化粧品・コスメ通販における3PLのメリット・注意点と業者選び

2023.09.19物流・フルフィルメント
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化粧品・コスメ通販における3PLのメリット・注意点と業者選び
「3PL(スリーピーエル・さんピーエル)」は、「third party logistics(サードパーティ・ロジスティクス)」と呼ばれ、国土交通省の公式ホームページでは次のように定義されています。

3PL(third party logistics)とは荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行することをいいます。

引用元:3PL事業の総合支援 – 国土交通省

要約すると、3PLとは物流業務全般を請け負う第三者機関を意味します。

それではコスメ・化粧品の通販において3PLを利用するには、どのように代行業者を選ぶべきでしょうか?選定のポイントや注意点についてわかりやすく解説します。

コスメ・化粧品通販における3PLとは

コスメ・化粧品通販における3PLとは
まず一般的な通販・ECの3PLでは次のような業務が行われます。

  • 商品の保管と入出庫業務
  • 発送業務
  • 物流コンサルティング業務

ただし3PLには物流業務のみを行う「業務代行型」、システム提供のみを行う「システム提供型」などもあり、すべての3PL業者で一連の業務を提供しているわけではありません。

それに対してコスメ・化粧品通販における3PLでは「製造業許可」を取得していることを前提に、化粧品や医薬部外品販売の領域で次のような流通加工が可能です。

  • 包装業務
  • 法定表示貼付業務
  • 保管商品の製品検査

たとえば化粧品を箱に入れる包装業務や法定表示の製品への貼付、保管した製品品質を確認した上での出荷判定も行えます。つまり発送業務だけでなく、一連の流通加工サービスを提供するのがコスメ・化粧品通販における3PLです。

EC物流における3PLの役割をより詳しく知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考になさってください。

>>EC物流における3PLの役割とは?導入の際に押さえるべきポイント

コスメ・化粧品通販における3PLのメリット・デメリット

コスメ・化粧品通販における3PLのメリット・デメリット
コスメ・化粧品通販における3PLの利用にはメリットもありますが、デメリットもあります。導入するべきかの判断材料として、メリット・デメリットの両方をご紹介しますので、自社に適するサービスであるか確認してみてください。

【メリット】

  • 発送や物流に費やす自社の従業員の労力が不要となり、人件費などのコスト削減につながる
  • 物流のプロに委ねることで客観的な視点から運用してもらえ、判断力が高まる可能性が高い
  • 物流を3PL業者に一任することにより発注・調達・販売などの業務を簡素化できる
  • 返品対応や未着返品・などのトラブルも業者に一任できて対応力が高まる

【デメリット】

  • 第三者企業に受注や物流に関する情報を伝達しなければならないため、状況を伝える難しさがあり、迅速な対応が難しくなる(特にノンアセット型に顕著に見られる)
  • 3PLの依頼にかかる費用によりコストが増える可能性もある
  • 3PL業者にノウハウが蓄積されるため、自発的な改善提案がでない。かつリプレイスのハードルが高い

メリット・デメリットについてのより詳しい解説は、次のページで行っていますのでぜひご覧になってください。

>>3PL(サードパーティ・ロジスティクス)のメリットとデメリットとは?

コスメ・化粧品通販における3PL業者の種類

コスメ・化粧品通販における3PL業者の種類
コスメ・化粧品通販における3PLには、大きく分けて「アセット型」と「ノンアセット型」の2種類があります。それぞれにどのような特徴があるのか見ていきましょう。

アセット型

アセット型とは自社で所有する倉庫施設や車両などの輸送手段を用いて、物流サービスを提供する業態のことです。

  • 物流の一括委託と倉庫状況の把握しやすさから協力関係を築きやすい
  • 情報伝達がスムーズなためヒューマンエラーが起こりにくい
  • 製品が発送場所に保管されるため品質維持がしやすい

アセット型では委託先の企業によって配送手段・保管手段が確保されており、企業が所有する倉庫にて在庫を一括委託することができます。

一括で委託することで製品の状況を把握しやすく、社員教育や業務改善の統一化を図れることで、一定したサービスレベルを保つことができます。また化粧品・コスメが委託先業者にて保管されるため、品質劣化のリスクも少なくなります。

