通販の発送業務とは?初心者が押さえるべき基本と効率化のヒント
2025.08.28物流・フルフィルメント通販ビジネスを始めたばかりの方にとって、「発送業務」は想像以上に手間と時間がかかる工程です。
商品が売れたあと、どのような流れで発送を進めればよいのか、何に注意すべきか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、通販における発送業務の基本的な流れから、よくある課題、効率化のコツまでを初心者にもわかりやすく解説します。すでに発送業務を始めている方も、自社のやり方を見直すヒントとして、ぜひご活用ください。
商品の梱包から配送手配まで、通販の発送業務には多くの工数と専門知識が必要です。ウルロジでは、そんな発送業務を丸ごと代行し、EC事業者様の本業集中を支援しています。
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通販の発送業務とは
通販事業を始めると、商品を売るまでのマーケティングも必要ですが、売れた後の「発送業務」も重要な側面となってきます。
この発送業務の理解と効率的な運用が、事業成功の重要な鍵を握っているのです。
通販における発送業務の全体像
通販事業において、お客様の手元に商品を届ける「発送業務」は、単に商品を梱包して送るだけではありません。効率的かつ正確な発送を実現するためには、複数の工程が連携し合う複雑な業務フローを理解することが不可欠です。
画像で示されているように、発送業務は大きく分けて「受注業務」「倉庫業務」「出荷業務」の3つの柱で構成されます。
1. 受注業務
通販における発送業務の出発点となるのが受注業務です。ECサイトを通じてお客様から注文が入ると、まず「受注処理」が行われます。これには、受注データの加工、梱包内容の把握、複数ECサイトでの注文確認、そしてキャンセル対応などが含まれます。正確な受注処理は、その後の誤出荷を防ぐための重要なステップとなります。
2. 倉庫業務
EC事業では、商品が販売されるまでの間にも常に商品の在庫を保管しておく必要があります。そのため、倉庫業務は、受注業務に関わらず常に発生している業務となっています。倉庫業務とは主に入庫・保管業務・棚卸しなどの業務です。現在の物流センターでは、WMS(物流システム)を活用することでリアルタイムでの在庫確認や管理が可能になります。具体的には、商品が入庫された際の検品や棚入れ、消費期限やロット管理、そして売れ残りの出荷対応などが行われます。適切な在庫管理は、欠品による販売機会の損失や過剰在庫によるコスト増を防ぐ上で非常に重要です。
WMSについてのメリットやデメリットやどのような種類のシステムがあるのかを、より詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてお読みください。
WMS(倉庫管理システム)の機能とメリット・デメリットについて
3. 出荷業務
そして、発送業務の最終段階が「出荷業務」です。これはさらに「梱包作業」「伝票発行」「配送手配」「未着返送品」の4つの工程に細分化されます。
工程名 | 主な業務内容 |
梱包作業 | – 受注データに基づいた商品のピッキング – 破損がないよう丁寧な梱包 – 梱包内容の確認、箱詰め – 複数ECサイト対応、キャンセル対応 |
伝票発行 | – 梱包された商品に合わせた送り状や納品書などの伝票発行 – 宛先の確認、伝票システムとの連携 – 用紙・プリンター設定、印字内容のチェック |
配送手配 | – 発行された伝票をもとに、配送業者への連絡 – サイズチェック – 貨物の引き渡し |
未着返送品 | – 配送業者からの連絡を受けた際の返送品のチェック – 再発送の対応 |
これらの業務はそれぞれが密接に連携しており、いずれかの工程で問題が発生すると、発送遅延や誤出荷といったトラブルに繋がりかねません。通販事業者がお客様に高品質なサービスを提供し、顧客満足度を向上させるためには、これらの発送業務全体を効率的かつ正確に運用することが不可欠と言えます。
また、意外に重要になってくるのが同梱物の準備です。
