フルフィルメントと3PLの違いとは?物流戦略の選び方を徹底解説

2024.10.17物流・フルフィルメント
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物流業界において、企業が効率的な物流管理を実現するためには、
「フルフィルメント」「3PL(サードパーティ・ロジスティクス)」のどちらを選択するかが重要な課題となります。しかし、これらの用語が似ているため、それぞれの違いやメリットが分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか?この記事では、フルフィルメントと3PLの基本的な役割や機能の違いを詳しく解説し、どのようなビジネスに最適か解説します。

さらに、それぞれのサービスを利用することで得られるメリットや、選定する際のポイントも紹介します。
この記事を読むことで、物流に関する選択肢がクリアになり、あなたのビジネスに最適な物流戦略を見つける手助けとなります。

フルフィルメントと3PLの違いについて

結論、フルフィルメントは「自社の顧客向け業務の一括管理」、3PLは「広範囲な物流業務の外部委託」と、共通する範囲とそれぞれの特徴が存在しています。

以下の表に特徴や対象ビジネスをまとめましたのでこちらをまずご覧ください。

項目 フルフィルメント 3PL(サードパーティ・ロジスティクス)
定義 顧客への商品の受注、保管、梱包、発送を一手に行うサービス 外部業者に物流業務全般を委託するサービス
主な業務内容 在庫管理、注文処理、梱包、配送 輸送管理、倉庫運営、国際物流、コールドチェーン管理
対象ビジネス 主にECビジネスや小売業 大規模な製造業、流通業、グローバルビジネス
メリット 迅速な配送、顧客満足度の向上、返品処理の効率化 コスト削減、業務の柔軟性
デメリット コストが高くなる場合がある、スペースと設備が必要 複雑な契約と管理が必要、信頼性のあるパ

フルフィルメントは、主にECサイトなどで消費者に直接商品を届けるために、企業が物流業務を一括して管理する仕組みです。対して、3PLは企業が物流業務全体を外部の物流業者に委託し、輸送や倉庫管理といった幅広い業務を任せる形態です。
どちらも物流を効率化しますが、その対象や範囲に大きな違いがあります。

フルフィルメントとは、特にECビジネスにおける最終消費者への商品配送を中心に、物流業務全般をカバーするサービスです。例えば、企業が自社のオンラインストアで商品を販売した際、顧客からの注文が入ると、フルフィルメントサービスはその商品の保管、注文処理、ピッキング、梱包、配送を一括して行います。このプロセスは、いわゆる「ラストマイル配送」に重点を置いており、消費者への迅速かつ正確な配達を実現するために、非常に重要な役割を果たします。

特に、現代のEC市場では、消費者の期待が高まっており、注文から配送までの時間が短縮されることが求められています。たとえば、アマゾンの「プライム会員」による翌日配送や、即日配送のサービスは、他のEC事業者にも同様のスピード感を求めるプレッシャーを与えています。このような消費者のニーズに応えるためには、フルフィルメントセンターにおける効率的な在庫管理システムや、AIを活用した需要予測、さらにはロボットによる自動化が不可欠です。

一方、3PL(サードパーティ・ロジスティクス)は、企業が物流業務の一部または全体を外部業者に委託する形態を指します。3PL業者は、倉庫管理、在庫管理、輸送手配、さらには国際的な物流やカスタマイズされた物流ソリューションを提供します。これにより、企業は自社で物流を管理する必要がなくなり、コスト削減や効率化を図ることができます。

3PLは、より広範囲なサプライチェーン管理に特化しているため、特に製造業や大規模な小売業など、複数の流通チャネルを持つ企業にとって有効です。また、インターモーダル輸送だけでなく、3PL業者は、多様な輸送手段を駆使し、陸・海・空の各輸送モードを組み合わせた「マルチモーダル輸送」による効率的な物流管理を提供します。さらに、食品や医薬品などの温度管理が必要な商品には、冷蔵・冷凍輸送を含む「コールドチェーン」の管理が行われます。これにより、商品の品質保持が確実に行われ、消費者の手に届くまでの間に最適な状態が保たれます。

フルフィルメントと3PLの大きな違いは、対応する物流範囲の広さと目的です。フルフィルメントは主にECビジネス向けであり、消費者への迅速な配送を重視します。一方、3PLは、製造業や小売業などの企業が抱える全体の物流業務を統合的に管理し、サプライチェーン全体の効率化を目指します。企業がこの2つのサービスを選択する際には、物流の範囲、規模、そしてビジネスの特性に応じた判断が求められます。