ノンアセット型

ノンアセット型はアセット型とは違い、企業にて施設や輸送のための車両を保有しないタイプの物流サービスで、外部の企業のアセットから適切な物流の手段・仕組みを用いて対応します。

  • 様々な外部企業との連携がある為、顧客のニーズに応えやすい
  • 輸送量に変動があっても柔軟に対応してもらいやすい
  • 商品の種類・量により保管場所の分割ができる

ノンアセット型の特徴は、柔軟なサービスを受けられることです。各業務に精通した外部企業との連携があるため細かなニーズに対応してくれることも多く、物流における良きパートナーとなってくれるはずです。

コスメ・化粧品通販における3PL実施の注意点

コスメ・化粧品通販における3PL実施の注意点
コスメ・化粧品通販において3PLを実施するなら、注意するべきポイントがあります。正しく運用していくために、あらかじめ注意点を把握してから利用を検討してください。

化粧品製造業許可の取得が必須である

化粧品・コスメ通販の3PLでは、「製造業許可(包装・表示・保管)」がなければ包装行為や法定表示の貼付行為、製品検査を経た出荷などが行えません。

そのため化粧品・コスメ通販の工程をできる限り多く委託するには、化粧品製造業許可の認可を受けている業者であるか確認することはとても重要です。

たとえば海外輸入品のコスメを販売する際には、日本の法定に則ったラベル貼りや詰替えが必要となります。製品の包装を化粧箱に入れる行為や、製品への法定表示貼付、製品検査も含めた保管や出荷もすべて任せたいというケースもあるでしょう。

化粧品・コスメの3PL業者を選ぶ際には、化粧品製造業許可を取得している企業でなければ、自社で負わなければならない業務が増えてしまいます。

湿度や温度など管理環境を適切に保つ必要がある

化粧品・コスメは繊細で、湿度や温度によって品質が変わることもあります。商品保管設備の湿度や温度が適切に保たれているか、適切に保ってもらえるかを確認しましょう。

コスメ・化粧品通販で3PLを活用する依頼するメリット

コスメ・化粧品通販で3PLを活用する依頼するメリット
化粧品・コスメ通販における3PL活用には、一連の流通加工サービスをトータルで依頼できるメリットもあれば注意点もあります。

しかし活用するメリットをより深く知れば、注意点を踏まえた上で有効に活用できるはずです。業者に3PLを依頼することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

品質が担保できお客様満足度の向上が図れる

まずは商品の品質が担保され、さらに質の高いサービスを提供できるようになることです。物流が専門で豊富なノウハウを持つ業者に3PLを委託すれば、より迅速かつ質の高い物流を実現できるようになるでしょう。

化粧品・コスメへの検品が細かな部分まで行き届いたり、適切に管理され品質が担保されたりすればお客様満足度も高まるはずです。

作業負担が減りコア業務に専念できる

「物流」という作業負担が減ることによって、コア業務に専念しやすくなるのもメリットのひとつです。化粧品・コスメの製造は、集中力や慎重さが必要となるもの。

物流を専門業者に委託することで、化粧品の開発・製造やマーケティングなどのコア業務に専念でき、生産性の向上につながるでしょう。

コスト削減につながる

最後にご紹介するメリットは、コスト削減につながるということです。

3PLを提供する企業は、多くの企業からの発送を一括で請け負っているため、宅配便業者との価格交渉で有利な状況と言えます。そのため通常よりもコストを抑えた発送が可能です。

また化粧品・コスメの取り扱いを任せる人材に対しては、専門的教育が必要となります。しかし化粧品・コスメの取り扱いに慣れている第三者機関に物流を依頼すれば、それらの教育にかかるコストは必要ありません。