正確な納品書はもちろん、商品カタログやチラシ、心のこもったお礼状などは、単なる商品配送を「特別な体験」に変える魔法の要素です。季節に応じた挨拶文や、リピート購入への感謝の言葉を添えることで、お客様との長期的な関係構築につながります。
弊社で独自に実施したECヘビーユーザー500名を対象に実施された「同梱物に対する消費者実態調査」では挨拶状・お礼の手紙が最も利用されている同梱物であることや割引クーポンが「次も買いたい」というポジティブな気持ちにつながる一方 、アンケートや販促物が顧客離反を招く可能性があることもあることが判明しています。
同梱物を単なる「おまけ」で終わらせず、低コストでLTVを最大化させるための具体的なヒントが、この資料に凝縮されています。ぜひダウンロードして、あなたのEC戦略に活用してください。
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発送に必要なコストと時間の目安
発送業務のコストと時間を正確に把握することは、事業の収益性を維持し、適切な成長戦略を立てる上で不可欠です。コストの「見える化」により、改善の余地と投資対効果を明確に判断できるようになります。
梱包資材費は商品カテゴリと梱包方針により大きく異なります。小物商品(アクセサリー、化粧品など)で1件あたり30〜80円、中型商品(書籍、衣類など)で80〜150円、大型商品では200円以上となることもあります。ただし、まとめ購入による単価削減効果や、適正サイズ選定による無駄削減により、これらのコストはある程度の削減も可能です。
配送料は距離と重量・サイズの組み合わせで決まりますが、配送方法の選択により大幅な最適化が可能です。メール便活用で全国一律185〜370円、宅配便でも適切なサイズ選択により800〜1,500円程度に収められます。月間100件を超える事業者は、配送業者との料金交渉により、公示料金から10〜20%の割引を獲得することも珍しくありません。
これらの数値は単なる参考値ではなく、事業戦略の重要な判断材料です。月間発送件数が100件を超えた段階で、発送業務の外部委託検討が本格化することが多いのも、このコスト構造が背景にあります。
上記のスライドは、全国の20-70代の男女でEC事業を運営している担当者や責任者の方700名を対象に「EC事業の運営状況に関する実態調査」を実施した結果となっています。
このほかにも、これからEC事業を立ち上げる方や利益を伸ばしていきたい事業者の方に必要な中長期のEC事業の運営において注力したい業務(販促や商品開発など)などのヒアリングを実施した資料となっております。
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代表的な発送方法と配送手段の比較
発送方法の選択は、顧客満足度とコスト効率の最適バランスを見つける重要な戦略判断です。前章で把握した発送コストを踏まえ、ここからは具体的な配送手段とその使い分け方法を詳しく解説します。
宅配便・メール便・定形外などの使い分け
配送方法の選択は、商品特性と顧客期待値を総合的に判断する戦略的意思決定です。単純に安い方法を選ぶのではなく、「お客様にとっての価値」と「事業にとっての効率性」の最適な組み合わせを見つけることが重要です。
宅配便は通販業務の「王道」といえる配送方法で、重量商品、高額商品、壊れやすい商品の配送において絶対的な優位性を持ちます。追跡サービスによる配送状況の透明性、時間指定配送による顧客利便性、万が一の破損時の補償制度など、「安心・安全・確実」という価値を提供します。料金は他の方法より高めですが、顧客からの信頼度も圧倒的に高く、高価格帯商品や精密機器では選択の余地がありません。
メール便は「コストパフォーマンスの王者」として、多くの通販事業者に愛用されています。書籍、アクセサリー、化粧品サンプル、衣類などの軽量商品に特化し、宅配便の半額程度で配送可能です。ポスト投函による受け取りの手軽さも大きなメリットで、在宅を必要としない利便性は、特に忙しい現代消費者に高く評価されています。
