失敗しないための運送会社の選び方

2021.11.29物流・フルフィルメント
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運送会社というと、どんな会社を想像するでしょうか?

テレビCMなどでよく見る会社を想像する人が多いと思いますが、日本国内には自動車・鉄道・航空など様々なジャンルの運送会社があり、トラック運送事業者だけで62,000社を超えています。(2014年時点)

無数に存在する運送会社の中から、自社の商材に適した運送会社を選ぶのは難しいですよね。

ここでは主に、トラック輸送を用いた場合の運送会社の選び方を紹介していきます。

選ぶ際のポイント

ひとえにトラック運送会社といっても、各社運送可能なモノや得意な商材も違います。価格面だけで選んでしまうと、ミスが多かったり品質が良くなかったり、トラブルにも繋がりやすいです。そこで、運送会社を選ぶにあたって気を付けたいポイントをいくつかご紹介します。

運送対応な可能なモノ、そのモノの取り扱い経験

まず重視したいポイントが主に運ぶ「モノの種類」です。

例えば食品であれば、納期をしっかり設定出来て守れる業者か、温度管理をしっかりできる運送会社かなどが重要です。

印刷物の輸送では、横ずれによる印刷面の擦れが無いように運転できる運送会社か、湿度管理が出来る運送会社かなどに注意した方が良いでしょう。

精密機器の場合はモノが軽いため、通常のトラックのエアサスペンションだと機能しないことがあります。精密機器専用のエアサスペンションが付いたトラックを利用できる運送会社かが重要になります。

営業エリア

どこの地域の運送会社かも重要なポイントです。事業所に近い運送会社の方が、トラブルがあった際の対処スピードが早いなど安心が出来ます。

また、運送可能エリアも各社で違ってきます。ここのエリアだったら自社で運べるが、そこを超えると外部の会社に委託して運送するケースなどもあります。運送に関わる事業者の数は少ないほど品質も安定するため、全て自社で出来るのか、協力会社と連携して運送するのかなども事前に確認しておきたいポイントです。

運送車種

運送会社が所有している運送車種も、モノを運ぶ品質に大きく影響してきます。

事業用車種は大きく分けて、小型トラック、中型トラック、大型トラックの3つに分類されます。

それぞれの特徴を紹介していきます。

小型トラック

一般的に積載量が2トン以下のトラックを小型トラックと分類します。

小型トラックの種類は、さらに大きく分けて4種に分けられます。

平ボディ

荷台がフラット型のトラックです。屋根や壁が無いため汎用性が高いですが、雨風に弱いです。

バンボディ

荷台がアルミ製などの箱型のトラックです。雨風から荷物を守ることが出来ます。現在では最も一般的なトラックです。

保冷車

外気の影響を受けにくいように、荷台に断熱加工がされているトラックです。食品など温度管理が必要な荷物を定温で運ぶことが出来ます。

冷蔵冷凍車

冷蔵・冷凍装置がついており、荷台が冷蔵庫や冷凍庫のような機能になっているトラックです。保冷車と違い断熱処理だけでなく冷やすことが出来るので、冷凍食品を運んだり、生鮮食品を運ぶことが出来ます。

中型トラック

一般的に積載量が4トンクラスのトラックを中型トラックと分類します。

トラックの荷台の形や装備がいくつか種類があり、機能や積載量などが異なります。

平ボディ

荷台がフラット型のトラックです。荷台が軽いため、積載量を4トン以上確保することも可能な場合も多いです。屋根や壁が無い分、積み下ろしが楽です。

バンボディ

荷台がアルミ製などの箱型のトラックです。雨風から荷物を守ることが出来ます。平ボディより荷台が重くなるため、積載量が4トンを下回ることが多いです。

ウィングボディ

荷物の積卸しがしやすいように、バンボディの荷台の両壁側が翼状に開くトラックです。荷物を雨風から守りつつ、荷物の積み下ろしを楽にすることが出来る利点があります。

幌ウィング

ウィングボディの壁面がアルミ製などで無く、幌シート状になっているトラックです。普通のウィング車よりも荷台が軽いため、より多く荷物を積めます。

冷蔵冷凍車

冷蔵・冷凍装置がついており、荷台が冷蔵庫や冷凍庫のような機能になっているトラックです。保冷車と違い断熱処理だけでなく冷やすことが出来るので、冷凍食品を運んだり、生鮮食品を運ぶことが出来ます。

