物流不動産市場の動向と2030年までの需要予測|今求められている物流拠点とは

2024.05.29物流・フルフィルメント
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物流不動産市場 動向 需要予測
事業や配送規模の拡大により物流拠点を増やすべきか考えている企業も多いのではないでしょうか?

事実、「物流不動産」と呼ばれる物流業務を行うための倉庫や物流センターの需要が高まっています。

物流不動産とは貨物の保管料や出庫作業で収益を得る一般的な物流倉庫と異なり、賃貸面積に応じた賃料を徴収する事をビジネスモデルとした物流施設の事を指します。

物流不動産はICT(情報通信技術)の普及でSCM化が進んだ物流業界のニーズに添った施設設計が特長で、3PL(物流事業者)や配送事業者、小売業やEC業界、アパレル業界など多くの企業が活用しています。

現在も首都圏や近畿圏といった物流の中心地域での需要の衰えもみられません。

この様に市場価値や他社との競合性が高い物流拠点の選定は、ビジネスの効率性と競争力を左右する重要な決断だと言えるでしょう。
しかし、物流不動産市場の動向や最新のテクノロジーを理解し、最適な拠点を見つけることは容易ではありません。

この記事では、物流拠点の拡大という大きな課題に直面する人に向けて、最新の市場動向や実際に最新の物流不動産を賃借した企業様の導入事例を交え最適な物流拠点の選び方を解説します。
事業責任者の方や、効率的な物流ネットワークの構築に尽力する方にとって今後の方針を決めるための判断基準を得ることができるでしょう。

2024年現在の物流不動産市場の現状と2030年までの需要予測

ここまで読んだ人で知りたいのは現在の物流不動産市場の現状ではないでしょうか。

冒頭では、市場に衰えがないとお伝えしましたが正確には、全国規模で見ると2024年第1四半期の段階で10%ほどの空室率となっています。

現状を維持していくのか、それとも衰退の一歩をたどっていくの分かりやすく1都3県の需要と供給の状況とウルロジが予測する2030年までの物流不動産需要について解説していきます。

1都3県の空室率は2024年現在9.7%と供給過多傾向

1都3県の空室率参考元:シービーアールイー株式会社 

上記の表を見ていただくと分かる通り、2019年から世界的に蔓延した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によりEC業界の需要が爆発的に急増していきました。

ニーズの増加や巣篭もり環境への変化に合わせ大型物流施設が次々に竣工していきましたが、ここ数年は脱コロナ化が始まり落ち着きを取り戻しましたね。

その影響もあってか、元より建設を進めていた物流不動産への入居率も減少しているのです。

皆さんもご存知の通り、EC市場は現在も衰える事はなく決して需要が無い訳ではありませんが、首都圏は施設の供給が目立ってしまっているという事が分かります。

同じく物流の要である近畿圏や福岡圏においては、首都圏に比べ竣工を予定していた施設数が少なかったため供給不足気味となっている事が分かります。近畿・九州の空室率

参考元:シービーアールイー株式会社 

これらの事から、ECの需要に比例し今後も物流不動産の需要は高水準を維持していくと考えられます。

次に、今後の物流不動産の需要はどのように見込まれるのか、ここまでのデータを元に、ウルロジが考える2030年あでの需要動向を解説していきましょう。

2030年までの物流不動産需要は上がり続けると予測

現在は主に首都圏における供給率の高さが目立ちましたが、ウルロジの見解として2030年頃まで長期的に見た時には需要に更に上がり続けると予想しています。2030年までの物流不動産需要予測

これらの見解の根拠として挙げられるのがまず、運送業界の課題とも言える2024年問題です。

2024年問題が運送業界に与える影響と物流不動産需要の関係性

要点だけまとめると、2024年問題の労働時間規制によりドライバーの時間外労働は年間960時間まで、月に換算すると80時間まで規制される事となります。

ドライバーの拘束時間が減少する事により、必然的に運送会社が1日移動できる距離(貨物を運べる距離)が減り、会社やドライバー自身の収入にも影響が出てしまうでしょう。

そのため、一度貨物を降ろし中継する物流拠点を今後活用する必要があります。

この時に中継するための自社倉庫の建設よりも安価な物流不動産を賃貸する方がコスト面を考えと、物流拠点の拡大を図る事が見込まれます。

拘束時間の減少で同時に課題となるのが、手積み(バラ積み)輸送です。

岸田政権が推進する「物流革新に向けた政策パッケージ」のポイントにもパレット活用について挙げられていますが、ウルロジの見解として現実問題これらの課題を解決する事は困難だと考えています。