定形外郵便は「最安配送の切り札」として、低価格商品や試供品配送で威力を発揮します。追跡や補償がない代わりに、圧倒的な料金の安さを実現できます。ただし、配送日数の長さと配送品質の不確実性があるため、使用場面は限定的です。お試し商品や、顧客が配送品質よりも価格を重視する場合に適しています。
一例としてヤマト運輸の発送方法をまとめた記事をご紹介します。
どのような方法があるのか網羅的に確認したい方はこちらからご覧ください。
【保存版】ヤマト運輸の宅急便料金とサイズごとの利用ポイント
配送業者ごとの特徴(ヤマト・佐川・日本郵便)
配送業者の選択は、自社の事業特性と顧客層に最適化されたサービスを見つける重要なプロセスです。各業者の特徴を理解し、戦略的に活用することで、配送品質の向上とコスト最適化を同時に実現できます。
配送業者 | 主要な強み | ターゲット顧客 | 主なサービス特徴 | 顧客満足度/評価 |
ヤマト運輸 | 個人顧客向けサービス | 個人顧客、通販事業者 | 配送日時変更の柔軟性 営業所・コンビニ受け取り 再配達システムの効率性 |
配達スピード・サービスの使いやすさに定評があり個人顧客の利用率が高い |
佐川急便 | 法人向けサービス | BtoB事業者、法人顧客 | 大口契約時の割引率 法人向け付帯サービス |
法人顧客から高い評価 |
日本郵便 | 全国ネットワーク | 全国各地の顧客、多様なニーズを持つ顧客 | 離島・山間部への確実な配送 全国均一のサービスレベル 多様な配送オプション |
安定した配送力 |
以下の記事では、上記の3社に加えて追加で2社の宅配会社を比較検討した記事となっており最適な宅配会社を知りたい方には必読の記事となっています。
主な宅配業者5社の料金や特徴を比較!商品発送におすすめなのはどこ?
3つの観点を利用した商品分類による選定方法
効率的な配送方法の選定は、セグメント別の最適化により、顧客満足度の向上と収益性の改善を両立させることができます。商品分類による選定では、まず商品を「サイズ・価格帯・壊れやすさ」3つの観点で分類します。
1. 商品サイズ
商品サイズは配送料金の大部分を決定する重要な要素です。
- 小物商品(厚さ3cm以内・1kg以内)
アクセサリーや書籍など、小さくて軽い商品は、ポスト投函が可能なクリックポストやネコポスなどの薄型配送サービスが最も安くなっており、特に低価格商品の利益率を確保するために不可欠です。 - 中型商品(3辺合計200cm以下、30kg以下)
衣類や小型家電などは、商品の価格や顧客の期待に応じて、宅急便コンパクトのような専用ボックスや通常の宅配便を使い分けて発送を行います。 - 大型・重量商品(3辺合計200cm超・30kg以上)
家具や大型家電など、サイズが大きく重量がある商品は、宅配便以外の選択肢がほぼありません。この場合、配送料が商品価格に占める割合が大きくなるため、送料の負担をどうするかが重要な戦略となります。
2. 価格帯
商品の価格帯は、顧客が配送料に求める価値や、許容できるコストを判断する上で重要です。今回はネコポスの補償額が3,000円であることも踏まえ、3,000円以下を低価格としております。
- 低価格商品(例:3,000円未満)
商品価格の10%以内に配送料を抑えることが目安とされており、低コストな薄型配送サービスが適しています。 - 高価格商品(例:3,000円以上)
顧客は商品に高い価値を見出しているため、追跡や補償がしっかりした宅配便を選択することで、安心して商品を受け取ってもらえます。これは、単に商品を届けるだけでなく、「特別感」を演出し、ブランドイメージを高める効果もあります。
3. 壊れやすさ
壊れやすい商品は、配送中の破損リスクを避けるために、丁寧な取り扱いが期待できる配送方法を選ぶ必要があります。
- 壊れやすい商品(例:陶器、ガラス製品)
通常、薄型配送サービスのようなポスト投函ではなく、手渡しで、かつ補償がついている宅配便を利用すべきです。これにより、万が一の破損時にも補償が受けられ、顧客のクレームリスクを低減できます。適切な梱包材の使用も、このリスクを減らすために非常に重要です。
自社発送と発送代行の違いと選び方
