流通・物流・商流それぞれの特徴と違いについて

2021.11.29物流・フルフィルメント
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皆さんは「流通」や「物流」という言葉を聞くとどのようなことを思い浮かべるでしょうか?

漠然と荷物がトラックに載せられ様々な場所に届けられる光景を思い浮かべる人も多いと思います。その荷物が国内外を問わず移動する「流通」や「物流」の業務は現代社会では欠かせない業務の一つになっており我々の生活に大きく関わるようになりました。そのため世の中がどんどん便利になっていることが当たり前になりすぎ、流通や物流業務が具体的にどのようなものなのか、また流通や物流との違いがわからないという人が多いのも事実です。

今回は流通と物流とはそもそもどういう業務なのか、そしてそれぞれの違いについて、さらに流通業務を行う上では欠かせない「商流」という言葉についてもご紹介します。

そもそも流通とは?

まずは流通とはどのような業務を指すのか、特徴と合わせて見ていきましょう。

商品が消費者に届くまでの流れ

流通とは商品が生産され、消費者に届くまでの一連の流れのことを示します。商品が生産工場で作られる前の段階、原材料の調達から組み立て、商品の梱包からメーカーへの発送、そして小売店への配送から通販サイトや店舗での販売まで、商品ができあがる前からお客様の元へ届けられるまでの一連の流れのことを表します。

そのため流通業務が一社で完結することはほとんど無く、生産会社や小売店、そして運送会社など様々な企業が絡む業務になります。

所有権が移動する

前述の通り流通業務は多くの企業が携わり、商品が生産され消費者に届く一連の流れであるため、商品の「所有権」が移動することが物流との大きな違いになります。

まず商品の原材料が生産されますが、その時点で所有権は原材料を調達する企業にあり、それらの材料を買い取り集められ、商品が完成される工程で製造会社に所有権が移ります。
そしてその商品をメーカーや小売店に卸すことで商品の所有権がまた移動して、最後にお客様が購入することで商品の所有権は流通業務の末端である消費者へと移動します。流通は商品の生産から消費まで様々な企業に所有権が移動し、顧客に届くまでの流れ全ての業務のことになり、物流とはその一連の流れの中で商品を移動させる、流通業務の中の作業の一つになります。

そもそも物流とは?

続いて物流の業務内容、特徴について見ていきましょう。

流通の中の商品移動業務

物流とは商品が生産され消費者に届くまでの一連の流れの中で、商材を運ぶための業務になります。生産工場からメーカーの保管倉庫へ運ぶ業務、または商材が保管された物流倉庫から各小売店への納品、さらに通販の店舗や倉庫から流通の末端である消費者の家に宅配する業務なども物流と呼ばれます。

物流とは流通する際の商品の運搬や保管を担う業務の一つのことを指します。

所有権の移動が無い

物流業務は商品が流通する過程での保管や運搬を担う業務であるため、物流業務では商品の所有権が移動することがありません。

例えば商品が製造されメーカーに納品される流通業務では、所有権は製造会社からメーカーに移動しますが、製造された商品がメーカーに納品されるまでの運搬を担っている物流業者には商品の所有権が移りません。商品運搬中に物流企業の過失で事故が起こり、商品に損害を被った時は物流会社が損害賠償を支払うのですが、前述の例で言えば製造会社からメーカーに運搬中でまた所有権が製造会社にあるため、賠償は製造会社に支払われることになるのです。

そもそも商流とは?

最後に商流についてどのようなものなのか、ご紹介します。

商品の所有権が移動すること

「商流」はあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、商材が製造からメーカー、小売から消費者へと移動する流通業務の中で商品の所有権を移動させることを指します。
「取引流通」や「商的流通」とも呼ばれ製造会社からメーカーに商材が買い取られる、またはメーカーから小売店、小売店から消費者へと買い取られるお金の流れのことを商流と呼びます。

支払いや契約締結

商品とお金、商品の所有権が移動するということは流通と共通していますが、商流は商材そのものよりも商品代金が支払われ契約が締結したかどうかに重きを置いています。商品がメーカーから小売に卸されれば所有権がメーカーから小売店に移ったことになるかと思いがちですが、お金のやり取りに関しては完全に移っていない場合もあるのです。

例えば書店で本や雑誌を販売する際に新刊などは一度に大量に仕入れ売れ残った分を返品するという販売方法があります。これは「貸出」、「委託」などと呼ばれる販売方法で、一旦は大量の商品が小売店に物理的に移動するのですが、販売された分のみ小売店からメーカーに支払われ、残りの商材分は支払いが発生せずメーカーに返却するという取引方法なのです。その際、販売した分はお金のやり取りが発生し商流業務が行われるのですが、売れ残った商品は物理的には小売店に一度移動しますが、所有権はメーカーのままで返品されてくるのです。

このように商品が移動しても商流的には商品の所有権が移っていないケースも存在するのです。

流通・物流・商流の違いとは?

物流と商流で成り立つ流通

物流、商流とは商品が生産され消費者に届くまでの流通業の中で欠かせない業務になります。
企業や小売、そして消費者への自宅へと商材を運搬するための業務である物流、そして企業間同士のお金のやり取りや消費者が小売店に支払う商流があって初めて商品が流通するのです。

所有権の移動

流通・物流・商流の大きな違いは「所有権が移動するかどうか」です。

物流は企業間、または企業と顧客へと商品を運搬するための業務であるため商品の所有権とは無関係になります。そして商流はその所有権を移動させるための取り引きになり、商品が物流業務によって移動した後はもちろんのこと、契約内容によっては物流業務の前に支払いが締結し、商品の所有権が移動していることもあります。
そして製造業にあった所有権が商流を繰り返し、物流業務を経て末端である消費者に所有権が移るまでの流れのことを流通と呼びます。

おわりに

現在はネット通販業も盛んになり、顧客が注文した商品が当日や翌日に届くということも珍しくはなくなりました。

これらの流通スピードをさらに上げてサービスを向上させ、企業を成長させるために生産者から消費者までの流通時間を削減させることが重要になってきています。生産者から商流や物流を経て消費者に届くまでの流通時間を削減するために、大手通販サイトのamazonや楽天などのように小売と物流を一体化させ、他社との商流や物流のプロセスをなるべく減らす企業も増えてきています。

そして小さな地方の農家や漁業組合などでも、ネット通販などを駆使して生産者から消費者にダイレクトに発送できるようなサービスも増えてきています。

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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。