化粧品の倉庫保管に必要な許可とは?問題を解決するアウトソーシング戦略
2025.01.29物流・フルフィルメント化粧品のEC市場は着実な成長を続けており、消費者の購買行動の変化とともに新規参入する事業者も増加しています。その中で、意外にも見落としがちな法的要件が存在します。それが「倉庫における化粧品保管」に関する規制です。
この記事では、化粧品EC事業者が法令順守のために必要な許可制度や、物流業務のアウトソーシングによる効率的な解決策をお伝えします。
なお、ウルロジは化粧品のEC物流代行にも対応しており、これまでにも多数の化粧品会社様の物流代行を行なってきました。化粧品EC物流でお困り事がある方は、お気軽にウルロジまでご相談ください。ウルロジのサービス詳細は、下記ページよりご確認いただけます。
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目次
EC事業者が化粧品を販売するには?
近年、ECでの化粧品販売が拡大していますが、化粧品ECを始める際に確認しておきたい重要な要件があります。それは「化粧品製造業許可」の取得です。「製造業」とついていますが、化粧品を倉庫で保管・出荷するだけでも、化粧品製造業許可が必要となります。
薬機法により定められており、化粧品の品質と安全性を確保するためのものです。EC事業者が自社で倉庫を運営する場合はもちろん、物流をアウトソーシングする場合でも、委託先の倉庫が化粧品製造業許可を持っているかどうかの確認が必要です。
適切な許可を持たない倉庫で化粧品を保管・出荷すると、法令違反となってしまうため、事業開始前に確認しましょう。
参照:化粧品と医薬品医療機器等法について,東京都健康安全研究センター
化粧品製造業許可とは?
化粧品製造業許可は、薬機法に基づいて定められた許可制度です。一見すると「製造」という言葉から、化粧品を製造する工場にのみ必要な許可のように思えますが、実はそうではありません。
化粧品製造業許可には、下記の2つの区分があります。
- 一般(1号区分):すべての製造工程を一貫して行える
- 包装・表示・保管(2号区分):包装や表示、保管のみを行える
倉庫業者やEC事業者に必要なのは、後者の「包装・表示・保管(2号区分)」の区分です。許可が必要な理由は、化粧品の品質を保つための保管や、外箱への表示ラベル貼付、梱包作業なども「製造行為」として定義されているためです。
化粧品製造業許可と化粧品製造販売業許可の違い
化粧品の取り扱いに関する許可には、「化粧品製造業許可」の他に「化粧品製造販売業許可」があります。両者は、似て非なるものです。
化粧品製造販売業許可は、化粧品を市場に出荷し販売するための許可です。製品の品質保証や安全管理の責任を負う立場として必要な許可であり、主に化粧品ブランドを展開する企業が取得します。
一方、化粧品製造業許可は、製造工程(保管や包装を含む)に関する許可です。そのため、ECサイトで販売する化粧品を倉庫で保管・出荷する場合、倉庫側には化粧品製造業許可が必要ですが、化粧品製造販売業許可は必要ありません。
化粧品製造業許可を取得する流れ
ここでは、化粧品製造業許可の取得に必要な書類や申請の具体的な流れを解説します。これから化粧品製造業許可を取得する予定の方は、参考にしてください。
必要な書類
化粧品製造業許可の取得には、以下の書類が必要です。
- 化粧品製造業許可申請書
- 責任技術者の資格を証明する書類(薬剤師免許証のコピーなど)
- 雇用契約書の写し
- 構造設備の概要一覧表 など
化粧品製造業許可申請書は、都道府県のホームページからダウンロードできます。特に構造設備の概要一覧表には、製造所の平面図や設備のリスト、試験検査機器一覧など詳細な情報の記載が求められます。外部の試験検査機関を利用する場合は、その利用概要も提出が必要です。
申請の流れ
申請は、事業所の所在地を管轄する都道府県の薬務課に対して行います。申請から許可取得までの流れは、以下のとおりです。
- 必要書類を揃えて申請書を提出
- 都道府県の薬事監視員による実地調査
- 申請内容と実際の施設・設備が基準に適合しているかの確認
- 問題がなければ、約1〜2ヶ月程度で許可証が交付
なお、許可の有効期限は5年間で、その後は更新が必要となります。
化粧品製造業許可の取得にかかる費用
化粧品製造業許可申請手数料は地域によって異なりますが、例えば東京都の場合、包装・表示・保管区分の新規許可申請手数料は32,800円です。
ただし、化粧品製造業許可の取得にかかる総費用は、もっと高額になります。なぜなら、構造設備の整備や責任技術者の人件費、品質管理システムの導入など、基準を満たすための投資も必要となるためです。全ての費用を含めると、数百万円から場合によっては数千万円規模の投資が必要となることもあります。
化粧品製造業許可を取得するための要件
化粧品製造業許可の取得には、「人」と「設備」の両面で厳格な要件を満たさなければなりません。ここでは、各要件の詳細をお伝えします。
化粧品製造業許可取得に必要な人的要件
最も重要な人的要件は、「製造責任技術者」の配置です。責任技術者は、以下のいずれかの資格要件を満たす必要があります。
- 薬剤師の資格を持つ者
- 薬学または化学の専門課程を修了した者
- 薬学または化学の科目を修得後、化粧品製造に関する業務に3年以上従事した者
- 厚生労働大臣が上記と同等以上の知識経験を有すると認めた者
製造責任技術者は単なる名義上の存在ではなく、実際に製造所に常駐し、保管や品質管理の実務を統括する必要があります。また、従業員への指導・教育も重要な役割です。
化粧品製造業許可取得に必要な設備要件
設備面では、「薬局等構造設備規則第13条」に定められた要件を満たす必要があります。主な要件は、以下のとおりです。
- 製品の製造に必要な設備と器具を備えていること
- 適切な換気設備があり、清潔な環境を保てること
- 住居スペースや不衛生な場所とは明確に区分されていること
- 作業に十分な広さがあること
- 粉じんの侵入や虫・ネズミの防止対策が施されていること
- 床は板張りやコンクリート、もしくは同等の材質であること
- 廃水処理や廃棄物処理のための設備・器具があること
- 製品・原料・資材を衛生的かつ安全に保管できる設備を備えていること
- 製品や資材の品質検査に必要な設備・器具を備えていること
- ただし、他の検査設備や外部の検査機関を利用する場合を除く
設備要件は、化粧品の品質を保証し、安全性を確保するために不可欠な基準として定められています。倉庫全体の設計から個別の設備まで、詳細な基準を満たさなければいけません。
EC事業者が化粧品製造業許可を取得するのが難しい場合は?
