EC物流に関わるコストの種類とコスト削減を検討する際に注視するべきポイント
2023.12.13物流・フルフィルメントEC事業においての「物流」は、コスト削減を考えることのできる経費の一部であり、企業利益に直結してくる業務です。
しかしながら、利益だけのために物流費削減を進めてしまうと、梱包品質が下がってしまうなど顧客満足度に影響しかねません。
そこで、「物流に関わるコストの種類」の理解を深め、コスト削減を検討する際に注視すべきポイントを解説していきます。
目次
商品入庫から配送までに関わる物流コストの種類とは
一般的にEC運営業務においては、物流倉庫への商品の入庫から、消費者の手元に届ける出荷・配送業務までのことを、「物流業務」と言います。
ここでは、この物流の過程に発生しうる作業と費用、そしてそのコストの削減方法について説明していきます。主に自社で運用する場合は人件費として、物流アウトソーシングを利用する場合は作業費として計上されてくる項目です。
物流アウトソーシングをご検討されている方は、あわせてこちらの記事をご確認ください。
物流アウトソーシングのメリットと注意点を様々な視点からご紹介
システム利用料
物流業務を管理するために、倉庫管理システム(WMS)を導入すると業務が簡略化でき便利です。
システム利用の際には、導入費用と月額費用が発生してくるので確認しましょう。
また、自社物流でシステムを導入する場合は運用者の教育コストもかかってくるため注意が必要です。
これからWMSの利用をご検討されている方はこちらの記事もご確認ください。
WMS(倉庫管理システム)の機能とメリット・デメリットについて
システム利用料の削減方法
物流に関連する多くのシステムの利用料は出荷件数に応じて従量課金で請求されます。
注文管理システム、倉庫管理システムを導入している場合、各システムに対して従量課金が発生してきます。
そこで注文管理~倉庫管理まで一元で管理できるシステムを採用することで、二重で発生していた従量課金コストを抑えることが出来ます。
自社で必要となる機能を見直し、システム導入を導入できると良いでしょう。
一元管理システムの特徴を以下の記事でまとめていますので参考にしてみてください。
入庫費用
商品を倉庫へ入庫する際に発生する費用で、商品を保管管理していくために必要な作業です。
デバンニング料
輸送してきたコンテナから商品を運び出す作業費のことを指します。
入庫登録・検品料
入庫された商品を記録(登録)するための作業です。商品の状態を確認する検品作業もあわせて行われることが多いです。
管理バーコード貼付料
システムで管理する場合には、商品にバーコードを貼付することでピッキングミスを防ぎます。商品入庫の際には入庫登録作業とあわせて貼付作業を進めておきましょう。
入庫費用の削減方法
主に人的リソースに影響する項目のため、作業時間に応じて費用が決まってくるでしょう。作業の効率化を図ることによって費用が変動してくるため、WMSの導入やロケーション管理を検討し、作業を最適化していきましょう。
在庫保管料
商品の多くは在庫切れが起きないように、商品が倉庫で保管され配送されます。
保管料
保管スペースに応じて指定の期間(日額、月額、3期制)で保管費用が発生してきます。
倉庫によって計算の仕方が異なる為、事前に確認が必要でしょう。
棚卸費用
理論在庫数と実数に差が無いかを確認するために棚卸を実施します。
正確な在庫状況を把握することで売上原価や資産の価値を算出することが出来ます。
廃棄費用
賞味期限切れの商品など在庫を処分する必要が出てきた際には、廃棄するための費用が発生することもあります。
在庫保管料の削減方法
在庫回転率を上げて仕入れを適正化し廃棄ロスを削減することです。
在庫回転率が低い商品は、長期にわたって倉庫に保管されることになるため、保管費用・棚卸費用を圧迫します。まずは在庫回転率を見直し、適切な数の仕入れが出来ているか見直すようにしましょう。
在庫回転率に関する詳細はこちらの記事をご参照ください。
EC物流で在庫回転率を上げて仕入れの適正化やロス削減を!