>>「物流革新に向けた政策パッケージ」(2023.6.2関係閣僚会議決定) 

バラ積みは荷主から希望として受けるケースもありますが、コストカット目的がほとんどです。

以下の表を見れば分かると思いますが、大体は手配する側が「このトラックでバラ積みにすれば一台で収まるはず」と計算する事が多いのです。

1:1パレットで10枚積めるトラック

バラ積みの場合

1:1パレットで10枚積めるトラック

パレット積みの場合

必要な台数 1台で収まる 100CT収まらず2台必要
人件費/燃料費 ドライバー1人分/トラック1台分 ドライバー2人分/トラック2台分

一目で分かる様に、パレット積みで運ぶ事により単純計算の倍のコストがかかります。

これが東北地方から首都圏に来ている運送会社の場合、コストがバカになりませんよね。

実際にトレーラーにカートンが変形しても天井まで詰め込んでいるドライバーを何度も目にしたことがあります。

また、労働時間の減少により、残業時間で稼いでいたドライバーは収入が減りが手当てが付くバラ積みの配送に志願する事が増えている様です。

拘束時間が減少により増えた課題により、今後1日の配送距離が大幅に減少し企業としては近くの物流拠点の利用する事を検討する必要があります。

直接賃貸する場合でも、提携する場合でも倉庫内のスペースを逼迫する事となりますので今後物流不動産の需要も高まり続けるでしょう。

今後増加が予測される物流不動産の拡大エリアの傾向

前述で解説した通り、2024年問題が運送会社やドライバーに与える影響は大きなものです。

また、430休憩(4時間毎の運転で合計30分以上の休憩等、運転の中断をする必要がある事) の実施が実施されている事についても今後厳しく見られるでしょう。

これにより、需要が高まると予想されるエリアは、内陸部に位置する高速道路周りエリアだと言えます。

今回は物流施設が密集している江東区青海から4時間以内(交通渋滞を考慮し約3時間30以内)のエリアをマークしました。

物流不動産増加の予測値

【今後需要が高まると考えられるエリア】

  • 東北自動車経由:郡山市周辺
  • 関越自動車道経由:南魚沼市周辺
  • 中央自動車道路経由;飯田市周辺

今回は首都圏を中心として見ていきましたが、東北地方の場合は更なる懸念が予測されもっと短い範囲で物流拠点の利用を検討する必要があるでしょう。

  • 積雪による大渋滞
  • コンテナタイプでのトラックが多く荷下ろしに時間がかかる(バラ積みもしくはハンドフォークで引っ張る必要がある)

今後は物流不動産のデベロッパーも中継拠点に目を付け、物流施設の建設を行う事が考えられます。

直近の事例として、宮城の名取市に三井不動産が東北圏初の物流施設「MFLP仙台名取Ⅰ」を竣工した事も2024年問題の改善に向けた動きであり、最近の物流業界の話題として新しいでしょう。

>>東北圏初の三井不動産の物流施設「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)仙台名取Ⅰ」竣工 

【統括】運送業界が抱える問題を解決するために物流不動産の需要は高まり続ける

物流業界には改善するべき課題が沢山あり、これらを解決するのであれば物流拠点の拡大は今度切っても切り離せないでしょう。

そのため、自社倉庫の増設を行うか物流不動産のテナントを賃借し柔軟に対応する等の決断を検討する必要があるでしょう。

実際の所、2024年問題の法改正を軽視しこれまで通り運用を続ける企業もいるかも知れませんが、実際に違反行為が発覚した時のペナルティはご存知ですか?