化粧品製造業許可の取得には、専門知識を持つ責任技術者の確保や、厳格な設備基準を満たすための投資など、EC事業者にとってはハードルが高い要件が多くあります。
このような場合の解決策として、化粧品製造業許可を持つ物流倉庫へのアウトソーシングが効果的です。例えば、ウルロジは化粧品製造業許可を取得しており、化粧品や医薬部外品の保管から、ラベル貼付、梱包、出荷までの一連の物流業務に対応可能です。自社で許可を取得する代わりに、すでに許可を持ち、専門的なノウハウを有する事業者に委託することで、スムーズな事業開始が可能となります。
自社で化粧品製造業許可を取得するのが難しい方や、物流業務を外部に委託したい方は、お気軽にウルロジにご相談ください。
化粧品物流倉庫のアウトソーシング先の選び方
化粧品の物流をアウトソーシングする際は、単に許可を持っているだけでなく、実務面での対応力も重要な選定ポイントとなります。ここでは、化粧品物流倉庫のアウトソーシング先の選び方を見ていきましょう。
化粧品の物流に関しては、こちらの記事も併せて参考にしてください。
>>化粧品・コスメの物流のポイントは?在庫管理・梱包や発送方法を解説!
化粧品物流の実績がある
化粧品物流は一般的な物流とは異なる専門性が求められる分野です。製造業許可を持っているだけでなく、実際の運用経験が重要です。特に薬機法に基づく製品管理の経験や、医薬部外品などの取り扱い実績がある倉庫を選ぶことがポイントです。
実績豊富な倉庫であれば、化粧品特有の品質管理要件や、保管時の温度管理、出荷時の検品など、細かな作業にも習熟しているため、安心して委託できます。また、突発的な問題が発生した際の対応力も期待できます。
ウルロジでは、多数の化粧品会社様にご利用いただいており、実際にこのような声をいただいております。
「営業担当も現場担当もみんなレスポンスが速くて安心」
「倉庫はきれいで商品も決められた場所でしっかりと在庫管理していただいている」
「紛失やお客様からの梱包不良に関するクレームがない」
化粧品会社様のウルロジの導入事例は、下記のページよりご覧いただけます。
>>化粧品に強い物流代行サービス「ウルロジ」の導入事例を見る
製造日・消費期限を踏まえてロット管理している
化粧品の品質管理において、ロット管理は極めて重要な要素です。ロット管理とは、製造単位ごとに製造日時や製造場所などを記録・管理する方法です。
ロット管理が重要な理由は、主に下記のとおりです。
- 品質問題が発生した際のトレーサビリティ(追跡可能性)の確保
- 適切な先入れ先出し管理の実現
例えば、万が一品質不具合が見つかった場合、同じロットの製品を迅速に特定し回収することができます。また、消費期限を考慮した在庫管理により、期限切れによる廃棄ロスを最小限に抑えられます。そのため、アウトソーシング先には確実なロット管理システムが整備されているかを確認することが大切です。
衛生管理が行き届いている
化粧品は人体に直接使用する製品であり、品質維持には適切な保管環境が不可欠です。そのため、倉庫内の温度・湿度管理はもちろん、防虫・防鼠対策、清掃体制など、総合的な衛生管理体制が整っているかを確認する必要があります。具体的には、以下のような点をチェックするとよいでしょう。
- 空調設備の稼働状況と温湿度管理記録
- 定期的な衛生点検の実施状況
- 作業従事者の衛生管理教育体制
- 清掃・メンテナンス計画の有無 など
物流波動に対応できる
化粧品業界特有の課題として、需要の大きな変動があります。新商品発売時やSNSでの話題化、セール時期には出荷量が通常の数十倍に跳ね上がることも珍しくありません。
ウルロジでEC事業を運営している担当者・責任者700名に対して「EC事業の運営状況に関する実態調査」を行なったところ、多くの事業者が「出荷に波がある際に出荷できなかった」という点に失敗したと感じていることがわかりました。この結果からも、化粧品物流倉庫のアウトソーシング先を選ぶ際は、物流波動に対応できる体制が整っているかどうかを確認することが重要と言えます。
例えば弊社では、韓国コスメがSNSで話題となり、月間出荷件数が41.5倍に急増したケースがありました。このような急激な物流波動に対しても、ウルロジではロボット活用や日々のオペレーション改善により、品質を維持したまま柔軟な対応を実現しています。
物流波動に対応できて化粧品に強いEC物流倉庫をお探しの方は、お気軽にウルロジにご相談ください。