フルフィルメントとは

フルフィルメントは、特にEC事業者にとって、商品を消費者に届けるために不可欠な物流サービスです。ここでは、フルフィルメントの具体的なプロセスや、ビジネスに与える影響について詳しく解説します。

フルフィルメントの主な業務は以下の通りです。

  1. 在庫管理: 商品の保管はフルフィルメントセンターにて行われます。フルフィルメントセンターでは、WMS(倉庫管理システム)と連携してリアルタイムで在庫データが更新され、過不足を防ぐための管理が行われます。これにより、EC事業者は常に正確な在庫状況を把握し、売り切れや過剰在庫のリスクを回避できます。特にAIを用いた需要予測が進化しており、季節変動やトレンドに応じた在庫調整が可能です。
  2. 注文処理とピッキング: 顧客からの注文が入ると、注文処理が行われ、倉庫内の作業員が迅速にピッキングを行います。多くのフルフィルメントセンターでは、ピッキングの効率を向上させるために、自動化されたロボットが導入されており、エラーの削減と作業スピードの向上が実現されています。また、商品の配置は最適化されており、頻繁に注文される商品は取り出しやすい場所に配置されます。
  3. 梱包と出荷: ピッキングが完了した商品は、顧客のニーズや商品の特性に応じた適切な梱包が行われます。梱包材も、環境に配慮した素材が選ばれることが多くなっており、特にエコ志向の強い顧客層に対するアピールとなります。梱包が完了した商品は、指定された配送業者を通じて出荷され、顧客のもとへ届けられます。フルフィルメントセンターでは、配送業者との契約により、最適なルートとスピードでの配送が可能です。
  4. 返品処理: フルフィルメントサービスでは、返品処理も重要な役割を果たします。ECビジネスでは、顧客が商品を返品することが頻繁に発生するため、迅速かつ効率的な返品プロセスが必要です。返品された商品は検品され、再度在庫に戻すか、廃棄されるかが判断されます。このように、フルフィルメントサービスは単に商品を発送するだけでなく、アフターサービスにも重要な役割を果たしており、顧客満足度の向上につながっています。

さらに、フルフィルメントサービスの中には、カスタマイズされたサービスを提供するものもあり、例えばギフトラッピングやメッセージカードの同封、特定のキャンペーン向けにパーソナライズされた梱包などが可能です。このようなサービスは、顧客体験を向上させ、リピーターを増やす効果があります。

WMS(倉庫管理システム)を導入しているEC物流代行業者を利用するという選択肢もあります。「なぜWMSが必要なのか」や「WMS対応の業者に委託すると、どのような課題が解決できるのか?」などの疑問をお持ちの方はこちらもお読みください。
>>WMSを導入しているEC物流代行業者へ委託するメリットとデメリット

また、この記事では、フルフィルメントと3PLの違いにスポット当てておりますが、
よりフルフィルメントを知りたい方には以下の記事がオススメです。
メリットや、注意点、選定時のポイントに加えて具体的な業者のおすすめまで紹介しているため、1つの記事でフルフィルメントの全てがわかる記事となっています。
>>フルフィルメントサービスとは?メリットと業者選定のポイントについて

3PLとは

3PL(サードパーティ・ロジスティクス)は、企業の物流業務を包括的にサポートするサービスです。企業は、製品の製造から最終消費者への配送に至るまでの物流業務を3PL業者に委託することで、業務効率を最大限に高めることが可能です。ここでは、3PLの具体的なサービス内容と、それがどのように企業に貢献するかを解説します。

