既存のシステムからの移行処理によって、導入コストは変わってくるため、詳細は各サービスで見積もりをとるなどして、事前にコスト計算を行ってみてください。

具体的にどのような一元管理システムを利用するべきかについては、下記の記事が参考になるかと思います。

EC事業者必見!一元管理システムの比較10選

おわりに

ここまで、EC運営における一元管理システムの役割や機能と、その活用法・メリット・デメリットについて解説してきました。

EC運営者の方であれば、業務効率化のために様々な工夫をされていると思いますが、
色々なツールを導入した結果として管理が複雑化してしまっては、本末転倒になってしまいます。

経営資源を効率よく活用して生産性を高めるためには、管理体制を出来る限りシンプルにした方が良いでしょう。

一元管理システムには、受注管理・発注と仕入・商品登録・出荷管理・在庫管理・メールや問い合わせ管理・分析といった、
EC運営に欠かせない機能や活用方法があるため、業務効率化に役立てていただければと思います。

タグ : EC物流初心者向け EC運用 業務効率化 EC物流用語
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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。