また、物流波動について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
多品種・小ロットに対応している
化粧品の物流管理では、商品の特性から生じる課題があります。同じ商品でも色違いやサイズ違いなど、多品種の商品を取り扱う必要があり、使用期限との関係で小ロットでの管理が求められます。
特に重要なのが、誤出荷の防止です。化粧品は肌質や肌の色に合わせて選ばれる商品であるため、誤った商品が届くと重大なクレームに発展する恐れがあります。そのため、人的作業だけでなく、高度な倉庫管理システム(WMS)の導入が不可欠です。ウルロジでは最新のWMSや自動仕分け機を導入し、確実な在庫管理と出荷作業を実現しています。
定期購入に対応している
最近の化粧品ECは、定期購入による販売が取り入れられています。SNSマーケティングの影響もあり、定期購入での注文が増加傾向にあります。定期購入に対応するためには、以下のような機能が必要です。
- 定期的な出荷スケジュール管理
- 配送日の変更への柔軟な対応
- 在庫の計画的な確保
- 顧客ごとの配送履歴管理
定期購入をすでに取り入れている事業者や、今後導入予定の事業者は、アウトソーシング先の選定時に、上記のような機能が整備されているかを確認しましょう。
サンプルやチラシを同梱できる
化粧品ECで効果的なマーケティング施策の一つに、商品と一緒にサンプルやチラシを同梱することが挙げられます。新商品のサンプルや関連商品のチラシを同梱することで、アップセル・クロスセルの機会を作れるからです。
ウルロジでは、商品を梱包する際にチラシを同梱する業務にも対応しています。チラシ同梱作業を含め、発送業務をまるごと対応できるEC物流代行をお探しの方は、ウルロジまでお問い合わせください。
オリジナルの資材も作成できる
化粧品ECにおいて、パッケージングはブランドイメージを左右する重要な要素です。商品が消費者の手元に届くまでの「開封体験」の質を高めることで、顧客満足度の向上やリピート購入につながります。
そのため、単なる保管・発送業務だけでなく、ブランドロゴやブランドカラーを使った独自の梱包材も作成できるEC発送代行業者を選ぶと良いでしょう。梱包材の作成を別の業者に依頼することもできますが、EC発送代行業者に全て依頼すれば、下記のようなメリットがあります。
- 複数の業者と連絡を取る手間が省ける
- 物流と資材を一体で管理することで発注ロットを最適化できる
- 現場からのフィードバックを即座に資材改善に反映できる
ウルロジでは、クライアントのブランド価値を高めるパッケージングの提案も行っています。ウルロジのサービス詳細は、下記ページよりご確認いただけます。
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最適な配送業者を選択できる
化粧品の配送では、商品の種類や注文数によって最適な配送方法が異なります。例えば、少量の注文ではポスト投函が可能なメール便が適している一方で、セット商品や大量注文では宅配便が最適です。そのため、下記に当てはまるEC物流代行サービスが理想的です。
- 複数の配送業者との取引実績
- 注文内容に応じた最適な配送方法の選択
- 配送コストの最適化
- 時間帯指定配送への対応
ウルロジでは、ヤマト運輸や日本郵便などの主要5社の配送業者と契約を結んでおり、お客様のニーズに応じて最適な配送プランを提案できます。
配送業者主要5社の料金や特徴は、以下の記事も併せて参考にしてくださいね。
>>主な宅配業者5社の料金や特徴を比較!商品発送におすすめなのはどこ?
化粧品のEC物流倉庫はウルロジにお任せください
化粧品EC事業の成功には、法令順守はもちろん、品質管理やブランド価値を高める物流パートナーの選択が重要です。ウルロジは化粧品製造業許可(包装・表示・保管)を取得しているだけでなく、数多くの化粧品EC事業者との取引実績があり、専門的なノウハウを蓄積しています。また、最新の倉庫管理システムによる正確な在庫管理や、自動仕分け機を活用した効率的な出荷体制など、化粧品ECに必要な機能を完備しているのが特徴です。
その他、定期購入対応やチラシ同梱、オリジナル資材の提案など、売上拡大につながる付加価値サービスも提供しています。化粧品ECの物流でお困りの際は、ぜひウルロジにご相談ください。お客様の事業の成長を物流業務でサポートいたします。


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