配送方法の選択と並んで、発送業務の運営体制をどう構築するかは、事業の成長段階において重要な戦略的判断となります。自社発送から発送代行への移行タイミングの見極めが、事業の効率性と成長性を大きく左右します。
自社発送のメリット・デメリット
自社発送は通販事業のスタート地点として、多くの事業者が選択する運営方式です。そのメリットは「発送コストを最小限に抑えることができる」点にあります。
作業者の時間の切り売りではありますが、作業にかかる人件費と梱包などの材料費のみで発送業務を完結することができ、小規模であれば大きな問題なくEC運用が可能です。
一方で、自社発送のデメリットは「作業の属人化」になりやすい点です。特にスタートアップEC事業者は兼任で物流業務を行うことが多く、ミスが発生しやすい傾向にあります。
作業の属人化は、やがて「誤出荷(発送ミス)」や「在庫差異」といった、ミスの発生確率を高めてしまいます。
そのため、自社で物流を行う場合、「1個流し」(まとめて作業せず、1件ずつ処理する)と「定位置化」(物品の置き場所を決める)を徹底することが重要です。これにより、集中力の低下や認知的な限界によるミスを防ぎ、効率的な発送業務が可能です。
コスト面でいうと、発送件数が月間100件以下の段階では自社発送が経済的でメリットが大きいです。一方で、弊社独自で実施した全国の20-70代の男女でEC事業を運営している担当者や責任者の方700名を対象にを実施した調査によって、月間100件前後の発送件数は、発送代行を検討するタイミングになっているというデータもでています。
なぜなら、コスト削減よりも「機会損失」が大きくなってしまう可能性が高いからです。
発送業務に時間をとられてしまうことで、商品企画、マーケティング戦略、顧客関係構築などの注力すべき業務への投資時間が削減されてしまいます。
月間100件を超えると、発送業務だけで週20時間以上を超えることも想定され、事業成長の阻害の原因になることはデメリットとなり得るため注意が必要です。
これからEC事業を立ち上げる方や利益を伸ばしていきたい事業者の方に必要なマーケティング費用・発送費用の相場観を知ることもできる資料は以下からダウンロードできます。
EC事業の運営状況に関する実態調査を見てみる
発送代行サービスの概要と仕組み
発送代行サービスは、自社発送の課題の解決策の一つです。発送品質の向上と事業効率化を同時に実現する効果的な方法です。
事業者が商品を発送代行会社の倉庫に入庫すると、専用の在庫管理システムで商品情報が登録されます。注文が発生すると、ECサイトから代行会社のシステムに注文情報が自動連携され、倉庫内のどこに商品があるかのを確認しつつピッキング作業を行い、その後出荷梱包作業を実施します。
24時間温湿度管理、清潔な作業環境など、個人や中小企業の会社では実現困難な品質管理を利用できるのも発送代行サービスの魅力でもあります。
料金体系は成功報酬型や、固定料金・変動料金型と様々な料金体系が存在しています。
こちらの記事で詳しくご説明しているので、ぜひチェックしてください。
成功報酬型でムダなく運用!業種別・最適な物流代行の料金プランを解説
また、詳細な発送代行サービスについて知りたい方はこちらの記事も合わせてお読みください。単純なメリット・デメリットだけではなく業者の見極め方や具体的におすすめの業者までご紹介しているおすすめの記事となっています。
発送代行サービスとは?業者に委託するメリットや選び方
どのようなタイミングで通販発送の委託を検討するのか
EC事業を運営されている事業者様にとって、発送代行サービスの利用は常に「いつから導入すべきか?」という悩ましい問題です。「コストがかかる」「頑張れば自社でもできる」といった考えから、導入を先延ばしにしてしまうケースも少なくありません。しかし、その判断の遅れがEC事業の成長を阻害してしまう可能性もあります。
特に通販発送の委託を検討している事業者様からお伺いするタイミングを3点にまとめてご紹介します。
1. EC事業立ち上げ初期で、コア業務に集中したい時
「発送代行はECが軌道に乗ってから」と考える方も多いですが、実はEC事業の立ち上げ初期こそ、発送代行の導入を検討する絶好のタイミングです。
