EC倉庫とは何か?種類と特徴から選び方まで徹底解説
2024.10.07物流・フルフィルメント
「EC物流倉庫ってどんなサービス?」「利用するメリット・デメリットを教えてほしい」など考えていませんか。必要性を見極めるため、情報収集を行っている方もいるでしょう。
EC物流倉庫は、ECの物流業務を行う拠点です。適切に活用することで、コア業務に集中しやすくなり、ヒューマンエラーを防ぎやすくなるなどのメリットが期待できます。ここでは、EC業界で働く筆者が自身の経験を踏まえて、EC物流倉庫の概要、特徴、種類を解説するとともに、EC物流倉庫を利用するメリット・デメリット、EC物流倉庫の選び方などを解説しています。利用を検討している方は、参考にしてください。
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目次
EC物流倉庫とは
インターネットを介した取引をEC(Electronic Commerce=eコマース)といい、その際の物流をEC物流と呼びます。EC物流倉庫は、ECに関連する物流業務を行う拠点、あるいはこれらの業務を代行する事業者を指します。具体的には、商品の入庫から保管、出荷まで対応します。
インターネットとスマートフォンの普及を受けてEC市場が拡大しています。経済産業省が発表した資料によると、日本国内のEC市場規模は2021年が20.7兆円、2022年が22.7兆円です。
これに伴いEC事業者が増加し、EC物流倉庫の需要が高まっています。EC物流の業務負担が大きくなっていることから、外部委託を選ぶ事業者が増えているためです。EC物流倉庫はECの運営に欠かせないサービスとなりつつあります。
出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
EC物流倉庫の主な特徴
EC物流倉庫の主な特徴は次の通りです。
BtoC向けの出荷がメインとなる
EC物流倉庫の多くは、BtoC向けの物流業務に対応しています。多くのEC事業者が、BtoC向けのビジネスを展開しているためです。これに対して、一般的な倉庫は、法人向けの物流業務に対応しています。両者の主な違いは次の通りです。
分類 | 特徴 |
---|---|
EC物流倉庫 | パターン化された出荷に対応 |
一般的な倉庫 | お届け先ごとに異なる出荷方法など、細かなカスタマイズに対応 |
BtoC向けの出荷は、ある程度のパターンが決まっています。ただし、法人向けに比べて、発送品質や細かなサービスを求められます。したがって、EC物流倉庫は、丁寧な梱包や流通加工にこだわっているサービスが多いといえるでしょう。
幅広い流通加工に対応している
BtoC向けの物流業務を提供しているため、多くのEC物流倉庫は幅広い流通加工に対応しています。具体例として、以下の流通加工があげられます。
【流通加工の例】
- タグ付け
- ラベル貼り
- 梱包
- ギフトラッピング
- チラシ・DMの同梱
以上のほかにも、さまざまな流通加工に対応しています。これらは自社ECのサービス品質を高める重要な業務です。また、競合他社との差別化にもつながります。商品の保管や発送だけでなく、自社ECが提供するサービスの一環として捉えることが大切です。
迅速な対応が求められる
多くの一般消費者は、商品の早い到着を期待しています。弊社が実施した「EC利用に関する口コミ・レビュー実態調査」によると、全体の28.8%の方が「配送の速さ」をECで買い物をする際に重視していると回答しています。
「EC利用に関する口コミ・レビュー実態調査」について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
>>EC利用者の口コミ・レビューによる購買動向の変化の調査結果をご紹介
このような傾向を踏まえて、EC物流倉庫の多くは発送リードタイムの短縮を図っています。もちろん、自社でも対応は可能ですが、スピードを重視すると、発送ミスの増加に悩まされるケースが少なくありません。EC物流倉庫は、発送ミスを防ぎつつ、発送リードタイムの短縮を実現しています。この点も、EC物流倉庫の特徴といえるでしょう。
EC物流倉庫の種類
EC物流倉庫は、特徴により以下の4種類に分類されます。
【EC物流倉庫の種類】
- 販売が主体となるEC物流倉庫
- 特定の業種に特化しているEC物流倉庫
- 倉庫サービスが主体となるEC物流倉庫
- システム会社が主体となるEC物流倉庫
各倉庫の特徴を紹介します。
販売が主体となるEC物流倉庫
EC事業者様の販売をサポートする体制を整えたEC物流倉庫です。具体的なサービス内容はケースで異なりますが、EC運営に必要な業務のほとんどを提供しています。サービスの例は次の通りです。
【サービスの例】
- 受注業務
- 入庫業務
