ロジスティクスと物流の違いとは?
2023.12.04物流・フルフィルメントロジスティクス…よく耳にする言葉ですが正確に何を指しているかご存知ですか?
JIS(日本工業規格)Z0111:2006でロジスティクスはこのように定義されています
物流の諸機能を高度化し,調達,生産,販売,回収などの分野を統合して、 需要と供給との適正化を図るとともに顧客満足を向上させ、併せて環境保全,安全対策などをはじめとした社会的課題への対応を 目指す戦略的な経営管理
ロジスティクス=物流というイメージをしている方もいらっしゃるかもしれませんが、この定義を見ていただくと、厳密にはロジスティクスと物流では、意味合いが異なっていることがわかります。
今回は、ロジスティクスの意味やそのポイント、そして、なぜ今ロジスティクスが注目されているのかをご紹介します。
目次
ロジスティクスはもともと軍隊用語
ロジスティクス(logistics)とは、軍事用語で兵站(へいたん)のという意味の言葉です。兵站とは、戦地において装備品や食料、修理、人などを管理運用する部署のことです。つまり、戦地におけるモノや人の流れを取り仕切る役割という、非常に重要な業務を担う部署ということになります。
このロジスティクスが、ビジネス戦略に使われるようになったのが現在の「ロジスティクス」という言葉の始まりです。
ビジネス用語やIT用語でのロジスティクスとは、製品の原材料調達の調達、生産、そしてエンドユーザーへの販売までのすべての物流と生産管理のことを指しています。原材料の調達という初期段階から、最終的な販売までを総合的に管理するシステムのことで、単なるモノの流れではなく生産も含めて考えることで、効率的な物流を実現するために欠かせないシステムです。
ロジスティクスと物流の違いとは?
ロジスティクスと物流は同じ意味で使われることが多くなっています。確かに、ロジスティクス=物流という考え方も間違いというわけではありません。
ですが、ロジスティクスと物流は全く同じ意味ではありません。ロジスティクスと物流では、示す範囲が異なっているのです。一般的に物流というとモノの運搬、保管、荷役を指しています。
ですが、ロジスティクスとは、原材料の調達から販売まで…モノの流れと生産のすべてを意味しています。この考え方は、企業経済活動で発生する物流の担当部署をすべて一か所に集約、または、モノの流れと生産を一元管理することで、無駄を省き作業の効率化を図ることが目的です。
モノの流れだけを管理するのではなく、生産や保管などもすべて一元化し、更に、製品を買主に引き渡す過程もロジスティクスに含まれるのです。つまりロジスティクス化には、社内のすべての部署と緊密に連携する必要があります。さらに、運送会社や取引先、販売先など社外とのコンタクトもしっかりと行う必要があります。ロジスティクスは物流より、業務範囲が広いのです。
つまり、ロジスティクスとは、生産を総合的に管理することで全体的なモノの流れを効率化するためのもので、物流はロジスティクスの中の要素のひとつということになります。
原材料の調達から買主に引き渡すまでのすべての過程を管理するのですから、当然、経営戦略上、非常に重要な役割を担うこととなります。
大量生産大量消費していた高度成長期には、物流が基本でした。ですが、本当に欲しいモノしか買わない…という消費志向が強い現在では、消費者のニーズを生産に反映させる必要があります。そして消費者はスピード感も求めています。このような中で、企業は効率化を追求する必要に迫られ、その結果としてロジスティクスが注目されているのです。
ロジスティクスのポイント
生産過程の全てを管理するロジスティクスですが、ロジスティクスにはいくつかのポイントがあります。
コストの可視化
ロジスティクスは効率化が主な目的ですが、コストも重要な要素となります。
効率化することで全体的なコストダウンもしくは、同程度のコストで作業効率をアップさせる必要があるのです。
そのために重要なのはコストを「可視化」することです。
コストを可視化することは、ロジスティクスのレベルを押し上げるだけでなく「何にどのくらいのコストがかかっているか」を企業の中枢だけでなく現場レベルで把握することで、効率化を進めるアイディアを生むきっかけにもなります。
社内の物流コストを正確に把握することにつながるコストの可視化は、社内の無駄などを浮き彫りにてくれます。そして、適切な対応をすることが可能になるのです。
システム管理
ロジスティクスのシステムには、輸送包装、ユニットロード、物流センターシステム、輸送システムなど様々なシステムが存在しています。
企業によって必要なシステムは変化しますが、これらのシステムをすべて理解し、そして管理することが重要な要素となります。
在庫管理
ロジスティクスを行うことで、品切れや在庫過多といった現象をなくし、売れる商品を必要な量だけ生産することが企業にとって重要です。
物流の効率アップ
原材料の調達や製品の輸送、そして消費者に届けるまでの過程を効率化することで無駄なコストと時間を削減しスピーディーなビジネスを展開することができます。
なぜロジスティクスなのか
先ほども少し触れましたが、大量生産大量消費が基本だった高度成長期にはロジスティクスではなく物流がメインでした。大量に作ったモノを消費者のもとへ届ければ売れた時代ですから、効率化より大量に生産することが企業の利益に繋がっていたのです。作れば作るだけモノが売れていたわけですから、効率化よりとにかく大量生産することが重要だったが高度成長期の頃です。
ですが、現代はそうではありません。長い不況を経験したことで消費者は非常に慎重になり「たくさんの商品の中から本当に欲しいモノだけを選んで購入したい」という需要が高まっているのです。
売れる商品は企業が売りたいモノ…ではなく消費者が本当に欲しいモノである必要があり、企業は、消費者の望んでいるモノを必要な数だけ生産すること必要なのです。
物流の範囲を広げたロジスティクスが重要になっているのは、多品種少量消費社会において、消費者の多様なニーズに答え売れる商品だけを作ることが企業の利益となるからです。
逆の言い方をすれば、必要以上の量を生産して在庫を抱えてもそれ以上売れる見込みは薄く、企業にとっては損失でしかないということになります。
また、純粋な商品の価値のみでは、なかなかが売れない時代でもあります。お届け時間サービスや丁寧な梱包、スピーディーな配送など、商品を一体化させることで、消費者の購入意欲につながるという一面もあります。
このような社会情勢おいてすべての工程をロジスティクスが注目されるのは非常に自然な流れともいえます。
おわりに
ロジスティクスとは、原材料の調達、生産、販売などを総合的に管理し、全体的なモノの流れを効率化するための仕組みです。
従来の”物流”の範囲をさらに広げた概念で、大量生産大量消費ではなく、多品種の商品を売れる多分だけ生産するという現代の消費傾向に対応する上において、必要不可欠な要素となっています。
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