この時期は、商品の選定・仕入れ、ECサイトの構築・改善、集客活動など、事業の根幹を担うコア業務に多くのリソースを割く必要があります。無理に発送業務まで自社で抱え込んでしまうと、時間的・人的リソースが分散され、肝心なコア業務に集中できず、ECの成長が鈍化してしまう恐れがあります。
特に、スタートアップやD2C(Direct to Consumer)モデルでECを立ち上げる場合は、初期段階から物流のプロに任せることで、事業の立ち上がりがスムーズになり、早期の成長が期待できるでしょう。
2. 販売個数(出荷個数)が急増し、リソースがひっ迫している時
商品の販売個数が増加している状況は、喜ばしい一方で、発送業務におけるリソース不足という大きな課題に直面する時期でもあります。
具体的には、以下のような問題が発生しやすくなります。
・新たな人員の確保の必要性
・商品の保管場所の不足
・顧客満足度の低下リスク
また、繁忙期に合わせて人員を増やすと、閑散期には余剰な人件費が発生し、無駄が生じます。
発送代行を導入すれば、これらの問題をまとめて解決できる可能性があります。発送代行の料金は出荷個数が多いほど単価が安くなる傾向があるため、販売個数が増加しているタイミングでの導入は、コスト面でもメリットが大きいといえます。
3. 大口注文やキャンペーンなど、まとまった発送を予定している時
大口の法人注文が入った場合や、セールや限定キャンペーンなどで一時的に注文が殺到することが予想される場合も、発送代行の導入を検討すべきタイミングです。
自社だけでこれらの大量発送に備えた体制を整えるのは非常に困難であり、以下のようなヒューマンエラーが発生しやすくなります。
・納品先の誤り
・梱包中の商品破損
・同梱物の入れ忘れ
ECを利用する顧客は、「迅速かつ丁寧な配送」を非常に重視しています。上記のようなトラブルは、顧客満足度を著しく低下させ、ECサイトの評判を損なう原因となります。実際に、このようなトラブルをきっかけに、弊社へご相談に来られる事業者様は少なくありません。一時的な大量発送の場合は、発送代行のスポット利用も有効な選択肢となります。
「自社は発送代行を導入すべきなのか?」とお悩みでしたら、ぜひウルロジにご相談ください。物流のプロが、事業者様の現状と課題をヒアリングし、無料で最適な発送代行導入のタイミングや運用についてアドバイスさせていただきます。お気軽にお問い合わせください
発送代行サービスのウルロジに相談してみる
通販事業者が直面するよくある課題と解決策
発送業務を効率化する過程では、多くの通販事業者が共通の課題に直面します。これらの課題は単独で発生することは稀で、相互に関連し合いながら事業運営に影響を与えるため、体系的なアプローチによる解決が必要です。
Q. 発送作業に時間がかかりすぎて、他の業務に手が回らない
発送作業の効率化は、事業成長のボトルネックを解消するために非常に重要です。単に作業スピードを上げるだけでなく、プロセス全体の最適化を通じて時間短縮を実現できます。
以下の3つのアプローチで、発送作業の効率を劇的に向上できます。
1.作業環境の戦略的設計
・「発送専用ワークステーション」 の概念を取り入れ、商品保管エリア、梱包資材置き場、作業台、ラベル印刷機、計量器などを機能的に配置
・「歩数最小化」 の原則に基づき、無駄な動作を削減することで、発送作業にかかる時間を削減
2.システム化による「考える時間」の削減
・受注管理システム と 配送業者システム を連携させ、宛名ラベルの作成を自動化
・バーコード管理システム の導入により、商品の目視確認時間を削減
3.作業の標準化と繁忙期対策
・誰でも同じ品質とスピードで作業できるよう、作業を仕組み化
・繁忙期に備えて、「前倒し作業」 の仕組み化
Q. 送料が高くて利益が圧迫されています。
送料は多くの通販事業者にとって収益を圧迫する大きな課題です。
コスト削減と戦略的な価格設定の両面からアプローチすることが重要です。
以下の2つの方法で、送料コストを削減し、利益率を改善できます。
1.発送方法の戦略的見直し
・過剰な発送品質になっていないか検証しコストの見える化