【物流の効率化を拒む事によるペナルティの例】

  • 「6か月以下の懲役」または「30万円以下の罰金」
  • 企業名公表

もしこれらの処罰を知らずに方針を変えるつもりが無かったのであれば、今すぐ考えを改めるべきでしょう。

実際に、これらのペナルティは会社の経営や信用に直結する問題となりますので、多くの企業が拠点の拡大の選択を迫られるでしょう。

2024年・2025年辺りまでは供給が上回っている現状が続くかも知れません。

しかし、物流施設の建設よりも企業が利用したいと考える希望の方が圧倒的に早いので、2026年以降から供給不足に陥り資産価値が上がる事も考えられるでしょう。

そのため、もし物流不動産の賃借を検討しているのであれば良い物件が無くなる前に早めに動かれた方が良いと言えます。

次の章では、物流不動産の需要がここまで拡大した背景について深掘りしていきます。

時代の変化による物流不動産拡大の4つの背景を深掘り

ここまで物流不動産の市場や今後の見解について紹介していきましたが、これまで貨物の保管が主流だった自社保有の物流倉庫から形態が変わって行ったのか。

この章ではここまで解説してきた2024年問題以外の要因を深掘りして紹介していきます。

ICTの普及による顧客ニーズの変化と施設の多機能化

ECが主流となっている現代社会で「在庫の削減や最適化」、「リードタイムの短縮」など、サプライチェーンの最適化を図る必要がありました。

これにより、求められる物流施設も、保管機能を中心とするいわゆる「保管型倉庫」から、在庫を置かない「スルー型物流センター」が求められるようになりました。

そのため、これまでの倉庫形態では今の顧客ニーズに柔軟に対応する事ができない事が要因としては大きいです。

今ニュースでも良く取り上げれる、宅配業者の人員不足も貨物の小ロット化や時間指定配送等の顧客ニーズの変化によるものです。

今の物流施設に対して求められているのは、「多頻度かつ迅速な入出荷対応できる環境」、「24時間の操業体制」、「流通加工も含めた一括で行える施設」等が主流となり物流施設自体にも機能性が求められる様になりました。

高機能な施設化を求めるニーズに対し大手不動産デベロッパーの参入が増えたため

前述で解説した様に、施設の多機能化を求められるにあたって積極的に参加し出した不動産デベロッパーです。

大手の不動産デベロッパーが高機能な施設化を求めるニーズに対し、土地や街の開発事業や商業施設に携わる不動産デベロッパーが、家賃収益をビジネスモデルとし、高機能な施設開発に向けて参入したという背景があります。

SCMの定着により3PLの規模が拡大したため

物流コスト削減やサプライチェーン最適化を受け、物流の総合化・効率化が求められる中で、関連事業における規制緩和や物流総合効率化法の制定等を受け、3PL事業が定着・拡大しました。

物流の専門家である3PL事業者を利用する事で、リソースの削減にも繋がり自社のコアビジネスにも注力できる事から現在にわたり重宝されています。

インフラの整備により港湾区域から内陸部へ物流拠点が拡大したため

これまで、物流倉庫といえば港湾区域が主でした。

日本は海に囲まれた国であり、海運が最も積載量も多い事から物流の窓口である港湾区域内で荷下ろしを行い、そのまま保管というのがメインでした。

しかし、圏央道をはじめとした高速道路のインフラが整備されたことで、物流倉庫の建設=「湾岸区域」という概念は薄れつつあり内陸部も選択肢を広げる事ができる様になったのです。

港湾作業は認可も必要で事実上、新規参入は不可能とも言える業界でしたので、内陸部に選択肢ができた事で不動産デベロッパーも参入しニーズにあった施設開発を行う事ができる様になりました。

物流不動産を賃借する時に企業が求めるべきものとは|実際の活用事例を用いて解説

今後物流不動産のテナントを賃借するにあたって、活用する企業が競合より一歩抜きんでた戦略を展開するに当たって、考慮すべきポイントについて解説していきます。

長らく利用する事になる施設となりますので、今後の方針が変わっても柔軟に対応できる施設選びをすると良いでしょう。

コスト削減が見込めるマルチテナント型倉庫

物流不動産には、BTS型(Build To Suit)とマルチテナント型倉庫の2種類あります。

コスト削減に重きを置くならマルチテナント型倉庫の一択だと言えるでしょう。

マルチテナント型倉庫を複数の企業が利用する前提で設計されている施設のため、設備が充実しています。

そのため、フォークリフトも共有設備として活用する事ができますので、大幅なコスト削減につながります。

一方でBTS型倉庫とは、賃借人の要望に応じてオーダーメイドで建設される物流施設となるため、広い敷地内のレイアウトまで考えることができるので、コスト面は保管用の物流倉庫を建設するより高額になります。

一方でアクセスやトラックの着数や目的とする作業に合わせて最大限効率の良い設計が可能なので、長期的に見た場合は、コスト削減に繋がることもあるでしょう。

担当者の手腕が試されると言っても過言ではありません。GLP神戸住吉浜

マルチテナント型倉庫は常温倉庫がメインでしたが、神戸に「GLP神戸住吉浜」と呼ばれるマルチテナント型初の冷蔵・冷凍倉庫が建設されており、冷蔵・冷凍倉庫は需要がありますので、今後全国的に建設されていくでしょう。※2025年竣工予定