- 保管業務
- 発送業務
- 返品対応
- 顧客対応
販売業務および物流業務の負担を軽減できる点が、このタイプの強みといえるでしょう。大きな初期投資を必要とせず、最新のシステムや設備を利用できる点も魅力です。ただし、一定のルールが定められているため、大幅なカスタマイズは難しい傾向があります。販売が主体となるEC物流倉庫の例として、FBA(フィルフィメント By Amazon)があげられます。
特定の業種に特化しているEC物流倉庫
ある業種に特化した設備、サービスを提供しているEC物流倉庫です。特定の商品で求められる温度管理や流通加工を行える点が強みです。具体例として、食品や医薬品を対象とする温度管理、アパレル商品を対象とする検針、プレス加工などがあげられます。
設備や機器を自社で導入すると、まとまった費用がかかります。維持にかかる費用も無視できません。特定の業種に特化しているEC物流倉庫を利用すれば、これらの費用を抑えられます。費用対効果が優れている点もこのタイプの魅力です。
倉庫サービスが主体となるEC物流倉庫
さまざまなカスタマイズに対応しているEC物流倉庫です。具体的なサービスはケースで異なるものの、自社ECにあわせて委託する業務をカスタマイズできる傾向があります。例えば、倉庫に届いた部品を組み立てる、倉庫に届いた部材を決まった大きさにカットするなどが考えられます。
ワンストップで、これらの業務を行える点が魅力です。複数の事業者を利用する必要がないため、輸送費を抑えやすい点も見逃せません。ただし、委託する業務が多くなると費用は高くなります。また、専門業者に委託するほうが、費用を抑えられることもあります。
システム会社が主体となるEC物流倉庫
システム会社と提携したEC物流倉庫であり、ここでいうシステムは原則として物流関連のシステムを指します。基本的な利用の流れは次の通りです。
【利用の流れ】
- システム会社に相談する
- システム会社から自社ECに適したEC物流倉庫を紹介してもらう
- システム会社を通してEC物流倉庫へ業務を委託する
EC物流倉庫にシステムを導入しているため、業務や費用の無駄を省きやすい傾向があります。例えば、受注情報を自動で連携するなどが可能です。ただし、委託先のEC物流倉庫と直接連絡をとれないため、稼働直後はトラブルが発生しやすい傾向があります。細かなカスタマイズも難しいといえるでしょう。
弊社が提供しているウルロジはFBAの対応が可能です。商品ごとに、適した物流体制を構築できるほか、細かなカスタマイズにも柔軟に対応しています。
また、独自開発したWMS(倉庫管理システム)を活用して倉庫を運用するなど、上記EC物流倉庫の特徴を全て兼ね備えています。ご興味をお持ちいただいた方は、以下のページからサービス資料をダウンロードしてご確認ください。
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EC物流倉庫の業務を委託するメリット
EC物流倉庫には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、EC物流倉庫を利用するメリットを紹介します。
コア業務に集中できる
EC物流倉庫は、ECに関連する物流業務を代行する倉庫です。利用により物流業務の負担を軽減できたり、物流業務に充てていた時間や人員を、他の業務に充てたりすることができます。したがって、生産性の高いコア業務に集中しやすくなります。コア業務の例として、商品企画やマーケティングがあげられます。
筆者の経験をもとに述べると、EC物流倉庫の利用をきっかけに、売上を伸ばすEC事業者様は少なくありません。単なるアウトソーシングと思われがちですが、その効果は非常に大きいといえるでしょう。物流業務に負担を感じている場合は、メリットを感じられるはずです。
ヒューマンエラーを削減できる
EC物流倉庫を利用すると、ヒューマンエラーを削減できます。運営事業者が、さまざまなノウハウを蓄積しているためです。また、自動仕分け機などの最新設備を導入して、ヒューマンエラーを防いでいるEC物流倉庫もあります。
ちなみに、弊社ウルロジでは、億単位の設備投資を行いヒューマンエラーの予防に努めています。発送ミスなどのトラブルを防ぎやすくなる点は、EC物流倉庫を利用するメリットといえるでしょう。
筆者の経験をもとに述べると、EC事業の拡大に伴いヒューマンエラーは発生しやすくなります。物流量の増加に対応できなくなるためです。発送ミスなどのトラブルは、顧客満足度の低下につながります。顧客対応に追われると、無駄なコストもかかってしまいます。ヒューマンエラーが起こりにくい体制を構築しておくことが大切です。
注文の増加に柔軟な対応ができる
EC物流倉庫を利用すると、出荷量の急増に対応しやすくなります。外部の人的リソースを活用できることが理由です。