3PLを利用するには委託のための料金が必要ですが、人材や発送費を抑えられ、ともすればこれまでよりも支出が抑えられる可能性もあります。

商品トラブルへの対応ができる

化粧品・コスメの場合、「箱がつぶれていたから交換したい」、「輸入コスメの成分表を貼りかえたい…」などの要望が出てくることもあるでしょう。

化粧品製造業許可を取得している3PL業者であれば、包装の変更や法定表示の貼付、保管などの行為も行えるため、より細かな対応が可能となります。

細かな対応は自社内でも工数がかかり難しい事かもしれませんが、製造業許可を取得した3PL業者に委託すれば、希望する業務を一任できるはずです。

コスメ・化粧品通販の3PL業者の選定ポイント

コスメ・化粧品通販の3PL業者の選定ポイント
それではコスメ・化粧品通販で3PL業者を選ぶには、どのようなことを意識するべきでしょうか。

業者選びにおいて失敗すると、化粧品の品質が劣化したり、海外輸入品への取り扱いが不適切になったりするリスクがあります。物流段階での失敗を防ぐために、コスメ・化粧品通販における3PL業者の選び方についてご紹介します。

フレキシブルな対応が可能か

まずは柔軟性のある対応が可能である業者を選ぶのが基本です。
化粧品・コスメ通販においては、各種キャンペーンにより同梱物が増えたり、細かなCRMが必要となったりすることが多いでしょう。
また場合によっては当日中出荷を希望されることもあるかもしれません。
コスメ・化粧品以外のものもまとめて依頼したいというケースも考えられます。
それらに対応してくれるフレキシブルさがあるかが、業者選びのひとつのポイントとなります。

商品に合わせた適切な管理を行えるか

化粧品・コスメ通販における3PLでは、「適切な管理を行える」ことは非常に重要です。適切な管理が行えなければ商品の品質が劣化して、利用者からのクレームにつながることもあります。

品質が劣化したコスメでは肌トラブルが起きる可能性も考えられるでしょう。ともすると品質保証責任を問われるかもしれません。

商品の管理体制をチェックするとともに、遮光瓶が割れないよう、ダンボールや緩衝材の種類も事前に確認しておきたいものです。

コスメ・化粧品通販の3PL業者では、オリジナルの資材作成にも対応していることがあります。販売品専用の資材が準備できれば、発送中の品質確保も問題ありません。

小ロットに対応しているか

業者を選定する際には、対応可能なロット数も確認するようにしましょう。多様なニーズに応えるためにSKUが増えることで、小ロット多品種の在庫管理と発送業務が求められます。

特に化粧品・コスメ通販を始めたばかりの企業にとっては、小ロット対応の3PL業者は良いパートナーになってくれるはずです。

物流以外のオプションサービスの有無を確認

3PLは継続的に利用することが多いサービスであるため、物流以外のオプションサービスの有無を確認しておくと、状況に応じたフレキシブルなサービスを受けやすくなります。

たとえばカスタマーサービスのレベルや充実度、提案力の高さなどが確認しておきたいポイントです。もし困ったときに、メールや電話だけでなく、チャットやLINEで連絡をできれば、困りごとを迅速に解決できるでしょう。

またコスト削減や販促施策の提案、各種法律・規制などの相談ができると、事業拡大や業務形態に変更があった場合でも安心です。

化粧品・コスメ通販の3PLは業者選びを慎重に

化粧品・コスメ通販の3PLは業者選びを慎重に
化粧品やコスメの通販で3PLを導入すれば、コストを減らしながらコア業務に集中できるようになる上に、物流の品質が向上してお客様満足度が高まるなどさまざまなメリットがあります。

しかしそれは適切な業者を選んだ場合です。化粧品・コスメは繊細なため品質管理が難しく、適切な取り扱いをしてくれる3PL業者の選定が重要となります。

物流代行を幅広く請け負っているウルロジでは、化粧品・コスメの3PLにも対応可能です。スポットや定期発送にも対応し、遮光ガラス瓶が割れることのない梱包材もご用意しております。

サンプル品やチラシの封入などの細かな加工にも対応していますので、化粧品・コスメ通販で3PLを検討されているなら、ぜひウルロジまでお問い合わせください。

>>ウルロジの3PLについて詳しく見る

タグ : EC物流初心者向け ECお役立ち情報 EC運用 発送・梱包 業務効率化
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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。