参考:全館冷凍冷蔵Multi型物流施設 

人手不足を解消させるための従業員の快適な環境

これまでの物流倉庫は休憩所はプレハブ小屋の詰所、タバコの煙が漂っている喫煙所といった印象を持っている人も多いでしょう。

物流業界は人手不足が永遠に課題とされており、物流倉庫の内の環境の快適化も課題解決に向けた1つの手だと思っています。

最近のマルチテナント型の物流施設は、施設内にコンビニやレストラン、託児所、カフェテリアといった商業施設が複合されている事もあり、従業員に喜ばれる環境作りが意識された作りも増えてきています。

※BTS型倉庫はオーダーメイドのため、自由に導入可能厚木Ⅲロジスティクスセンター

オリックス不動産株式会社が「厚木Ⅲロジスティクスセンター」と呼ばれるマルチテナント型物流施設を竣工しました。

竣工時には入居率100%の状態で稼働しており、カフェテリアや「四季の庭」と呼ばれる屋外ラウンジを取り入れるなど、リラックス空間を取り入れている様です。

参考:東京ドーム4個分の延床面積を誇るマルチテナント型 「厚木Ⅲロジスティクスセンター」完成 

作業フローを一括管理し多様な顧客ニーズに応える環境

物流不動産を賃借するにあたって、今後の方針や作業内容が変わっても柔軟に対応できる倉庫環境は検討事項に入れておくと良いでしょう。

EC業界を例に挙げると、大きく分けただけでもこれらの作業を必要とします。

  • 受注作業
  • 発送作業
  • 仕分け作業
  • ピッキング
  • タグ付け
  • 商品撮影のスタジオ
  • 返品商品の対応

少なくとも拠点拡大を行う時にもこの様な作業を必ず行える環境を用意する必要があるでしょう。

物流不動産は多様なニーズに応えるために、広めのレイアウトが用意されていますが、既存の作業に支障がでない様に考えましょう。プロロジスパーク千葉ニュータウン

株式会社プロロジスが建設した「プロロジスパーク千葉ニュータウン」では、5階の入居企業「アッカ・インターナショナ」が入居企業にフルフィルメントサービスを提供しています。

ささげ業務が行えることで、衣料品のモデル撮影、eコマースサイトへの掲載、出荷から返品対応までの全てを「プロロジスパーク千葉ニュータウン」の倉庫内で完結させることができる様になっています。

参考:~庫内でアパレルEC向けフルフィルメントサービスを提供する新たな取り組みも~ 

サステナビリティを意識した物流施設

サステナビリティと環境に配慮した物流施設は、企業の社会的責任を果たすだけでなく、長期的な運営コストの削減やブランドイメージの向上にも影響してきます。。

具体例として上記でも取り上げている株式会社プロロジスは多くの施設で太陽光発電システムを導入する事で、エネルギー効率を高めており、エネルギーコストの削減に貢献しています。