自社だけで対応する場合、イベント開催時や繁忙期に必要な人員を確保できないことがあります。このような状況で出荷量が急増した場合、トラブルが起こりやすくなります。
例えば、出荷ミスや発送遅延が考えられるでしょう。出荷量の急増に対応しやすくなる点はEC物流倉庫の魅力です。ちなみに、出荷量が減少した場合も、余剰人員を抱える必要はありません。この点も、EC物流の強みだと筆者は考えています。
EC物流倉庫の業務を委託するデメリット
EC物流倉庫に業務を委託する場合は以下の点に注意が必要です。
ノウハウを蓄積できない
EC物流倉庫は、EC物流に関する幅広い業務に対応しています。したがって、利用すると関連するノウハウを自社に蓄積できません。将来的に内製化を考えている場合は、注意が必要です。
デメリットが気になる方は、委託する業務の範囲を限定するとよいでしょう。この方法であれば、物流業務の負担を軽減しつつ、必要なノウハウを蓄積できると筆者は考えています。
内製化を検討していない場合、デメリットを気にせずにEC物流倉庫を利用できます。売上アップに集中するとよいでしょう。
情報伝達に時間がかかる
EC物流倉庫に業務を委託すると、自社で対応するときよりも、情報伝達に時間がかかります。倉庫内での出来事をリアルタイムで把握できないうえ、情報伝達にかかわる人員も増えるためです。したがって、トラブルの把握にも時間がかかります。これに伴って、さらなるトラブルが発生することもあります。
以上を踏まえて、筆者は連絡の取りやすさもEC物流倉庫を評価する重要な基準だと考えています。サービスを選択するときは、この点も意識することが大切です。
EC物流倉庫には、以上のほかにもさまざまなメリット、デメリットがあります。これらについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
>>EC物流とは?重視すべき理由や課題、倉庫に委託するメリット・デメリット
EC物流倉庫の業務委託先を選ぶ際に確認したいポイント
EC物流倉庫にはさまざまな選択肢があります。ここからは、業務委託先を選ぶ際に確認したいポイントを紹介します。
サービス内容
EC物流倉庫の強みは、サービスで異なります。販売活動を含め幅広い業務に対応しているところもあれば、特定の業種に特化しているところもあります。それぞれの強みは異なるため、自社ECのニーズに応えられるサービスを選ぶことが大切です。
必要な流通加工、温度管理の要否、海外発送の有無など、自社ECの特徴を整理すると適したサービスを見つけやすくなります。
倉庫の立地
EC物流倉庫の立地もチェックすべきポイントです。主要な納品先から離れていると、お届けが遅くなったり、送料が高くなったりする恐れがあります。ECの納品先は、人口分布に比例すると考えられています。
人口が最も多い都市圏は、東京・神奈川・埼玉・千葉で構成される関東大都市圏です。以上を参考に、倉庫の立地を検討するとよいかもしれません。また、倉庫周辺の交通状況もお届けスピードに影響を与えます。高速道路沿い、幹線道路沿いなど、交通状況がよいとスムーズに発送しやすくなります。
倉庫に適した立地は、以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
自社システムとの連携
EC物流倉庫のシステムも、忘れずにチェックしておきたいポイントです。自社システムと連携できない場合は、システムを入れ替えたり、サービスを選び直したりする必要があります。
対応にまとまった費用、時間がかかることもあるでしょう。予めチェックしておくと、このようなトラブルを防げます。
EC事業者様の業務負担を軽減するEC物流倉庫
EC物流倉庫は、ECの物流業務を代行する事業者です。主にBtoC向けの出荷に対応しているため、発送スピードにこだわっている事業者、幅広い流通加工に対応している事業者が多いといえるでしょう。
EC物流倉庫には、販売サポートを得意としているところ、特定の業種に特化しているところ、倉庫業務に強いところなどがあります。それぞれの特徴は異なるため、自社ECにあわせて選択することが重要です。適切なサービスを選べば、コア業務に集中しやすくなる、ヒューマンエラーを防ぎやすくなるなどのメリットを期待できます。
弊社が提供しているウルロジは、最新設備を導入して発送品質を高めるとともにコスト削減を目指しています。都内に4つの拠点を構えている点、幅広いカスタマイズに対応している点も強みです。充実した体制を整えているため、EC事業者様のさまざまな課題に対応できます。EC物流倉庫業務でお困りの方は、以下のページからウルロジにご相談ください。
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