危険品倉庫(危険物倉庫)

2022.06.08EC/物流用語集
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用語集

危険品倉庫(危険物倉庫)とは

危険品倉庫(危険物倉庫)とは、倉庫業法に基づいて認定された営業倉庫のなかで、危険物を保管するために消防庁などから許可を受けた倉庫のことです。

発火性・引火性・爆発性など、災害につながる可能性のある危険物を取り扱えるのは、消防法により以下の3つに限られています。

  • 製造所
    危険物を製造するための施設のことです。
  • 貯蔵所
    危険品倉庫のことで、大きい指定倍数の危険物を保管・保存するための施設です。
  • 取扱所
    ガソリンスタンドなどのことで、小さい指定倍数の危険物を取り扱う施設です。

危険品倉庫を建設・営業するには災害のリスクが伴うため、消防庁・市区町村・その他の指定機関において各種手続きや許可を得る必要があります。

危険物の種類

危険物は、消防法により第1種から第6種まで分けられています。各種別の特徴と品名例を紹介します。

  • 第1類 酸化性固体
    酸化性固体は、酸化性が強い固体のことです。特性は、他の物質を強く酸化させてしまうため、可燃性の物質と結合すると熱・衝撃・摩擦などにより激しい燃焼を起こす危険な物質です。
    例えば、「塩素酸カリウム」「過塩素酸カリウム」「過酸化ナトリウム」「硝酸アンモニウム」などがあります。
  • 第2類 可燃性固体
    可燃性固体は火が付きやすい固体で、40℃未満の低温で引火する物質も含まれます。引火しやすいため燃焼スピードが速く、物質によっては燃焼時に有毒ガスを発生させる危険もあります。
    例えば、「硫化りん」「赤りん」「硫黄」「鉄粉」「マグネシウム」などです。
  • 第3類 自然発火性物質および禁水性物質
    自然発火性物質は空気に触れると自然発火する物質で、禁水性物質は水に触れると激しく反応し発火や可燃性ガスを発生させる物質です。
    例えば、「金属カリウム」「金属ナトリウム」「アルカリ金属」などです。
  • 第4類 引火性液体
    引火性液体は、火が付きやすい液体のことです。「ガソリン」「灯油」「軽油」などが引火性液体に含まれます。
  • 第5類 自己反応性物質
    自己反応性物質は、分解や加熱などの自己反応によって大量の熱の発生や、爆発的な反応をする固体や液体のことです。比較的低い温度でも反応を始める物質もあるため、保管方法にも注意が必要となります。
    例えば、「有機過酸化物」「硝酸エステル類」「ニトロ化合物」などが含まれます。
  • 第6類 酸化性液体
    酸化性液体はそれ自体が燃焼するわけではありませんが、水と激しく反応したり、他の物質を酸化させて燃焼させたりする危険な液体です。また、腐食性が強いため皮膚に触れるのを防ぐ必要があります。
    例えば、「過塩素酸」「過酸化水素」「硝酸」などです。

危険物倉庫の基準

危険物倉庫を建設するためには、消防法により定められた基準を満たす必要があります。

  • 危険物倉庫の位置基準
    近隣に学校や病院などの保安対象物がある場合は、定められた保安距離を確保しなければなりません。また、保管する危険物の量や倉庫の構造に応じて保有空地の確保も必要になります。
  • 危険物倉庫の構造基準
    危険物倉庫の大きさや規模は6m未満の軒高で平屋、かつ床面積が1,000㎡未満でなければなりません。その他に「屋根は軽量金属の不燃材料」「床・壁・梁はすべて耐火構造」「窓ガラスは網入りガラス」などの基準があります。
  • 危険物倉庫の設備基準
    10倍以上の指定数量を扱う場合は避雷設備、引火点が70℃以内の危険物を扱う場合は蒸気排出設備の設置が必要です。また、従業員が安全に作業するために、採光性が確保されているかも基準に含まれています。

危険物倉庫を建設する際は、市区町村によって条例が違うため、詳細については消防・市区町村の関係各所で確認してください。

参考
日本危険物倉庫協会

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角田和樹
上場企業の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。通販エキスパート検定1級・2級を保有。 現在は物流代行サービス「ウルロジ」のマーケティング全体設計を担う。自社でEC事業やクラウドファンディングも実施しており、ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流だけでなくEC事業者の両面から情報発信を行う。