物流業務を改善しコストを削減する方法
2023.11.20物流・フルフィルメント物流事業を行うためには、トラックやドライバー、倉庫など様々な要素が必要です。様々な設備が必要な物流業務を行う上で大切なのが、業務を改善しコストを削減することです。
もちろん売上も重要ですが、後回しになりがちな業務改善、コスト削減も非常に重要です。これらについて詳しくみていきましょう。
目次
大きく分けて3つの視点から改善をしよう
物流業務は、モノを運ぶことからモノの保管・管理など業務が多岐にわたります。そして、それぞれの業務で非常に多くのコストがかかっています。いきなり「業務を改善してコストを削減しよう」といっても、どうすればよいか分かりにくいでしょう。
物流業務で必要な要素は大きく分けると「ヒト」「モノ」「場所」の3つです。
それぞれの3つの視点から業務を見つめ直し、改善点を見つけていきましょう。
ヒトにおける改善のポイント
物流業務を大きく3つに分けたうちの「ヒト」には、具体的にはどのような改善点があるのでしょうか?
以下に代表的な例を挙げてみました。
- ピッキング作業の見直し
- ルールの作成
- 人に依存しない管理システムの導入
一つずつ具体的に見ていきましょう。
ピッキング作業の見直し
ピッキング作業とは、特定のモノを保管している場所から取ってきて「集荷場所に持ってくる作業」です。
保管が関わる物流業務がある企業にとって、ピッキング作業は非常に多くの時間を使っており、ピッキング作業の効率化は非常に重要です。
ピッキングには大きく分けて、「シングルピッキング」と「トータルピッキング」の2種類があり、それぞれ扱う商品により適したピッキング方式が違います。
シングルピッキング | 1つの受注に対して必要な商品を持ってきて、1つにまとめるピッキング方式 |
---|---|
トータルピッキング | 複数の受注に対して、商品ごとに必要な数量をまとめて持って来るピッキング方式 |
これらの方式をしっかりと理解し、一つの倉庫の中でも受注をしっかり分析し、上記方式を併用することでよりピッキング効率を上げることが出来ます。
以下の記事により詳しく書いてあるので、読んでみてください。
ルールの作成
「ヒト」における業務の改善は、それぞれの作業を効率化し、かかってる時間を短縮させることが重要です。
作業の中でも、特定の人しか知らない作業があるとそれだけで作業が中断してしまいます。また、近年の物流業界の人員不足により、業務人員の入れ替わりも多いです。
しっかりと、ルールを明文化して作成することが重要です。
モノにおける改善のポイント
「モノ」に関する業務改善のポイントはどのようなものがあるのでしょうか?
代表的な改善としては以下があります。
在庫や保管の最適化
物流業務には、様々なモノが必要です。
例えばモノを運ぶトラックでも、適切な数が配備されているでしょうか。また、商品を包む梱包資材も必要以上に在庫してしまっており、スペースを取ったり余分な管理が必要になっているかもしれません。
それぞれに必要な数量をしっかりと分析・把握し、常に最適な数量に保つことが重要です。
場所における改善のポイント
物流業務で大きくかかるコストが場所に関することです。
具体的には、「物流拠点の場所の見直し」があります。詳しく見ていきましょう。
物流拠点の場所の見直し
物流で最も重要な要素の一つが、物流拠点の「場所」です。
物流業務はモノを動かす業務で、その物流拠点はモノを納入して出荷するため、必ずその場所を経由することになります。したがってその場所をどこにするかで物流コストが大きく変わってきます。
物流拠点を決めるのに重要な要素は「納入するモノの経路」と「出荷する場所」です。物流拠点は、大きく「生産立地型倉庫」と「消費立地型倉庫」に分類できます。
生産立地型倉庫
モノの生産地に近い場所に置く倉庫のことです。出荷する場所より仕入れる生産地の場所が多い場合は、生産地に近い場所に倉庫を置いた方が物流コストが安くなります。
消費立地型倉庫
消費地に近い場所に置く倉庫のことです。仕入先より、出荷する販売先などの場所の方が多い場合には、消費地に近い場所に置いた方が物流コストが安くなります。
このように、納入するモノの経路と出荷する場所のバランスを考えながら物流拠点の場所を決めることが重要です。
コスト計算方法
さて、今まで物流業務を効率化するための改善点をご紹介しましたが、物流コストはどのように計算するのでしょうか。その方法の一つをご紹介します。
物流コストを計算する手法の一つに「物流ABC」というものがあります。「ABC」とは、「Activity-Based Costing」の略で「活動基準原価計算」と訳されます。
物流業務の中の活動毎に原価を計算する方法で、例えば1商品のピッキングにいくら原価がかかったのかなどを管理します。そうすることで、物流量単位でなく活動単位で原価を計算できるため、より広い視野でコスト計算をすることが出来ます。
主な物流ABCの算出する方法は以下の通りです。
- 物流ABCの目的を考える
- 作業内容を設定する
- 投入要素ごとに必要なコストを把握する
- 作業内容ごとに分解し把握する
- 作業内容ごとに原価を算定する
- 作業内容ごとに処理量を把握する
- 作業内容の単価を算定する
詳しくは以下の記事にて紹介してますので、是非参考にしてみて下さい。
アウトソーシングのすすめ
物流業務は、自社内で物流ABCなどを活用し、コスト計算・削減をすることも重要ですが、倉庫業務などを委託することもコスト削減の可能性があります。
アウトソーシングを行うとどういったメリットやデメリットがあるのでしょうか?
アウトソーシングするメリット
主なメリットは以下の通りです。
専門業者に任せることで、物流品質を担保できる
自社物流を行うことになっても、担当者が物流業務になれているとは限りません。また規模が大きくなれば、管理する内容も増え、専門の知識が必要になります。
専門業者にアウトソースをすることで、初期から規模が大きくなっても一定の物流品質を担保できることが出来ます。
繁忙期・閑散期のリスク回避
アパレルや流行商材など、季節によって売上が大きく変動するEC事業者などは、繁忙期は倉庫の人員も場所も多く使いますが、閑散期は固定費は高いリスクになります。
自社物流を持つのでなく、アウトソーシングをすることでこれらのリスク回避になります。
アウトソーシングするデメリット
一方、アウトソーシングには以下のようなデメリットもあります。
情報の漏えい
他社に顧客情報や自社の商品情報を渡すことになるので、情報の漏えいが大きなリスクになります。
ですので、これらのリスクは前もって契約に盛り込むことが必須条件となるでしょう。
デメリットもあるアウトソーシングですがメリットも非常に多いので、コスト削減の1つの手法として考えてみると良いでしょう。
以下の記事にも詳しく書いているので、是非読んでみて下さい。
おわりに
物流業務は、いかに業務を改善・効率化し、コストを削減しながら運用することが重要です。
業務内容を定期的に確認・測定し、適切な業務改善を行うと良いでしょう。
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