例えば、3,000円以下の小物商品に宅配便を使っている場合、メール便への切り替えで送料を50〜60%削減できる可能性があります。
2.配送業者との交渉と最適化
・複数の配送業者から見積もりを取り、競合させることで料金交渉の実施
これにより、コスト削減が実現することもあります。
また、配送業者の閑散期料金や新規開拓料金の活用も有効です。
Q: 配送ミスやクレームへの対応と予防策について教えてください。
配送ミスやクレームは、顧客満足度を損ない、ブランド価値にも影響を与える重要な問題です。これらの課題に対処するためには、根本原因の特定、多層的なチェック体制の構築、梱包品質の標準化、そして迅速かつ丁寧なクレーム対応が不可欠です。
以下の3つの方法がクレーム対応と予防策となっています。
1.配送ミスの原因と対策
配送ミスの主な原因は「商品の取り違え」「数量間違い」「宛先間違い」の3つに分類できます。
・商品の取り違え防止
似た商品は物理的に分けて保管し、商品コードの視認性を高めたり、ピッキング時に音声確認システムを導入したりすることが効果的です。
・チェック体制の多層化
ピッキング時、梱包前、発送前の三段階で異なる担当者が詳細なチェックを行うことで、ミス検出率を大幅に向上させ、発生率を0.1%以下に削減した事例もあります。
2.梱包品質と配送遅延の予防
・梱包品質の標準化
輸送中の破損クレームを防ぐため、商品カテゴリ別の梱包基準書を作成し、緩衝材の使用量を定量化します。梱包完了時には品質確認チェックリストを活用し、特に湿度や温度変化などの季節要因を考慮した梱包方法を選定することが重要です。
・配送遅延クレームの予防
天候不順や交通事情による遅延予測情報を配送業者から事前に収集し、影響を受ける可能性のある顧客には速やかに連絡することで、クレーム発生をかなりの割合で削減できます。
3.クレーム発生時の対応
クレーム発生時は、対応の質が顧客満足度回復の鍵となります。
・迅速な初期対応
・共感的な謝罪と説明
・具体的かつ実行可能な解決策の提示
これらの対策を講じることで、クレームをいただいたお客様をファン化させることも可能になってきます。
より詳しい対応フローや防止策までご覧になりたい方は以下の記事もお読みください。
物流クレーム完全ガイド|原因・対応フロー・防止策まで徹底解説
発送体制を整えるための整理と次のアクション
ここまで解説してきた通販発送業務の全体像を踏まえて、自社の現状を客観的に分析し、具体的な改善アクションプランを策定することが重要です。
現状分析の第一歩として、発送業務に関する定量データの正確な把握から始めましょう。月間平均発送件数、繁忙期の最大発送件数、1件あたりの平均処理時間、発送関連コストの詳細内訳(人件費、梱包資材費、配送料)、誤発送率、クレーム発生率、顧客満足度指標などを数値化します。これらのデータは改善効果の測定基準としても活用できます。
改善戦略の選択においては、「自社発送の効率化」か「発送代行への移行」かの判断が重要です。月間発送件数が100件以下で、商品特性が複雑でない場合は、作業効率化による自社発送の改善が効果的です。一方、100件を超え、今後も成長が見込まれる場合は、発送代行への移行が戦略的に重要になります。
自社発送を継続する場合の改善プランでは、優先順位を明確にした段階的実施が成功の鍵です。第一段階では作業環境の最適化と作業のシステム化(受注管理システム導入など)に取り組みます。
第二段階では品質管理体制の強化(チェック体制・作業手順の確立など)を実施し、第三段階で高度なシステム化(API連携、自動化ツール導入など)を進めます。
発送代行への移行を検討する場合は、複数の代行会社との比較検討が必要です。単純な価格比較だけでなく、システム連携の柔軟性、品質管理体制、拡張性、カスタマーサポート体制、実績と信頼性を総合的に評価します。また、移行時のリスクを最小化するため、段階的移行計画の策定も重要です。
まずは現状の正確な把握から始め、自社の事業特性に最適な改善策を選択し、着実に実行していくことが通販における発送業務の効率化に繋がります。


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