この様な結果を残している企業の物流不動産を賃貸することで、入居企業も必然的に目に止まるようになります。

世論の目としては貢献企業の場所を利用しているだけで、その企業の評価も上がり間接的な企業のブランドイメージの向上にも繋がります。

大手の成功事例を最適な物流拠点選びの参考に

物流拠点の拡大を検討するにあたって、大手企業の成功事例を参考にするのが最も参考になるでしょう。

ウルロジも参考になると感じた、輸送効率の向上やアイディアやコスト削減の結果を紹介していきます。

「セブンイレブン・ジャパン」の商品品質の担保の取り組み

セブンイレブンジャパン ロゴセブンイレブンジャパンは地域ごとに物流センターを建設する事で、店舗への配送距離を短縮させる事に徹底しました。

これにより、皆さんの元に商品が新鮮な状態で届ける事ができる事が実現できる様になりました。

各店舗に1日数回の配送を実現させる事で、商品在庫を最適化し廃棄ロスを減少させる事に成功しています。

ここで物流拠点選びの参考にできると感じたのが、「地域ごとの物流センター」の建設です。

もちろん近場全てに物流施設を拡大させるというのは現実的ではありませんので、発送先の顧客が多い地域に絞るという事ですね。

最も発送先が多い場所に物流施設を拡大させる事で、迅速な配送はもちろん、輸送コストの削減が見込めるでしょう。

返品時の商品交換なども迅速に行うことができるので、顧客満足度の向上からブランド力を高めるための経営戦略にも活かせるはずです。

「日本通運」の環境に配慮した物流施設の利用による支持

日本通運 ロゴ日本通運が行った取り組みとして、主要輸出入拠点に近接した場所に大規模な物流センターを設立しました。

一例として成田国際空港近郊に建設された物流センターにより、航空貨物の迅速な処理を可能にしています。

同時に最先端の自動仕分けシステムやトラッキングシステムを導入した事で、貨物の処理能力と追跡精度を向上させた結果を生み出しています。

施設に太陽光発電システムを導入する事で再生可能エネルギーの利用と低排出ガス車両の導入により、環境負荷の低減を推進させています。

環境に配慮した取り組みにより企業イメージが向上し環境意識の高い顧客からの支持を得る事に成功しています。

ここで物流拠点選びの参考にできると感じたのが、「環境に配慮した物流センター」建設です。

前述でもサステナビリティを意識した物流施設を選ぶことで世論から好印象を受けるとお伝えしました。

まさに日本通運の取り組みが良い例だと言えますね。

物流不動産に掛かる費用を10分の1まで抑えられる可能性「物流代行」について

物流不動産の活用は事業の今後の配送効率化やコストの削減も見込める手段です。

しかし、マルチテナント型の施設を賃借する場合でも、掛かるコストは莫大な金額になります。

今回紹介した様な最新のマルチテナント型物流施設はいずれも賃料は「要相談」となっていますので、正確な賃料はわかりませんでした。

ですが、ほとんどのマルチテナント型物流施設を倉庫として利用した場合、都市部・常温の条件で見た場合、坪単価が5,000円前後となっています。

他にも初期費用として、敷金が賃料の6ヶ月分〜10ヶ月分前後発生するケースが多いです。

今回何度か紹介した「プロロジスパーク千葉ニュータウン」を元に計算した場合、2階で6,354.07坪となりますので、こちらを以上の条件に当てはめた場合の賃料初期費用は以下の様になります。

月賃料(坪単価5,000円) 初期費用(6ヶ月分〜10ヶ月分)
約3,177,000円(5,000円×6,354坪) 約19,062,000円〜31,770,000円
初期費用合計:約22,239,000円〜34,947,000円

この様に物流不動産を契約した場合、月々300万円以上、初期費用は2,000万円〜3,000万円にも及びます。

思ったより費用が嵩んでしまうと思った人は、「物流代行」を検討してみてはいかがでしょうか。

ウルロジも提供している物流代行業務(物流アウトソーシング)を利用する事で、貴社で実施しているな以下の業務を全て丸投げする事ができます。 

  • 受注処理
  • 受注データ加工
  • 梱包内容把握
  • 複数ECサイト確認
  • キャンセル対応
  • 梱包作業
  • 商品ピッキング
  • 段ボール組み立て
  • チラシ同梱
  • ラッピング
  • 伝票発行
  • 宛先確認
  • 伝票システム連携
  • 用紙、プリンター設定
  • 印字内容チェック
  • 配送手配
  • 宅配業者への連絡
  • サイズチェック
  • 荷物引き渡し
  • 未着返品

物流代行なら新たに物流倉庫の新設や、物流不動産を賃借する際のコストよりも大幅に削減する事ができるでしょう。

施設を借りる必要がない以上、移転する時に大規模な貨物の移動を行う必要もありません。

物流代行にどの様な企業が参入しているのか興味がある人は以下の記事をご覧ください。

>>EC物流代行業者比較!項目別に11社の強みや検討時の注意点を徹底検証

まとめ

今後配送効率の改善やコストの削減を目的とし物流拠点の拡大を行う企業様が適切な物流不動産選びを行う事で、競合他社との差別化やブランドイメージの向上にも繋がります。

ECの需要は高まる一方ですので、2024年問題の影響もあり今後は物流不動産を活用する企業の増加が見込まれ、需要も増加の傾向がみられるはずです。

そのため、もし物流不動産の賃借を検討しているのであれば資産価値が上がり、賃料が高くなる前に動かれた方が良いと言えます。

もし月々のコスト面が懸念されているのであれば、最後に紹介した「物流代行」も検討していただくと良いでしょう。

 

タグ : 用語 物流拠点 物流 立地 物流不動産
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角田和樹
上場企業であるディーエムソリューションズ株式会社の物流関連サービスで15年間、営業やマーケティング、物流企画など様々なポジションを経験。 現在は物流・発送代行サービス「ウルロジ 」のマーケティング全体設計を担う。通販エキスパート検定1級・2級を保有し、実際に食品消費財のEC事業も運用。ECノウハウに対しても深い知見を持ち、物流事業者としてだけでなく、EC事業者の両面からnoteウェビナー等での情報発信を行う。