梱包作業・配送料
商品を配送するために梱包資材を使用して配送できる状態に組み立てていきます。
梱包資材費
梱包するための緩衝材や段ボールの費用です。商品の仕様に応じて、最適な梱包資材を選択する必要があります。
梱包作業費
梱包資材を使用して商品を配送できる状態に梱包するための作業料です。
梱包作業が複雑な場合は、1梱包を完成させるための時間もかかるため費用は割高になってきます。
商品袋詰め作業料
段ボールへ梱包する前に、透明の封筒に封入する等の細かな作業が発生することもあるでしょう。
サンプル品などの小さなサイズのものは、配送時に段ボールの中で動いてしまう可能性もあるので、梱包品質を保つためにある程度の大きさの袋に封入する作業も必要です。
シール貼付料
商品をリッチに見せるために装飾用のシールを貼付する作業が発生する場合があります。
チラシ同梱料
購入された商品の説明用のチラシを同梱することで商品理解を深めてもらったり、別ブランドの商品をお勧めし、購入を促すチラシを同梱する手法もあります。
ギフトラッピング料
特別な仕様のラッピングを用意する場合、通常の梱包作業とはフローが変わり作業時間も多くなるため別途費用が発生してきます。
配送料
商品を消費者へ届けるための配送費用です。主に大手3社(ヤマト運輸・日本郵便・佐川急便)を利用されるケースが多く、
配送手段は梱包サイズに応じて宅配便やポスト投函便が選択できます。
ポスト投函便について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
梱包作業・配送料の削減方法
この項目の中で最もインパクトの大きい項目は配送料です。
配送業者によって配送オプションとそれにかかるコストは変わってきます。自社の顧客ニーズに沿った最適な配送手段を選択出来ているか、確認してみましょう。
キャンセル・返品対応費
キャンセル費
注文完了後に注文のキャンセルを受け付ける場合があります。キャンセルされたタイミングが出荷前なのか、出荷後かによってもオペレーションは変わってきます。
返品処理費
配送完了後に、返品されるケースがあります。その場合、商品が再利用出来るかを判断する為に返品された商品の開封、検品作業が発生してきます。
キャンセル・返品対応費を削減する方法
注文していない商品の梱包・宛先間違いなどの出荷時のミスが原因で返品になる場合があります。これは、ヒューマンエラーが原因で起こりうることが多いです。ピッキングの際のバーコード管理やWMSシステムの出荷伝票の自動発行を活用することで、ミスを軽減することができます。出荷体制を見直して、ミスを起こさない体制づくりを整えていきましょう。
コスト削減を検討する際に注視すべきポイント
自社物流の場合
活用できていないシステムを導入していないか
運用に便利なシステムを導入したけれど、機能を存分に活用できていないケースはよく聞かれます。現在の自社のリソースとシステムの費用対効果を確認し、無駄なシステムを導入していないか見直してみましょう。
※EC事業者が導入しているシステムカテゴリ例
- OMS(注文管理システム)
- 一元管理システム
- WMS(倉庫管理システム)
商品に適した梱包サイズと配送手段が採用されているか
自社物流の場合は、大手配送業者と直接契約し料金が設定されています。
本来、ポスト投函便が可能な商品サイズであるにもかかわらず、その配送業者がポスト投函便を扱っていないと宅配便で送る必要が出てくるため、配送料は割高になってしまっています。
商品サイズと配送料金を見直し、商品に最適な配送手段が選択されているのか確認するようにしましょう。
人件費や各利用料を可視化し物流アウトソーシングを利用した場合の費用と比較
EC事業の場合、季節やセールの開催に応じて閑散期や繁忙期があり、閑散期の場合でも繁忙期と同等の人件費が発生している事業者様も多いです。
人件費は外注費として算出はされないため、可視化されにくいコストです。対応している時間と成果物から作業料を算出し、物流アウトソーシングをした場合のコストと比較するようにしましょう。
物流アウトソーシングを利用している場合
物流品質に問題が無いか
現在の物流アウトソーシングサービスを利用している中で、ミスや消費者からのクレームが頻発していないか、またそれが改善されているか確認するようにしましょう。コストを比較したうえで現在の外注先を採用した場合でも、物流品質が悪ければコスト以上にマイナスな影響を及ぼしかねません。
ミスが発生しづらい体制を整えている物流代行会社もあるはずです。改めて外注先を検討してみましょう。
不透明な項目が請求されていないか
物流アウトソーシングの見積書は、専門用語を使用した複雑な項目が並べてあり、何の作業に対する請求なのか不透明な場合も多く見られます。
見積書を見直し、不要な項目が含まれていないか確認するようにしましょう。
ECサイトの販売戦略の変化に順応出来ているか
日々、売上向上のための取り組みを検討していると思います。物流機能に影響してくる例をご紹介します。
- 顧客満足度向上のために、即日配送を採用する
- 商品展開を増やし、宅配便だけでなくポスト投函便が可能なサイズの商品を採用する
いずれも、すぐに対応できる物流アウトソーシング業者は多くはありません。今後の販売戦略に沿って物流機能も対応が可能なのか事前に確認出来ていると安心です。
おわりに
この記事では物流に関わるコストの種類とコスト見直しの際に注視すべきポイントを解説してきました。
物流コストはEC運営の中で大きな比重を占めており、コストを削減が出来ると利益にも直結してくる項目です。
しかし、コストだけを重視して自社物流の業務の見直しやアウトソーシング業者を検討した結果、顧客満足度が低下してしまうのは本末転倒です。
自社が望む物流品質が何かを見直した結果、それが叶う体制が組めるのか、コストがいくらになるのか確認するようにしましょう。
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