ヤマト運輸のネコポスが継続・復活する理由とサービス利用方法
2025.02.03物流・フルフィルメント
2025年1月21日に、ヤマト運輸からサービス終了を予定していたネコポスの継続、復活が決定したと発表がありました。
出典:ヤマトホールディングス株式会社「『クロネコゆうパケット』の全国発売開始と、『ネコポス』による全国翌日配達の継続について」
多くのEC事業者様にとって既存のサービスを継続できる面では嬉しい発表と言えるのではないでしょうか?
本記事では、ネコポスが廃止になった理由とネコポスの継続、復活が決まった背景を解説するとともに、EC業界で働く筆者の経験を踏まえて、クロネコゆうパケットと比較する形で復活後のネコポスの賢い使い方を紹介しています。
2025年2月以降は、ネコポスとクロネコゆうパケットが併存するため、それぞれの特徴を考慮して使い分ける必要があります。
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目次
ネコポスは継続!廃止予定から復活した理由
ネコポスは、ヤマト運輸が提供している配送サービスの一つです。2023年10月からサービスを順次終了する予定でしたが、一転してサービスの継続が発表されました。ここでは、ネコポスの概要、ネコポスが廃止になった背景、さらにはネコポスの継続・復活が決まった理由を解説します。
そもそもネコポスとは?
ネコポスは、小さくて軽い荷物を宅急便レベルの配達速度で、お届け先のポストへ投函する配送サービスで、以下の方が利用できます。
【サービスの対象】
- ヤマト運輸と契約している法人
- ヤマト運輸と契約している個人事業主
- ヤマト運輸と契約している個人間取引サイトのユーザー
主な特徴は、お届けにかかる日数が短いことと荷物の紛失や破損に対してネコポス1個あたり3,000円までの補償を受けられることです。小さな荷物をできるだけ早く届けたい方から支持されているサービスといえるでしょう。
出典:ヤマト運輸「ネコポス」
ネコポスが廃止とされた背景
ヤマト運輸は、2023年10月からネコポスを順次終了し、日本郵便の配達網を活用した新サービス「クロネコゆうパケット」へ切り替えることを発表しました。ネコポスが廃止された主な理由は物流の2024年問題です。公益社団法人全日本トラック協会によれば、物流の2024年問題は次のように説明されています。
2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示(※)が適用され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されており、このことを「物流の2024年問題」と言われています。
2024年問題について理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。
>>物流の2024年問題の影響と対策【物流ライターがわかりやすく解説】
労働時間が短くなることで、ドライバーの負担は軽くなりますが、同時に輸送能力も低下します。その一方で、EC市場の成長やフリマアプリの浸透により、宅配便取扱個数は増加傾向にあるのです。
年度 | 宅配便取扱個数(百万個) |
---|---|
令和元年度 | 4,323 |
令和2年度 | 4,836 |
令和3年度 | 4,953 |
令和4年度 | 5,006 |
令和5年度 | 5,007 |
出典:(pdf)国土交通省「令和5年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法」
これらのギャップを埋めるため、ヤマト運輸と日本郵便が協業し、業務の効率化を図ることになりました。具体的な取り組みとして行われたのが、ネコポスの廃止とクロネコゆうパケットへの移行です。
ネコポスが継続・復活する理由
ただし、ネコポスの廃止が計画通りに進んでいるわけではありません。2025年1月21日、ヤマト運輸が以下の発表を行いました。
宅急便と同様のお届け日数で全国翌日配達※する「ネコポス」の提供を継続することを決定いたしました。
復活の主な理由は、クロネコゆうパケットの配達日数がネコポスより長いことです。「商品を早く届けたい」という顧客のニーズに応える目的で、ヤマト運輸はネコポスの継続・復活を決定しました。また、クロネコゆうパケットに切り替えたエリアで、売上が低下したことも要因のひとつと考えられています。
ただし、日本郵便はクロネコゆうパケットとネコポスの併存に合意していないと発表しています(2025年1月時点)。ヤマト運輸が日本郵政へ計画変更を申し入れたこと、クロネコゆうパケットと類似するサービスを復活させたことで、両者の亀裂は深まる恐れがあります。
クロネコゆうパケットについて、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
>>クロネコゆうパケットのサービス比較!発送代行業者目線で見た利用するべき企業
出典:ヤマトホールディングス「『クロネコゆうパケット』の全国発売開始と、『ネコポス』による全国翌日配達の継続について」
出典:(pdf)日本郵便株式会社「『持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意』の進捗状況および ヤマト運輸に対する損害賠償等請求訴訟の提起について」
継続・復活したネコポスのおすすめの利用方法
2025年2月以降、ネコポスとクロネコゆうパケットは全国で併存する見込みです。ここからは、両サービスを比較したうえで、おすすめの利用方法を物流の専門家目線で解説します。
ネコポスとクロネコゆうパケットのサービス比較
比較項目 | ネコポス | クロネコゆうパケット |
---|---|---|
サイズ(上限) | 縦31.2cm×横22.8cm | 縦・横・厚さの合計:60.0cm、長辺:34.0cm |
サイズ(下限) | 縦23.0cm×横11.5cm | 縦14.0cm×横9.0cm |
厚さ | 2.5cm以内 | 1.0cm、2.0cm、3.0cm |
重さ | 1kg以内 | 1kg以内 |
料金 | 全国一律 数量などの諸条件に応じて、顧客ごとに価格を決定 |
全国一律 数量などの諸条件に応じて、顧客ごとに価格を決定 |
お届け日数 | 宅急便と同じ | お預かりから3日目以降1週間程度 |
補償 | 3,000円 | 3,000円 |
通知 | あり(お届け先:投函予定通知、投函完了通知/ご依頼主:投函完了通知) | なし |
出典:ヤマト運輸「ネコポスとクロネコゆうパケットの違いは何ですか?」
両サービスの主な違いは、取扱荷物のサイズ、お届け日数、通知の有無です。料金はともに全国一律ですが、クロネコゆうパケットは厚み(1.0cm、2.0cm、3.0cm)に応じて設定されます。
以上を踏まえると、両サービスをおすすめできる事業者様は以下のとおりです。
サービス名 | おすすめの事業者様 |
---|---|
ネコポス |
・規格内の荷物をできるだけ早く届けたい事業者様 ・お届け通知を必要とする事業者様 |
クロネコゆうパケット | ・薄い荷物を安価な送料で送りたい事業者様 |
クロネコゆうパケットを選ぶ場合は、お届け日数が長いことと通知がない点に注意が必要です。
ネコポスとクロネコゆうパケットの違いについては、以下の記事でも解説しています。興味のある方は参考にしてください。
>>ネコポス廃止でクロネコゆうパケットへ!料金やサイズとネコポスとの違い
2025年2月以降もネコポスは継続!目的にあわせて使いわけましょう
ネコポスは、小形の荷物を宅急便と同じ配達速度でお届けするヤマト運輸のサービスです。2024年問題に対処するため廃止予定でしたが、代替サービスのクロネコゆうパケットでは荷物のお届けが遅くなってしまうため、ネコポスの継続、復活が決定しました。今後は、両サービスを利用できるため、送る荷物に応じて適切なサービスを選択することでコストの最適化を図ることができます。
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