大型トラック

一般的に積載量が10トンクラスのトラックを大型トラックと分類します。トラックの荷台の形や装備がいくつか種類があり、機能や積載量などが異なります。

平ボディ

荷台がフラット型のトラックです。荷台が軽いため、おおむね11~15トンの積載量があります。

バンボディ

荷台がアルミ製などの箱型のトラックです。雨風から荷物を守ることが出来ます。

ウィングボディ

荷物の積卸しがしやすいように、バンボディの荷台の両壁側が翼状に開くトラックです。

冷蔵冷凍車

冷蔵・冷凍装置がついており、荷台が冷蔵庫や冷凍庫のような機能になっているトラックです。

運送車種によって、駐車・作業できるスペースに違いがあったり、機能も異なります。その会社が扱っている車種を事前に確かめておくと良いでしょう。

営業(窓口の対応スキル)

運送を依頼する際の営業担当や窓口の対応スキルも品質に関わる重要なポイントです。

中小規模の運送会社は、ドライバーが営業を兼ねているケースもあります。現場のことを理解した対応をしてくれる可能性が高いですが、電話やメールの確認頻度が低くなってしまうなどのデメリットもあります。

また、より多くヒアリングをしてくれる運送会社は、品質意識などが高い会社であるという判断も出来ます。

細かく・スピーディに対応してくれる運送会社を選ぶと安心できるでしょう。

安全・品質管理能力

安全や品質管理に注力している運送会社かどうかも重視したいポイントです。

判断基準の一つとして、「公益社団法人全日本トラック協会」が発行・認定している「Gマーク」というものがあります。

Gマーク

引用元:公益社団法人全日本トラック協会

Gマークとは、トラック運送事業者の交通安全対策などへの事業所単位での取り組みを評価し、一定の基準をクリアした事業所を認定・公表しているマークです。これにより、利用者がより安全性の高い事業者を選ぶことが出来ます。

また、品質管理・向上を図る社員教育をしているかなども選定のポイントとなるでしょう。会社のWebページなどで社員教育体制を開示している運送会社もあるので、チェックしてみましょう。

大企業と中小企業の違いとそれぞれのメリット・デメリット

運送会社を選ぶ際に大企業と中小企業はどちらが良いのでしょうか。それぞれメリットとデメリットを見ていきます。

大企業のメリット

大企業に頼む際のメリットは、高い品質の担保や補償がしっかりとあるという点です。

採用や社員教育もしっかりしているため、ドライバーの平均的な質は良いといえます。また、もしものときの補償もスムーズに行ってくれる可能性が高いです。

大企業のデメリット

大企業の場合は、高品質ですが費用が高くなる可能性があります。また、要望に細かく答えられないケースもあります。

運送はエリアによっては地元の運送会社に委託しているケースもあるので、運ぶのは中小企業のトラックだが、費用はその会社より高くなる。というケースもあります。

中小企業のメリット

運送会社のほとんどは中小企業です。そのため、しっかりとポイントを押さえて会社を選ぶことが出来ればコストパフォーマンスよく運送を頼むことが出来ます。

また、小回りが利くので細かい要望に応えてくれることもあるでしょう。

中小企業のデメリット

中小企業を選ぶデメリットは、とにかく事業者の数が多く、選ぶのが大変という点があります。会社により品質のバラつきもあるため、しっかりと信頼のおける事業者を選ぶことが最重要です。

また資本力も大企業より劣るため、大型案件は受けられなかったり、補償も弱かったり対応に時間がかかる場合があります。

おわりに

運送会社はとにかく数が多く、規模やサービス内容にも差があります。

依頼する際は、何を重要視するかをしっかりと決め、目的に合わせて大企業にするか中小企業にするかを決めるとよいでしょう。

タグ : コスト削減
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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。