3PLの主要な機能は以下の通りです。

  1. 倉庫管理: 3PL業者は、企業に代わって商品の保管を行います。倉庫内の在庫は常に正確に管理され、WMSやERPシステムと連携して在庫データが自動的に更新されます。特に大規模な3PL業者は、広範囲に分散した複数の倉庫を運営しており、これにより物流の柔軟性が向上し、配送時間の短縮が可能になります。
  2. 輸送管理: 3PL業者は、製品の輸送に関する全プロセスを管理します。これには、国内外の輸送手段の選定、配送業者との契約交渉、配送ルートの最適化が含まれます。企業は、製品の製造から配送に至るまでの物流を一元管理することで、効率を高めつつ、コスト削減を図ることが可能です。また、3PL業者は、さまざまな輸送モードを組み合わせた「マルチモーダル輸送」を活用することで、輸送時間の短縮やリスクの分散を実現しています。
  3. 国際物流のサポート: 特にグローバルなビジネスを展開する企業にとって、3PL業者の提供する国際物流サービスは非常に重要です。輸出入に伴う通関手続きや関税処理、各国の規制対応など、国際物流に特有の複雑な手続きも3PL業者が代行します。企業は、これにより国際市場への迅速なアクセスが可能となり、ビジネスの拡大を加速させることができます。
  4. コールドチェーン管理: 食品や医薬品など、温度管理が必要な商品の物流においては、3PL業者が提供するコールドチェーンが重要な役割を果たします。冷蔵・冷凍設備を備えた倉庫や輸送手段を用いて、商品の品質を維持したまま消費者へ届けることが可能です。特に、昨今の新型コロナウイルスワクチンの輸送においては、厳密な温度管理が求められるコールドチェーンの重要性が再認識されました。
  5. ITソリューションの活用: 現在の物流業界では、IT技術の進化が物流効率の向上に大きく貢献しています。3PL業者は、リアルタイムでのトラッキング、ビッグデータ解析による予測分析、AIを駆使した最適化など、先進的なITソリューションを導入しています。例えば、物流の各段階で発生する膨大なデータを解析し、需要予測や輸送ルートの最適化を図ることで、無駄なコストを削減し、より迅速な配送を実現します。

また、最近ではブロックチェーン技術を活用した物流トレーサビリティの向上が注目されています。ブロックチェーンは、取引履歴を透明かつ改ざん不可能な形で記録する技術であり、物流業界では商品の追跡や不正防止に応用されています。特に、高価な商品や輸送に特別な管理が必要な商品の場合、この技術によって物流の信頼性が飛躍的に向上しています。

また、それに加えて3PLのメリットやデメリットについて深く知りたい場合や、導入時に押さえるべきポイントを知りたい方はぜひこちらの2つの記事もお読みください。
>>3PL(サードパーティ・ロジスティクス)のメリットとデメリットとは?
>>EC物流における3PLの役割とは?導入の際に押さえるべきポイント

フルフィルメントと3PLの選び方

フルフィルメントと3PLのどちらを選択するかは、企業のビジネスモデルや物流戦略によって異なります。ここでは、フルフィルメントと3PLの選び方について詳しく解説し、それぞれのサービスの利点と欠点を比較します。

フルフィルメントの選び方: フルフィルメントサービスを選ぶ際には、まず取り扱う商品ターゲット市場を考慮する必要があります。例えば、アパレルや雑貨、書籍など、ECを通じて直接消費者に販売する企業であれば、フルフィルメントサービスが適しています。このようなビジネスでは、消費者への迅速な配送が最優先されるため、フルフィルメントセンターの場所や配送スピードが重要な選定基準となります。特に、消費者の期待が高まっている現代では、翌日配送や即日配送が競争優位性を保つための鍵となるため、これを実現できるサービスプロバイダーを選ぶことが重要です。

また、返品対応の品質も選定のポイントです。ECビジネスでは、返品が頻繁に発生するため、スムーズな返品プロセスが顧客満足度を左右します。顧客が手軽に返品できる仕組みや、返品された商品を迅速に再販売可能な状態に戻す能力を持つフルフィルメント業者が求められます。

3PLの選び方: 一方、3PLを選ぶ際には、企業の物流の複雑さ規模を考慮する必要があります。例えば、複数の倉庫を運営し、国内外に広がるサプライチェーンを持つ企業では、3PL業者のネットワークの広さと柔軟性が重要な要素となります。また、企業が扱う製品が異なる温度管理を必要とする場合、コールドチェーン対応の3PL業者を選ぶことが不可欠です。

加えて、3PL業者が提供するITソリューションも重要な選定基準です。リアルタイムでの在庫管理やトラッキングが可能なシステムを提供している業者であれば、物流の透明性が向上し、最適な意思決定を支援します。さらに、ブロックチェーン技術を活用している業者であれば、高いトレーサビリティと信頼性が確保でき、特に貴重品や医薬品の物流において大きなメリットとなります。

まとめ

以上のように、フルフィルメントと3PLは、それぞれの物流ニーズに応じた異なる利点を持っています。企業は、自社のビジネスモデルや物流要件に基づいて、最適なサービスプロバイダーを選定することが重要です。特に、ECビジネスを展開する企業にとっては、フルフィルメントサービスが重要な役割を果たしますが、グローバルなサプライチェーンを持つ大規模な企業にとっては、3PLがより適した選択となるでしょう。

両者のサービスを効果的に活用することで、企業は物流業務を効率化し、コスト削減を実現しつつ、顧客満足度の向上を図ることができます。

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タグ : ECお役立ち情報 発送・梱包 業務効率化
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